県では、県内の木造・木質化のモデルとなる優れた建築物を県民や建築関係者の皆様に広く紹介するため、令和3(2021)年度に「第2回ウッドファーストあきた木造・木質化建築賞」を開催しました。

 今回は、5つの募集部門で計11点の作品の応募があり、審査委員会による審査の結果、受賞作品が決定し、令和3年11月26日に発表・表彰が行われました。

 ここでは、受賞作品を中心に、審査委員会での主な意見等をご紹介します。

最優秀賞

 部門別に4点が表彰されました。

  1. 湯の駅おおゆ(木造A部門※)

    【審査委員会での主な意見等】

     円筒LVLの造作的な使い方は、新しい提案であり、空間にアクセントを与えているほか、県産材利用をシンボリックに伝えている点からも、意匠として評価される。

     観光施設として、ダイナミックな切妻屋根、外壁のランダムな張り板など、目を引く部分がうまくデザインされているほか、ランドスケープと一体となった伸びやかな佇まいで、縁側空間のイメージをうまく表現している。

    ※ 延床面積が500㎡を超える又は軒高9mを超える非住宅木造施設です。

  2. 美郷アトリエ(木造B部門※)

    【審査委員会での主な意見等】

     匠の技を生かし、地場の木材を活用するシステムの面、しっかり検討してある温熱性能の面、木を石や土壁と組み合わせ、結果的に木の良さを引き出すなどの意匠の面、いずれで見ても評価が高い。

     木材利用による新しい価値をつくり浸透させるには、ここまで徹底的にやりきらないと形にならないと感じた。

    ※ 延床面積が500㎡以下又は軒高9m以下の非住宅木造施設です。

  3. WANTS AND FREE(内装木質化部門※)

    【審査委員会での主な意見等】

     内装というよりも、木製遊具による空間設計。もぐる、登る、隠れるといった子どもの動作を誘う造りでありつつも、繊細に組み立てられており、デザインもうまくいっている。建築ではなく、什器でも木質感のある空間ができるという好例になっているのではないか。

     屋内に遊具を配置することで、屋外よりも経年劣化が遅く、より長く子ども達に使ってもらえるという点でも評価が高い。

    ※ 非住宅施設で、内装木質化を行ったものです。

  4. Newテラス広小路(リノベーション部門※)

    【審査委員会での主な意見等】

     老朽化したブティックが、時代のニーズに合わせて室内外共にイメージを一新している。デザイン的にもまとまりがあって、リノベーションとして成功している。

    ※ 非住宅施設で、木材を使用してリノベーションを行ったものです。

ウッドファーストあきた特別賞

 次点に相当する賞で、4点が表彰されました。

  1. コアニティー(上小阿仁村集住型宿泊交流拠点施設)

    【審査委員会での主な意見等】

     林業の村を象徴する地元産スギ化粧丸太やCLTなど、木をふんだんに使用し、構造を見せる構成となっているほか、熱源として木質バイオマスボイラーを採用するなど、環境に配慮している。

     少子高齢化の時代に、老若問わず地域の人たちが集まってくる場所という施設の意図は魅力的で、可能な限り県産材を利用しながら、それを形にしている。
  2. 秋田駅トピコ郵便局

    【審査委員会での主な意見等】

     規模は小さいが、駅ビルの中の郵便局で土日も営業しており、県民に木材に触れてもらえるほか、他の店舗への展開も期待され、モデル性・波及性は非常に高い。

     利用者の目に触れる部分にふんだんに木材を使用しながらも、羽目板とルーバーのバランスがよく、明るい雰囲気になっている。
  3. ABS秋田放送 本社屋

    【審査委員会での主な意見等】

     エントランス空間への木材利用で、秋田駅周辺の木質化の広がりを感じられる。

  4. Atelier AL☆VE(アトリエ アルヴェ)

    【審査委員会での主な意見等】

     映画館をリモートオフィスにリノベーションするプロジェクトは先駆的であり、コロナ禍の中、スピード感をもって改修し、営業していることは評価が高い。また、工夫して木材を使うと共に、画一的な空間ではなくしており、階段が空間的にうまく活用されている。

その他の応募作品

 応募いただきましたが、惜しくも受賞には至らなかった作品です。

  1. 寺内地域包括支援センター寿光園・寿光園居宅介護支援事務所

    【審査委員会での主な意見等】

     一般材を組み合わせた組立梁は評価される。構造性能や利用者への効果へも踏み込んだ説明をいただけると、より評価が深まった。

  2. わくばにかほ

    【審査委員会での主な意見等】

     施設の使い方等はよく考えられていて、デザイン的にもよくまとまっている。木材利用の面で、元の木質内装を生かすなどリノベーションならではの提案をいただけると、より評価が深まった。

  3. ゆざわ市民の森

    【審査委員会での主な意見等】

     県産材の利用や公園の利便性向上の面は評価される。ランドスケープと個々の構築物の一体的な設計やデザイン向上、市民の関わりなどの提案をいただけると、より評価が深まった。

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