平成19年3月12日

産業経済政策課

概況

県内経済は、一部に依然として厳しさが残り、電気機械においては一服感があるものの、全体としては引き続き回復の基調が続いている。

  •  製 造 業  :一部に製品単価の下落や生産調整が見られるものの、概ね好調な生産活動が続いている
  •  建 設 業  :工事量が減少し厳しい状況が続いている
  •  小 売 業  :家電は堅調に推移するも、暖冬の影響により総じて売り上げが減少
  •  サービス業  :宿泊、旅客が不調も、貨物や保険が好調 

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲14.2から▲29.9となり、現在の資金繰りは▲14.8から▲18.5、3か月先の業況見通しは▲17.4から▲9.6となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.6%増、同2.0%増。3か月先の業況見通しDIは▲8.2から▲4.6となっている。主力の電気機械は、堅調に推移している中で一部に価格競争や生産調整による影響が見られるものの、輸送機械では、新規受注獲得により生産額が大幅に増加している企業や海外向け製品が好調で計画生産量を上回っている企業があるなど、好調に推移している。その他、木材・木製品、鉄鋼・金属製品、精密機械などにおいて生産額が前年同月を上回っており、総じて好調な生産活動が続いている。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比32.0%減、同9.1%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲50.0から▲68.8となった。公共工事の減少は依然として続いており、受注確保のための競争が益々激化する中で、各社とも利益確保が困難となっている。民間工事についても1件当たりの金額が減少傾向にあるなど、業界全体として厳しい状況が続いている。

小売業では、前年同月比の売上高で2.6%の減、3カ月先の業況見通しDIは、▲22.6から▲25.8となった。家電品は、白物家電や薄型テレビ、携帯電話等を中心に高価格帯商品にも動きが見られたが、暖冬のため主力の暖房機器が伸び悩んだ。また、衣料品、身回品、食料品においても、暖冬の影響により冬物商品の販売が不調であり、競合店との価格競争なども相まって厳しい状況が続いている。

サービス業では、売上高は前年同月比2.4%の減、3カ月先の業況見通しDIは▲21.7から0.0となった。旅館・ホテルにおいては、宿泊客数や婚礼組数の減少により厳しい状況となっているほか、旅客に関しても、客数の減少により厳しい状況が続いている。一方、貨物や保険、ソフトウェア関係は引き続き堅調に推移している。また、暖冬で客足が伸びたことにより道の駅等の飲食施設は概ね好調であった。

製造業の動向

食料品

「多くの企業で苦戦が続く」

生産額は前年同月比10.4%の減、3か月先の業況見通しDIは▲28.6で前月と同じである。

取引先の新規開拓が進んでいる一部の企業を除き、多くの企業では前年同月比で生産額の減少が続いており、依然として厳しい状況であるが、新商品を開発するなどの積極的な動きも出はじめている。

酒造では、県外向けの出荷が概ね順調であるものの県内需要が依然として低調であり、飲食店での消費量も減少しているなど、業界全体が厳しい状況におかれている。 

繊維・衣服

「横ばいの状況が続く」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比20.4%の減、同9.9%の減。3か月先の業況見通しDIは57.1から42.9となった。

受注が好調な企業も一部で見られるが、全体の生産額は対前年同月比で3ヶ月連続で減となっており、業界全体として横ばいの状況が続いている。こうした中、従業員教育に力を入れたことにより生産効率の向上に繋がっている企業も見られる。

木材・木製品

「合板や輸入材に品薄感」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比25.5%の増、同23.7%の増となった。3か月先の業況見通しDIは▲16.7から25.0となった。

首都圏を中心とした建設需要により、特に合板や板材などで好調な生産活動が続いている。また、外国産材の輸入量減少により原材料が不足しており、資材単価の値上がりを見込んだ駆け込み需要も見られる。

公共事業の減少による影響を懸念する企業も見受けられるものの、引き続き県外向けの需要が見込まれることから、今後も好調な生産が続くものと思われる。

鉄鋼・金属製品 

「原材料価格が高止まりを続けているが、好調な生産を維持」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比20.6%の増、同16.4%の増。3か月先の業況見通しDIは▲27.3から0.0となった。

原材料価格の高止まりやメーカーの在庫調整の影響などにより、先行きに懸念を示す企業も見受けられるが、建具関係や電子部品関係の企業ではフル稼働状態となっているほか、全体として好調な生産活動が続いている。

一般機械

「生産品目により業況にバラツキが出始める」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比8.5%の減、同9.6%の減。3か月先の業況見通しDIは、▲25.0から12.5となった。

生産額は前年同月比で11ヶ月ぶりに減少となった。首都圏における景気回復の影響でフル生産が続いている企業もある中で、在庫調整により生産額が減少している企業もあるなど、生産品目により業況にバラツキが出始めている。

また、鋼材などの原材料価格は依然として高値で安定しており、各社とも利益が圧迫される状況が続いているものの、中には価格転嫁により利益を確保している企業も見受けられる。  

