平成18年1月5日 産業経済政策課

概況

 県内経済は、総じて横ばいの中で推移しているが、電気機械を中心とした県内の主要製造業で生産額が着実に増加している。

  • 製造業:電気機械を中心に生産増加が続く
  • 建設業:厳しい状況が続く
  • 小売業:家電品、衣料品に伸び
  • サービス業:燃料価格の高騰が利益を圧迫している

 全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は8.2から▲2.6、現在の資金繰りは▲7.3から▲9.8、3か月先の業況見通しは▲22.1から▲23.1となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比18.0%増、同19.4%増。3か月先の業況見通しDIは▲18.6のまま変わらない。製造業全体では前年同月比の生産額が5カ月連続してプラスであるが、主力の電気機械が前年比同月比で大きな伸びを示していることが理由である。また、鉄鋼金属や輸送機械では引き続き好調に推移している。一方、木材・木製品では、生産調整を行っているほか、食料品でも厳しい状況が続いている。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比6.4%減、同41.4%増。3か月先の業況見通しDIは▲53.3から▲60.0となっており、総じて厳しい経営環境が続いている。

小売業では、前年同月比の売上高で0.7%の増となっている。前月に続き、飲食料品では農産物の価格低下などにより生鮮食料品の売上が落ち込んでいるが、衣料品や家電品が伸びていることから微増となっている。3か月先の業況見通しDIは▲7.7から▲14.0となっている。

 サービス業では、売上高は前年同月比2.3%の増。3カ月先の業況見通しDIは▲33.3から▲22.2となった。

旅館・ホテルでは、婚礼シーズンにも関わらず利益に結びついていないほか、原油価格高騰の影響から光熱費の増大が利益を圧迫している。輸送部門では、燃料費の高騰が利益を圧迫している。

製造業の動向

1 食料品「酒造が低迷」

生産額は前年同月比5.1%の減。3か月先の業況見通しDIは▲30.0から▲40.0となった。

酒造では、新製品の売り込みに力を入れているほか、(本格的な需要期を控え)首都圏向けの商品に動きが出始めている。

年末の贈答用商戦にむけ、各社ともに期待を寄せているが、今のところ大きな伸びには結びついていない。

複数の企業で、原油価格高騰による包装資材等の値上がりによる影響が見受けられる。

2 繊維・衣服「厳しい状況が続く」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.7%の減、同6.5%の減。3か月先の業況見通しDIは▲26.7から6.7となっている。

当初は、「暖冬」との予報があったことから、メーカーでは供給(生産)量を押さえている感があった。

現在は、春物の生産が始まっているが、春物生産の出足は鈍く、各企業では全体的に受注が少ない傾向である。

一部では、原油価格高騰により、糸・ハンガー・カバー等の原材料や資材、運送費の値上げがあり、収益を圧迫している。

3 木材・木製品「需要の見通しつかず」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.8%の減、同5.1%の減となり、9ヶ月連続で生産額の減少となった。3か月先の業況見通しDIは▲17.6から▲29.4となっている。県内の新規住宅着工は、依然動きが鈍く、各企業では降雪前の駆け込み需要に期待を寄せている。

 なお、木材・木製品製造業では、乾燥材生産や運搬(フォークリフトなど)に様々な機械を使用するが、いずれも燃料価格高騰の影響を受けており、生産額が伸び悩むなかで、その影響は大きい。

4 鉄鋼・金属製品 「首都圏向け建設鋼材に動きが見られる」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比24.7%の増、同19.7%の増。3か月先の業況見通しDIは先月同様0.0となった。

一部企業では設備投資を行ってもなお受注を消化出来ない受注超過の状況が続いているほか、フル稼働が続く企業も見受けられる。

鋼材やコークス、希少金属をはじめとする金属価格の高止まりや燃料価格が依然として高騰を続けていることから、価格への転嫁が出来ない企業は、利益を圧迫されているものの、その他の懸念材料が見あたらないことから、今後も好調に推移すると考えられる。

5 一般機械「納期等の関係で生産額ベースでは前年同月比でマイナスに転じる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.8%の減、同3.2%の増。3か月先の業況見通しDIは、先月同様に▲18.2となった。

 自動車関連や航空機関連など民需を中心に好調な受注状況であるが、納期などの関係から生産額ベースでは、前年同月比でマイナスとなっている。

 多くの企業が、受注残を抱えていることから、今後は堅調に推移すると考えられる。

6 電気機械「生産額が好調に推移」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比29.1%の増、同30.9%の増。3か月先の業況見通しDIは▲24.1から▲20.7となった。

