平成18年1月31日 産業経済政策課

概況 

 県内経済は、総じて横ばいの中で推移しているが、電気機械を中心とした県内の主要製造業で生産額が着実に増加している。

  • 製造業:電気機械を中心に生産増加が続く
  • 建設業:厳しい状況が続くものの、除雪はフル稼働状態。
  • 小売業:大雪で客足遠のく。
  • サービス業:燃料価格の高騰が利益を圧迫している 

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲2.6から▲14.0、現在の資金繰りは▲9.8から▲12.8、3か月先の業況見通しは▲23.1から▲17.1となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比10.7%増、同10.0%増。3か月先の業況見通しDIは▲18.6から▲12.2となっている。製造業全体では前年同月比の生産額が6カ月連続してプラスであるが、主力の電気機械が前年比同月比で大きな伸びを示していることが理由である。また、鉄鋼金属や輸送機械では引き続き好調に推移している。一方、木材・木製品では、生産調整を行っているほか、食料品でも厳しい状況が続いている。製造業では、除雪以外の大雪による目立った影響は今のところ出ていない。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比11.3%減、同27.4%増。3か月先の業況見通しDIは▲60.0から▲48.3となっており、総じて厳しい経営環境が続いている。地方公共団体から除雪業務を請け負っている企業では、連日フル稼働で除雪対応に追われている一方、各工事現場では降雪による工事の影響等が出ている。

小売業では、前年同月比の売上高で0.7%の減。3カ月先の業況見通しDIは、▲14.0から▲13.7となっている。 今月は、大雪による農産物の価格高騰などが見受けられたほか、各小売店で客足が遠のくなど、記録的な大雪により小売業への影響が多々見受けられた。

サービス業では、売上高は前年同月比2.7%の減。3カ月先の業況見通しDIは▲22.2から▲15.4となった。

旅館・ホテルでは、大雪の影響による宿泊客のキャンセルが見受けられたほか、原油価格高騰の影響から光熱費の増大が利益を圧迫している。輸送部門では、燃料費の高騰が利益を圧迫しているほか、大雪による遅延や路面悪化による事故等の影響が出ている。

製造業の動向

1 食料品

「冬物商品に動き」

生産額は前年同月比0.4%の減。3か月先の業況見通しDIは▲40.0から▲45.0となった。

全体としては、底堅く推移しているが、季節的要因と記録的な寒さが続いていることから、お歳暮などのギフト用品や鍋物関連製品に動きが出ている。

また、酒造では、本格的な需要期を迎え、首都圏向けの商品で動きが出ている。特に首都圏ではワンカップの売上が伸びているとのことであるが、本県企業の動きは依然として鈍い状況である。

2 繊維・衣服

「一部企業で冬物の製造を再開」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.9%の増、同1.9%の増。3か月先の業況見通しDIは6.7から20.0となっている。

「暖冬」との予報があったことから、メーカーは供給(生産)量を押さえ、春物製造を始めていたが、(寒さの影響から)一転して、一部企業では冬物の受注が舞い込むなど明るい話題が見受けられる。

通常、この時期は閑散期であるが、市場は、記録的な寒さが続く影響で活況である。

原油価格高騰により、原材料や資材、運送費の値上げに加え、光熱費が高騰しており、収益を圧迫している。

3 木材・木製品

「原材料の値上がり続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.6%の減、同4.0%の減となり、10ヶ月連続で生産額の減少となった。3か月先の業況見通しDIは▲29.4から▲11.8となっている。県内の新規住宅着工は、依然動きが鈍く、加えて原材料費の高騰など複合的要素による影響が見受けられる。

 また、記録的な寒さのため、乾燥材の製造効率が落ちているほか、原材料の凍結による加工効率の低下など大雪の影響も見受けられる。なお、木材・木製品製造業では、乾燥材生産や運搬(フォークリフトなど)に様々な機械を使用するが、いずれも燃料価格高騰の影響を受けており、その影響は大きい。

4 鉄鋼・金属製品

「首都圏向け建設鋼材に動きが見られる」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比27.3%の増、同35.5%の増。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲5.9となった。

一部企業では受注超過の状況が続いているほか、フル稼働が続く企業も見受けられる。

鋼材やコークス、希少金属をはじめとする金属価格の高止まりや燃料価格が依然として高騰を続けていることから、価格への転嫁が出来ない企業は、利益を圧迫されている。

一部企業では、大雪により製造行程、輸送行程等の変更を余儀なくされたが、現段階では大きな影響は出ていない。

5 一般機械

「納期等の関係で生産額ベースでは前年同月比でマイナスに転じる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.0%の減、同8.3%の増。3か月先の業況見通しDIは、▲18.2から▲10.0となった。

 自動車関連や航空機関連など民需を中心に好調な受注状況であるが、納期などの関係から生産額ベースでは、前年同月比でマイナスとなっている。

 一部企業では、(市場で品薄により)原材料の調達が大幅に遅れていることから慢性的な受注残があり最大半年待ちの状況であるほか、多くの企業が受注残を抱えていることから、今後も堅調に推移すると考えられる。

