県では、県内事業者による脱炭素化を通じた持続可能な企業経営の実現を後押しするため、事業活動の脱炭素化に向けた基礎的な知識や進め方を解説するガイドブックを制作しました。
 新任担当者の入門テキストや社内研修での副読本などとして、ぜひご活用ください。

パンフレットデータの2次加工は禁止です。

ガイドブックの内容

持続可能な企業経営の実現に向けて!脱炭素経営のすすめ-入門編-

県内企業等による脱炭素化の取組事例

 (今後、順次更新を予定しています)

 目次・はじめに(なぜ企業の脱炭素化が必要なの?)

脱炭素経営のすすめ-入門編-(1~2ページ)

カーボンニュートラル社会に向けた潮流を乗り切るため 脱炭素化で「強い企業体質」へのパワーアップを図ろう!

 社会情勢が目まぐるしく変化する現代は、働き手の不足、賃金向上への対応、エネルギーコストの高騰など、企業にとって重大な経営課題が山積しています。そのような中、企業経営においても近年急速に注目されるようになった「脱炭素化」の取組。
 テレビCMやインターネット広告でも「カーボンニュートラルへの挑戦」や「脱炭素社会への貢献」などをPRしている企業が増えています。
 本書では、なぜ今「脱炭素化」が必要とされているのか、事業活動の 脱炭素化に向けた基礎的な知識や進め方などを中心に解説していきます。

なお、本ガイドブックでは、便宜上、温室効果ガス全般を「CO₂」と表記しています。

なぜ今企業の「脱炭素化」が必要なの?
  • 国際社会では脱炭素化が標準化!
  • すべての国はCO2排出削減のための努力が必要
  • 世界的にCO₂排出量の実質ゼロ(カーボンニュートラル)の取組が加速!
  • 日本は2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す!
  • 日本のCO₂排出量の過半が産業分野から!
大企業からの要請で取引全体の脱炭素化が進行中!
  • 世界各国の動きを受けて欧米市場を中心に脱炭素化が進行!
  • 輸出産業の大企業を中心に、取引先への脱炭素化の要請が増加!
ギモン:取引全体での脱炭素化ってどういうこと?

 自社が製品の製造等の過程で直接排出したCO₂だけはでなく、原材料の生産や輸送、 出荷後の消費や廃棄の段階で排出されたCO₂も削減する取組のこと

 サプライチェーンを構成する各社がScope1・2のCO₂削減に 取り組むことで取引全体の脱炭素化が大きく前進し、製品・サービスの環境価値&企業価値の向上につながります。

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企業が脱炭素化をすすめるべき理由

脱炭素経営のすすめ-入門編-(3~4ページ)

脱炭素化を進める取引先からの要請に応える
  • 輸出産業以外でも取引全体の脱炭素化を進める動きが進行
  • 一部の県内企業も取引先や親会社からの要請を受けて対応を開始
ギモン:要請に対応できないとどうなるの?
  1. 調達先としての優先順位が低下
  2. 相対的な企業価値の低下
  3. 取引を失うリスクの上昇

 事業活動の脱炭素化は、社内の体制づくりや設備投資などが必要となる中長期的な取組になります。早めの対策で 取引先からの信頼度の向上を図りましょう。

エネルギーコストを抑えて収益性を高める
  • 輸入に依存する日本のエネルギー価格は世界情勢の影響を受けやすい
  • 2028年度以降は「炭素賦課金」導入に合わせて価格転嫁される可能性あり
ギモン:脱炭素化と省エネは何が違うの?
  • 省エネは脱炭素化の重要な取組の一つ
  • Scope1・2の大幅な削減には再エネ活用との組み合わせが効果的
  • 廃棄物の削減やエコドライブなどもScope3の削減に含まれます!

 エネルギーコストは固定費ではなく変動費という意識を持って削減努力を続けることで、 経費だけでなくCO₂の削減も図られるため、収益性向上と脱炭素化を両立につながります。

将来への投資に向けて有利な資金調達の選択肢
  • ESG融資(グリーンローン、サステナビリティ・リンク・ローンなど)は、金利優遇や 長期の融資期間などの有利な条件で活用できる可能性がある
  • 国もESG融資の利用促進のため利子補給事業などで金融機関を後押し
ギモン:ESGってなに?

持続可能な社会を実現するため、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3要素を考慮した投資活動や経営・事業活動のこと

 県内の金融機関でも、再エネ・省エネ設備導入のための資金のほか ESGの取組に関連する運転資金などへの融資メニューを提供しています。

行政の支援を受ける上でもメリットに
  • 環境省や経済産業省などが企業の脱炭素化を支援
  • 地方公共団体でも設備投資の補助金等で省エネ診断の受診実績などを加点要件にする事例が増加
 ギモン:設備導入の補助金のほかにはどんな支援があるの?
  • 研修やセミナーなど 学習機会や好事例の提供
  • 省エネ診断やCO₂排出量の見える化の後押し

 国内の脱炭素シフトの流れが金融機関や行政の企業支援にも波及しおり、有利な融資や補助金を活用することで経営基盤の強化につなげることができます。

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そもそも事業活動の脱炭素化とは?(ステップ1~2)

脱炭素経営のすすめ-入門編-(5~6ページ)

