平成19年1月15日 産業経済政策課

概況

県内経済は、一部に依然として厳しさが残るものの、全体としては引き続き回復の基調が続いている。

  • 製造業:電気機械を中心に多くの業種で力強い生産活動が続いている
  • 建設業:工事量が減少し受注競争が益々激化
  • 小売業:高価格帯商品に動きが見られるも、総じて低調な推移
  • サービス業:ソフトウエアや保険関連が好調

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲0.6から▲10.2となり、現在の資金繰りは▲6.4から▲7.0、3か月先の業況見通しは▲25.2から▲29.9となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.5%増、同7.9%増。3か月先の業況見通しDIは▲24.7から▲21.8となっている。主力の電気機械では旺盛な海外需要を背景に市場拡大が続いているほか、木材・木製品、鉄鋼・金属製品、一般機械などにおいても生産額が前年同月を上回るなど、引き続き力強い生産活動が続いている。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比24.5%減、同0.5%増となった。3か月先の業況見通しDIは▲62.5から▲56.3となった。公共工事の減少は依然として続いており、受注確保のための競争が益々激化する中で、燃料や資材も高騰しているなど利益確保が困難となっている企業も多い。また、民間工事も1件当たりの金額が減少傾向にあるなど、業界全体として厳しい状況が続いている。今後、冬季にかけて公共事業が益々少なくなることから、企業間格差はさらに拡大すると見られる。

小売業では、前年同月比の売上高で3.0%の減、3カ月先の業況見通しDIは、0.0から▲78.6となっている。家電品については、温暖な天候が続いたため暖房機器の動きが鈍いものの、薄型テレビや高額な白物家電に動きが見られた。衣料品や身回品、食料品においては、競合店舗の進出による客足の分散化や客単価の低下などにより、総じて低調な推移が続いている。また、燃料や包装資材の高騰も相まって、各企業では厳しい経営が続いている。

サービス業では、売上高は前年同月比2.2%の増、3カ月先の業況見通しDIは▲34.8から▲52.2となった。婚礼部門は件数の減少に加え、単価の下落傾向が止まらず、依然として低調である。一方、コンピュータ関連はソフトウェアを中心に好調に推移しているほか、保険関連でも引き続き好調な動きが続いている。

製造業の動向

1 食料品

「一部に回復感も、多くの企業で苦戦が続く」

生産額は前年同月比6.4%の減、3か月先の業況見通しDIは▲42.9で先月と同じである。

新規取引先の開拓で生産額が伸びている企業や利益率の高い商品の生産が伸びている企業がある一方、多くの企業では前年同月比で生産額が減少しているほか、燃料価格高騰の影響による包装資材等の値上がりのため利益が圧迫されており、厳しい状況が続いている。

酒造では、首都圏需要に引き続き動きが見られ、中でも特定名称酒の売れ行きが良く、ギフト関係も概ね好調であった。一方、県内需要は引き続き低調であり、首都圏にマーケットを持っている企業では回復傾向が見られるものの、業界全体は依然として低迷が続いている。

2 繊維・衣服

「不需要期を迎え受注減少」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比9.2%の減、同0.9%の増。3か月先の業況見通しDIは28.6から71.4となった。

例年はコートなどの重衣料生産が最盛期の時期であるが、全体的に秋冬物の発注量が少なく、春物の受注との谷間の時期となったこともあり、前年同月を下回る生産額となった。

一方で、安定した品質を求めて生産の国内回帰の動きが見られるなど、徐々に受注が改善している企業も見受けられる。

各社とも、今後の春物の受注確保に期待を寄せている。

3 木材・木製品

「合板や輸入材に品薄感」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比16.1%の増、同23.7%の増となった。3か月先の業況見通しDIは▲33.3から▲50.0となった。

 首都圏を中心とした住宅需要が依然として伸び続けており、特に合板については、輸入量の減少や関税率の上昇に伴い国内産のニーズが増加するなどにより、フル生産状態が続いている。

 一般製材等についても、同様に県外向けの出荷が好調であるものの、供給不足などによる資材単価の値上がりも見受けられる。また、公共事業の減少による影響を懸念する企業も見受けられる。

4 鉄鋼・金属製品 

「家電、携帯電話、半導体関連が好調」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比17.8%の増、同21.2%の増。3か月先の業況見通しDIは▲27.3から8.3となった。

一部に在庫調整や取引メーカーの内製化の影響が見られるものの、家電や携帯電話、半導体関連製品については好調な生産が続いているほか、建具関係も首都圏等の建築需要に支えられ順調に推移しているなど、総じて好調な状況が続いている。

また、増加する受注に対応するための設備投資も行われており、今後も好調な生産活動が続いていくものと思われる。

5 一般機械

「景気回復に伴い生産も好調な伸び」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比30.9%の増、同20.6%の増。3か月先の業況見通しDIは、0.0から▲12.5となった。

 首都圏における景気回復に伴い、工場設備関係企業では受注残も多くフル生産が続いているほか、航空機関系においても好調な状態を維持しているなど、今後も堅調に推移するものと思われる。

 鋼材などの原材料価格は依然として高値で安定しており、各社とも利益が圧迫される状況が続いているものの、中には価格転嫁により利益を確保している企業も見受けられる。

6 電気機械

「旺盛な海外需要を背景に市場拡大が続く」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比6.2%の増、同5.5%の増。3か月先の業況見通しDIは▲33.3と先月と同じである。