6 電気機械

「生産額が好調に推移」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比14.4%の増、同9.8%の増。3か月先の業況見通しDIは▲20.7から▲10.3となった。

 生産額は、前年同月比で6カ月連続プラスに転じている。

 受注状況を見ると、主力のコンデンサの受注が増加しているほか、光ファーバー・半導体関連部品が伸びており、一部企業では、生産能力を上回る受注を受けている。

 なお、好況の背景では、韓国や中国製品の激しい価格競争があるほか、大手メーカーの設備投資に合わせた動きなども見受けられる。

 今後の動向については先行きが見えない状況である。

7 輸送機械

「堅調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.8%の増、同6.6%の増。3か月先の業況見通しDIは42.9から14.3となっている。

 各社共に、今後の受注見通しもあり、堅調に推移している。

 今後は、国内の新型車の売上動向や海外輸出用部品の動向が注目されるが、現段階では、不安要素も少ないことから今後も堅調に推移すると思われる。

8 精密機械

「医療機器関連が堅調」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比11.1%の増、同10.4%の増。3か月先の業況見通しDIは▲37.5から▲20.8となった。

 医療機器関連は依然として堅調に推移しており、一時期に比べ、原材料の石油化学製品値上要請等が落ち着いてきている。

 計量器関係や光学レンズなどは、需要の伸び悩みによる生産調整、石油製品の値上がりや納品単価引き下げ要求のほか、工場の海外シフトなどの理由により厳しい状況が続いている。

建設業の動向

「除雪がフル稼働」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比11.3%の減、同27.4%の増。3か月先の業況見通しDIは▲60.0から▲48.3となった。

公共事業の減少により各企業とも厳しい経営環境が続いているが、記録的な大雪の影響で、地方公共団体から除雪委託を受けている企業では、フル稼働の状況である。

また、各企業が抱える工事現場では、除雪等の現場管理費が大幅に増加しているため、作業工程を厳しく監理している模様である。

小売業の動向

1 衣料品

「冬物の動きに期待」

売上高は前年同月比6.7%の増。3か月先の業況見通しDIは▲14.3から0.0となっている。

記録的な寒さの影響から、コートなどの冬物に動きが見られたが、一部報道であるような品薄感は見受けられず、特需的な要素は見受けられない。売上については、各企業では、逆に大雪による客足が遠のいたことの影響が大きいと分析している。

今後も寒い日が続く見通しであり、各企業では更に冬物衣料に動きが出ることに期待を寄せている。

2 身回品

「大雪で客足遠のく」

売上高は前年同月比8.6%の減。3か月先の業況見通しDIは▲18.2から▲7.7となった。

大雪により客足が遠のいたことが大きな影響を及ぼしている。

ホームセンターでは、除雪用具に突発的な需要があったものの、客足をカバーするだけの売上とはなっていない。

また、一般的に郊外店では、客足が遠のいたほかに、輸送機関の乱れから配送が大幅に遅れるなど、影響が出ている。

3 飲食料品

「野菜などの青果物価格が高騰」

 売上高は前年同月比0.3%の減。3か月先の業況見通しDIは▲6.3から▲29.4となっている。

 全体的には堅調に推移しており、年末にかけて正月用の魚類・肉類・惣菜などでは好調さが見られた。 一方、野菜などの青果物では、大雪や寒さや低温による生育の遅れなどの影響により価格高騰が見受けられた。

 一部企業では、原油価格高騰による包装資材や光熱費の価格上昇分を商品価格に転嫁できずに利益を圧迫している。

4 家電品

「薄型テレビが堅調に推移」

売上高は前年同月比5.3%の増。3か月先の業況見通しDIは▲22.2から▲12.5となっている。

地上波デジタル放送導入により、「薄型テレビ」(売れ筋は、32型~37型に集中)が堅調に推移している。 各メーカーの製品が、購入しやすい価格設定となったことも購買意欲を押している一因となっており、しばらくの間、この傾向は続くと考えられる。

また、寒さの影響からか大型暖房器具も品薄の状況となっており、今後の動向が注目される。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル

「大雪等の影響によるキャンセルが見受けられる。」

売上高は前年同月比3.0%の減。3か月先の業況見通しDIは、▲28.6から▲35.7となった。

仙岩峠の雪崩、JR事故、泥湯事故や大雪によるダイヤの乱れが連日全国的に報道されたことによる影響か、各企業では宿泊キャンセルが見受けられた。

原油高騰の影響で、各企業では暖房等の光熱費が増大し利益を圧迫している。

2 その他サービス

「燃料費が利益を圧迫」

売上高は前年同月比2.5%の減。3か月先の業況見通しDIは▲22.2から8.3となった。

コンピューター関係では、官民のHP改装等による受注が堅調に推移している。

運送部門では、燃料価格の高騰により利益が圧迫されているなか、記録的な大雪による遅延や路面条件の悪化による事故等が見受けられ、厳しい状況が続いている。

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