平成19年6月11日

産業経済政策課

概 況

県内経済は、一部に依然として厳しさが残り、電気機械においては一服感があるものの、全体としては引き続き回復の基調が続いている。

  • 製造業 :一部に製品単価の下落や原材料価格高騰の影響が見られるものの、概ね堅調な生産活動が続いている
  • 建設業 :工事量が減少し厳しい状況が続いている
  • 小売業 :飲食料品・家電品以外は、天候不順により総じて低調
  • サービス業 :運送やソフトウエアが堅調

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲14.2から▲3.3となり、現在の資金繰りは▲8.4から▲4.6、3か月先の業況見通しは▲11.6から▲5.3となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.5%増、同2.2%増。3か月先の業況見通しDIは▲7.0から0.0となっている。主力の電気機械は、全体としては堅調に推移しているが、生産品目により価格競争や原材料価格高騰による影響が見られる。木材・木製品、精密機械、輸送機械などにおいて生産額が前年同月を上回っており、総じて好調な生産活動が続いている。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比40.7%減、同60.4%増となった。3か月先の業況見通しDIは▲26.7から▲43.8となっている。公共工事の減少は依然として続いており、受注確保のための競争が益々激化する中で、各社とも利益確保が困難となっている。

小売業では、前年同月比の売上高で7.2%増、3カ月先の業況見通しDIは▲25.8から▲10.3となった。飲食料品、家電品は堅調な推移を示している一方、衣料品、身回品では、天候不順により不調であるほか、競合店との価格競争なども相まって厳しい状況が続いている。

サービス業では、売上高は前年同月比3.4%減、3カ月先の業況見通しDIは0.0から8.3となった。旅館・ホテルにおいては、宿泊客数や婚礼組数の減少により厳しい状況となっているが、企画・集客力によって客数に差が出る状況となっている。一方、運送やソフトウェア関係は引き続き堅調に推移している。

製造業の動向

  1. 食料品
    • 「多くの企業で苦戦が続く」
    • 生産額は前年同月比8.9%減、3か月先の業況見通しDIは▲38.5となっている。
    • 首都圏や関西との取引がある一部の企業を除き、多くの企業では前年同月比で生産額の減少が続いており、依然として厳しい状況である。
    • 酒造では、一部の酒造メーカーにおいて、焼酎ブームの後退などにより、酒類間競争においても復調傾向が読み取れるとの見方があり、今後の推移に期待を寄せている。
  2. 繊維・衣服
    • 「生産額が低迷」
    • 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.5%減、同1.9%減。3か月先の業況見通しDIは▲42.9から▲28.6となった。
    • 一部の企業では、夏物の生産が最盛期を迎えたことや、生産性が向上したことにより、売上を確保しているが、全体の生産額は対前年同月比で6ヶ月連続で減となっており、業界全体として生産額が低迷している。
    • 最近の傾向として、中国での生産では時間が掛かるため、流行へ対応できるよう、納品まで短期間の発注が突発的に入ることが多く、厳しい状態である。
  3. 木材・木製品
    • 「旺盛な首都圏需要に牽引され、好調な生産」
    •  生産額、受注額はそれぞれ前年同月比17.8%増、同25.7%増となった。3か月先の業況見通しDIは33.3から18.2となった。
    • 引き続き首都圏を中心としたマンション建設の需要が高いことにより、合板や板材などで好調な生産活動が続いている。また、外国産材の輸入量減少により原材料が不足しており、輸入材、国産材とも資材単価が上がり続けていている状況である。これに伴い、製品価格を値上げすることで利益を確保している企業も見受けられるが、利益率が圧迫されている企業もあり、各社の対応により業況が分かれる状況となっている。。
    • 今後も旺盛な県外需要を中心に、県内でも住宅建設が上向く時期に入ることから、好調な生産が続くものと思われる。
  4. 鉄鋼・金属製品 
    • 「原材料価格が高止まりを続けているが、今後は堅調に推移」
    • 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.1%増、同5.5%増。3か月先の業況見通しDIは▲9.1から9.1となった。
    • 引き続き原材料価格が高止まりを続けており、一部企業では全てを価格に転嫁できていないため、利益が圧迫されている。
    • 電子部品関係の企業では、今後も計画的な受注が見込まれており、全体としても取引先メーカーが決算期における在庫調整を終えたことにより、堅調に推移していくと思われる。
  5. 一般機械
    • 「生産品目により業況にバラツキが出る」
    • 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.7%減、同0.0%。3か月先の業況見通しDIは▲12.5から0.0となった。
    • 好業績を上げている企業の設備投資により、フル生産が続いている企業がある中で、原材料の高騰により利益が圧迫されている企業や大量の在庫を抱え、在庫処理に追われている企業もあるなど、生産品目により業況のバラツキが出ている。
    • なお、今月は特定の企業で大幅にマイナスとなったが、今後の受注については総じて好調であり、複数の企業で設備投資を計画するなど、増産体制を整えている状況である。
  6. 電気機械
    • 「堅調な生産が続くも、生産品目により好不調が分かれる」
    • 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比▲1.4、同▲2.8%。3か月先の業況見通しDIは0.0から22.2となった。
    • 主力のコンデンサを中心に、産業用機械、家電などが引き続き好調を維持しているが、光ファイバーや光学機器、液晶を中心に、価格競争や生産拠点の移転などのため大きく落ち込んだことにより、全体の生産額は前年同月比減で推移し、一服感が見受けられる。
    • 生産量自体は増加傾向にあり、複数の企業で設備投資を計画するなど、総じて堅調な生産活動が続いているが、生産品目の違いにより業況が分かれる結果となっている。
  7. 7 輸送機械
    • 「取引メーカーにより業況が分かれる」
    • 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.5%増、同3.9%増となり、3か月先の業況見通しDIは16.7から0.0となった。
    • 国内需要は不振が続き、加えて例年落ち込む時期ではあるが、強い海外需要に牽引され、関係企業では好調な生産活動が続いているが、取引メーカーにより業況が分かれる結果となっている。
  8. 8 精密機械
    • 「光学部品や医療機器関連の生産が堅調に推移」
    • 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.2%増、同4.2%増。3か月先の業況見通しDIは▲14.3から0.0となっている。
    • 光学ガラスについては、デジタルカメラ関係部品の受注が好調なことから引き続き高操業が続いているほか、医療機器関連でも安定した生産が行われている。
    • 取引先メーカーの海外での事業展開による影響を受けている企業や原材料価格の高騰など、不安要素も見受けられるが、全体としては堅調な生産活動が続くと見られる。

