第1槻沢(だいいちつきさわ)ため池は、湯沢市上院内にある農業用ため池です。
 ため池とは農作物を育てるのに欠かすことができない水を、雨が少ない時期に安定して供給できるように貯めている人工の施設のことです。
 第1槻沢ため池は大正14年に造成され、27haの農地に水を供給しています。築造から長い年月が経過したことで、取水施設(しゅすいしせつ:池から水を取り込み下流に流す口)などの老朽化や堤体(ていたい:水を堰き止めている堤)からの水漏れがあり、維持管理に苦慮しているほか、下流の安全性の面でも不安があったことから平成24年度からため池等整備(ため池)事業で調査計画を実施。平成26年度に事業採択となり、改修工事を進めてきました。

   【改修前のため池(池から堤体を望む)】

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 改修工事内容は、
①水が溜まりすぎないようにするため、洪水吐(こうずいばき:池の水位が高くなると下流に水を流す施設)を改修する
②堤体補強のために盛土(もりど)を行う
③安定した農業用水の供給が出来るように取水施設を改修する
④風による波で堤体が浸食されないように法面を保護する
 以上の内容で実施しました。 

   ~工事内容~ 

①洪水吐(こうずいばき)の改修

                  【改修前】                   【改修後】

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・まずは水が溜まりすぎないようにするため、洪水吐を改修しました。改修前は草が繁茂し、土砂も溜まっているため、十分に機能を発揮出来ませんでした。改修後は見た目だけでなく豪雨時にもスムーズに下流へ流下出来るものとなりました。

 

②堤体の改修

      【大型攪拌機】

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・堤体の改修には大型の攪拌機を使って改良材と土を混ぜ、遮水性(しゃすいせい:水の漏れにくさ)の高い土に改良して盛土を行います。 

         【改良土の投入状況】    【改良土の撒き出し状況】    【改良土の転圧状況】
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・改良した土を堤体に馴染むように薄く撒き出して、機械で締め固めます。それを、何層も繰り返して強固な堤体を築立していきます。

                 【堤体盛土完成写真】

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・堤体の改修により、問題となっていた水漏れや下流の安全性も解消されました。

 
③取水施設の改修
・次に、安定した農業用水の供給が出来るように取水施設を改修しました。第1槻沢ため池ではハンドル操作でゲートを開け閉めして取水する施設を設置しています。

      【改修前】              【改修後】 

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・改修前は人が取水栓のあるところまで降りて開け閉めしていましたが、改修後は堤体の上からゲート操作で開け閉め出来るようになりました。

 

④【法面保護工(コンクリートマット)】
・堤体の補強のため、コンクリートマットと呼ばれる法面保護を行いました。
布の中にモルタル(「セメント」+「砂」+「水」を混ぜたもので、最初は液状だが、時間が経てば固まるもの)を流し込んで固め、風による波から堤体の浸食を防ぎます。

       【改修前】                     【改修後】

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・コンクリートマットの設置により、これまでの土の法面と比べ、強固な法面になりました。

 

  【改修後のため池(池から堤体を望む)】    【改修後のため池(下流から堤体を望む】

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・令和元年度にすべての工事が無事完了しました。今後安定した農業用水の供給と、洪水被害の防止効果が末永く発揮されることを期待します。
・最後になりますが、調査、設計、工事と、多くの方々のお世話になり無事完成することができました。この場を借りて、お礼申し上げます。本当にありがとうございました。