県内経済動向調査結果(平成19年2月分)
コンテンツ番号:2064
更新日:
平成19年4月6日
産業経済政策課
概況
県内経済は、一部に依然として厳しさが残り、電気機械においては一服感があるものの、全体としては引き続き回復の基調が続いている。
- 製造業:一部に製品単価の下落や生産調整が見られるものの、概ね堅調な生産活動が続いている
- 建設業:工事量が減少し厳しい状況が続いている
- 小売業:家電は堅調に推移するも、暖冬の影響により総じて売り上げが減少
- サービス業:貨物や保険が好調
全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲29.9から▲22.6となり、現在の資金繰りは▲18.5から▲6.5、3か月先の業況見通しは▲9.6から▲9.0となっている。
製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.6%減、同4.8%増。3か月先の業況見通しDIは▲4.6から▲3.5となっている。主力の電気機械は、全体としては堅調に推移しているが、生産品目により価格競争や生産調整による影響が見られる。木材・木製品、鉄鋼・金属製品、精密機械などにおいて生産額が前年同月を上回っており、総じて好調な生産活動が続いている。
建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比8.2%増、同63.8%増となった。3か月先の業況見通しDIは▲68.8と変化がない。特定の企業大口の契約が見られたことから受注額、完工高共にプラスとなっているが、公共工事の減少は依然として続いており、受注確保のための競争が益々激化する中で、各社とも利益確保が困難となっている。
小売業では、前年同月比の売上高で0.5%の増、3カ月先の業況見通しDIは▲25.8からと▲12.9となった。家電品は、暖冬の影響で主力の暖房機器が伸び悩んでいるものの、薄型テレビ・携帯電話・パソコン等に動きが見られた。しかしながら、衣料品、身回品、食料品では、暖冬の影響により冬物商品の販売が不調であるほか、競合店との価格競争なども相まって厳しい状況が続いている。
製造業の動向
食料品
「多くの企業で苦戦が続く」
生産額は前年同月比9.8%の減、3か月先の業況見通しDIは0.0となっている。
取引先の新規開拓が進んでいる一部の企業を除き、多くの企業では前年同月比で生産額の減少が続いており、依然として厳しい状況である。
酒造では、県外向けの出荷が概ね順調であるものの県内需要が依然として低調であり、県外向けの販路の有無が業績を左右しているとの見方もある。。
繊維・衣服
「生産額が低迷」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比20.5%の減、同8.1%の減。3か月先の業況見通しDIは42.9から▲57.1となった。全体の生産額は対前年同月比で4ヶ月連続で減となっており、業界全体として生産額が低迷している状況が続いている。
暖冬の影響で冬物衣料は厳しい状況が続いているが、春ものの注文は各企業とも底堅く推移しており、今後は改善する見込みである。
木材・木製品
「輸入材に品薄感」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.3%の増、同19.9%の増となった。3か月先の業況見通しDIは25.0から0.0となった。
首都圏を中心とした建設需要により、合板や板材などで好調な生産活動が続いている。また、外国産材の輸入量減少により原材料が不足しており、資材単価の値上がりを見込んだ駆け込み需要や国産材への切り替え需要も見られる。
公共事業の減少による影響を懸念する企業も見受けられるものの、引き続き県外向けの強い需要が見込まれることから、今後も好調な生産が続くものと思われる。
鉄鋼・金属製品
「原材料価格が高止まりを続けているが、好調な生産を維持」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比11.4%の増、同7.4%の増。3か月先の業況見通しDIはから0.0から▲18.2となった。
原材料価格の高止まりやメーカーの在庫調整の影響などにより、先行きに懸念を示す企業も見受けられるが、電子部品関係の企業ではフル稼働状態が続くなど、全体としては好調さを維持している。
一般機械
「生産品目により業況にバラツキが出る」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.5%の減、同6.7%の減。3か月先の業況見通しDIは▲12.5から37.5となった。
首都圏の需要拡大の影響でフル生産が続いている企業もある中で、在庫調整により生産額が減少している企業もあるなど、生産品目により業況のバラツキが出ている。
また、鋼材などの原材料価格は依然として高値で安定しており、各社とも利益が圧迫される状況が続いているものの、中には価格転嫁により利益を確保している企業も見受けられる。
電気機械
「堅調な生産が続くも、生産品目により好不調が分かれる」
生産額、受注額は、それぞれ前年同月比3.2%の減、同2.4%の増。3か月先の業況見通しDIは▲4.8から0.0となった。
