・下川原堰は秋田県湯沢市字高前にある堰(農業用水を供給するため、河川を堰き止め、水位を上げる施設)です。

・下川原堰は一級河川雄物川水系白子川に位置し、17ha(東京ドーム約3.6個分)の農地に水を供給している堰で、昭和40年に造成されました。平成27年9月の豪雨により施設が壊れてしまい、治水上の問題があるため河川管理者である秋田県からの改善命令があり、洪水時の水位調整と洪水被害を未然に防止するための改修工事を行う事となりました。

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2.工事前の状況

・施設が壊れてから工事を着手するまでの間は、土のうやブルーシートで応急対策を実施して取水していました。この状態ではまた大雨が降った際に破損する恐れがあり、安定して農業用水を供給することは不可能でした。

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3.改修工事内容


①堰の改修
・堰の構造を現状の固定堰(水位の調整が出来ない堰)から、袋体のゴムに空気を送り膨らませて水位を制御する可動堰に改修する工事。

【左がゴム堰の空気を抜き縮んだ状態、右がゴム堰に空気を入れて張った状態】                                 

②川底(護床)の改修
・堰の上下流にコンクリートブロックを設置して、川底がえぐられないように保護する工事。

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    【コンクリートブロックの設置状況】


③護岸(ごがん)の改修
・工事に伴い、現況の護岸(川岸の堤防をコンクリートブロック等で補強して洪水などの水害から堤防を守る施設。)を取り壊す必要が出てきたため、一度取り壊した後に護岸を復旧する工事。

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       【護岸ブロックの設置状況】 

 

《工事の注意点》
○河川の中で工事するにあたり、気を付けなければいけない事が2点ありました。
1点目は河川内で工事をしながら下流に水を流さないといけない事。
2点目は河川内の工事範囲に水が入ってこないようにしなければいけない事。
 以上の事を踏まえて半川締切方式 (はんせんしめきりほうしき)で工事を行いました。


半川締切方式:河川の右半分を先にせき止め河川の下流へは左半分から流します。その間、右半分の堰や護床、護岸工事をします。右半分の工事が完了したら今度は河川の左半分をせき止め河川の下流へは右半分から流し、左半分を工事するやり方。(左右どちらを先に締め切るかは現場条件によって変わります。

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        【右岸締切状況】

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 【左岸締切状況(右岸の工事が完成しているのがわかります)】

 

4.工事完了

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  【可動堰で河川を堰き止め取水している状況】

   【工事前が左、工事後が右の写真(ドローンで撮影)】                    

5.おわりに

・令和元年度にすべての工事が完了しました。今までの固定堰から可動堰に改修された事で洪水調整機能が加わり、今後安定した農業用水の供給と、洪水被害の防止の効果が末永く発揮されることを期待します。
・最後になりますが、調査、設計、工事と、多くの方々のお世話になり無事完了することができました。この場を借りて、お礼申し上げます。本当にありがとうございました。