 生産額は、前年同月比で5カ月連続プラスに転じている。

 受注状況を見ると、値引きや円安による利益の減少はあるものの、主力のコンデンサの受注が増加しているほか、光ファーバー・半導体、携帯電話関連部品が伸びており、一部企業では、生産能力を上回る受注を受けている。

 単純比較は出来ないものの、生産額は平成12年

末程度まで回復しており、県内の電子機械分野は活況を取り戻していると言える。

7 輸送機械「堅調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.5%の増、同5.1%の増。3か月先の業況見通しDIは0.0から42.9となっている。

 各社共に、今後の受注見通しもあり、一部企業では20名もの新規採用を予定するなど、堅調に推移している。

 原油高の影響により、トラック業界では設備投資(トラックの買い換え)を控える動きが見受けられ、この影響から一部企業では、トラック関連部品の受注が落ち込んでいる。

8 精密機械「医療機器関連が堅調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比9.9%の増、同3.0%の減。3か月先の業況見通しDIは▲25.0から▲37.5となった。

 医療機器関連は依然として堅調に推移しており、一時期に比べ、原材料の石油化学製品値上要請等が落ち着いてきている。

 計量器関係や光学レンズなどは、需要の伸び悩みによる生産調整、石油製品の値上がりや納品単価引き下げ要求のほか、工場の海外シフトなどの理由により厳しい状況が続いている。

建設業の動向

「厳しい状況が続く」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比6.4%の減、同41.4%の増。3か月先の業況見通しDIは▲53.3から▲60.0となった。

公共事業の減少により各企業とも厳しい経営環境が続いている。年末に工期を迎える工事が多くあることから、各企業では、公共事業への入札参加及び民間工事への参入などに期待を寄せている。

燃料価格の高騰により、受注時よりもコストが大幅に掛かり増しとなっているほか、鋼材単価が高止まりしていることやその納入が遅れ気味となっていることから、利益が圧迫されている。

小売業の動向

1 衣料品「冬物に徐々に動きが見られる」

売上高は前年同月比12.8%の増。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲14.3となっている。

今月は一部企業の売上が伸びたことから前年同月比でプラスに転じているものの、依然として厳しい状況に変わりはない。商品仕入れの際の品揃えやサービス充実に力を入れるなど、営業戦略を工夫している。また、寒い日が続いていることから、徐々に冬物衣料に動きが出始めている。

2 身回品「季節商品の動きが見られる」

売上高は前年同月比4.0%の減。3か月先の業況見通しDIは▲15.4から▲18.2となった。

全体的には堅調に推移している。ホームセンターでは、暖房器具等の販売を始めているが、当該月は寒い日が続いたことから、需要が高まっている

一方、家具関係では、ブライダル関係の売上が大きく落ち込んで厳しい状況となっているほか、購入者層が高価格帯と低価格帯に二極化が進んでいる。

3 飲食料品「堅調な推移」

 売上高は前年同月比0.1%の減。3か月先の業況見通しDIは▲5.9から▲6.3となっている。

 野菜などの青果物の価格が落ちていることや酒造の売上が伸び悩んでいるが、全体的には堅調に推移している。

 なお、今後はアメリカ産牛肉の輸入解禁の影響がどのような形で現れるのか不透明な状況である。

 一部企業では、原油価格高騰により、レジ袋や発砲スチロールの価格が上昇しているほか、砂糖の値段が上がるなどなど、様々な形で利益を圧迫し始めている。

4 家電品「薄型テレビが堅調に推移」

売上高は前年同月比10.1%の増。3か月先の業況見通しDIは▲22.2となっている。

年末商戦を控え、各メーカーから新製品が出始めたことや地上波デジタル放送導入により、「薄型テレビ」(売れ筋は、32型~37型に集中)が堅調に推移している。

これから、年末に向かい新製品が出そろう時期であるが、今後のデジタル家電の値下げ価格や新製品の動向が注目される。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル「婚礼シーズンにも関わらず低調に推移」

売上高は前年同月比2.0%の減。3か月先の業況見通しDIは、▲35.7から▲28.6となった。

婚礼シーズンであったが、 婚礼数の減少などの理由により、総じて低調に推移している。

原油高騰の影響で、各企業では暖房等の光熱費が増大し利益を圧迫している。

2 その他サービス「燃料費が利益を圧迫」

売上高は前年同月比6.9%の増。3か月先の業況見通しDIは▲30.8から▲22.2となった。

運送部門では、燃料価格の高騰により、利益が圧迫されている。一部企業では、売上の半分以上を燃料経費に要する路線もあり、その対応に苦慮している。

コンピュータ関連では、HPの模様替えやパッケージソフトなどの販売が堅調であったが、その受注状況は安定していない。

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