県内経済動向調査結果(平成18年3月分)

平成18年5月10日 産業経済政策課

概況

県内経済は、依然として厳しい部分もあるものの、電気機械など県内の主要製造業を中心に緩やかな持ち直しの動きが見られる。

  • 製造業 :電気機械を中心に持ち直している
  • 建設業 :手持ち工事が減少し厳しさ続く
  • 小売業 :客単価の低下傾向続くも底堅く推移
  • サービス業 :燃料価格の高騰が利益を圧迫している

 全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲23.7から▲9.4、現在の資金繰りは▲19.3から▲8.8と改善し、3か月先の業況見通しは2.5から▲6.4と悪化している。

 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比10.7%増、同11.4%増。3か月先の業況見通しDIは14.5から4.3となっている。製造業全体では前年同月比の生産額が9カ月連続してプラスであり、主力の電気機械のほか木材・木製品や一般機械においても前年同月比で大きな伸びを示している。このほか、輸送機械や精密機械が引き続き堅調に推移しているなど、県内製造業における生産額は着実に増加しており、持ち直しの動きが見られる。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比22.8%減、同6.0%増。3か月先の業況見通しDIは▲39.3から▲44.8となっており、手持ち工事も減少し、総じて厳しい経営環境が続いている。
 小売業では、前年同月比の売上高で3.4%の減。3カ月先の業況見通しDIは、0.0から▲20.0となっている。悪天候により客足が鈍かったほか、客単価は依然として低いままである。一方で、高価格帯の日本酒に動きも見られた。

 サービス業では、売上高は前年同月比3.1%の減。3カ月先の業況見通しDIは▲11.1から7.4となった。旅館・ホテルでは、インターネット予約やビジネス需要の宿泊が好調であったが、婚礼・宴会部門が引き続き不調であった。コンピュータ関連は合併による特需も一段落し、輸送部門では、燃料費の高騰などにより利益が圧迫されている。

製造業の動向

1 食料品

「酒造が低迷」

生産額は前年同月比5.3%の減。3か月先の業況見通しDIは▲10.0から▲20.0と悪化した。
 一部企業では、引き続き大手スーパーや複数の全国チェーンコンビニエンスストアとの取引があるものの、好調だった通信販売で伸び悩んでいる企業も見受けられた。
 酒造では、首都圏・関西圏向けの商品に動きが出ているものの、東北や県内での需要は依然として落ち込みが続くなど、厳しい状況である。
 なお、複数の企業において、燃料価格高騰のためコスト増となっているが、製品価格に転嫁できていない企業も多く見受けられる。

2 繊維・衣服

「春夏物の受注が安定」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.7%の減、同12.6%の増。3か月先の業況見通しDIは20.0から▲20.0と悪化している。
 各企業では、春夏物の製造がピークを迎え受注も安定しているが、デザインの複雑な製品が増えたため、ラインの切り替えに時間がかかり生産効率に落ち込みがあるなど、利益率が上がりにくい状況である。
 また、各社では、原油価格高騰による原材料や資材値上げのほか、光熱費が高騰しており、収益を圧迫している。

3 木材・木製品

「厳しさが残るものの生産額は着実に増加」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比11.4%の増、同9.2%の増となった。3か月先の業況見通しDIは先月と変わらず17.6となっている。
 全体としては、大雪の影響もあり、県内の新規住宅着工の動きが依然として鈍いほか、北洋材などの原材料費が高止まりするなどの影響が見受けられ、依然として厳しさが残っている。
 一方で、首都圏向けのフローリング材や厚物合板の需要が増えているほか、関西方面からの引き合いもあるなど、市場に動きも見られる。

4 鉄鋼・金属製品 

「官公需が不調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比19.7%の減、同21.1%の減。3か月先の業況見通しDIは12.5から0.0となった。
 受注超過でフル稼働が続く企業も多く見受けられるものの、全体としては官公需の不調や価格の落ち込み等の影響により、生産額が減少している。
 今後の受注を確保している企業も多いが、鋼材やコークス、希少金属をはじめとする金属価格の高止まりや燃料価格が依然として高騰を続けていることなどから、利益率を落としている企業も多い。

5 一般機械

「フル稼働状態が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比38.2%の増、同33.6%の増。3か月先の業況見通しDIは、40.0から36.4となった。
 自動車関連や航空機関連など、民需を中心に引き合いが途切れず、好調な受注状況が続いている。
 この先しばらくフル稼働が続く見込みの企業も多いことから、今後も堅調に推移すると考えられる。 

