採用力向上に取り組む県内企業を紹介します【三共 株式会社】
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三共 株式会社(にかほ市/建設業)
step01 第1回専門家派遣
2023年11月、本講座の担当専門家である岩井崇氏(株式会社広済堂ビジネスサポート)が三共株式会社を訪問し、採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定を行いました。
【課題】
にかほ市に本社を置く同社は、地域と共に発展し、そこで暮らす方々、社員、支えてくださるご家族すべてが明るく豊かな生活を実現することを第一に考え、「快適な社会の礎をつくる」を目指す総合建築業です。
採用においては、従来の固定概念からの脱却を図りたいと考えており、特に、直接的なリクルーティングを確立し人材に対しての採用戦略を計画したい、また、担当部署との募集人物像の共有を図りマッチング率の向上を図りたいという課題がありました。
【支援・取組内容】
- 採用ターゲットの明確化に向けた準備として、土木・建築・設備・工務の4部署それぞれにおける人物像を、実際の資格・スキルの項目だけでなく性格・能力特性も含めて条件をピックアップし、募集条件として整理することとした。
- 新たにSNSを活用した採用活動を実施することとし、活用するツールとしてインスタグラムを選択。1歩目となる今回は1ツールをまずは運用してみるということで意見一致し、運用の準備を開始。
- 運営にあたっては、複数ある部署それぞれに担当者を設定するイメージのもと、投稿ルールとその内容についてディスカッション。求職者へのPRだけにこだわらず、地域の企業としてのPRも兼ねた発信も行う方向性とした。
【今後の取り組み】
- 採用ターゲットの明確化に向けた準備として、土木・建築・設備・工務の4部署それぞれにおける人物像を、実際の資格・スキルの項目だけでなく性格・能力特性も含めて条件をピックアップし、募集条件を整理。
- SNSの投稿間隔や画像内容に関する運用のルールの作成。
step02 第2回専門家派遣
2023年12月、本講座の担当専門家である岩井崇氏(株式会社広済堂ビジネスサポート)が三共株式会社を訪問し、採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定支援(2回目)を行いました。
【支援・取組内容】
- 会社としての採用基準の明確化・共有化を目的に、専門家が準備した人物像(ペルソナ)に対し、自社に応募させるためのPRポイントを見つけること、応募動機を作ること、募集条件のハードルを再設定することをイメージして採用要件を確認。
- 「会社の良いところ」「スキルアップ環境」「休暇」「資格の有無」など具体的な項目や「人材の性格」など求める要素について確認を行ったほか、採用面で競合となる企業の分析・差別化ポイントを検討。
- SNSを活用した採用活動を新たに始めるにあたり、プロジェクトチームを組閣。作成中の運用ルールや環境について確認した。
【今後の取り組み】
- 採用要件の確認ができたため、ハローワークやATSを活用したWeb求人票の内容を見直し、配信する。その後、応募数や閲覧数など求職者動向の変化も確認し、必要であれば修正し再度展開する。
- SNS配信準備に向けたルール、マニュアルを引き続き作成する。
step03 第3回専門家派遣
2024年2月、本講座の担当専門家である岩井崇氏(株式会社広済堂ビジネスサポート)が三共株式会社の採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定支援(3回目・オンライン)を行いました。
【支援・取組内容】
- 各ターゲットに合わせた採用手段の検討、ATS(採用管理システム)での広告作りと配信
- エリアや同業社における他社比較で自社の強みの整理
※弱点克服に向けた社内の改善ポイントの整理 - SNS配信準備に向けたルール、マニュアル作成
【成果】
- 2回目の専門家派遣(採用要件の確認、競合他社との比較による自社PRポイントの整理)を受け、ターゲット層を3パターンに分け、求人の活動計画を設計。
- SNSに関するマニュアルが完成し、運用に向け前進。
- SNS等のメディアや各種媒体を活用していかなければならない若年層の採用に関しては、三共グループ全体で実施することとし、新規採用者含めた人員で実施するかなど、今後の運用体制について引き続き検討していく。
【課題・今後の取り組み】
- 社内で確認した採用要件と自社のPRポイントを反映した求人票の配信に取り組んでいきたい。
- 策定したマニュアルを活用しながら、グループ全体でSNSを運用し、若年者等の採用につなげていきたい。
step04 インタビュー記事
講座終了後、新規採用を実現。グループ会社ならではの強みを生かし採用力拡大へ
Instagramの運用やパンフレットの刷新などを実施
Q.採用力拡大支援事業「実践講座」に参加されたきっかけを教えて下さい。
A.
