平成20年10年3日
産業経済政策課

概 況

 県内経済は、原材料価格の高止まりにより収益性が一層悪化し、電気機械を中心とした製造業の落ち込みが激しいことから、全体としても弱めの動きとなっている。

 製 造 業  :電気機械や輸送機械の生産が落ち込み、弱めの動
        きとなっている
 建 設 業  :過当競争や資材高止まりから、厳しい状況となっ
        ている
 小 売 業  :家電品と食料品が底堅くなっている
 サービス業  :夏祭りシーズンも旅館・ホテルで客足が減少して
        いる
 
 
全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は2.6から▲12.5、現在の資金繰りは▲13.2から▲16.6、3か月先の業況見通しは▲19.0から▲31.6となっている。
製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.5%減、同7.2%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲16.5から▲24.7となった。主力の電気機械は、生産額の減少幅が拡大し、コンデンサだけでなく携帯電話部品でも落ち込みが激しくなっている。木材・木製品では、住宅着工数の減少が続いており、生産額で12ヵ月連続マイナスとなっている。輸送機械では、北米の景気減速の影響を受け、生産・受注ともに悪化している。一般機械では、プラント設備や産業機械関連が堅調であり、前年並の生産活動となっている。精密機械でも、光学部品や医療機器関連を中心に堅調な生産活動が続いている。原材料価格の高止まりにより、生産・受注できている企業でも収益性が悪化しており、全体としては弱い動きとなっている。
建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比35.7%減、同39.7%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲43.8から▲50.0となった。再び受注額で前年比減となり、公共工事での過当競争が続き、受注しても利益が薄く一層厳しい状況となっている。原材料の高止まりが、収益性をさらに悪化させている。
小売業では、売上高は前年同月比で5.2%増、3カ月先の業況見通しDIは▲46.4から▲40.7となった。身回品では、先月まで堅調に推移していたが、買いだめに落ち着きが見られたことや涼しい日が多かったことから、8ヵ月ぶりに売上高で前年を割り込んだ。食料品は、企業ごとに好不調が分かれるが、物価が上昇するなか底堅く推移している。家電品では、薄型テレビやDVDレコーダーが堅調を維持し、前年並の売上高となっている。先月まで好調だったエアコンは、天候不順の影響もあり落ち込んだ。小売業全体としては、食料品と家電品が底堅いことから、売上高で前年同月比増を維持している。
サービス業では、売上高は前年同月比5.7%減、3カ月先の業況見通しDIは20.8から▲33.3となった。夏祭りシーズンであったにもかかわらず、ガソリン価格の高騰や地震の風評被害の影響が強く、旅館・ホテルの客足減少は回復せず厳しい状況が続いている。運送業では、祭りの期間で売上が上昇し、前年並の売上高となった。サーチャージを巡る状況は改善しておらず、収益性を圧迫している。

製造業の動向

食料品

「さらに弱い動き」

生産額は前年同月比5.5%減。3か月先の業況見通しDIは7.1から▲7.1となった。
お盆商戦や祭りでの販売が振るわなかったことから、全体としては生産額で前年同月を下回り、減少幅も先月より拡大している。
品目別の動向を見ると、惣菜類、菓子類、調味料類で前年同月比減となっている。
酒造では、先月まで前年を上回っていた企業も今月は前年割れとなり、酒類全体としても前年比7.2%減となっている。市場全体の低迷は続いており、首都圏の一般・業務用の悪化が顕著になってきている。各社とも今後の需要期に期待を寄せている。原材料・燃料の高騰が収益を圧迫しており、一層厳しい状況となっている。

繊維・衣服

「低調な生産活動」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.4%増、同9.4%減。3か月先の業況見通しDIは▲14.3と変わらない。
生産額では、前年同月比増であるが、一部企業がスポット受注などにより生産額で前年を大幅に上回っているが、その要因を除くと全体としては19.7%減となっており、低調な生産活動となっている。品目別に見ると、学生服では例年を上回る生産となったが、一時的な要因であり、今後の業況では不透明感が見られる。婦人服では、受注・生産ともに前年を上回り、好調な生産活動をしている企業があるものの、全体としては、消費者の買い控えの影響を受け受注を確保できていない企業が多く、低調に推移している。
原材料である生地だけでなく、梱包に使用する段ボールなどでの価格上昇が企業の資金繰りを厳しくさせている。

