平成18年10月12日 産業経済政策課

概況 

県内経済は、一部に依然として厳しさが残るものの、緩やかに回復している。

製造業:電気機械を中心にほとんどの業種で好調な生産活動
建設業:工事量が減少し受注競争が激化
小売業:夏物商品に動きが見られたが総じて伸び悩み
サービス業:旅行関係が不調も貨物や保険が引き続き堅調

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲0.6から5.1となり、現在の資金繰りは▲10.1から▲3.8、3か月先の業況見通しは▲3.2から▲12.7となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.3%増、同11.7%増。3か月先の業況見通しDIは3.4から▲11.5となっている。製造業全体では、前年同月比の生産額が14カ月連続してプラスであり、主力の電気機械において好調を維持しているほか、木材・木製品、鉄鋼・金属製品、一般機械、輸送機械など、ほとんどの業種において前年同月を上回る生産活動が続いている。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比173.5%増、同45.4%増となった。3か月先の業況見通しDIは▲18.8から▲37.5となっている。受注額、完工高とも前年同月比で大幅増となっているものの、依然として公共工事は減少を続けており、激しい受注競争の中で各社とも利益確保に苦心している。企業間格差は拡大しており、特に公共工事を主体とする企業の中には、先の見通しが立たないとする企業もあり、厳しい経営環境が続いている。

小売業では、前年同月比の売上高で0.4%の減。3カ月先の業況見通しDIは、▲16.1から▲9.7となっている。長引く梅雨と低温から一転して猛暑となり、夏物衣料や生鮮食品、エアコンや白物家電等に動きが見られた。一方で、客単価の低下や客足が遠のき売上が減少を続けている企業も多く、競合店の増加や燃料価格の高騰などにより厳しい経営が続いている。

サービス業では、売上高は前年同月比3.1%の減、3カ月先の業況見通しDIは前月と同じ0.0である。旅館・ホテルでは、夏祭りの時期であったが、宿泊部門は苦戦する企業も多かった。また、主力の婚礼部門が引き続き低調であった。コンピュータ関連は、一部県外からの受注が増えているものの、県内からの受注やハードウェア関連が低調に推移した。輸送では、旅客部門は低調であったが、貨物部門は堅調であった。また、保険は住宅関連商品が引き続き好調であった。各社とも、燃料高騰により経費が増加し利益確保に苦心している。

製造業の動向

1 食料品

「例年以上の暑さで需要が減少」

生産額は前年同月比10.6%の減。3か月先の業況見通しDIは7.1で前月と同じである。

マスメディアの効果で売上が増加した企業や、新規の取引先を開拓した企業もあるが、暑さの影響や贈答品の動きが鈍かったことなどにより、多くの企業で生産額が減少している。一方、スープ、ジュース類については概ね好調であった。

酒造では、季節的な要因から清酒の需要が落ち込む時期であるが、今夏は例年以上の暑さが続いたことから各社とも生産額が減少している。県外需要は首都圏を中心に好調を維持しているものの、県内需要は依然として低調であり、総じて厳しい状況が続いている。

2 繊維・衣服

「首都圏からの受注が増加傾向」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.8%の増、同2.0%の増。3か月先の業況見通しDIは12.5から▲62.5となった。

首都圏からの受注が増加しているなど、好調な生産を続けている企業も複数見受けられ、生産額・受注額も前年同月を上回った。

一方で、各社とも一定の受注量は確保できているものの、多工程による生産効率の悪化や燃料高騰の影響により、利益確保が困難な状況が続いている。

3 木材・木製品

「依然首都圏向け合板が好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比17.6%の増、同23.0%の増となった。3か月先の業況見通しDIは▲41.7から▲58.3となった。

 首都圏を中心として住宅需要が伸びており、また、合板の輸入量が減少していることもあって、国内産の合板が不足気味であり、各社ともフル生産状態が続いている。

 一般製材については、動きが鈍くロットも小さいため、売上確保に苦心している企業も多い。また、原材料価格や燃料の高騰により各社とも利益を圧迫されている。

4 鉄鋼・金属製品 

「好調な生産が続く」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比35.8%の増、同11.2%の増。3か月先の業況見通しDIは33.3から16.7となった。

首都圏などの建築需要に伴い、建具関係部品がフル生産であるほか、家電や携帯電話部品、半導体関係についても各市場の好調を受けて引き続き順調な生産を続けている。

また、これまで取引先の生産調整や在庫調整により影響を受けていた複数の企業では、他メーカーの生産拡大や、在庫調整が終了する見通しであることなどにより、安定した推移を見込んでいる。

5 一般機械

「好調を維持も原材料価格高騰が利益を圧迫」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.2%の増、同25.6%の増。3か月先の業況見通しDIは、42.9から0.0となった。

 引き続き工場設備関係や航空機関系、自動車関係などにおいて首都圏を中心として引き合いが多く、フル生産が続いている企業もあるなど、好調を維持している。

 各社とも生産額や受注額が概ね順調に推移している一方で、非鉄金属や鋼材など原材料価格の高止まりにより利益が圧迫されている。

6 電気機械

「好調に推移も企業間に格差」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比12.2%の増、同9.1%の増。3か月先の業況見通しDIは▲4.8から▲25.0となった。

 生産額は、前年同月比で14カ月連続のプラスが続いている。

 主力のコンデンサを中心に、携帯電話、産業用機械、半導体関連、車載用の部品などが依然として好調に推移している。

 一方で、液晶関係は海外との激しい価格競争にさらされている中で、今後の売値の低下により生産額の減少が見込まれているほか、コンデンサについてもメーカーにより好不調があるなど、業界全体としては好調を維持しているものの、企業間に格差が見受けられるようになってきた。