当社はインフラ構築系事業をはじめ、不動産や介護福祉、自動車整備など、三共グループとしてさまざまな事業を展開しています。なかでも総合建設業を手掛ける三共株式会社では、社員の高齢化やコロナ禍を経て若年者の応募が減少していることが課題となっていました。
これまでの主な採用活動といえば、ハローワークです。県内の求職者に向けて情報を発信する際、とても有効ですし実際に応募もあります。ただベテランからの応募が多く、若年者に対するアピールが十分ではないと感じていました。何か手を打たなければと思うものの、どんなツールを使えばいいのかわからず行き詰まっていたところ、今回の講座を知り参加を決めました。
Q.実践講座を受講する中で、新たに得た知識や気づきはありましたか?
A.
講座にはさまざまな業種の企業が参加されていて、お互いに抱えている課題について話し合う場面が多々ありました。なかには当社が行っていないような採用活動を実践している企業もあり、そういった方々のお話も参考にしながら自社に生かせる点を模索していきました。
また伴走支援では、当社が求める人物を明確化するため、各部署においてスキルや経験、性格、能力特性などを含めた人物像を整理。さらに実際の応募につなげるべく、自社のPRポイントや応募動機につながる内容、募集条件の見直しなどを行いました。
当初は三共のみで考えていましたが、経営陣から「グループ全体として取り組んでほしい」という方針が示されたため、改めて各社の状況に沿った採用要件などを整理していきました。
Q.受講後に実践していることや、それに伴う課題について教えて下さい。
A.
SNSを使った採用活動として、Instagramの運営を始めました。伴走支援を受けている期間中に、SNS運用に向けたプロジェクトチームを発足。情報発信する際のマニュアルを作成し、各社の仕事内容やボランティア活動など、採用だけに特化せず企業全体の認知度を高めるために活用しています。
ただ、業種によってはInstagramよりもホームページを重視するケースがあります。例えばガソリンスタンドや林業、造園業などを手掛ける会社はSNSの発信に積極的ですが、法人を対象としている企業は充実したホームページの方が重要です。さらに社員の年代によって、日頃から利用しているSNSが異なります。世代ごとに身近なツールが変わるため、情報発信に対する共通認識を持つことが課題になっています。
着実に実践することが成果につながる
Q.受講を通して変化したことはありますか?
A.
先日、高校新卒者を対象とした企業説明会に参加しました。今までは三共グループとして一つのブースを設置していましたが、今回はグループ内の8社が参加。初めての試みでしたが、各社が単体のブースを設けたことで高校生と直接話す貴重な機会になりました。
実際に参加した企業の反応はさまざまで、なかには「自社のブースに来てくれる学生は少ないのではないかと思っていたけれど、ちゃんと来てくれた」と喜ぶ声もありました。当初は三共グループとして単体の企業説明会を考えていましたが、なかなかハードルが高く、まずはイベントに参加するのが良いと実感できたことも収穫の一つです。
また、採用力拡大支援事業の最後には、会社案内のパンフレットを新しくしました。グループ会社ごとに事業内容を詳しく落とし込み、それをもとに企業説明会向けの資料も作成。各社ごとの高卒の初任給や仕事内容、InstagramのQRコードなどを記載して参加者に配布しました。
Q.受講したことで成果につながったことはありますか?