木材・木製品

「12ヵ月連続マイナス、依然厳しい状況が続く」
 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比17.8%減、同13.3%減。3か月先の業況見通しDIは▲16.7から▲25.0となった。
 例年は繁忙期となる時期であるが、新設住宅着工数の減少は続いており、全体としては前年同月比減少幅が縮小するだけにとどまった。高級紙の原料となる木材チップや合板を製造する一部の企業で前年を上回っているものの、ほとんどの企業が減産を続けており厳しい状況となっている。当初予定されていた学校施設関係製品の出荷が、先延ばしになったことも生産額低下に影響している。
 乾燥費や運送費、接着剤や梱包材といった経費が増加し、企業の資金繰りを厳しくしている。

鉄鋼・金属製品

「生産が落ち込む」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.0%増、同2.2%減。3か月先の業況見通しDIは0.0と変わらない。
生産額としては、2ヵ月ぶりにプラスに転じ持ち直したように見えるが、生産額が大きくなった1社の影響による。それを除くと前同月比16.0%減であり、生産の落ち込みが見られる。
品目別に見ると、公共工事関係では、一部の企業で力強い生産活動となっているが、電気機械関連ではメーカーや元請け企業の減産の影響が見られる。
建具関係では、北海道エリアからの受注・生産が多いため前年比増となっているが、東北エリア分だけでは前年比減となっており、県内からの受注の厳しさも窺える。
原材料の価格については、いまだに高止まりしているものもあり、多くの企業の収益を圧迫している。

一般機械

「おおむね前年並の生産額」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.8%減、同4.9%減。3か月先の業況見通しDIは▲57.1から▲14.3となった。
 生産額では前年同月比減であるが、一部企業に検収の遅れがあったためであり、その要因を除くとおおむね前年並の生産額となっている。企業ごとに好不調が分かれる結果となっている。
 品目別に見ると、プラント設備や産業機械関連の企業では、堅調な生産活動が続くほか、仮置きしていた成果品の出荷なども影響し、生産額で前年比プラスとなっている。さらに、鉄道関係や公共工事関係などの製品において、今後の受注見通しが立っている企業もある。農業機械や航空機関連では、受注の見通しが不透明であり、厳しくなってきている。多くの企業で、原材料価格の高止まりや諸経費の増加を受け、収益性が悪化している。

電気機械

「さらに生産が落ち込む」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比8.2%減、同8.3%減。3か月先の業況見通しDIは▲15.0から▲45.0となった。
 全体としては、先月以上に生産が落ち込み、減少幅が拡大している。原材料の高止まりやアメリカの景気減速などから需要が減少し、主力のコンデンサと携帯電話部品での落ち込みが激しく、減産する企業が多い。一部の液晶やBD関係、通信部品で順調に生産・受注を得ているが、原材料が高く薄利多売となっている。プリンタ部品では先月に引き続き順調に生産活動が続けられており、10月まで受注の見通しが立っている。
 原材料価格の高騰については、一部に価格転嫁できていない企業があり、収益性を悪化させている。

輸送機械

「弱含み基調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.8%減、同16.6%減。3か月先の業況見通しDIは▲66.7と変わらない。
 精密部品では、お盆周辺の稼働日数の減少から前年割れとなったが、先月に引き続き受注は好調であり、高い生産活動となっている。内装品についても高い生産活動となっている。しかし、ほとんどの企業は、北米の景気減速の影響を受け生産・受注ともに悪化し、全体としては厳しい状況となっている。フルモデルチェンジした新型車が9月から投入される企業もあり、期待がかかる。
 鋼材を中心とした原材料価格もさらに高騰しており、各企業で今後の見通しに不透明感が見受けられる。

精密機械

「光学部品、医療機器関連を中心に堅調な生産活動」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.4%増、同6.0%増。3か月先の業況見通しDIは▲12.5から▲25.0となった。
 光学部品では、デジタルカメラ関連が好調に推移しているが、先月までの勢いに若干の落ち着きが出ている。医療機器関連では、受注が増加基調にあり、生産ラインがフル稼働しているが、経費のかかりまし分を転嫁できていない企業がほとんどである。
 携帯電話部品や輸送機械部品では、企業ごとに業況が分かれており、全体としては前年比5.7%減となっている。計量機器関連では、アメリカを中心とした海外向けの商品が不振となっている企業がある。総じてみると、やや生産に落ち込みが見え始めている。
 原材料の価格高騰を価格転嫁ができていない企業が多く、収益性の悪化は続いている。

