平成18年3月1日 産業経済政策課

概況

県内経済は、総じて横ばいの中で推移しているが、電気機械を中心とした県内の主要製造業で生産額が着実に増加している。

  • 製造業:電気機械を中心に生産増加が続く
  • 建設業:厳しい状況が続くものの、除雪はフル稼働状態。
  • 小売業:大雪の影響で客足遠のく。
  • サービス業:燃料価格の高騰が利益を圧迫している 

 全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲14.0から▲34.9、現在の資金繰りは▲12.8から▲20.9、3か月先の業況見通しは▲17.1から0.0となっている。

 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比9.2%増、同7.6%増。3か月先の業況見通しDIは▲12.2から12.1となっている。製造業全体では前年同月比の生産額が7カ月連続してプラスであり、主力の電気機械が前年比同月比で大きな伸びを示していることが主たる理由である。また、一般機械等や鉄鋼金属では引き続き堅調に推移している。一方、木材・木製品や食料品は厳しい状況が続いている。

 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比6.1%増、同35.1%増。3か月先の業況見通しDIは▲48.3から▲37.9となっており、総じて厳しい経営環境が続いている。地方公共団体から除雪業務を請け負っている企業では、連日フル稼働で除雪対応に追われている一方、各工事現場では降雪による工事の影響等が出ている。

 小売業では、前年同月比の売上高で1.0%の減。3カ月先の業況見通しDIは、▲13.7から▲3.6となっている。今月は、大雪の影響から客足が遠のくなど、大きな影響が見受けられた。

 サービス業では、売上高は前年同月比2.2%の増。3カ月先の業況見通しDIは▲15.4から0.0となった。

 旅館・ホテルでは、大雪の影響による宿泊客のキャンセルが見受けられたほか、原油価格高騰の影響から光熱費の増大が利益を圧迫している。輸送部門では、概ね売上を確保しているものの、燃料費の高騰が利益を圧迫しているほか、大雪による影響が出ている。

製造業の動向

食料品

「底堅く推移」

 生産額は前年同月比1.8%の増。3か月先の業況見通しDIは▲45.0から▲10.0となった。

 一部企業では、大手スーパーとの取引や首都圏コンビニエンスストアとの取引が始まっており、全体としては、底堅く推移していると言える。

 酒造では、本格的な需要期を迎え、首都圏向けの商品で動きが出ている。特に首都圏ではワンカップの売上が伸びているとのことであるが、本県企業の動きは依然として鈍い状況である。なお、今年5月には酒税法の改正を控えていることから、その動向が注目される。

繊維・衣服

「低迷が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.2%の減、同5.1%の減。3か月先の業況見通しDIは20.0のまま変化はない。

 通常、この時期は閑散期であるが、今冬の気温などの季節的要因から春物の動きが遅く、一部企業では、短期休業を強いられる事態となっている。

 また、各社では、原油価格高騰による原材料や資材値上げのほか光熱費が高騰しており、加えてこの冬の大雪により除雪費が嵩み、収益を圧迫している。

木材・木製品

「原材料の値上がり続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.8%の減、同3.3%の減となり、11ヶ月連続で生産額の減少となった。3か月先の業況見通しDIは▲11.8から23.5となっている。

 対前年同月比でマイナスの要因としては、県内の新規住宅着工の動きが依然として鈍いほか、加えて北洋材などの原材料費が高止まりするなど複合的要素による影響が見受けられる。また、原材料は高止まりをしているものの、製品価格は下落傾向であることから、各企業の利益を圧迫している。

 なお、記録的な大雪や低温のため、乾燥材の製造効率が落ちているほか、原材料の凍結による加工効率の低下などの影響も見受けられる。

鉄鋼・金属製品 

「受注の狭間から前年同月比でマイナスに転じる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.1%の減、同0.2%の増。3か月先の業況見通しDIは▲5.9から5.9となった。

 一部企業では首都圏向け建設鋼材に動きが見られるなど受注超過の状況が続いているほか、フル稼働が続く企業も見受けられるが、今月は納品の積み残しや受注の狭間から前年同月比でマイナスとなっている。

 鋼材やコークス、希少金属をはじめとする金属価格の高止まりや燃料価格が依然として高騰を続けていることから、価格への転嫁が出来ない企業は、利益を圧迫されている。

 一部企業では、大雪により輸送行程等の変更を余儀なくされたが、現段階では大きな影響は出ていない。

一般機械

「生産額では2カ月振りに前年同月比でプラスに転じる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比15.2%の増、同14.0%の増。3か月先の業況見通しDIは、▲10.0から0.0となった。

 先月は、納期などの関係から前年同月比でマイナスとなったものの、自動車関連や航空機関連など民需を中心に好調な受注状況であることから2カ月振りにプラスに転じている。

 一部企業では、輸出用製品の追加受注等により慢性的な受注残があるなど、多くの企業が受注残を抱えていることから、今後も堅調に推移すると考えられる。

電気機械

「生産額が好調に推移」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比16.6%の増、同11.5%の増。3か月先の業況見通しDIは▲10.3から24.1となった。

