平成20年5月2日
産業経済政策課

概況

県内経済は、原油・原材料価格高騰により、収益性が悪化していることや、消費がやや弱含んでいることから、全体としてもやや弱含んでいる。

  • 製造業:生産の落ち込み等により弱含んでいる
  • 建設業:一時的なプラス。厳しい状況が続いている
  • 小売業:やや弱含んでいる
  • サービス業 :保険・DTPが強含みで推移
全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲23.2から▲21.7、現在の資金繰りは▲17.5から▲17.2、3か月先の業況見通しは▲17.9から▲16.3となっている。
製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.6%減、同7.2%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲12.6から▲3.5となった。主力の電気機械は、コンデンサ等を中心に生産に落ち込みが見られる。木材・木製品では、依然として業況の悪化が続いている。輸送機械や精密機械の多くの企業で力強い生産活動が続いていることなどから、全体としては横ばい圏内で推移しているが、鋼材を始めとした原材料価格の高騰、米国経済の減速、円高による影響については留意していく必要がある。
建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比31.4%増、同23.2%増となった。3か月先の業況見通しDIは▲40.0から▲66.7となった。今月は、公共事業及び民間工事を受注した企業が多かったことからプラスに転じているものの、競争の激化、原油・原材料価格の高騰が続いていることに加え、公共工事の減少等により受注を確保できていない企業があるなど、業界全体としてより厳しい状況が続いている。
小売業では、売上高は前年同月比で13.6%増、3カ月先の業況見通しDIは▲33.3から▲37.9となった。雪解けが早かったことなどから、土や肥料などの園芸用品などの季節商品に動きがあったが、衣料品では、低調な動きが続いている。家電品は薄型テレビや白物家電が進入学の関連から好調に推移している。飲食料品の一部企業が好調だったことなどから小売業全体の売上高はプラスであるがその要因を除くと全体としてはやや弱含んでいると言える。
サービス業では、売上高は前年同月比6.1%増、3カ月先の業況見通しDIは▲4.2と変化無い。一部旅館・ホテルで冠婚葬祭等の需要が見受けられたことから売上が伸びているが、季節要因から運送の旅客部門と共に厳しい推移が続いている。なおDTPは繁忙期を迎えたことにより強含みで推移しているほか、保険も基調としては強含んでいる。

製造業の動向

1食料品

「引き続き、弱めの動き」
生産額は前年同月比5.9%減。3か月先の業況見通しDIは▲50.0から▲35.7となった。
季節商品である鍋物関連商品は好調であったが、各企業共に包装資材や燃料の値上がりが経営を圧迫している。
酒造では、首都圏を中心に季節商品や特定名称酒の販売に伸びがみられる一方、県内需要は低迷を続けている。なお、一部企業では、原材料価格等の高騰の影響を受けて、商品の値上げを表明している。
 

2繊維・衣服

「夏物の生産がピークも生産額、受注額が減」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.8%減、同8.7%減。3か月先の業況見通しDIは▲42.9から▲28.6となった。
現在、夏物の生産ピークを迎えており、全体としては稼働率が高いものの、小ロット、低単価な製品の生産が多かったことなどから、生産額・受注額がそれぞれ前年同月比減となっている。
一部企業では、秋・冬物の試作品づくりが始まっているが、原材料価格が上昇傾向にあることや気候の変動などから先行きには不透明さも見受けられる。

3木材・木製品

「改正建築基準法の影響が続く」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比24.6%減、同31.5%減。3か月先の業況見通しDIは33.3から30.8となった
改正建築基準法の施行の影響などから全国的に新設住宅着工戸数の減少が続いていることや、公共事業関連の納期が2月で一段落したことから、原油・原材料価格高騰の影響も相まって業況は引き続き悪化している。
価格下落が続いていることなどから、先行きについては依然として厳しいと考えられる。
4鉄鋼・金属製品
「引き続き好調な生産活動が続く」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比21.0%増、同12.1%増。3か月先の業況見通しDIは▲8.3から18.2となった。
建具関係では、新設住宅着工戸数の減少により引き続き悪化しているが、デジタル家電や携帯電話向け部品を中心とした電気機械関連のほか、輸送機械部品が引き続き好調なことなどから、全体としては好調な生産活動が続いている。
原材料価格は鉄を中心に価格高騰が続いており、総じて価格転嫁が進んでおらず、各企業では原材料の転換等を検討しているが、その収益性は悪化している。

5一般機械

「堅調に推移している」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比51.4%増、同28.2%減。3か月先の業況見通しDIは▲42.9から▲28.6となった。
産業向け機械では生産ラインがフル稼働の状況であるほか、塗装用機械などは海外需要により伸びがみられるなど堅調な推移が続いている。
プラント設備関連では長期の受注残を抱える企業もある一方、案件が減少傾向との企業も見受けられ、今後の受注の状況にはやや不透明感が漂っている。

