平成20年度は、秋田県中山間地域土地改良施設等保全対策事業により実施している『Akitaふるさと活力人養成セミナ-』の修了生(H19-20セミナ-受講)である活力人と「ふるさと水と土指導員」を対象に県内研修会を開催しました。
 今年の研修会は、上記の2者を対象として開催することから、今までの指導員同士のネットワ-ク構築以外に、地域住民活動を推進するふるさと水と土指導員と地域の活性化を推進する活力人、この両者の活動の参考となる情報交換とネットワ-クの構築による連携・広域的な活動展開の促進を狙いとしました。

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  • 開催日時:平成21年2月27(金)~28日(土)
  • 開催場所:横手市増田町 佐藤多三郎家内蔵 ほか
  • 参加者:
    • 秋田県ふるさと水と土指導員:8名
    • Akitaふるさと活力人:9名
    • 講師:2名
    • 県:4名
    • 計23名

研修内容

  1. 事業説明
    • 人材に関わる事業展開について(県事務局)
  2. 講演
    • 市民協働の地域づくり~人と人とのネットワ-クが地域をつくる~(加藤勝義氏)
  3. 増田町内くらしっくロ-ドにて、増田の内蔵視察
  4. 講演
    • 大潟村干拓博物館における地域活性とそのマネジメント(活力人:薄井伯征氏)
  5. ふるさと水と土指導員活動報告(工藤利榮氏、阿部進氏)
  6. ふるさと水と土指導員全国研修会の報告について(県事務局)

研修会の様子

2月27日(金)14:00~

一日目の研修会は増田町にある『佐藤多三郎家内蔵』を会場として開催しました。
内蔵を活用した地域づくりの講演を、実際の蔵の中で体感しながら講演を聴講しました。

画像:佐藤多三郎家の内蔵
佐藤多三郎家の内蔵。
戊申戦争の際、御用金を献納した旧家。内蔵は明治後期の建築だそうで、
重厚なつくりの女戸(向かって左)と男戸(右)に鞘飾りが付いて豪華な雰囲気。
入り口にある戸は「狭間格子戸(さまこうしど)」。
画像:内蔵で研修会1
蔵の雰囲気を感じてもらえるよう、あえて内蔵の床に直座りしてもらいました。
画像:内蔵で研修会2
まずはじめに、事務局から「ふるさと水と土指導員」と「Akitaふるさと活力人」の紹介と、来年度から開始するふるさと水と土指導員の活動支援について説明しました。
画像:内蔵で研修会3
次に、加藤勝義氏に講演をしてもらいました。
 加藤氏は、増田地域センタ-運営協議会会長で、増田の文化事業活動に力を注いでいて、伝統芸能・地域資源の継承・保存活動を展開しています。
 講演では「市民協働の地域づくり~人と人とのネットワ-クが地域をつくる~」と題して、地域センタ-設立の経緯と設立したセンタ-で実施している事業内容について、実践者であるから話せる苦労話を交えながら熱く話してくれました。
画像:内蔵で研修会4
加藤氏の講演を熱心に聴く、ふるさと水と土指導員とAkitaふるさと活力人。
画像:内蔵の視察1
加藤氏の講演の後に、増田町内にある内蔵の視察を行いました。
 増田観光ガイドの会に視察の案内をお願いし、視察の前にガイドの会会長佐藤寛氏から、内蔵の歴史や特徴、内蔵を見る際の見どころについて説明してもらいました。
画像:内蔵の視察2
内蔵を見る際のポイントは・・・
1.内蔵正面の土扉の蛇腹の数と左右の扉の大きさの違い。(左:女戸(めんど)、右:男戸(おんど))
2.内蔵内部の柱の間隔と太さ。
3.内蔵内部の梁の大きさと材質。
4.内蔵内部の棟木の支え方や母屋の有無。
だそうです。
(それぞれに、この地域特有の特徴があるそうです。)
画像:内蔵の視察3
内蔵視察の最初は、研修会場の佐藤多三郎家の内蔵です。
 増田町観光協会の魚谷幹子さんが、内蔵の中にある居間(内蔵の特徴の一つ)で、内部のつくりなどについて説明してくれました。
画像:内蔵の視察4
こちらは内蔵にある裏口です。これもまた珍しいもので、増田の内蔵の特徴の一つだそうです。
画像:文庫蔵の視察1
内蔵視察の2番目は日の丸醸造株式会社の文庫蔵。(国登録有形文化財)
 明治41年建築の内蔵。戦時中いったん酒造を中断したが、戦後復活した増田町唯一の蔵元。
画像:文庫蔵の視察2
視察の前に、日の丸醸造の方に蔵の沿革や特徴について説明してもらいました。
画像:文庫蔵の視察3
蔵の内部を案内人の方に案内してもらいながら、じっくりと当時のままの漆塗りなどを見学しました。
画像:文庫蔵の視察4
この蔵の見どころの一つである、一尺間隔に並んだ通し柱。この一本一本が2階まで通しで立っているそうです。多三郎家は三尺間隔でしたが、その三分の一の間隔となれば、また雰囲気が一変しました。
画像:文庫蔵の視察5