建設業の動向

「過当競争となり厳しい状況」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比35.7%減、同39.7%減。3か月先の業況見通しDIは▲43.8は▲50.0となった。
公共工事では、発注件数が前年に比べ増加しているが過当競争となっており、一部の企業が集中して受注している。受注を確保している企業は、前年比100%以上の増となっており、受注できなかった多くの企業は前年比50%以上の減となっている。また、受注した企業であっても、利益が薄く厳しい状況となっている。
民間工事では、モデルハウスの引き合いがある企業や、収益性のある工事のみを受注して力強い生産をしている企業もある。しかし、全体としては受注が少なくなっており、官公需に頼っている企業がほとんどとなっている。
原油高騰については、若干の落ち着きが見られるが、原材料の値上がりがいまだに続いており、ほとんどの企業で一層収益性が悪化している。

小売業の動向

衣料品

「消費者の消費マインド低く、低迷基調」

売上高は前年同月比6.6%減。3か月先の業況見通しDIは▲50.0から▲33.3となった。
一部企業のセールは4ヵ月連続で行われているが、宣伝広告を休止した影響もあり、売上高で前年同月を割り込んだ。また、今月売上高がプラスとなった企業が一部にあるが、ここ3ヵ月で見ると前年を下回っており、全体としても前年を下回る結果となっている。
ガソリン価格高騰や食料品の値上げの影響は続いており、衣料品の買い控え傾向は強く、低迷基調となっている。

身回品

「8ヵ月ぶりに売上高で前年を割り込む」

売上高は前年同月比6.0%減。3か月先の業況見通しDIは▲16.7から▲50.0となった。
値上げを見越しての買いだめに、落ち着きが見られ始めた。8月は7月に比べて涼しい日や雨の日が多かったことから、夏もの商品や冷房器具の売上が伸びなかった。好天やエコ商品に支えられていた消費に陰りが見え始め、全体としては8ヵ月ぶりに売上高で前年を割り込んだ。消費者の買い控え傾向も強く、各企業で厳しい経営となっている。

飲食料品

「企業ごとに好不調は分かれているが、売上額は前年比増加」

 売上高は前年同月比7.3%増。3か月先の業況見通しDIは▲81.8から▲63.6となった。
 企業ごとに好不調が分かれいるが、全体としては売上高前年同月比増となっており、底堅さが見られる。品目別に見ると、米がやや好調であるが、たばこは自動販売機を設置している店舗で不調となっている。
 売上高前年比増であっても、仕入れ価格の上昇から収益性が悪化しており、消費者の生活防衛意識も高いことから、今後の消費動向は不透明となっている。
 

家電品

「テレビやDVDレコーダが堅調」

売上高は前年同月比0.3%増。3か月先の業況見通しDIは0.0から25.0となった。
先月までは全ての企業で好調であったが、今月は企業ごとに好不調の差が見受けられ、全体としては前年並の売上高となっている。品目別では、雨の日が多かったこともあり、先月まで好調だったエアコンで落ち込みが見られる。薄型TVやDVDレコーダー(BD含む)、白物家電では好調さを維持している。
消費者のエコ意識は高く、省エネタイプの商品が売上を伸ばしている。

サービス業の動向

旅館・ホテル

「夏祭りシーズンも厳しい状況が続く」

売上高は前年同月比3.0%減。3か月先の業況見通しDIは、14.3から▲57.1となった。
花火大会や大規模SC工事、映画のロケなどの影響により、宿泊部門が堅調に推移している企業が一部にある。一方で、夏祭りシーズンであるにもかかわらず、ほとんどの企業で宿泊客が減少している。ガソリン価格の高騰や地震の風評被害、新規ビジネスホテルとの競争、お盆の日並びが悪いなど、様々な影響が見受けられる。さらに、涼しい日や雨の日が多かったことから、先月まで好調だったビアガーデンにも落ち込みが見られ、全体として売上高で前年を下回った。この間、婚礼宴会部門、レストラン部門においても低調に推移している。
食材・酒類の値上がり、冷暖房に使われる重油の値上がりが収益を悪化させ、資金繰りの厳しい状況が続いている。

その他サービス

「ソフトウェア関連では低調、運送業は底堅い」

売上高は前年同月比7.3%減。3か月先の業況見通しDIは30.0から0.0となった。
ソフトウェア関連では、売上高で前年同月比減となった企業が多く、受注を順調に確保している企業があるものの、全体としては低調な動きとなっている。運送業では、ガソリン価格の高騰によって収益を悪化させており厳しい状況に変わりはないが、祭りの期間に売上を確保した企業もある。運送業全体としては売上高前年同月比0.0%と、底堅く推移している。燃料サーチャ-ジ制度については荷主から理解を得られていない。
保険では法人向け個人向けともに例年並みとなっている。

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