主力のコンデンサを中心に、携帯電話、産業用機械、家電などが引き続き好調を維持しているが、光ファイバーや光学機器、液晶などが価格競争や在庫調整などのため大きく落ち込んだことにより、全体の生産額は対前年同月比でマイナスで推移し、一服感が見受けられる。
総じて堅調な生産活動が続いているが、生産品目の違いにより業況が分かれる結果となっている。
輸送機械
「取引メーカーにより業況が分かれる」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.1%の増、同1.6%の増となり、3か月先の業況見通しDIは16.7と変わらない。
軽自動車や北米・ヨーロッパ向けの部品等が引き続き好調であり、関係企業では好調な生産活動が続いている。
一方で、取引メーカーからの受注減少により依然として生産額が前年同月を下回っている企業や、生産車種の販売が伸び悩んでいることから生産を抑制されている企業が見受けられるなど、取引メーカーにより業況が分かれる結果となっている。
精密機械
「光学部品や医療機器関連の生産が堅調に推移」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.1%の増、同15.1%の増。3か月先の業況見通しDIは14.3から▲14.3となった。
光学ガラスについては、デジタルカメラ関係部品の受注が好調なことから引き続き高操業が続いているほか、医療機器関連でも安定した生産が行われていおり、堅調に推移していると言える。
価格競争により生産拠点の海外移転を検討している企業や原材料価格の高騰など、不安要素も見受けられる中、全体としては堅調な生産活動が続いている。
建設業の動向
「業界全体として厳しい状況が続いている」
受注額、完工高はそれぞれ前年同月比8.2%の増、同19.2%の増。3か月先の業況見通しDIは▲68.8のまま変わらない。
全体を見ると今月は特定の企業に大口契約が見られたことなどからプラスに転じているものの、公共工事の減少は依然として続いており、受注確保のための競争が益々激化する中で、各社とも利益確保が困難となっている。民間工事についても1件当たりの金額が減少傾向にあるなど、業界全体として厳しい状況が続いている。
小売業の動向
衣料品
「暖冬の影響で冬物の売り上げが伸びず苦戦」
売上高は前年同月比0.2%の減。3か月先の業況見通しDIは0.0から25.0となった。
暖冬の影響で利幅の大きなコート類など重冬物衣料が伸び悩んだため、売上に影響している。このため、各企業では新卒者対応のバーゲン等により利益を確保している状況であるが、仕入れ単価上昇の影響で利益率が悪化している企業もあるなど、厳しい状況が続いている。
身回品
「暖冬の影響で冬物商品の販売が不調」
売上高は前年同月比0.1%の増。3か月先の業況見通しDIは▲57.1から▲42.9となった。
暖冬の影響のため、暖房用品や除雪器具など冬物商品の販売が大幅な売上減となっている。
各社とも競合店の増加などにより、客足の分散化が続いているうえに、季節商品が伸び悩んでおり、売り上げが回復しない厳しい状況が続いている。
飲食料品
「競合店が多く、激しい競争が続く」
売上高は前年同月比0.2%の減。3か月先の業況見通しDIは▲33.3から▲16.7となった。
暖冬や暖冬による豊作の影響で、大根・はくさい・キャベツなど大型野菜の安値が続いており、売り上げに影響が出ているほか、清酒をはじめとした酒類販売も低迷している状況である。
多くの企業では、競合店との価格競争により苦戦を強いられており、客足は増えても客単価は低下しているなど、厳しい状況が続いている。
家電品
「暖房機器が不調、他は回復の兆し」
売上高は前年同月比12.5%の増。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲25.0となった。
この時期の主力商品である暖房機器は、暖冬の影響で売上が大幅に落ち込んでいる。一方、この不調を取り返すように、薄型テレビ、携帯電話、新型ゲーム機、パソコンなどで好調な動きが見られた。
客足の分散化や、競合店の増加に伴う激しい価格競争により、各社とも利益確保に苦心している。
サービス業の動向
旅館・ホテル
「厳しい状況が続くものの、企画力・集客力で差が出る」
売上高は前年同月比0.9%の増。3か月先の業況見通しDIは、▲14.3から35.7となった。
宿泊部門では、都市部を中心とした競争激化と宿泊客数の減少により、多くの企業では稼働率が低下しているが、独自の旅行商品や旅行エージェントとのタイアップなどにより客足が回復した企業も見られるなど、企業の企画力・集客力によって業績に差が出る結果となっている。なお、利幅の大きい婚礼部門は依然として低調であるほか、宴会等の小規模化などにより、厳しい状況におかれている企業が多い。全体としては、豪雪の影響が見受けられる前年同月比よりも業績は上向いているものの、厳しい経営状況となっている。
その他サービス
「好不調が分かれる」
売上高は前年同月比11.6%の増。3か月先の業況見通しDIは22.2から▲11.1となった。
運送では、貨物関係が需要増加などにより堅調に推移しているほか暖冬の影響により輸送効率が上がっているが、燃料費は依然として高い水準にあり利益が圧迫されている。
保険関係は、住宅関連商品需要により好調を維持しているほか、ソフトウェア関係も堅調に推移している。