平成18年8月7日 産業経済政策課

 概況

県内経済は、一部に依然として厳しさが残るものの、緩やかに回復している。

  • 製造業:電気機械を中心に好調を維持
  • 建設業:工事量が減少し受注競争が激化
  • 小売業:デジタル家電以外は総じて低調に推移
  • サービス業:宿泊・宴会部門、情報サービス部門が概ね好調

 全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲5.1から▲3.2となった。現在の資金繰りは▲9.6から▲9.7、3か月先の業況見通しは3.2から▲7.1となっている。

製造業では、生産額、受注額とも前年同月比11.2%増。3か月先の業況見通しDIは13.8から9.4となっている。製造業全体では、前年同月比の生産額が12カ月連続してプラスであり、主力の電気機械が生産額の増加を続けているほか、木材・木製品、鉄鋼・金属製品、一般機械においても高操業を維持しているなど、県内製造業における生産額は着実に増加を続けており、緩やかに回復している。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比81.5%増、同19.7%減、3か月先の業況見通しDIは▲6.3から▲37.5となっている。大型案件があったため、受注額が前年度比で大幅な増となっているものの、公共工事全体の発注量は依然として減少が続き、激しい受注競争により各社とも利益幅が減少しており、業界全体として厳しい状況が続いている。

小売業では、前年同月比の売上高で1.4%の減。3カ月先の業況見通しDIは、▲10.0から▲26.7となっている。家電品では、デジタル家電が好調な一方で夏物商品は低調である。衣料品、身回品、飲食料品では一部の企業を除いて、競合店の増加や燃料価格の高騰、低温などの様々な要因から厳しい経営が続いている。

サービス業では、売上高は前年同月比0.9%の減、3カ月先の業況見通しDIは3.2から▲21.7となった。旅館・ホテルでは、婚礼部門が引き続き低調であったが、宿泊・宴会部門が概ね好調であった。コンピュータ関連では、利益率の高いソフトの受注が増加している。輸送関係では、旅客部門は低調であったが、貨物部門は好調を維持している。

製造業の動向

1 食料品

「贈答品の動きに期待」

生産額は前年同月比7.0%の減。3か月先の業況見通しDIは▲7.1で前月と同じである。

酒造では、酒税法改正に伴う減税等の影響で若干生産額が落ちている。また、県内需要は依然として低調であるものの、首都圏や中京圏向けが引き続き好調を維持している。

全体の生産額は、再び前年同月比マイナスに転じ厳しい状況が続いているが、各社ともこれからの贈答品の動きに期待を寄せている。

2 繊維・衣服

「端境期を迎え生産額が減少」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.4%の減、同12.8%の減。3か月先の業況見通しDIは0.0から25.0となった。

夏物と秋冬物の端境期であるため、生産額が落ちており、秋冬物の受注についても今のところ動きが鈍い。

一部企業では多工程の製品において生産能率が上がってきているほか、大ロットの物件が入る企業も出始めているなど、新たな動きが見られる一方で、端境期を迎え工場稼働のため単価を下げて受注している企業もある。

各社とも、秋冬物の今後の動きに期待を寄せている。

3 木材・木製品

「首都圏向け合板が好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比18.2%の増、同23.4%の増となった。3か月先の業況見通しDIは8.3から0.0となった。

 燃料価格の高騰や、ロットの縮小・細分化による生産効率の低下などにより利益率が悪化している企業が見受けられる。

 一方で、住宅需要の伸びから、首都圏向けの厚物合板や板材の出荷が好調を維持しているほか、床材についても関西方面等において引き続き好調である。

 特に、合板に関しては輸入が減少していることもあって、フル生産状態が続いており、しばらくこの状況が続くことが予想される。

4 鉄鋼・金属製品 

 「家電や携帯電話、半導体関連が好調」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比24.6%の増、同5.6%の増。3か月先の業況見通しDIは16.7から▲16.7となった。

一部企業では、大手企業等の在庫調整の動きから受注の減少が予想されているほか、鋼材等原材料の高止まりや燃料価格の高騰により利益を圧迫されている企業が多く、各社とも利益確保に苦心している。

一方で、家電や携帯電話、半導体関連については引き続き高操業を続けており、全体として生産額は好調を維持している。

5 一般機械

「好調を維持」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.1%の増、同15.7%の増。3か月先の業況見通しDIは、14.3で前月と同じである。

 設備投資や新たな取引先の開拓により受注増となった企業や、受注残が大量にありフル生産状態の企業もあるなど、多くの企業で好調な生産が続いている。

 県外需要は引き続き好調で、自動車関連や航空機関連など、先の引き合いもあり、今後も堅調な推移が見込まれる。

 しかしながら、依然として燃料価格や原材料価格は高騰したままであり、今後更なる値上がりによる利益の圧迫が懸念される。

6 電気機械

 「生産額増加が続く」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比14.1%の増、同9.7%の増。3か月先の業況見通しDIは28.6から9.5となった。