電気機械

「堅調な生産が続くも、生産品目により好不調が分かれる」

生産額、受注額は、それぞれ前年同月比2.4%の減、同2.3%の減。3か月先の業況見通しDIは5.0から▲4.8となった。

主力のコンデンサを中心に、携帯電話、産業用機械、家電、車載用の部品などが引き続き好調を維持しているものの、光ファイバー関係や液晶などが価格競争や在庫調整などのため大きく落ち込んだことなどにより、全体の生産額は対前年同月比で再びマイナスに転じた。

総じて堅調な生産活動が続いているが、生産品目の違いにより業況が分かれる結果となっている。

輸送機械

「取引メーカーにより業況が分かれる」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.0%の増、同1.0%の減となり、3か月先の業況見通しDIは0.0から16.7となった。

軽自動車や北米・ヨーロッパ向けの部品等が引き続き好調であり、関係企業では好調な生産活動が続いている。

一方で、取引メーカーからの受注減少により依然として生産額が前年同月を下回っている企業や、系列により親会社以外からの受注を制限されている企業もあるなど、企業により業況が分かれる結果となっている。

精密機械

「光学部品や医療機器関連の生産が堅調に推移」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.7%の増、同14.1%の増。3か月先の業況見通しDIは▲14.3から14.3となった。

光学ガラスについては、デジタルカメラ関係部品の受注が好調なことから引き続き高操業が続いているほか、計量器関係でも業務用の引き合いが多かった。また、医療機器関連でも安定した生産が行われている。

価格競争により生産拠点の海外移転を検討している企業も見受けられる中で、全体としては好調な生産活動が続いている。

建設業の動向

「業界全体として厳しい状況が続いている」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比32.0%の減、同9.1%の減。3か月先の業況見通しDIは▲50.0から▲68.8となっている。

公共工事の減少は依然として続いており、受注確保のための競争が益々激化する中で、各社とも利益確保が困難となっている。民間工事についても1件当たりの金額が減少傾向にあるなど、業界全体として厳しい状況が続いている。

なお、暖冬により各社とも除雪コストが削減できているほか、工事の作業効率も良くなっている。一方で、例年通り除雪作業の受注を見込んでいた企業にとっては厳しい状況となっている。

小売業の動向

衣料品

「暖冬の影響で冬物の売り上げが伸びず苦戦」

売上高は前年同月比3.5%の減。3か月先の業況見通しDIは▲37.5から0.0となった。

暖冬の影響で客足自体は伸びたものの、利幅の大きなコート類をはじめとした冬物衣料が伸び悩んだため、客単価が低下している。また、仕入れ単価上昇の影響で利益率が悪化している企業もあるなど、厳しい状況が続いている。  

身回品

「暖冬の影響で冬物商品の販売が不調」

売上高は前年同月比4.4%の減。3か月先の業況見通しDIは▲28.6から▲57.1となった。

暖冬の影響のため、暖房用品や除雪器具など冬物商品の販売が不調であったが、建設資材関係には動きが見られた。また、時計や貴金属などの高額商品にも動きが見られた。

各社とも競合店の増加などにより、客足の分散化が続いているうえに、季節商品が伸び悩んでおり、売り上げが回復しない厳しい状況が続いている。  

飲食料品

「競合店が多く、激しい競争が続く」

売上高は前年同月比2.6%の減。3か月先の業況見通しDIは▲8.3から▲33.3となった。

暖冬の影響で鍋物関係の売り上げが伸びなかったほか、清酒をはじめとした酒類販売も低迷している状況である。

多くの企業では、競合店との価格競争により苦戦を強いられており、客足は増えても客単価は低下しているなど、厳しい状況が続いている。  

家電品

「暖冬のため暖房機器が不調」

売上高は前年同月比0.2%の減。3か月先の業況見通しDIは▲25.0から0.0となった。

売り上げが前年比で若干の減となっているが、白物家電や薄型テレビ、携帯電話、新型ゲーム機などが好調で、高額商品にも動きが見られた。一方、この時期主力の暖房機器については、暖冬のため売り上げが落ち込んでおり、客足は伸びているものの客単価は下がっている状況である。客足の分散化や、競合店の増加に伴う激しい価格競争により、各社とも利益確保に苦心している。

サービス業の動向

旅館・ホテル

「厳しい状況が続く」

売上高は前年同月比10.6%の減。3か月先の業況見通しDIは、▲50.0から▲14.3となった。

宿泊部門では、都市部を中心とした競争激化と宿泊客数の減少により、多くの企業では稼働率が低下しているが、独自の旅行商品や旅行エージェントとのタイアップなどにより客足が回復した企業も見られた。

また、利幅の大きい婚礼部門は依然として低調であり、厳しい状況におかれている企業が多い。

その他サービス

「好不調が分かれる」

売上高は前年同月比3.8%の増。3か月先の業況見通しDIは22.2で前月と同じである。

運送では、貨物関係が需要増加などにより堅調に推移しているが、燃料費は依然として高い水準にあり利益が圧迫されている。また、旅客関係では客足の減少により厳しい状況が続いている。

保険関係は、住宅関連商品需要により好調を維持しているほか、ソフトウェア関係も堅調に推移している。

また、飲食関係では、道の駅等で暖冬の影響により立ち寄り客が増加し、売り上げを伸ばしている。

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