平成19年2月5日

産業経済政策課

概況

県内経済は、一部に依然として厳しさが残るものの、全体としては引き続き回復の基調が続いている。

  • 製造業:電気機械を中心に多くの業種で力強い生産活動が続いている
  • 建設業:工事量が減少し受注競争が益々激化
  • 小売業:高価格帯商品に動きが見られるも、総じて低調な推移
  • サービス業:宿泊や旅客が不調も、運送や保険が好調
全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲10.2から▲14.2となり、現在の資金繰りは▲7.0から▲14.8、3か月先の業況見通しは▲29.9から▲17.4となっている。
製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比10.0%増、同14.4%増。3か月先の業況見通しDIは▲21.8から▲8.2となっている。主力の電気機械では旺盛な海外需要を背景に市場拡大が続いているほか、木材・木製品、鉄鋼・金属製品、一般機械、精密機械などにおいても生産額が前年同月を上回っており、力強い生産活動が続いている。
建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比26.9%増、同45.9%増となった。3か月先の業況見通しDIは▲56.3から▲50.0となった。一部企業で比較的規模の大きな工事を受注したことから受注額は増となっているが、公共工事の減少は依然として続いており、受注確保のための競争が益々激化する中で、利益確保が困難となっている。民間工事も1件当たりの金額が減少傾向にあるなど、業界全体として厳しい状況が続いている。なお、暖冬のため除雪コストが大きく削減できており、工事の進捗率及び利益率の改善に繋がっている。
小売業では、前年同月比の売上高で3.8%の減、3カ月先の業況見通しDIは、▲22.6で先月と同じである。家電品については、薄型テレビや携帯電話等に動きが見られたものの、温暖な天候が続いたため暖房機器の動きが鈍かった。また、衣料品においても防寒衣料の動きが鈍っているほか、身回品、食料品においては、競合店舗の進出による客足の分散化や客単価の低下などにより、厳しい状況が続いている。
サービス業では、売上高は前年同月比3.5%の減、3カ月先の業況見通しDIは▲52.2から▲21.7となった。旅館・ホテルにおいては、客数の減少や客単価の低下により、宿泊・婚礼・宴会ともに低調であった。また、旅客に関しても、客数の減少により厳しい状況が続いている。一方、運送や保険では、それぞれ貨物量の増加や住宅需要の増加などを背景に引き続き好調な動きが続いている。

製造業の動向

食料品

「高額商品が好調であるものの、多くの企業では苦戦が続く」
生産額は前年同月比3.7%の減、3か月先の業況見通しDIは▲42.9から▲28.6となった。
暖冬による季節商品への影響はあまり見られず、高価格帯の商品がよく売れている企業も見受けられる。しかし、多くの企業では前年同月比で生産額が減少を続けているほか、燃料価格高騰の影響による包装資材等の高止まりのため利益が圧迫されており、厳しい状況が続いている。
酒造では、県内需要が総じて低調に推移しているものの、県外需要が首都圏を中心に依然好調を維持しており、高額ギフトも好調であった。

繊維・衣服

 「不需要期を迎え受注減少」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比20.1%の減、同2.8%の減。3か月先の業況見通しDIは71.4から57.1となった。
暖冬の影響からか、全体的に冬物の追加注文等が少なかったことや、春物の受注との谷間の時期となったこともあり、前年同月を下回る生産額となった。
なお、各社では、スクールウエア等も含めた今後の春物の受注確保に期待を寄せている。

木材・木製品

 「合板や輸入材に品薄感」
 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比16.8%の増、同20.1%の増となった。3か月先の業況見通しDIは▲50.0から▲16.7となった。
 首都圏を中心とした建設需要が依然として伸び続けており、特に合板については、輸入量の減少や関税率の上昇に伴い国内産のニーズが増加していることなどにより、フル生産状態が続いている。
 なお、供給不足などにより資材単価に値上がりの傾向が見られるほか、公共事業の減少による影響を懸念する企業も見受けられるものの、引き続き県外向けの需要が見込まれることから、しばらくは好調な生産が続くものと思われる。

鉄鋼・金属製品 

 「企業により見方が分かれる」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比19.6%の増、同3.7%の増。3か月先の業況見通しDIは8.3から▲27.3となった。
総じて好調な生産が続いており、一部では増加する受注に対応するための雇用確保の動きも見られる。しかしながら、金属価格の高止まりや在庫調整の影響により、先行きを不安視する企業も見受けられるなど、生産品目により好不調の見方が分かれ始めている。

一般機械

「景気回復に伴い生産も好調な伸び」
 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比8.9%の増、同20.8%の増。3か月先の業況見通しDIは、▲12.5から▲25.0となった。
 首都圏における景気回復に伴い、受注残も多くフル生産が続いているほか、航空機関係においても好調な状態を維持しているなど、今後も堅調に推移するものと思われる。また、複数の企業で設備投資の動きがあり、企業が増産体制を整えている状況がうかがえる。
 鋼材などの原材料価格は依然として高値で安定しており、各社とも利益が圧迫される状況が続いているものの、中には価格転嫁により利益を確保している企業も見受けられる。