 主力のコンデンサを中心に、携帯電話、産業用機械、家電、車載用の部品などが旺盛な海外需要にも支えられ好調に推移している。

 一方、液晶関係では堅調な生産が続いているものの、依然として競争は激しく、今後の受注調整も見込まれている。

 総じて堅調な生産活動が続いているが、品目の違いにより業況が分かれる結果となっている。

7 輸送機械

「取引メーカーにより業況が分かれるも、順調な生産が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4.0%の増、同2.3%の増となり、3か月先の業況見通しDIは▲33.3から▲16.7となった。

 着実に生産額を増やしている企業や生産調整が終わりつつある企業もある中で、取引メーカーの不調により依然として生産額が前年同月を下回っている企業、系列により親会社以外からの受注を制限されている企業など、今後の推移については不透明とする企業も見受けられる。

 しかし、全体としては生産額が5ヶ月連続で前年同月比増となるなど、順調な生産活動が続いていることに変わりはない。

8 精密機械

「光学部品や医療機器関連の生産が好調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.3%の増、同8.6%の増。3か月先の業況見通しDIは▲14.3から▲57.1となった。

 光学ガラスについては、引き続き高操業が続いるほか、医療機器関連でも安定した生産が行われている。また、新商品の製造によりフル生産を続けている企業もあるなど、堅調な生産活動が続いている。

 一方、燃料価格、原材料価格が高止まりする中で、販売価格に転嫁できず利益確保が難しくなっている企業や、一部製品の生産拠点の海外移転を検討する企業も見受けられるなど、好調を維持するも依然として厳しさが残っている状況である。

建設業の動向

「業界全体として厳しい状況が続く」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比24.5%の減、同0.5%の増。3か月先の業況見通しDIは▲62.5から▲56.3となっている。

公共工事の減少は依然として続いており、受注確保のための競争が益々激化する中で、利益確保が困難となっている企業も多い。民間工事も1件当たりの金額が減少傾向にあるなど、業界全体として厳しい状況が続いている。

また、資材価格の高止まりの影響で利益率が悪化しているほか、型枠等の合板が不足しており、工事に支障を来している状況も見受けられる。

今後、冬季にかけて公共事業が益々少なくなることから、企業間格差はさらに拡大すると見られる。

小売業の動向

1 衣料品

「一部に回復感も厳しい状況が続く」

売上高は前年同月比11.7%の減。3か月先の業況見通しDIは12.5から▲37.5となった。

先月同様、例年よりも暖かい日が続いたことから、各社が期待する利幅の大きなコートなどの重衣料の動きは鈍かった。

一部の企業では、高価格帯商品の売り上げが好調で客足も戻りつつあるなど、消費者の景況感が好転してきていると感じているものの、大部分の企業では依然として売上減少に歯止めが掛からない厳しい状況が続いている。

2 身回品

「競合店増加により客足の分散化が続く」

売上高は前年同月比1.6%の減。3か月先の業況見通しDIは▲28.6で先月と同じである。

昨年の大雪の影響からか、ホームセンターでは除雪用品に比較的動きがあったほか、合板については、品薄感による値上がりがある中でも売れ行きが良かった。

一方で、温暖な天候が続いているため、主力商品である冬物の今後の売れ行きが懸念されている。

各社とも競合店の増加などにより、客足の分散化が続いており、売り上げが回復しない厳しい状況が続いている。

3 飲食料品

「競合店が多く、激しい競争が続く」

 売上高は前年同月比2.0%の減。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲8.3となっている。

 贈答品関係については、酒類に関しては高いものでも動きが見られ好調であったが、総じて出足が悪く伸び悩んだ。

 競合店増加により、客足、客単価、売上の減少が続く中で競争はさらに激化しており、厳しい状況におかれている企業が多い。

4 家電品

「薄型テレビや携帯電話、高額商品に動き」

売上高は前年同月比6.6%の減。3か月先の業況見通しDIは25.0から▲25.0となった。

薄型テレビや携帯電話、新型ゲーム機などは好調であるが、パソコンは新OSの発売を前に買い控えの傾向が見られた。

この時期主力の暖房機器については、温暖な日が続いたため動きが鈍かったが、白物家電、特に高額商品の売れ行きが良く、一部で景気回復感がうかがえる状況となっている。

しかしながら、客足の分散化や、競合店の増加に伴う激しい価格競争により、各社とも利益確保に苦心している。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル

「婚礼部門が引き続き不調」

売上高は前年同月比1.3%の減。3か月先の業況見通しDIは、▲50.0から▲78.6となった。

主力の婚礼部門では、依然として婚礼組数が減少しており、客単価も低下傾向にあるなど、厳しい状況が続いている。

宿泊部門では、競争が激化している都市部においてビジネス利用での宿泊が比較的好調だったが、観光客を主要ターゲットとする宿泊施設では、紅葉が早く終わった影響などにより伸び悩みが見られた。

また、宴会部門では企業により業況が分かれる結果となった。

2 その他サービス

「旅客が不調も総じて好調に推移」

売上高は前年同月比6.7%の増。3か月先の業況見通しDIは▲11.1で先月と同じである。

コンピューター関連では、ソフトウェア部分でフル稼働が続く企業もあるなど、概ね好調に推移している。

運送では、貨物関係が需要増加などにより売り上げを伸ばしており、燃料高騰にも一服感があるなど、見通しは明るいとしているが、依然として旅客関係が低迷している状況である。

保険関係は積極的な店舗展開により新規顧客を獲得するなど好調を維持している。

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