秋田県中山間地域土地改良施設等保全対策事業 平成21年度県内研修会開催について(報告)
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平成21年度は、秋田県中山間地域土地改良施設等保全対策事業により実施している『Akitaふるさと活力人養成セミナ-』の第3期受講生(H21-22セミナ-受講)と「ふるさと水と土指導員」及び、グリ-ン・ツ-リズムを活用した農村の活性化に寄与する人材を対象に県内研修会を開催しました。
今回の研修会は、地域資源を活用した地域活性化に関する活動を推進する「Akitaふるさと活力人養成セミナ-受講生」と農地や農業用水を保全・活用するための地域活動を推進する「秋田県ふるさと水と土指導員」及び、その他事業趣旨に関連性のある人材に対して県内研修会を開催することで、各々の活動の参考となる情報交換とネットワーク構築による連携した活動展開の促進を狙いとしました。
- 開催日時:平成22年 1月23(金)~24日(土)
- 開催場所:五輪坂温泉「としとらんど」、国指定重要文化財 鈴木家住宅 ほか
- 参加者:
- 秋田県ふるさと水と土指導員:8名
- Akitaふるさと活力人:19名
- G・T活用型人材9名
- 事務局(県):4名
計41名
研修内容
- 羽後町『ゆきとぴあ七曲フォ-ラム』参加
- 事業説明と人材に関わる事業紹介について(県事務局)
- 講演
茅葺き民家と地域興しと学習塾 羽後町議会議員 阿部 久夫 氏 - 現地研修
- 研修会場:国指定重要文化財 鈴木家住宅
- 説明者:鈴木家第46代当主 鈴木 杢之助 氏
- 現地視察
- 羽後町の茅葺き民家視察
- 羽後町軽井沢 安倍 明氏宅
- ふるさと水と土指導員活動報告 秋田県ふるさと水と土指導員 藤岡 義博 氏
- Akitaふるさと活力人事例報告 第2期活力人 加藤 裕子 氏
研修会の様子
1日目~1月22日(金)~
フォ-ラム参加
【ゆきとぴあ七曲フォ-ラム】テ-マ:茅葺き屋根と古民家再生
先人が知恵と魂を集結した茅葺き屋根古民家は、環境問題にも対応した新しい時代の住まいとしても多くの可能性を秘めています。快適で住みよい雪国住宅づくりの一環、古民家再生は「エコ住宅」そのものと言えます。
基調講演では、美少女イラストを活用した羽後町の地域活性化に取り組む、山内貴範氏が「地域の民家や伝統建築にみる新旧文化の融合」と題して、雪国の伝統的な建築「飛騨高山の民家」「白川郷」から「羽後町の三輪神社」を通して、伝統建築の設計手法と地方文化の進化について語っていました。
また、「美少女イラスト」を活用した「かがり火美少女イラストコンテスト」「スティックポスタ-in羽後町」「美少女イラスト入りあきたこまち」などの企画・編集を手がけたことで、独創的な発想として全国的に注目を集めた取り組みのポイントについて紹介がありました。
地域興しは無いものを作るのではなく、有るものを活かす、埋もれている資源を発掘し、好きなもの、興味のあることから始めてみましょう!という一言が印象的でした。
(写真は菅原弘助氏。)
県内研修会:講演
フォ-ラム参加を終え、研修会場へ移動し県内研修会を開始。
まず、始めに県事務局から『事業説明と人材に関わる事業』について紹介を行いました。
続いて、今回の研修地羽後町のキ-ワ-ドになっている『茅葺き民家』『美少女イラスト』『茅葺き職人』『地域活性化・地域興し』の全てに関係している、羽後町議会議員の阿部久夫氏から講演いただきました。
また、山内氏との関係を事例として、『コ-ディネ-ト力』『情報発信力』『人との出会い』の大切さについて話していただき、この部分は「ふる水指導員」「活力人」にとってまさに「必要」とされる部分であり、とても有意義な講演でした。
![画像:阿部久夫氏](/uploads/public/archive_0000004223_00/100219201734_6.jpg)
羽後町で「書店ミケ-ネ」「学習塾ガロア」を経営。
羽後町議会議員。
「田舎に泊まろう」で榎木孝明氏が来宅したことがきっかけで、茅葺き民家の評価は自分たちが思っている以上に高いと実感したそうです。その後、羽後町の茅葺き民家保存・活用や茅葺き職人の育成に取り組むようになったそうです。
2日目~1月23日(土)~
現地研修
- 研修会場:国指定重要文化財 鈴木家住宅
- 説明者:鈴木家第46代当主 鈴木 杢之助 氏
羽後町飯沢にある『国指定重要文化財 鈴木家住宅』。
鈴木家は源義経の郎党『鈴木三郎重家』が先祖で、800年以上の歴史を有しているそうです。江戸時代は肝煎役を務め、苗字帯刀が許された羽後町飯沢の大半を占める地主だったそうです。
