県内経済動向調査(平成17年 6月分)
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産業経済政策課 平成17年8月3日
概況
県内経済は、総じて横ばいの中で推移しているが、一部業種で明るい兆しが見受けられる。
- 製造業:主力の電気機械においては、コンデンサー類等の在
庫調整の影響が残るものの、回復の兆しが見受けら
れる。また、鉄鋼・金属製品、一般機械は好調に推移して
いる。 - 建設業:受注額・完工高が減となっており、厳しい経営環境が続く。
- 小売業:家電分野を中心として、堅調に推移している。
- サービス業:好調さに陰りが見受けられる。
全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲4.3から▲7.8、現在の資金繰りは▲8.9から▲11.4、3か月先の業況見通しは5.2から▲1.2と悪化傾向を示している。
製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.9%減、同1.9%減。3か月先の業況見通しDIは12.2から11.6となった。製造業全体では前年同月比の生産額が5ヶ月連続の減少となっており、主力の電気機械においては引き続き在庫調整の影響が残っている。在庫が増加傾向となっている木材・木製品では、市場価格の下落が止まらず、先月に引き続き生産調整を行っているほか、食料品でも厳しい状況が続いている。
一方、鉄鋼・金属製品や一般機械では、原材料の高止まりの懸念材料が残るものの好調に推移している。また、輸送機械では、受注の端境期により一時的に前年同月比でマイナスとなっているが、全体としては好調さを維持している。
建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比13.0%減、同33.0%減。3か月先の業況見通しDIは3.4から▲6.7と悪化している。受注状況は各企業によってバラツキが見られるが、依然として厳しい経営環境が続いている。
小売業では、前年同月比の売上高で2.4%の減となっている。また、3か月先の業況見通しDIは▲7.5から▲20.8と悪化傾向を示しているが家電分野を中心として、堅調に推移しており今後の動向が期待される。
サービス業では、売上高は前年同月比1.0%増。3か月先の業況見通しDIは▲3.6から▲22.2となった。旅館・ホテルでは、婚礼シーズンであったにもかかわらず、婚礼数の減少や小規模化等の理由により婚礼部門が落ち込んでいる。
また、個人輸送や運送部門では、愛知万博や燃料の高止まりの影響により、好調な動きに陰りが見受けられる。
製造業の動向
1 食料品「酒造が低迷」
生産額は前年同月比4.1%の減。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲5.0となった。
酒造では、焼酎ブームなどによる日本酒離れの傾向が続き生産量の減となっている。
一部でお中元等の進物商戦が堅調に推移しているが、全体の回復には、まだ時間が掛かると見られる。
2 繊維・衣服「秋物の生産が始まる」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比9.2%の増、同5.9%の増。3か月先の業況見通しDIは▲6.7から7.1となっている。
自社ブランド製造が好調な企業も見受けられるが、全般としては低調な状況である。また、今年の夏物衣類では、メイン商品や新素材と呼ばれる新製品が少なかったことも一因であると考えられる。
各社では、秋物の製造が始まっているが、従来の「多品種・小ロット・短納期」や複雑な工程に傾向に変化はない。
3 木材・木製品「生産調整が続く」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.4%の減、同15.3%の減となり、4ヶ月連続で生産額・受注額の減額となった。3か月先の業況見通しDIは11.8から23.5となっている。
合板関係では、原材料が高止まりしているほか、市場価格の下落が続いていることから、今後も生産調整が続くと見られる。
県内の新規住宅着工(4月~5月)は、雪解けが遅かったことなどから前年度より落ち込んでいるが、各企業では今後の推移に期待感を寄せている。
4 鉄鋼・金属製品 「鋼材に高止まりが見られる」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比16.2%の増、同10.0%の減。3か月先の業況見通しDIはから13.3から12.5となった。
公共事業関連を除く鉄鋼、建具、金属各社では、新たな受注先を開拓するなど活発な動きが見受けれらる。
鋼材をはじめとする金属価格、燃料価格が依然として高止まりしていることや受注月にばらつきが見受けられるが、堅調に推移している。
5 一般機械「安定感が見受けられる」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比10.0%の増、同9.8%の増。3か月先の業況見通しDIは27.3から0.0となった。
