平成18年9月8日 産業経済政策課

概況

県内経済は、一部に依然として厳しさが残るものの、緩やかに回復している。

  • 製造業:電気機械を中心に好調を維持
  • 建設業:工事量が減少し受注競争が激化
  • 小売業:長引く梅雨と低温により夏物商品が苦戦
  • サービス業:宿泊、貨物、保険が好調

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲3.2から▲0.6となった。現在の資金繰りは▲9.7から▲10.1、3か月先の業況見通しは▲7.1から▲3.2となっている。

製造業では、生産額、受注額とも前年同月比12.2%増。3か月先の業況見通しDIは9.4から3.4となっている。製造業全体では、前年同月比の生産額が13カ月連続してプラスであり、主力の電気機械における力強い推移のほか、木材・木製品、鉄鋼・金属製品、一般機械など多くの業種において前年同月を上回る生産が続いている。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比22.0%減、同3.0%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲37.5から▲18.8となっている。首都圏や仙台市周辺においては民間需要が高まってきているが、県内需要は依然として低迷を続けている。とりわけ、県内の公共工事は発注量の減少が続き、激しい受注競争により各社とも厳しい経営を強いられている。

小売業では、前年同月比の売上高で2.3%の減。3カ月先の業況見通しDIは、▲26.7から▲16.1となっている。長引く梅雨と低温の影響により、この時期主力の夏物商品は総じて低調であったが、家電に関しては、デジタル家電が堅調であったため、前年同月と同程度の売上を確保している。多くの企業では、競合店の増加や燃料価格の高騰などにより厳しい経営が続いている。

サービス業では、売上高は前年同月比2.3%の増、3カ月先の業況見通しDIは▲21.7から0.0となった。旅館・ホテルでは、婚礼部門が一部を除いて引き続き低調であったが、宿泊部門は概ね好調であった。コンピュータ関連は、県内からの受注が減少している。輸送では、旅客部門は低調であったが、貨物部門は好調を維持している。また、保険は住宅関連商品が好調であった。

製造業の動向

1 食料品

 「贈答品が伸び悩み」

生産額は前年同月比7.2%の減。3か月先の業況見通しDIは▲7.1から7.1となった。

季節物の業務用商品が好調な企業もあったが、各社が期待していたギフト関係については、長雨の影響等により期待した程の動きは見られなかった。

酒造では、季節的な要因から需要が減少している。県外需要は首都圏を中心に好調さを維持しているが、県内需要は依然として低調であり、厳しい状況に変わりはない。

2 繊維・衣服

「秋冬物がメインに」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比8.5%の減、同18.5%の減。3か月先の業況見通しDIは25.0から 12.5となった。

秋冬物がメインとなり、生産額が例年並みに回復した企業もある一方で、メーカー側の生産調整により生産額が減少している企業や新製品が複雑な作業工程のため生産量が伸びなかった企業も見受けられ、また、利益率の低い仕事も多く、厳しい状況が続いている。

3 木材・木製品

「引き続き首都圏向け合板に動き」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.0%の増、同17.1%の増となった。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲41.7となった。

 首都圏を中心とした住宅需要の伸びと輸入合板の減少により、厚物合板や板材の出荷が好調を維持しており、フル生産状態が続いているが、原材料価格や燃料の高騰により利益を圧迫されている企業も多い。

 合板に関しては、この先もしばらくフル生産状態が続くものと思われる。

4 鉄鋼・金属製品 

「一部で生産調整も好調を維持」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.8%の増、同14.3%の減。3か月先の業況見通しDIは▲16.7から33.3となった。

一部企業では、在庫調整により受注が減少しているほか、鋼材等原材料の高止まりや燃料価格の高騰により利益を圧迫されている企業も多く、各社とも利益確保に苦心している。

一方で、高価な建具関係の部品がフル生産状態であるほか、家電や携帯電話、半導体関連については引き続き好調を維持しており、下期を悲観する企業もある中で、この先しばらくこのまま推移すると見る企業も多い。

5 一般機械

「好調を維持」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.6%の増、同17.2%の増。3か月先の業況見通しDIは、14.3から42.9となった。

 工場設備関係や航空機関系、自動車関係などにおいては先の引き合いも多く、フル生産状態の企業もあるなど、多くの企業で好調を維持している。

 総じて、各社とも生産額や受注額をほぼ順調に伸ばしてきており、今後も好調を維持していくものと思われるが、燃料価格や原材料価格の高止まりによる利益の圧迫が懸念される。

6 電気機械

「海外需要にも支えられ力強い推移」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比17.1%の増、同19.9%の増。3か月先の業況見通しDIは9.5から▲4.8となった。

 生産額は、前年同月比で13カ月連続のプラスが続いている。

 主力のコンデンサを中心に、テレビや携帯電話、産業機械、半導体関連の部品が依然として力強い推移を続けており、国内需要のみでなく、旺盛な海外需要にも支えられ好調を維持している。

