平成19年9月7日

産業経済政策課

概況

県内経済は、全体としては引き続き回復基調であると考えられるが、一部業種では依然として厳しさが残り、また電気機械などにおいても一服感が広がっている。

  • 製造業
    概ね堅調な生産活動が続くも、原材料価格の高騰や製品単価の低下により利益が圧迫されている
  • 建設業
    業界全体として厳しい状況が続いている
  • 小売業
    低温により夏物商品が低調
  • サービス業
    保険、DTP、ソフトウェアが好調

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は0.6から12.3となり、現在の資金繰りは▲10.3から▲9.7、3か月先の業況見通しは0.0から▲5.8となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.1%減、同3.4%減。3か月先の業況見通しDIは12.8から0.0となっている。主力の電気機械は、全体としては概ね堅調に推移し、コンデンサを中心に高操業が続いている一方、携帯電話向け部品では、一部で持ち直しているものの厳しい状況が続いているなど、生産品目により業況が分かれる結果となっている。木材・木製品においては、市況の動きが大幅に鈍化しているため増産ペースを抑制しており、今後についても不透明感が漂い始めている。総じて概ね堅調な生産活動が続いているものの、原材料価格の高騰や製品単価の低下により利益が圧迫されている。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比25.5%減、同6.5%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲31.3から▲50.0となっている。公共工事の減少や入札要件の厳格化により、受注確保のための競争が益々激化するなかで、燃料費の高騰によるコスト増など、各社とも利益確保が困難となっている。民間工事についても小口工事が多く、業界全体として厳しい状況が続いている。

小売業では、売上高は前年同月比で5.5%増、3カ月先の業況見通しDIは▲13.3から▲24.1となった。家電品では、携帯電話やゲーム関係が堅調だったが、低温によりエアコンなどの季節商品が伸び悩んだ。また、地上デジタル放送開始を控えた地域を除き、薄型テレビを始めとするデジタル家電が低調に推移したほか、ボーナス商戦に活況がみられなかった。衣料品、身回品、飲食料品では、低温の影響により総じて夏物商品の販売が不振だったほか、贈答品の購入単価が低下している。

サービス業では、売上高は前年同月比2.1%減、3カ月先の業況見通しDIは▲8.3から25.0となった。旅館・ホテルにおいては、宿泊部門で一部堅調な企業があるものの、新規ホテルの開業や新潟県中越沖地震の影響による大口顧客のキャンセルなど総じて厳しい状況が続いている。一方、保険、DTP、ソフトウェアは好調に推移している。

製造業の動向

1 食料品「低温の影響により総じて低調」

生産額は前年同月比4.6%減、3か月先の業況見通しDIは7.1と変わらない。

商品別ではスープ、ジュース類が堅調だったが、低温の影響や、贈答品需要が盛り上がりに欠けたことにより総じて低調だった。各社とも原油、原材料の値上がり分を価格に転嫁できず、利益が圧迫され厳しい状況が続いている。

酒造では、県内向けのレギュラー酒を中心に依然として低調に推移しているが、一部企業では季節商品が消費者に好評だったため、今後の売上増に期待している。

2 繊維・衣服「秋冬物の受注が堅調」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比9.1%増、同12.5%増。3か月先の業況見通しDIは42.9から14.3となった。

一部企業で追加受注があったほか、秋冬物の受注が堅調なことから、やや持ち直しの動きがみられるが、原材料価格の値上がりの影響により利益を圧迫されている企業もあるなど、厳しい状況が続いている。

短期間での仕上がりが求められる傾向や、時間と労力の関係で受注が困難な案件があり、各社とも対応に苦慮している。

3 木材・木製品「概ね堅調な生産が続くも、市況に鈍めの動き」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比8.3%増、同7.2%増となった。3か月先の業況見通しDIは16.7から▲8.3となった。

引き続き首都圏需要が高いことにより、合板や一般材で概ね堅調な生産活動が続いているものの、市況の動きが大幅に鈍化しているため増産ペースを抑制している。原材料価格の高騰や関税引き上げも相まって、先行きについても不透明感が漂い始めている。

県内需要については、暖冬により住宅着工が早まったことや、耐震偽装問題の影響で建築確認に時間がかかっていることなどから住宅着工が低迷しており、厳しい状況が続いている。

4 鉄鋼・金属製品「電気機械関連が好調」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比15.3%増、同3.3%増。3か月先の業況見通しDIは8.3から▲8.3となった。

電気機械関連が好調なほか、輸送機械部品や産業機械関連でも安定した生産活動が続いている。フル操業の企業も見受けられ、今後の受注についても堅調に推移していくものと思われる。しかし、一方で依然として原材料価格が高騰を続けており、利益が圧迫されている。

5 一般機械「一般産業向けや輸送機械関連が好調」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.2%減、同12.0%減。3か月先の業況見通しDIは28.6から▲14.3となった。

公共工事関連が低迷しているほか、一部企業で生産時期の違いによる影響があったため生産額は前年同月比減となったが、一般産業向けや輸送機器関連が高操業を続けており、総じて好調に推移している。