 なお、燃料・原材料価格の高騰により利益が圧迫されている企業も多い。

7 輸送機械

「今後も順調に推移する見込み」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比15.0%の増、同12.8%の増となり、3か月先の業況見通しDIは16.7から50.0となった。

 一部メーカー関係は依然として不調であるものの、新たな部品の取引を開始した企業、海外からの需要により生産額を増加させている企業など、総じて好調であり、前月に引き続き生産額が前年同月比でプラスとなった。

 なお、利益の確保のため生産規模を縮小する企業もあるものの、モデルチェンジを控えて増産を計画している企業をはじめ、多くの企業では今後も順調に推移していくものと見ている。

8 精密機械

「光学部品や医療機器関連が好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.5%の増、同17.3%の増。3か月先の業況見通しDIは▲14.3から14.3となった。

 自動車用部品や携帯電話用部品の受注が増加してきているほか、光学ガラスについては、大手メーカーからの受注が急激な増加を続けており、フル稼働状態が続いている。また、医療機器関連も受注が安定しており、今後の見通しは明るい。

 各社とも、燃料費や原材料価格の高騰により利益が圧迫されているものの、ここに来て原材料価格の上昇傾向が沈静化し、利益が回復してきている企業も見受けられる。

建設業の動向

「厳しい状況が続く」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比173.5%の増、同45.4%の増。3か月先の業況見通しDIは▲18.8から▲37.5となった。

受注額、完工高とも前年同月比で大幅増となっているものの、依然として公共工事は減少を続けており、激しい受注競争の中で各社とも利益確保に苦心している。

また、首都圏や仙台市周辺においては民間需要が高まってきているものの、1件当たりの発注額は減少傾向にある。

企業間格差は拡大しており、特に公共工事を主体とする企業の中には、先の見通しが立たないとする企業もあり、厳しい経営環境が続いている。

小売業の動向

1 衣料品

「夏物衣料に動きも秋物が低調」

売上高は前年同月比10.3%の減。3か月先の業況見通しDIは▲12.5から37.5となった。

梅雨が長引き低温が続いた先月とは一転して猛暑となり、夏物衣料に動きがあった。しかし、単価が低くい商品が多く、売上の増加には繋がらなかった。

また、一部企業を除いて秋物衣料については動きが鈍かった。

一部企業では、不採算店舗を閉店するなど、各社とも売上減少が続いており、厳しい経営環境に置かれている。

2 身回品

「客足の減少が続く」

売上高は前年同月比8.7%の減。3か月先の業況見通しDIは▲42.9から▲57.1となった。

猛暑が続いたため、一部夏物商品に動きがあったものの、アウトドア関連商品については、企業により売れ行きに差が出た。

また、資材関係や園芸用品、手芸用品は総じて伸び悩んでいる。

各社とも、競合店の増加などによる客足の減少が続く中で、燃料高騰による仕入れ価格の上昇や光熱費の増加により厳しい状況が続いている。

3 飲食料品

「回復の兆しがみられるも厳しい状況が続く」

 売上高は前年同月比1.2%の増。3か月先の業況見通しDIは▲16.7から▲41.7となっている。

 例年以上の暑さにより、一部企業では日配品や飲料水、生鮮食品が好調で、客数、客単価共に引き続き前年を上回ったほか、高価な商品の売れ行きが好調な企業、客足が戻ってきた企業も見受けられた。

 一方で、前年同月比で売上の減少が続いている企業も多く、一部に回復の兆しがみられるものの、厳しい状況が続いている。

4 家電品

「デジタル家電が不調もエアコンや白物家電が好調」

売上高は前年同月比3.6%の減。3か月先の業況見通しDIは25.0から75.0となった。

暑い日が続いたこともあり、この時期主力のエアコンや白物家電が好調であったが、薄型テレビやパソコンなどは動きが鈍かった。

各社とも、今後の暖房商品のほか、地上波デジタル放送の民放2局開局や携帯電話のナンバーポータビリティ制に伴う動きに期待している。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル

「婚礼部門の低調が続き利益確保に苦心」

売上高は前年同月比3.9%の減。3か月先の業況見通しDIは、0.0から▲7.1となった。

婚礼部門は、引き続き婚礼組数が減少し、客単価も低下傾向にあり、総じて厳しい状況が続いている。

宿泊部門では、インターネット利用の個人客増加や少人数対応の独自企画が好評な企業が見受けられたが、夏祭りの時期を迎えて前半は好調だったものの後半に伸び悩んだ企業、全体的に不調な企業も複数見受けられた。

宴会部門では、地域によって好不況が分かれる結果となった。

各社とも、主力の婚礼部門において今後の売上増加が見込めず、厳しい経営環境に置かれている。

2 その他サービス

「貨物、保険が堅調」

売上高は前年同月比2.4%の減。3か月先の業況見通しDIは0.0で前月と同じである。

コンピューター関連では、ソフトウェアに関しては企業間格差が見られ、好調な企業では、県外からの受注が年度内一杯あり、人材も不足気味である。また、ハードウェアに関しては大口の案件も無く、総じて低調であった。

運送では、旅客部門が依然として前年の売り上げを下回っている。貨物部門は堅調に推移しているものの、燃料高騰による経費増のため利益が圧迫されている。

保険は堅調な推移で、特に住宅関連商品が引き続き好調であった。

飲食関係では、屋内は不調であったものの、屋外での売上が好調であった。

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