令和7年7月3日(木)に、にかほ市の大潟ため池で「大潟溜池龍神奥の院参詣」が行われました。由利本荘市土地改良区が主催したもので、当該土地改良区、関係者が参加し、豊作と水の恵みを祈願しました。

 「大潟溜池龍神奥の院参詣」は約100年の歴史がある伝統的な行事で、龍神様を祀る石碑へ卵(※注)・御神酒を奉納し、池に卵を投げ入れる儀式が行われます。参加者は、山中にある大潟ため池へ30分程の道のりを進み、ため池脇の石碑で参詣したのち、ひとつひとつの卵に願いを込め、丁寧に池へ投げ入れていました。
 
 今年も地域の願いが龍神様に届き、豊作をもたらしてくれることを願います。
 
 
~大潟溜池と龍神様~
 文政11年(1828年)、西目地域では西目潟の干拓が行われましたが、その後の農業用水の確保に苦慮していました。一方、龍馬山(龍ヶ池)に住んでいた龍神様は西目潟干拓によって住処を失い、にかほ市の大潟ため池へと移り住んだと伝えられています。龍神様は雨を呼ぶ力を持ち、農作物の成長に恵みをもたらす存在とされており、以来、西目地域ではゆかりのある大潟ため池へ参詣し、龍神様へ豊作と水の恵みを祈願するようになりました。現在、大潟ため池はにかほ地区の水田(約750ha)に農業用水を供給しており、暮らしと農業を支える重要な役割を果たしています。
 
 
※注
 龍神様は、御神餅(うるち米を炊いて丸く団子にしたもの)を笹舟で流すと喜んで食べたとされ、祭事では御神餅が奉納されていましたが、時代の変化とともに、御神餅から卵へと変化し、現在では、卵が道中で割れる危険性から、ゆで卵をお供えしています。