建設業の動向

  • 「業界全体として厳しい状況が続いている」
  • 受注額、完工高はそれぞれ前年同月比40.7%減、同60.4%増。3か月先の業況見通しDIは▲26.7から▲43.8%となった。
  • 公共工事の減少は依然として続いているため、各社とも民間工事が中心となり、受注額は前年同月比で大きくマイナスとなった。
  • 受注確保のための競争が益々激化する中で、各社とも利益確保が困難となり、民間工事についても1件当たりの金額が減少傾向にあるなど、業界全体として厳しい状況が続いており、異業種への事業転換を検討する企業も出てきている。
  • なお、完工高が前年同月比60.4%と大幅に増加しているが、これは前年同月の完工高が低かったことと大口契約の完成分による。

小売業の動向

  1. 衣料品
    • 「天候不順による影響で春夏物が不調」
    • 売上高は前年同月比12.4%減。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲33.3となった。
    • 前半は、新学期の学販や贈答品が堅調だったが、天候不順のため肌寒い日が多く、全体的に春夏物が不調となり、売上が落ち込んでいる。
    • 競合店との競争が激しく、客足及び客単価の減少に伴い、不採算店舗を複数閉店する企業も見受けられるなど、依然として厳しい状況が続いている。
  2. 身回品
    • 「企業によって天候に左右」
    • 売上高は前年同月比2.8%減。3か月先の業況見通しDIは▲42.9と変わらない。
    • 園芸用品や農作業用品などの季節商品において、企業によって、売上が天候に左右される結果となった。
    • 各社ともキャンペーンなどで売上を確保しようと苦心しているが、なかなか回復しない厳しい状況が続いている。
  3. 飲食料品
    • 「依然として厳しい状況にあり、今後に期待」
    • 売上高は前年同月比9.5%増。3か月先の業況見通しDIは▲33.3から8.3となった。
    • 輸入果実類では、ハリケーンや転作などの影響による価格上昇が落ち着き、売上が増加しているほか、選挙や歓迎会、春の行楽などで酒類販売でも売上が増えている。
    • 商品によっては、仕入れ値の上昇により利益が圧迫されるなか、セールなどにより売上を伸ばしている企業もある。売上額は前年同月比でプラスとなっているが、全体としては厳しい状況が続いており、各社とも今後夏場に向けて売上が増えることに期待している。
  4. 家電品
    • 「薄型テレビ、パソコンなどを中心に回復の兆しが見受けられる」
    • 売上高は前年同月比7.1%増。3か月先の業況見通しDIは▲25.0から25.0となった。
    • 薄型テレビやパソコン、洗濯機などで好調を維持している。なお、平成9年の消費税増税時に購入された製品が買い換え時期になっているため、各企業では今後、冷蔵庫、エアコン、洗濯機の売上増加を期待している。
    • デジタル家電の価格下落により、各社とも利益確保に苦心している。

サービス業の動向

  1. 旅館・ホテル
    • 「厳しい状況が続くも、企画力・集客力で差が出る」
    • 売上高は前年同月比4.5%減。3か月先の業況見通しDIは、▲7.7から0.0となった。
    • 宿泊部門では、宿泊客数の減少により、稼働率が低下しているなか、思い切ったプラン変更による値下げや観光協会とタイアップしたキャンペーンにより客足が回復した企業も見受けられ、企業の企画力・集客力によって業績に差が出る結果となっている。なお、利幅の大きい婚礼部門は依然として低調であるほか、宴会等の小規模化などにより、厳しい状況におかれている企業が多い。
  2. その他サービス
    • 「貨物、ソフトウェアが堅調に推移」
    • 売上高は前年同月比2.4%減。3か月先の業況見通しDIは0.0から20.0となった。
    • 運送では、燃料費が依然として高い水準にあり利益が圧迫されているほか、旅客関係では、客数の減少など、厳しい状況が続いている。しかし、貨物においては、流通量が増加しており、景気回復の兆しではとの見方もある。
    • ソフトウェア関係では、納期の谷間に入り、前年同月比大幅減となる企業があったため、全体ではマイナスとなったが、首都圏からの大きな案件などにより、引き続き好調に推移している。。

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