A.
講座の中で得た知識をもとに、ハローワークの求人票を見直しました。各社にヒアリングをして、求める人材や仕事内容などを具体化し、求人票に記載。それをハローワークに出したところ、翌月には応募があり採用につながりました。
今回の講座を通して気がついたのは、どれだけ魂のこもった求人票を作れるかが勝負だということです。求職者が、入社後の自分の姿をイメージできない求人票では応募につながりません。実際に採用できたことは一つの成果ですし、今後も改善を繰り返しながら積み上げていくことで採用力を向上させていきたいと考えています。
Q.今後の目標について教えて下さい。
A.
当社はグループ企業として、さまざまな事業を展開しています。そのため、仮に建設業で入社して合わなかったとしても、別の企業を紹介することができます。グループ内の転職であれば、全く別の企業でゼロからスタートするよりもハードルが下がります。まだ実現には至っていませんが、今後はそういったスタイルも検討していきたいです。
また、採用活動については、高卒や第二新卒も視野に入れながら取り組んでいく予定です。採用要件や他社と比べた際の自社の強みなどを整理しながら、引き続き求職者に十分な情報を届けられるよう進めていきたいです。
step05 インタビュー記事(女性活躍推進に向けた取組みについて)
県では、企業の経営者や管理職を対象に、女性活躍推進に取り組む効果やメリット、誰もが働きやすい職場環境の整備等について学び考える「女性が輝く職場づくり研修会」を開催しています。研修受講後には、自社の取組を進め、地域のロールモデルとなって活動していくことが期待される企業「ダイバーシティマイスター企業」として県が認定しています。三共 株式会社は「ダイバーシティマイスター認定企業」として、女性活躍の視点からも人材確保に取り組んでいます。
男女問わず、誰もが働きやすい職場環境を目指す
Q.「女性が輝く職場づくり研修会」に参加したきっかけを教えて下さい。
A.
建設業は男性社員が中心となる傾向にあり、三共でも女性の意見が届きづらいことや、女性ならではのきめ細かさを生かせない現状がありました。工事現場のパトロールに女性社員が同行することもありますが、それだけで変化を起こすのは難しいです。こうした状況を踏まえて、女性の考え方がより経営に反映されるような方法を模索していました。今回、研修会があることを知り、取締役と女性従業員が参加しました。
Q.参加した方の感想はいかがでしたか?
A.
研修会に参加した企業の中には、女性社長や役員に就いている女性がいたそうです。社内にそういった存在がいることで、意見の広がり方は格段に上がります。当社の場合は、まずそこからだと感じたようです。ただ、他社の皆さんから聞いた意見の中には自社に反映できる部分もあり、少しずつ取り組みを始めているところです。
Q.研修後、新たに動き出したことはありますか?
A.
仕事と子育ての両立支援に取り組む企業の証として、「くるみん認定」を取得しました。研修後に出産した社員がいますが、産前産後の休暇や育児休業などを活用。男性社員も3名ほど、産後パパ育休を取得しています。研修会を機に少しずつ社内の考え方が変化してきましたし、今後も女性が働きやすい環境づくりに努めていきたいです。
Q.これから「女性が輝く職場づくり研修会」への参加を検討している企業に向けて、メッセージをお願いします。
A.
女性の声を職場全体に生かすためには、やはり女性が役員などのポジションに就くことが大切です。女性役員がいることでほかの女性社員も意見を出しやすくなりますし、男性にはない視点で会社をより良い方向へ導くことができるのではないでしょうか。
研修会では女性が活躍することの必要性や、取り組まないことで起こり得る経営上のデメリットなどについても講義があり、社内の意識改革に生かせる知識を得ることができました。できることから少しずつ実践することで、女性も男性も働きやすい職場環境を作っていきたいと考えています。