産業用機械を中心として好調に推移しており、安定感が見受けられる。一部では、鋼材に品薄感が見られるが、これ以外の懸念材料が見受けられないことから、しばらくはこのままの基調が続くと見られる。
6 電気機械「回復の兆しが見受けられる」
生産額、受注額は、それぞれ前年同月比2.0%の減、同0.2%の減。3か月先の業況見通しDIは31.0から24.1となった。
主力のコンデンサー類は、市場価格の低迷や需要の冷え込みの影響から、依然として在庫調整が続いており、単価引き下げによる影響も加わり生産額及び受注額ベースで9ヶ月連続して前年同月を下回っている。
携帯電話関連の液晶や部品では、今後徐々に増産体制に入ることから、明るい兆しが見受けられる。
全体としては、国内外市場の需要が伸び悩んでいるものの、各企業においては、徐々に生産額が上がってきており、本格的な回復に向けて、着実に推移していると言える。
7 輸送機械「生産の端境期による一時的なマイナス」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.9%の減、同1.9%の増。3か月先の業況見通しDIは14.3から28.6となっている。
全体としては、生産額がマイナスとなっているものの、一部企業で受注の端境期により一時的に前年同月比でマイナスとなっていることが影響しており、全体としては堅調に推移していると言える。今後の懸念材料としては、原材料の値上がりや製造部品の車種の売上げ動向が挙げられる。
8 精密機械「医療機器関連が堅調」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4.9%の増、同5.7%の減。3か月先の業況見通しDIは20.8から4.2となった。
医療機器関連は依然として堅調に推移しているものの、受注に関しては一段落した状況と言える。
計量器関係や光学レンズなどは、需要の伸び悩みによる生産調整、石油製品の値上がりや納品単価引き下げ要求等により、厳しい状況が続いている。
建設業の動向
「厳しい状況が続く」
受注額、完工高はそれぞれ前年同月比13.0%の減、同33.0%の減。3か月先の業況見通しDIは3.4から▲6.7となった。
公共事業の減少により各企業とも厳しい経営環境が続いている。
また、主として民間工事を受注している企業では、比較的受注を確保出来ていると言えるものの反面では、激しい受注競争を強いられており利益は圧迫されている。
今後もこの傾向は変わらないと推測されることから動向を見守る必要がある。
小売業の動向
1 衣料品「特売効果が現れている」
売上高は前年同月比5.8%の増。3か月先の業況見通しDIは▲21.4から▲14.3となっている。
依然として厳しい状況に変わりはないが、各企業ともセール等の販売強化を行っていることなどから、夏物を中心として、徐々に動きが見受けられるようになっている。
夏物衣料は、購買単価が下がる傾向が見られることから、夏場にかけて販売の強化が求められている。
2 身回品「堅調に推移」
売上高は前年同月比0.3%の減。3か月先の業況見通しDIは▲15.4から▲16.7となった。
時計などに高額品の動きが見られたものの、全体的には幅広感が見られず厳しい状況が続いている。
ホームセンターでは、園芸肥料や扇風機等の季節商品などで幾分動きが見受けられるものの、手応えは今ひとつである。
3 飲食料品「酒造販売が低調」
売上高は前年同月比3.6%の減。3か月先の業況見通しDIは▲5.9から▲33.3となった。
特に、農産物は、豊作による価格低下が大きく影響している。
酒類販売では、季節柄ビールの需要が上がる時期であるが、今ひとつ売上に結びついていないことから、ホテル・飲食店関係の低迷と共に売上に影響を及ぼしている。
4 家電品「白物家電に動き」
売上高は前年同月比2.6%の増。3か月先の業況見通しDIは▲12.5から▲11.1となった。
液晶テレビやプラズマテレビに加えて、大型冷蔵庫などの白物家電に動きが出始めている。季節的商品であるエアコンの売上については、地域等により動向が異なっているが、家電品全体が3ヶ月連続で前年同月比を上回っていることから、夏に向けて全体的な底上げが期待されている。
サービス業の動向
1 旅館・ホテル「婚礼部門が落ち込む」
売上高は前年同月比4.8%の減。3か月先の業況見通しDIは、▲28.6となっている。
ホテルでは、婚礼シーズンであったものの、婚礼数の減少や小規模化の影響により期待されていたほどの売上には結びついていない。
一方、天候に恵まれたビアガーデンは、徐々に売上を伸ばしており、各企業は今後の天候と共に期待を寄せている。
2 その他サービス「好調さが鈍る」
売上高は前年同月比6.5%の増。3か月先の業況見通しDIは▲7.7から▲15.4となった。
一部コンピュータ関連企業では、公共関係の大型受注があったことから、業績を伸ばしている。 一方、個人輸送や運送部門では、首都圏からの観光客が今年は愛知万博等の理由からか若干伸び悩んでおり、燃料の高止まりも相まって、売上が落ち始めている。