蔵の梁です。
 非常に太く、これ一本で1トンはあるそうです。増田の内蔵は、材料を惜しまず贅沢に使った、とても立派なものばかりでした。
(普段、文庫蔵の2階は立ち入り禁止となっていますが、今回は特別に上げてもらい、立派な梁を見学することができました。)

この他に、明治元年に建築された「佐藤又六家内蔵」と大正十年に建築された「漆蔵資料館」(どちらも国登録有形文化財)」を見学しました。

2月28日(土)9:30~12:10

2日目の研修会は横手市増田の「上畑温泉さわらび」を会場に開催しました。
会議室での研修会は、初日の蔵の中での研修会から雰囲気は一転、いかにも研修会という雰囲気の中で行いました。

画像:会議室での研修会1
2日目の講演の講師は薄井伯征氏。
 薄井氏は大潟村職員で、地域貢献活動として、大潟村の総合的な学習マニュアル制作・発行や大潟村案内ボランティアの養成や各種企画展を開催しています。また「Akitaふるさと活力人1期生」でもあり「大潟村干拓博物館における地域活性とそのマネジメント」と題して、干拓博物館での地域の歴史を後世に伝えるための教材開発の取り組みや各種企画展の事例紹介をしてくれました。
画像:会議室での研修会2
次に、ふるさと水と土指導員活動報告として、鹿角市で地域活動を実践している工藤利榮氏に報告してもらいました。
 「環境保護・私の取り組み」と題し、工藤氏が鹿角市で展開している活動の紹介と地域活動を展開するにおいて工藤氏が実践している手法(作業分担・広報活動・人集め・資金調達・支援等)について説明してくれました。
画像:会議室での研修会3
次に、ふるさと水と土指導員活動報告の2人目として、湯沢市で地域活動を実践している阿部進氏に報告してもらいました。
 「水土里ネット稲川の取り組み」と題し、水土里ネット稲川が管内で地域・学校と連携して取り組んでいる資源保全活動(ため池の維持管理、田植え・稲刈りなどの農作業体験、出前授業、土地改良施設見学会、伝統的文化・技術の伝承など)についての紹介と、その成果について報告してくれました。
画像:会議室での研修会4
2日目の最後に、事務局から今年度開催された「ふるさと水と土指導員全国研修会」の研修内容等について報告を行いました。全国研修会は毎年3回開催されており、全国各地で実施されている地域活動の先進事例の視察や地域活動を実施する際に必要とされる合意形成を図るための手法等について研修しています。
画像:記念写真
2日目の研修会終了後、ふるさと水と土指導員とAkitaふるさと活力人で記念撮影。
 みなさん、1泊2日の研修会お疲れ様でした。
 研修会で学んだことや構築したネットワ-クを活用して、これからも各種地域活動促進のために頑張ってください。

※県では、来年度(H21年度)から「ふるさと水と土指導員活動の支援」を新たに開始します。また、地域活動の実践者を随時「ふるさと水と土指導員」として任命し、県内指導員の増員をしています。もし、有益な情報をお持ちの方がおられましたら、下記担当までご連絡ください。