6電気機械

「生産が落ち込む」
生産額、受注額は、それぞれ前年同月比7.5%減、同7.8%減。3か月先の業況見通しDIは0.0から5.3となった。
主力のコンデンサをはじめ、光学部品、半導体関連製品も生産が落ち込みを見せている。また、携帯電話向け部品の一部では一部で動きがあるものの、価格下落やメーカーの撤退などから厳しい状況が続いている。
今後しばらくはこのままの推移が見込まれるが、原材料価格の高止まりや円高が更に進展すれば、収益性が悪化することからその影響が懸念される。

7輸送機械

「底堅く推移している」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.0%減、同7.1%減。3か月先の業況見通しDIは0.0から16.7となった。
業界全体の好調さを受け、多くの企業で底堅い生産活動が続いており、新工場などの設備投資を進めている企業も見受けられる。
しかし、生産については、北米をはじめとする経済の減速などから海外市場の販売において、不安要素がみえるほか、原材料価格の高騰が続くことに加え、今後も円高が進展すれば更なる収益性の悪化となることから、その影響が懸念される。
全体としては、今後このままの動きが続くと考えらる。

8精密機械

「光学部品、医療機器関連で高操業が続く」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.4%増、同12.1%増。3か月先の業況見通しDIは▲12.5から▲25.0となった。
光学部品では、デジタルカメラ関連を中心に好調に推移しているほか、医療機器関連でもフル稼動が続いている。また、携帯電話部品や輸送機械部品も概ね堅調な推移が続いている。一方、計量機器関連では、サププライムローン問題などによる海外市場の冷え込みからから伸び悩んでいる。
今後、生産額の減少や原材料価格の値上げが見込まれる企業もあるが、全体としては光学部品や医療機器関連の好調を受けて、高水準での推移が見込まれる。

建設業の動向

「一時的なプラスであり、厳しい状況が続いている」
受注額、完工高はそれぞれ前年同月比31.4%増、同23.2%増。3か月先の業況見通しDIは▲40.0から▲66.7となった。
今月は、公共事業や民間工事、下請け工事を受注した企業が比較的多かったことから全体としてはプラスに転じている。しかしながら、受注を確保できていない企業も数社あり、先行きについても、公共工事の減少や原油・原材料価格の高騰が続くことが予想されることから、さらなる悪化が懸念される。

小売業の動向

衣料品

「引き続き低調に推移」
売上高は前年同月比3.3%減。3か月先の業況見通しDIは▲57.1から▲42.9となっている。一部で就職、進入学に伴い関連商品(学生服等)で動きあったが、総じて厳しく低調な推移が続いており、燃料価格や飲食料品の値上げによる消費者マインドの冷え込みが客数、客単価に影響を与えていることが伺える。

身回品

「季節商品に動き」
売上高は前年同月比13.0%増。3か月先の業況見通しDIは▲57.1から▲28.6となった。
ホームセンターでは、比較的雪解けが早かったことから、土や肥料などの園芸用の季節商品に動きがあった。また、新社会人向けのインテリアにも若干の動きが見受けられた。
現在のところ、極端な買い控え等は出ていないが、今後の見通しは不透明な状況である。

飲食料品

「足もとは底堅さがみられる」
売上高は前年同月比14.1%増。3か月先の業況見通しDIは▲8.3から▲54.5となっている。
一部企業が好調なことから売上高は前年同月比増となっているものの、その要因を除くとほぼ前年同月と同様の推移をしている。飲食料品や石油製品の値上げにより一部では弱めの動きもあるものの、全体としては底堅さがみられる。
また、中国産冷凍ギョウザ問題により売上が減少した冷凍食品はほぼ元に戻りつつあるが、品薄が続くバターに関しては問い合わせも多く、影響が出始めている。

家電品

「薄型テレビを中心に好調に推移」
売上高は前年同月比16.6%増。3か月先の業況見通しDIは▲25.0から0.0となった。
薄型テレビが引き続き堅調なほか、就職・進入学に係る白物家電やパソコンの販売も好調さを取り戻している。今後は各企業ともに、オリンピック需要に期待を寄せている。

サービス業の動向

旅館・ホテル

「一時的な需要によりプラスに転じる」
売上高は前年同月比7.3%増。3か月先の業況見通しDIは、0.0と変わらない。
宿泊部門では、一部企業で冠婚葬祭などの需要があったことから、売上を伸ばしている。
なお、総じて、季節要因による宿泊客の減少や競合店の新規開業により不振であることは変わらず、各社ともに今後のPR等に力をいれることとしている。

その他サービス

「保険、DTPが増勢」
売上高は前年同月比5.0%増。3か月先の業況見通しDIは▲10.0と変わらない。
ソフトウェア関連では、パッケージソフトの販売が増加傾向にある一方、価格競争の激化などから利益の減少が続いている。
運送では、季節要因による観光客数の減少などから低調に推移している。また、暫定税率の問題により、一時的な経費節減が予想されるが、今後の動向については不透明である。
DTPは繁忙期を迎えたことから強含みとなっているほか、保険も基調としては強含んでいる。

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