秋田県内で読書に関連した取組をしている方々「まちなかBOOKリーダー」に、特長ある取組の概要と「私の一冊」 を伺いました。

 

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#17 小原益巳さん<西の杜書房(大仙市)>

#16 渋谷明子さん<BAILEY BOOKS(大仙市)>

 

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#17 小原益巳さん<西の杜書房(大仙市)>

眠っていた書籍を一冊ずつクリーニングし本に魂を込めまた日の光を 次世代に紙の本を

小原益巳さん

 

西の杜書房について

 秋田県南唯一の実店舗古書店、西の杜書房です。眠っていた書籍を一冊ずつクリーニングし、蘇らせ、また日の光をあて次世代へおくりだします。

 

私の一冊 ~古書店をはじめるきっかけをくれた本

『伊達政宗言行録 木村宇右衛門覚書』伊達政宗(述)、木村宇右衛門(原編)、小井川百合子(編)/新人物往来社

 現在は廃版になっている書籍でとてもレアです。伊達政宗公の側近が政宗公の日々を常に書き留めていた記録になります。私が古書店をはじめるきっかけにもなりました。伊達政宗公を知る上では欠かせない書籍になります。

 

 

 

#16 渋谷明子さん<BAILEY BOOKS(大仙市)>

『トリップ、知識、未来、あなたの心に新たな何かをくれる。本は扉です。

渋谷明子さん

 

BAILEY BOOKSについて
 23年4月にオープンしたBAILEY BOOKSは、JR大曲駅西口を出て正面に見える緑のドアと本の看板が目印。小さめながら洒落た雰囲気の店内には、店主の渋谷さんが選んだ本とアロマ雑貨が並ぶ。
 駅前という立地から、近隣の住人や電車通学の学生だけでなく、出張ビジネス客や乗車中に読む本を選ぶお客さんなど、様々な人が立ち寄っている。
 渋谷さんは、参加者が同じ課題図書を読んで、自分の思ったことを話し合うアメリカ式のブッククラブを主催したり、本にまつわる映画の上映会を自らの手で企画・運営したりと、本を起点にした活動を精力的に行っている。(あきたブックネット管理者)
 
 
私の一冊 ~国内外から見た「日本」について気づきをくれた本
『私のものではない国で』温又柔 著/中央公論新社
 
 台湾出身で幼い頃に日本に移住した著者の温さん。
幼い頃に本国を出たため、第一言語は日本語であり、執筆も日本語で行なっている。
 日本のタクシー車内で、彼女の母親が母国語で子どもたちに話しかけていると、運転手に「日本では日本語を話せ」と悪態をつかれるシーンや、ファミレスで話している母親たちが「あの子は純粋な日本人じゃないから…」と言う会話に傷つくエピソードが印象的だった。
 きっと枠にハマりすぎた日本教育下の社会では、彼女にとって毎日のしかかるストレスは計り知れなかっただろうと思う。自身が反対の立場で、もし外国で生活していたならと思うととても辛くなった。それでも、彼女は日本語のほうが母国語より流暢なので、母国台湾でも「よそ者」として扱われ行き場のない思いを抱いたのだという。
 私は以前、都内で韓国系のIT企業に勤めていたことがある。
そして、韓国人や在日韓国人の同僚と接する機会が多かった。そんな中、ある在日韓国人の同僚が同じようなことを言っていたのを思い出した。
 「私は日本で生まれ、育ったけれどハーフではない。純粋な韓国の血が流れているけれど、日本語しか話せなかった。でも、日本では外国人として扱われ、韓国では母国語を話せないよそ者だった。だから一生懸命にハングルを覚えたけれど、やっぱりずっと韓国で生まれ育った人たちの輪の中には上手く入っていけない。だから、会社の中でずっと韓国で育ったグループと、在日のグループに分かれているのに気づいてた?」と言われて、全く意識していなかった私は驚くと同時にかける言葉を失った。知ったかぶりで「わかるよ」とか「でも大丈夫だよ」なんて無神経に答えられる訳がなかった。だって繊細すぎる問題なのだから。
 この本を読んでいて、国内外から見た日本という国、日本人という人種についても改めて考え、気付かされた。
 私は純粋な日本人として育ったがために、日本人とはどういうものかをよく知らなかったようだ。すべて理解しなければという訳ではないが、ただただ日本人にこのエッセイを読んで実情を知ってほしいと感じた。