 生産額は、前年同月比で12カ月連続のプラスが続いている。

 一部で業績を落としている企業もあるものの、多くの企業では、自動車や携帯電話、テレビ、パチンコ、半導体関連の部品が依然として力強い推移を続けており、フル稼働状態である。

 現在、主力のコンデンサなどは作れば売れる状況で、全体として今後も好調に推移していくものと思われる。

 なお、高操業であっても、燃料・原材料価格の高騰により利益が圧迫されている企業も見受けられる。

 7 輸送機械

「横ばい圏内で推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4.6%の減、同10.7%の減となり、3か月先の業況見通しDIは33.3から50.0となった。

 引き続き一部メーカーの不調の影響を受けて生産額が落ち込んでいる企業があるものの、他メーカーからの受注が伸びるなど、概ね横ばい圏内で推移している。

 今後、海外向け生産の増加が予定されていたり、新たな部品の受注が入ったりと、生産の増加が見込まれる企業も多く、全体的には順調に推移していくものと思われる。

8 精密機械

「堅調な推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.2%の増、同4.2%の減。3か月先の業況見通しDIは14.3から50.0となった。

 時計関連や精密部品関係が引き続き好調な生産を維持しているほか、光学ガラスについては国外向けのデジタルカメラ関係を中心に生産額を大幅に増加させている。また、医療機器関連もやや上向いてきているものの、計量器関連については、伸び悩んでいる状況にある。

 各社とも、燃料費や原材料価格の高騰により利益が圧迫されており、生産は好調であるものの依然として厳しい状況が続いている。

建設業の動向

「厳しい状況が続く」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比81.5%の増、同19.7%の減。3か月先の業況見通しDIは▲6.3から▲37.5となった。

大型の受注案件があったため、受注額が前年度比で大幅な増となっているものの、公共工事全体の発注量は依然として減少が続き、激しい受注競争により各社とも利益幅が減少している。一時的に工事を受注できたとしても、その先の見通しを不透明とする企業が多く、業界全体として厳しい状況が続いている。

なお、原油高騰の影響で、資材価格に値上がりが見受けられる。

小売業の動向

1 衣料品

「売上減少が続く」

売上高は前年同月比17.1%の減。3か月先の業況見通しDIは▲12.5から0.0となった。

大部分の企業において前年同月の売上を下回っており、先行きが不透明で非常に厳しい状況が続いている。

梅雨の時期が長く、冷夏であることも影響して、夏物衣料の伸びは今ひとつである。石油製品等の価格上昇による消費マインドの低下を原因と見る企業も多い。

2 身回品

「低調に推移」

売上高は前年同月比7.6%の減。3か月先の業況見通しDIは▲14.3から▲71.4となった。

低温や日照不足の影響により、アウトドア関連商品や夏物商品を中心とした売り上げの落ち込みが顕著であり、総じて低調に推移している。

また、大型店や同業他社との競合などによる客の分散化が進んでいるほか、燃料高騰による仕入れ価格の上昇など、依然として厳しい状況が続いている。

3 飲食料品

 「競合店が増加し競争が激化」

 売上高は前年同月比0.2%の減。3か月先の業況見通しDIは▲9.1から▲27.3となっている。

 一部の企業では、客数、客単価共に前年を上回っているものの、多くの企業では競合店の増加による激しい価格競争や客数の減少、燃料価格の高騰による影響などにより、売り上げや利益が減少している。

 一方で、酒類関係では売上に伸びが見られたほか、今後、夏祭りやお中元の季節を迎えることから期待を寄せている企業も多い。

4 家電品

「薄型テレビが好調も、エアコン、冷蔵庫が不調」

売上高は前年同月比15.0%の増。3か月先の業況見通しDIは0.0で前月と同じである。

デジタル家電については、薄型テレビを中心として引き続き好調な動きが見られる。

主力のエアコンや扇風機、冷蔵庫については、低温が続いたため売れ行きが思わしくなかった。一方で、湿度が高かったため除湿器に動きが見られた。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル

「宿泊・宴会部門が概ね好調」

売上高は前年同月比1.3%の増。3か月先の業況見通しDIは、▲21.4から▲35.7となった。

婚礼部門は、一部好調な企業もあるものの、全体としては婚礼組数が減少傾向にあることなどから、低調に推移している。

宿泊部門では、団体客の利用の増加が見られたほか、宴会部門も概ね好調であった。

利益率の高い婚礼部門が依然として不振であるほか、燃料価格高騰の影響が大きく、各社とも利益の確保が難しい状況が続いている。

2 その他サービス

「堅調に推移」

売上高は前年同月比3.1%の減。3か月先の業況見通しDIは0.0で前月と同じである。

コンピューター関係では、ハードの売り上げが減少したものの利益率の高いソフト関連で受注が増加しており、また、取引先を拡大している企業もあるなど、今後も堅調に推移すると見られる。

運送部門では、旅客関係は対前年比売り上げが減少しているが、貨物関係は増加している。

飲食部門では、低調な推移となっている。

なお、燃料価格の高騰による経費の増加により利益が圧迫されている企業も多い。

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