6 電気機械

「生産額が好調に推移」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比21.8%の増、同19.7%の増。3か月先の業況見通しDIは13.8から17.2となった。
 生産額は、前年同月比で9カ月連続のプラスが続いている。
 主力のコンデンサの受注が増加しているほか、液晶・光ファイバー・半導体関連部品などが伸びており、自動車や携帯電話向け部品などが好調であった。また、一部では、生産能力を上回り、他社へ製造を流している企業も見受けられた。
 なお、生産量(生産額)が上がっていても、製品価格の値引き要請や原材料価格の上昇等により利益が圧迫されている企業も多いが、品種構成の見直し、連続操業などにより利益率が改善に向かっている企業も見受けられる。

7 輸送機械

「堅調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.9%の増、同4.9%の増。3か月先の業況見通しDIは0.0のままである。
 各社共に、今後の受注見通しもあり、一部企業においては、フル稼働状態で従業員も増加しているものの、製造部品やそのグレード、車種によっては、コストダウンの影響や受注の大幅減少の見込みも出てきている。
 今後は、国内の新型車の売上動向や海外輸出用部品の動向が注目されるが、しばらくの間は受注残もあることから、堅調に推移すると思われる。

8 精密機械

「堅調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.4%の減、同1.0%の減。3か月先の業況見通しDIは25.0から4.2となった。
 時計関連は生産額が伸びており、医療機器関連については前年同月比でやや減少したものの、今後の受注も安定しており、堅調に推移している。
 計量器関係や光学レンズなどは、需要の伸び悩みによる生産調整、石油製品の値上がりや納品単価引き下げ要求のほか、工場の海外シフトなどの理由により厳しい状況が続いている。

建設業の動向

「厳しい状況が続く」

 受注額、完工高はそれぞれ前年同月比22.8%の減、同6.0%の増。3か月先の業況見通しDIは▲39.3から▲44.8となった。
 個人住宅に関しては、大雪の影響により着工に遅れが見られたものの、一部では上向きの傾向もあり、今後の動きに期待する向きもある。
 しかし、公共事業の減少による競争の激化により、各企業とも厳しい経営環境が続いている。
 今後、公共工事が減少する時期を迎え、手持ち工事が少なくなるとともに人員過剰となるため、全体としては厳しい状態が続くものと考えられる。

小売業の動向

1 衣料品

「悪天候により伸び悩み」

 売上高は前年同月比3.6%の増。3か月先の業況見通しDIは23.1から▲35.7となっている。
 全体ではプラスを維持したものの、悪天候が続いたため客足が鈍り、一部で売り上げに伸び悩みが見られた。
 婦人服の春物やインポート品などに動きが見られたほか、インターネット販売により大幅に売り上げが伸びている企業も見受けられる。

2 身回品

「客単価の低下続く」

 売上高は前年同月比6.3%の減。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲15.4となった。
 全般的に、大雪により客足が遠のいた先月に比べると、それほど大きな落ち込みは見られないものの、客単価については依然として低いままで推移している。
 ホームセンターでは、低温続きで肥料等は出足が鈍いものの、農作業器具などが堅調のほか、木材等建築資材にも動きが出始めている。

3 飲食料品

「底堅く推移」

 売上高は前年同月比3.8%の減。3か月先の業況見通しDIは▲17.6から▲33.3となっている。
 客単価は低下しているものの、全体的には堅調に推移している。また、酒税法改正による買い控え等の影響はそれほど見られず、高価格帯の日本酒に動きが見られる。
 原油高や異常気象の影響などにより、包装資材や野菜の高値が続き、利益を圧迫している。

4 家電品

「薄型テレビが堅調に推移」

 売上高は前年同月比7.1%の減。3か月先の業況見通しDIは0.0から20.0となっている。
 値下げ競争等による商品単価の下落により、各企業とも利益が圧迫されている。
 白物家電も進学・就職シーズンにもかかわらず動きが鈍く、薄型テレビのみが動いている状況。
 各企業では、4月の新商品の出揃いや、サッカーワールドカップに伴う需要増に期待を寄せている。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル

「インターネットによる宿泊予約が好調」

 売上高は前年同月比7.6%の減。3か月先の業況見通しDIは、0.0から6.7となった。
 一部企業では、インターネット予約やビジネス需要が好調で、宿泊部門に売上の増加が見られたものの、各社とも婚礼部門や宴会部門が低調で、全体的に売上が伸び悩んでおり、利益確保が難しくなっている。

2 その他サービス

「堅調に推移」

 売上高は前年同月比0.1%の増。3か月先の業況見通しDIは▲23.1から8.3となった。
 コンピューター関係では、一部企業で新規案件が増加し、技術者が不足しているものの、各社とも合併に係る受注が一段落し、今後は、ソフト関連の受注や保守契約に期待を寄せている。
 運送部門では、赤字部門の切り捨て等の営業努力をしているものの、燃料価格の高騰などにより利益が圧迫されている企業も多い。

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