本屋が建てられた正確な年代は不明だそうですが、地下遺構や中門が1733年(享保18年)に増築されていることから、17世紀後半(1650~1700年)の建築と考えられているそうです。
1915年(大正4年)に上棟した主屋の背後に接続する土蔵も、宅地・山林と併せて重要文化財の指定を受けており、蔵内には歴史・文化面で貴重な骨董品などが展示されていました。
全国的保存される茅葺き民家は増え始めているが、鈴木家のように今も生活の場としてそこで生活を続けている民家は僅かだそうです。
茅葺きで天井のない、冬は外よりも家の中方が寒くなる住宅だが『先祖代々引き継いできたこの住宅を絶やすことなく子孫へ自分も引き継いで行きたい。』『格式を重視して人を遠ざけるのではなく、積極的に活用していくことが大切で、それが、保存にもつながる。』と熱く語ってくれました。
現地視察
- 視察地:羽後町軽井沢
- 説明者:安倍 明 氏
![画像:安倍明氏宅1](/uploads/public/archive_0000004223_00/100222095640_9_1.gif)
![画像:安倍明氏宅2](/uploads/public/archive_0000004223_00/100222095640_9_2.gif)
軽井沢の山並みを背景にたたずむ茅葺き民家の風景は絶品でした。
四季により変化する山並みの中で茅葺き民家も色々な見え方になるものだと感じました。
![画像:安倍 明氏1](/uploads/public/archive_0000004223_00/100222095640_10_1.gif)
![画像:安倍 明氏2](/uploads/public/archive_0000004223_00/100222095640_10_2.gif)
安倍氏宅は高台にあり、警備会社の県内向けCMの撮影場所になった住宅。周囲には、昔ながらの茅葺き屋根や古民家の風景が広がっていました。
羽後町と言えば西馬音内盆踊りだが、せっかく町に来た人に山間部にも足を運んでもらい、すばらしい農村景観を見てもらい、農村体験をしてもらいたいと安倍氏は語ってくれました。
安倍氏自身、自宅の茅葺き民家を『農家民宿』として活用し、観光客に地元産米の米粉や地元農産物を使った料理を提供したい、など現在、色々と模索中とのことでした。
活動報告
「ふるさと水と土指導員活動報告」と「Akitaふるさと活力人事例報告」
研修会の最後に『地域活動に関する事例報告』ということで、ふるさと水と土指導員の藤岡義博氏とAkitaふるさと活力人の加藤裕子氏に事例報告をしてもらいました。
藤岡氏は秋田県七滝土地改良区の事務長でもあり、地元美郷町(旧六郷町)の地元小学生を対象に実施した生物調査について報告してくれました。
地元の湯田沢川に生息する魚類等の捕獲体験と水生植物観察を通して、子供達に地域環境について関心を深めてもらい、環境保全につなげていくことを目的にしています。
当日は、六郷東根小学校1~6年生46人で、実際に川で捕獲作業を行い、捕獲した生物を水質階級の指標に従って分類し、地元の川の水質についても調査。
結果としては、確認された指標生物のほとんどが水質階級Ⅰに該当し、水質はきれいだったそうです。
(今回の調査に使用した道具類は、県で実施している秋田県中山間地域土地改良施設等保全対策事業のふるさと水と土水指導員活動支援により、物品提供したものです。)
![画像:加藤 裕子氏](/uploads/public/archive_0000004223_00/100222103143_12.jpg)
加藤氏は現、潟上市商工会職員であるが、昨年、にかほ市商工会に勤務していた時に手がけた、『鱈プロジェクト んだっ鱈 にかほ市へ』について報告してくれました。
食で地域を元気にすることを目的に、地域資源の再確認を行い、伝統行事の『掛魚(かけよ)まつり』を活用した地域の活性化を目的にしています。
伝統行事を活用するにあたり、現在の課題を抽出し、その課題解決のための組織作りやイベント内容の検討手法について、理論的に説明してくれました。
ロジカルに整理された発表資料は、とても説得力があり、現在セミナ-を受講している活力人3期受講生にはとても参考になるものだったのではないでしょうか。
紹介・・・羽後町美少女イラストあれこれ!!
※県では、「ふるさと水と土指導員の活動支援」を実施しています。
地域活動の実践者を随時「ふるさと水と土指導員」として任命し、県内指導員の増員を行っています。
もし、有益な情報をお持ちの方がおられましたら、下記担当までご連絡をお願いします。