 生産額は、前年同月比で7カ月連続プラスに転じている。

 受注状況を見ると、主力のコンデンサの受注が増加しているほか、液晶・光ファイバー・半導体関連部品が伸びており、一部企業では、生産能力を上回る受注を受けている。

 なお、生産量(生産額)が上がっている企業においても、製品価格の値引き要請や原材料価格の上昇等の理由から、赤字若しくは利益が圧迫されており、その動向については、先行きが見えない状況である。

輸送機械

「製造部品等により状況に変化」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.2%の減、同1.4%の減。3か月先の業況見通しDIは14.3のまま変わらずであった。

 各社共に、今後の受注見通しもあり、底堅く堅調に推移しているものの、製造部品やそのグレード、車種により、その動向に違いが出てきている。

 今後は、国内の新型車の売上動向や海外輸出用部品の動向が注目されるが、今後しばらくの間は受注残もあることから、底堅く推移すると思われる。

精密機械

「医療機器関連が堅調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.0%の増、同6.0%の増。3か月先の業況見通しDIは▲20.8から12.5となった。

 医療機器関連は堅調に推移している。

 計量器関係や光学レンズなどは、需要の伸び悩みによる生産調整、石油製品の値上がりや納品単価引き下げ要求のほか、工場の海外シフトなどの理由により厳しい状況が続いている。

建設業の動向

「除雪がフル稼働」

 受注額、完工高はそれぞれ前年同月比9.2%の増、同7.6%の増。3か月先の業況見通しDIは▲37.9から12.1となった。

 公共事業の減少により各企業とも厳しい経営環境が続いているが、記録的な大雪の影響で、地方公共団体から除雪委託を受けている企業では、例年の2~3倍の稼働量があり、連日フル稼働の状況である。

 また、各企業が抱える工事現場では、除雪等の現場管理費が大幅に増加している模様である。

小売業の動向

衣料品

「冬物の動きに期待」

 売上高は前年同月比3.5%の増。3か月先の業況見通しDIは0.0のまま変わらない状況となっている。

 記録的な寒さの影響から、コートなどの冬物に動きが見られたほか、メーカーが在庫を持っていないことから、一部企業では品薄感が見受けられる。なお、冬物が品薄となっていることから、各メーカーの春物商品の投入が早まる模様である。

 売上については、各企業では、大雪による客足が遠のいた影響が大きいと分析しているものの、コート・ジャケット等の冬物の売上が伸びたことから、前年同月比でプラスに転じている。

身回品

「大雪で客足遠のく」

 売上高は前年同月比12.9%の減。3か月先の業況見通しDIは▲7.7と変わらない。

 全般的に、大雪により客足が遠のいたことから売上額が前年同月比マイナス12.9%と大きな影響を及ぼしており、特に路面店ではその傾向が大きい。

 ホームセンターでは、除雪用具に突発的な需要があったものの、品切れによる”売り逃し”が頻発した。

飲食料品

「堅調に推移」

 売上高は前年同月比0.1%の減。3か月先の業況見通しDIは▲29.4から▲11.1となっている。

 全体的には堅調に推移しており、年末にかけて正月用の魚類・肉類・惣菜などでは好調さが見られた。 先月、野菜などの青果物では、大雪や寒さや低温による生育の遅れなどの影響により価格高騰が見受けられたが、今月もその傾向は続いているものの価格は徐々に落ち着いてきている。

家電品

「薄型テレビが堅調に推移」

 売上高は前年同月比23.5%の増。3か月先の業況見通しDIは▲12.5から10.0となっている。

 地上波デジタル放送導入等により、「薄型テレビ」(売れ筋は、32型~37型に集中)が堅調に推移している。各メーカーの製品が、購入しやすい価格設定となったことも購買意欲を押している一因となっている反面、値下げ競争が企業の利益を圧迫している傾向が見受けられる。

 また、寒さの影響からか大型暖房器具も品薄の状況となっているほか、各企業ではオリンピック需要や春の就職・進学に伴う”シングル需要”に期待を寄せている。

サービス業の動向

旅館・ホテル

「大雪等の影響によるキャンセルが見受けられる。」

 売上高は前年同月比5.8%の減。3か月先の業況見通しDIは、▲35.7から▲42.9となった。

 大雪による交通機関等の乱れが連日全国的に報道されたことによる影響か、各企業では宿泊や宴会部門のキャンセルが見受けられた。

 原油高騰の影響で、各企業では暖房等の光熱費が増大し、利益を圧迫している。

その他サービス

「堅調に推移」

 売上高は前年同月比7.6%の増。3か月先の業況見通しDIは8.3から▲14.8から15.4となった。

 コンピューター関係では、特定の企業が大きく売上を伸ばしたことから前年同月比でプラスに転じているものの、その受注状況は安定していない。各社では、今後の受注に期待を寄せている。

 運送部門では、記録的な大雪による遅延や路面条件の悪化の状況のなか、概ね売上を確保しているものの、燃料価格の高騰などのコスト上昇により利益を圧迫している。

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