 業界全体としては引き続き拡大基調であるが、燃料・原材料価格の高騰により利益が圧迫されている企業も多い。

7 輸送機械

「4ヶ月ぶりに生産額が前年同月比でプラス」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.6%の増、同4.4%の減となり、3か月先の業況見通しDIは50.0から16.7となった。

 引き続き一部メーカーの不調の影響は見られるものの、他メーカーからの受注が伸びている企業、新たな部品の受注をした企業も複数あるなど、4ヶ月ぶりに前年同月比で生産額がプラスとなった。

 利益の確保のため生産規模を縮小する企業もある中で、多くの企業では今後の増産を見込んでおり、全体的には順調に推移していくものと思われる。

8 精密機械

「国外向けデジタルカメラ部品が好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.8%の増、同14.1%の増。3か月先の業況見通しDIは50.0から▲14.3となった。

 精密部品関係は受注過多で生産が追いつかない状態であるほか、光学ガラスについては国外向けのデジタルカメラの部品が好調でフル稼働状態である。また、医療機器関連も受注が順調に増加しており、見通しは明るい。

 各社とも、燃料費や原材料価格の高騰により利益が圧迫されており、生産は好調ではあるが厳しい状況が続いている。

建設業の動向

「厳しい状況が続く」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比22.0%の減、同3.0%の減。3か月先の業況見通しDIは▲37.5から▲18.8となった。

首都圏や仙台市周辺においては民間需要が高まってきているが、県内需要は依然として低迷を続けている。とりわけ、県内の公共工事は発注量の減少が続き、激しい受注競争により各社とも厳しい経営を強いられている。

このため、常時見通しが立たないとする企業もあり、業界全体として厳しい状況が続いている。

小売業の動向

1 衣料品

「低温で夏物衣料が低調」

売上高は前年同月比8.4%の減。3か月先の業況見通しDIは▲12.5で前月と同じである。

梅雨が長引き低温が続いたこともあり、夏物衣料は総じて低調であった。また、今月はボーナス商戦の時期でもあったが、特に目立った動きは見られなかった。

一部企業では、見直しにより不採算店舗を閉店するなど、各社とも厳しい経営環境に置かれている。

2 身回品

「低温により夏物商品が苦戦」

売上高は前年同月比6.6%の減。3か月先の業況見通しDIは▲71.4から▲42.9となった。

時計や眼鏡などに関しては堅調なものの、月の中頃までは低温や日照不足の影響により、アウトドア関連商品や夏物商品などの季節商品、園芸品を中心に売り上げの落ち込みが激しかった。

また、燃料高騰による仕入れ価格の上昇により、今後の価格転嫁を余儀なくされている企業もあるなど、厳しい状況が続いている。

3 飲食料品

「天候不順により伸び悩み」

 売上高は前年同月比1.5%の減。3か月先の業況見通しDIは▲27.3から▲16.7となっている。

 一部企業では、生鮮食品が好調で、客数、客単価共に引き続き前年を上回っているものの、多くの企業では天候不順や競合店との競争などにより客数が減少している。

 また、酒類関係は贈答品のシーズンであるが、天候不順の影響が大きく、伸び悩みが見られた。

4 家電品

「梅雨明けが遅く主力商品が苦戦」

売上高は前年同月比0.1%の増。3か月先の業況見通しDIは0.0から25.0となった。

この時期主力のエアコンや扇風機、冷蔵庫については、梅雨が長引き低温が続いたため売れ行きが悪かった。

また、好調を維持していたデジタル家電は、薄型テレビが概ね堅調であった。今後、地上波デジタル放送の民放2局開局に伴う動きが期待されている。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル

「婚礼部門に厳しさ残るも宿泊部門が概ね順調」

売上高は前年同月比2.0%の増。3か月先の業況見通しDIは、▲35.7から0.0となった。

婚礼部門は、客単価の上昇などにより好調な企業もあるものの、全体としては婚礼組数は減少し、客単価も低下傾向にあることなどから、厳しい状況が続いている。

宿泊部門では、価格競争により単価が低下傾向にあるものの、団体客の利用増加が見られるなど概ね順調であった。

宴会部門では、地域によって好不況が分かれる結果となった。

2 その他サービス

「貨物、保険が好調」

売上高は前年同月比2.7%の増。3か月先の業況見通しDIは0.0で前月と同じである。

コンピューター関連では、県外からの受注が多く慢性的な技術者不足の企業もあるが、総じてハード・ソフトともに県内の仕事が減少しており伸び悩んでいる状況である。

運送では、旅客部門が依然として前年の売り上げを下回っている。貨物部門では、輸出入に係る貨物に動きが見られるなど、売上も増加傾向にあるが、燃料高騰による経費増のため利益が圧迫されている。

保険は堅調な推移で、特に住宅関連商品が好調であった。

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