 脱炭素経営への転換に向けた取組ステップとして、次の6つのステップがあります。

  1. 脱炭素化にむけた意識醸成・体制整備
  2. 事業に影響を与える気候変動関連リスク・機会の把握
  3. CO₂の排出実態の把握
  4. 削減対策の検討・削減目標の設定・削減計画の策定
  5. 削減対策の実行
  6. 削減目標や取組状況などの情報を開示
ステップ1:脱炭素化にむけた意識醸成・体制整備
経営者や先導役が全体像を理解する
  • まずはじめに、新聞やテレビ、ウェブサイトなどで脱炭素化の全体的な流れを把握しましょう
  • 身近な話題(猛暑、大雨災害など)を出発点にするとモチベーションを維持しながら情報を収集しやすくなります
理解を基に脱炭素化の必要性を社内に共有する
  • 収集した情報をミーティングなどを通じて社内に共有しましょう
  • 例えば、ステップ2を議題にして実施することで、具体的な影響やリスクを自分事として一緒に考えることができます
ステップ2:事業に影響を与える気候変動関連リスク・機会の把握
過去の気候災害などの事例を自社に当てはめてみよう

 温対法・省エネ法などの報告やSBTなどの国際的イニシアティブでの活用のほか、各種企業評価調査やCSR・サステナビリティ報告書等でクレジット購入をPRすることで、さらなる企業評価につなげられます。

  • 大雨災害などで企業活動に影響やリスクが生じた事例を調べてみましょう
  • リスクは直接的なもの以外にも、脱炭素型社会・経済への移行に伴って発生するものも存在します
  • 他の事例を自社に置き換え、比較しながら備えや損害を想定しましょう
気象災害の増加等による直接的なリスクの例
  • 従業員の生命・健康被害
  • 建屋や設備の損壊
  • サプライチェーンの寸断
脱炭素型社会・経済への移行によるリスクの例
  • 消費行動(需給バランス)の変化への対応
  • エネルギー費の高騰等による操業コストの増加
  • 関連する政策や法規制などへの対応

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そもそも事業活動の脱炭素化とは?(ステップ3~4)

脱炭素経営のすすめ-入門編-(7~8ページ)

ステップ3:CO₂の排出実態の把握
「料金」だけでなく「使用量」も記録しよう
  • エネルギー使用料は固定コストではなく変動コストとして捉えましょう
  • 「いくらかかったか」に「どのくらいの量を使って」を加えて意識しましょう
  • エネルギー使用の当たり前を疑って原因を掘り下げて考えることが大切です
各エネルギーの使用量を元にCO₂排出量を算定しよう
  • 実際の電気、熱、燃料(ガス、ガソリン、灯油など)の使用量を基に、CO₂排出量を算定することができます
  • 行政や商工会議所などが簡易算定ツールやCO₂チェックシートを公開しているほか、民間企業でもデータを 基にした排出傾向分析や報告書作成などの機能を持った算定サービスを提供しています
ステップ4.1:削減対策の検討
削減対策の検討・削減目標の設定
  • 削減ポテンシャルを把握するため「省エネ診断」を受診しましょう
  • 省エネ診断を効率的に受診するためのポイントとして、施設や設備の仕様書、配置図面、仕様書などは事前に準備しておきましょう。また、 現地調査には設備管理の担当者だけでなく経費を管理している経理担当者と一緒に臨むとより効果的なヒアリングの実施につながります。
削減目標の設定
  • 目的意識、取引先との関係性、製品サービスの内容などによって、目標を考えましょう
  • 削減数値やスケジュールの組み立て方は様々です。ステップ2とステップ3を踏まえて、自社の目標を設定しましょう

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そもそも事業活動の脱炭素化とは?(ステップ4~6)

脱炭素経営のすすめ-入門編-(9~10ページ)

ステップ4.2:削減計画の策定
削減計画(ロードマップ)の策定
  • 検討した結果を踏まえて中長期的な削減ロードマップをつくりましょう
  • 自社の経営計画とのすり合わせを行いましょう
  • 事前に金融機関や商工団体と相談し、計画を共有することで、ESGローンの活用などを 検討しやすくなります
ステップ5:削減対策の実行
支援制度等を活用して削減計画(ロードマップ)を実行
  1. エネルギー転換
    電化、バイオマス、水素など新エネへの転換の可能性を検討しましょう
  2. 省エネ対策
    設備機器などの運用改善、部分更新、新規導入などを通じてエネルギー消費量の最小化を目指しましょう
  3. 再エネ電気の調達
    再エネ電力メニュー への切替、自家発電・自家消費、環境価値の購入などCO₂フリーエネルギーへの置き換えを進めましょう
  4. 削減が困難なCO₂は環境価値を使った「カーボン・オフセット」が可能です
ステップ6:削減目標や取組状況などの情報を開示
  • 取引先や消費者に対する訴求方法として、既存のイニシアチブの枠組を活用すると効果的です
  • 現状ではイニシアチブの取得が難しい場合は、「あきたゼロカーボンアクション宣言」や「秋田県地球温暖化対策推進 条例計画書制度」に参加することで、県を通じて自社の脱炭素化に向けた取組を公表することができます

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脱炭素経営に関するお役立ち情報掲載サイト一覧

脱炭素経営のすすめ-入門編-(裏表紙)

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