列車内でのモバイルバッテリーの発火事故や、スマートフォンの発火事故の原因の一つとして製品にリチウムイオン電池が使用されていることが挙げられます。

 リチウムイオン電池は、モバイルバッテリーやスマートフォンのほか、ワイヤレスイヤホン、スマートウォッチ、携帯用扇風機など日常生活で身に着けたり持ち歩いたりする様々な製品に使用されており、消費者庁にはこれらのリチウムイオン電池使用製品についての発熱・発火等の事故情報が寄せられています。(図1)

図1 リチウムイオン電池使用製品の例

 また、リチウムイオン電池使用製品をほかのごみと混ぜて廃棄することがごみ収集車やごみ処理施設での火災の原因になっていることがあり、問題となっています。

 そこで今回は、製品を使用・廃棄する際のポイントをご紹介します。

 

1.使用の際のポイント

(1)強い衝撃や圧力を加えないようにしましょう。

 リチウムイオン電池は強い衝撃や圧力により損傷し、発煙・発熱・発火・破裂・爆発する場合があります。製品を落としたりポケットの中に入れたまま座らないようにしましょう。

(2)高温になる場所では使用・保管しないようにしましょう。

 リチウムイオン電池は高温環境に置かれることで内部で異常な反応が進み、発熱・発火等に至る場合があります。炎天下の車内、直射日光の下、暖房器具の近く、かばんや布の中など熱のこもりやすい場所などでは製品や充電器を使用・保管しないようにしましょう。

(3)充電は安全な場所で、なるべく起きている時に行いましょう。

 充電したまま就寝し、気が付いたら製品から発熱・発火していたなどの事故が起こっています。スマートウォッチをつけたまま就寝したところ、発熱によりやけどしたなどの事故も起こっているため、就寝時の使用・保管にも注意しましょう。

(4)異常を感じたら使用を中止しましょう。

 熱くなっている、膨らんでいる、液漏れする、変なにおいがする、異音がするなどの異常が見られた場合はそのまま使い続けることで発煙・発熱・発火・破裂・爆発につながるおそれがあります。いつもと違うことに気が付いたら直ちに使用・充電を中止し、事業者の修理窓口などに相談してください。

(5)発火した時はまず安全を確保し、できれば大量の水で消化しましょう。

 製品が発火したなどの場合は、自身と周囲の人の身の安全を確保し、火勢が収まった後などに可能であれば小型の製品の場合は消火器を使う、大量の水をかける、水をためたバケツに投入するなどして被害の拡大を防ぐことが望ましいです。対処が困難と判断した場合は直ちに119番通報してください。

(6)製品情報、リコール情報を確認しましょう。

 製品の欠陥による発熱・発火等も発生しています。製造・輸入業者や販売業者・型式・仕様・事業者の連絡先などが確かな製品を購入しましょう。

(7)公共交通機関では、持ち込みルールを守りましょう。

 多くの人が利用する公共交通機関での事故は被害も甚大になります。特に航空機では見えない場所で発火する恐れがあるため、受託手荷物としての預け入れは禁止されています。

 

2.製品を廃棄する際の注意ポイント

(1)リチウムイオン電池が使用されているかを確認しましょう。

 本体、パッケージや取扱説明書からリチウムイオン電池が使用されているかを確認してください。記載がなくても充電できるものや電源につながなくても動く・光るものにはリチウムイオン電池が使われている可能性があるため注意しましょう。

(2)リサイクル可能なものはリサイクルしましょう。

 一般社団法人JBRCでは会員企業のモバイルバッテリーやリチウムイオン電池を回収しているため、家電量販店やホームセンター、協力自治体に持ち込みましょう。このほか、メーカーや販売店による製品の回収サービスを利用しましょう。

(3)廃棄方法を確認して廃棄しましょう。

 製品を分別せずにプラスチックごみ等として廃棄すると、ごみ収集車やごみ処理施設で火災につながるおそれがあります。リチウムイオン電池に限らず家庭からのごみはお住いの地域により捨て方のルールが異なるため、各自治体の指示に従って捨てるようにしてください。

(4)廃棄する前にはなるべく電池を使い切りましょう。

 発火のリスクや火災の被害を軽減するためしばらく放置する、製品を最後まで使用するなどにより、なるべく電池を使い切ってから捨てるようにしてください。なお、製品から無理にリチウムイオン電池を取り外すことはしないでください。

チラシ

◆詳しくはこちら

リチウムイオン電池使用製品による発火事故に注意しましょう - 身に着ける、持ち歩く製品にも使用されています - |消費者庁