受注額を半年分以上確保している企業もあるなど、今後も安定した生産活動が見込まれる。

6 電気機械「生産品目により業況が分かれる」

生産額、受注額は、それぞれ前年同月比6.6%減、同8.5%減。3か月先の業況見通しDIは28.6から▲10.3となった。

全体としては引き続き堅調に推移しており、主力のコンデンサを中心に、プリント配線板、光学部品、プリンタ部品で高操業が続いているほか、半導体関連でも堅調に推移している。携帯電話向け部品では、好調な企業も見受けられるが一部で厳しい状況が続いている。

総じて生産量自体は増加傾向にあり、今後も堅調な生産活動が続くものと思われる。

7 輸送機械「生産品目、取引先メーカーにより業況が分かれる」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.3%増、同3.5%増。3か月先の業況見通しDIは14.3と変わらない。

新潟県中越沖地震により連鎖的に生産停止を余儀なくされた企業も数社見受けられるが、大きな影響はなく、引き続き多くの企業で好調な生産活動が続いている一方、生産額が伸び悩む企業も見受けられ、生産品目や取引先メーカーにより業況が分かれる状況となっている。

8 精密機械「光学部品や医療機器関連が堅調」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.0%増、同11.3%増。3か月先の業況見通しDIは25.0と変わらない。

光学部品では、大手取引先メーカーの海外展開の影響を受けている企業もあるが、他のメーカーの受注が増加傾向にあるほか、デジタルカメラ関連で引き続き高操業を続けているなど、総じて好調に推移している。また、医療機器関連も引き続き安定しているほか、光ファイバー関連でも海外需要によりやや持ち直しの動きがみられる。

原材料価格高騰や部品納入条件の厳格化など、利益確保の面において厳しさが残るが、今後も安定した生産活動が見込まれる。

建設業の動向

「業界全体として厳しい状況が続いている」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比25.5%減、同6.5%減。3か月先の業況見通しDIは▲31.3から▲50.0となった。

公共工事の減少や入札要件の厳格化、低価格入札の常態化により、受注確保のための競争が益々激化するなか、燃料費の高騰によるコスト増など各社とも利益確保が困難となっている。民間工事についても小口工事が多く、業界全体で依然として厳しい状況が続いてる。

小売業の動向

1 衣料品「低温により夏物衣料が低調」

売上高は前年同月比11.8%減。3か月先の業況見通しDIは▲28.6から▲42.9となった。

例年よりセール品の販売が好調な企業も見受けられるが、低温が続いたことにより総じて夏物衣料が低調だった。

不採算店舗を閉店させる企業もあり、各社とも厳しい経営環境に置かれている。

2 身回品「低温により夏物商品が伸び悩み」

売上高は前年同月比7.1%減。3か月先の業況見通しDIは▲28.6と変わらない。

ホームセンターで低温によりエアコンなどの夏物商品が伸び悩んだほか、公共工事の減少により建設業者向けの資材も低調だった。時計・眼鏡などでもボーナス商戦に動きが見られなかった。

競合店の増加により客足が分散しており、各社とも売上確保に苦心している。

3 飲食料品「夏物商品や贈答品が伸び悩み」

売上高は前年同月比9.7%増。3か月先の業況見通しDIは▲8.3から▲27.3となった。

一部企業で生鮮品が好調だったが、低温が続いたため、総じて夏物商品が伸び悩んだ。酒類販売についても低調だったほか、贈答品についても購入単価の低下など盛り上がりに欠けた。

売上高は前年同月比増となったが、消費を抑える傾向が窺えるなど弱含みとなっている。

4 家電品「ボーナス商戦が苦戦」

売上高は前年同月比19.4%減。3か月先の業況見通しDIは25.0と変わらない。

携帯電話やゲーム関連が概ね堅調だったが、低温の影響によりエアコンや冷蔵庫が伸び悩んだ。地上デジタル放送を間近に控えた地域では薄型テレビの販売が好調だったが、その他の地域では買い控え傾向にあり、総じて低調だった。

前月からのボーナス商戦に活況がなく、このところ弱含みで推移している。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル「一部で宿泊部門が堅調なものの、厳しい状況が続く」

売上高は前年同月比14.5%減。3か月先の業況見通しDIは、▲7.1から21.4となった。

宿泊部門では、団体客の利用により堅調な企業もあるなか、新規ホテルの開業、客単価の低下、新潟県中越沖地震の影響による大口顧客のキャンセルなどにより苦戦する企業も多い。

利幅の大きい婚礼部門では、競争の激化や婚礼組数の減少により依然として低調であったほか、宴会部門で規模の縮小化が続いている。

総じて厳しい状況が続いており、各社とも今後夏祭りや国体の需要に期待している。

2 その他サービス「保険、DTP関連、ソフトウェアが好調」

売上高は前年同月比10.5%増。3か月先の業況見通しDIは▲10.0から30.0となった。

保険やDTP関連が引き続き好調に推移しているほか、ソフトウェアでも大型案件を獲得したことにより売上が伸びている。

運送関連では、燃料費の高騰に加え、旅客部門で客数の減少が続くなど、依然として厳しい状況となっている。

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