電気機械

 「旺盛な海外需要を背景に市場拡大が続く」
 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比13.7%の増、同17.9%の増。3か月先の業況見通しDIは▲33.3から5.0となった。
 主力のコンデンサを中心に、携帯電話、産業用機械、家電、車載用の部品などが旺盛な海外需要にも支えられ好調に推移している。
 一方、液晶関係では、海外企業との競争で苦戦を強いられており、今後も厳しい見通しとなっている。
 総じて堅調な生産活動が続いているが、品目の違いにより業況が分かれる結果となっている。

輸送機械

「取引メーカーにより業況が分かれる」
 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.5%の減、同4.0%の減となり、3か月先の業況見通しDIは▲16.7から0.0となった。
 軽自動車や海外向けの部品等が好調であり、関係企業では着実に生産額を増やしている。
 一方で、取引メーカーの不調により依然として生産額が前年同月を下回っている企業や系列により親会社以外からの受注を制限されている企業もあるなど、企業により業況が分かれる結果となっている。

精密機械

「光学部品や医療機器関連の生産が堅調に推移」
 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.7%の増、同12.6%の増。3か月先の業況見通しDIは▲57.1から▲14.3となった。
 光学ガラスについては、引き続き高操業が続いるほか、医療機器関連でも安定した生産が行われている。また、新商品の製造によりフル生産を続けている企業もあるなど、堅調な生産活動が続いている。
 一方、燃料価格、原材料価格が高止まりする中で、販売価格に転嫁できず利益確保が難しくなっている企業や、一部製品の生産拠点の海外移転を検討する企業も見受けられるなど、全体として好調を維持するも依然として厳しさが残っている状況である。

建設業の動向

 「業界全体として厳しい状況が続く」
受注額、完工高はそれぞれ前年同月比26.9%の増、同45.9%の増。3か月先の業況見通しDIは▲56.3から▲50.0となっている。
一部企業で比較的規模の大きな工事を受注したことから受注額は増となっているが、公共工事の減少は依然として続いており、受注確保のための競争が益々激化する中で、利益確保が困難となっている。民間工事も1件当たりの金額が減少傾向にあるなど、業界全体として厳しい状況が続いている。
なお、暖冬のため除雪コストが大きく削減できており、工事の進捗率及び利益率の改善に繋がっている。

小売業の動向

衣料品

「暖冬の影響で、防寒衣料の動きが鈍る」
売上高は前年同月比14.8%の減。3か月先の業況見通しDIは▲37.5で先月と同じである。
先月同様、例年よりも暖かい日が続いたことから、各社が期待する利幅の大きなコートなどの重衣料の動きについては鈍い状況である。このため、大部分の企業では依然として客単価が低いままであり、売上減少に歯止めが掛からない厳しい状況が続いている。

 身回品

 「季節商品に動きが出ず、苦戦」
売上高は前年同月比7.2%の減。3か月先の業況見通しDIは▲28.6で先月と同じである。
ホームセンターでは暖冬の影響からか、暖房機や除雪用品などに動きが見られず、結果として売上減の大きな要因の一つとなっている。
各社とも競合店の増加などにより、客足の分散化が続いており、売り上げが回復しない厳しい状況が続いている。

飲食料品

 「競合店が多く、激しい競争が続く」
 売上高は前年同月比2.7%の減。3か月先の業況見通しDIは▲8.3で先月と同じである。
 贈答品関係については、一部の高額商品を除いて総じて出足が悪く、伸び悩んでいる。
 競合店増加により、客足、客単価、売上の減少が続く中で競争はさらに激化しており、厳しい状況におかれている企業が多い。

家電品

「薄型テレビや携帯電話に動き」
売上高は前年同月比2.1%の減。3か月先の業況見通しDIは▲25.0で先月と同じである。
全体では、前年比で売り上げが若干の減となっているが、薄型テレビや携帯電話、新型ゲーム機などは好調である。
この時期主力の暖房機器については、温暖な日が続いたため動きが鈍く、客足は伸びているものの客単価は下がっている状況である。
客足の分散化や、競合店の増加に伴う激しい価格競争により、各社とも利益確保に苦心している。

サービス業の動向

旅館・ホテル

「苦しい状況が続く」
売上高は前年同月比8.5%の減。3か月先の業況見通しDIは、▲78.6から▲50.0となった。
宿泊部門では、都市部での競争激化による稼働率の低下が見られるほか、宿泊客が例年よりも落ち込む傾向も見られ、昨年の豪雪によるイメージダウンが一因と指摘する企業も見受けられる。
婚礼部門は依然として低調であるほか、宴会部門では、忘年会などの団体客の伸び悩みや、客単価が低下傾向にあることなど、総じて厳しい状況が続いている。

その他サービス

「旅客の不調が続く」
売上高は前年同月比1.8%の増。3か月先の業況見通しDIは▲11.1から22.2となった。
運送では、貨物関係が需要増加などにより売り上げを伸ばしており、燃料高騰にも一服感があるなど、見通しは明るいとしている。
保険関係は、積極的な店舗展開により新規顧客を獲得するなど好調を維持している。
一方、旅客等では厳しい状況が続いており、業種による差が見られるようになってきている。