〇概要

・畜産を取り巻く国際経済環境の変化等を背景に、畜産の国際的な競争力の強化を図るため、建築基準法によらず畜舎等の建築等を可能とする「畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律」(令和3年法律第34号)(以下、畜舎特例法)が令和4年4月1日に施行されました。
 
・このため、畜舎等を建築する場合、建築基準法と畜舎特例法のいずれかを選択することになります。
 建築基準法を利用する場合:従来と同様の手続きです。
 畜舎特例法を利用する場合:畜舎等の建築等及び利用に関する計画(畜舎建築利用計画)を作成し、県知事に提出して認定を受けることが必要です。
 
・詳しくは、農林水産省のホームページをご覧ください。
 ※令和5年4月1日から、畜産関係の保管庫等が対象に追加されました。
 

〇対象となる畜舎等

畜 舎(注1)(搾乳施設その他これに類する施設を含む)。
堆肥舎(注2)。
・(注3)畜舎または堆肥舎に付随する(注4)保管庫倉庫又は車庫)。
・(注3)畜産経営に必要な貯水施設等(注5)。
・(注3)高さ8m以上の発酵槽等(注2)。
<規模等の要件>
・敷地(注6)に市街化区域又は用途地域が含まれないもの。
・平屋で高さが16m以下であり、居室を有さないもの。
・建築士が設計したもの。
 
(注1)ペットの飼育施設、競走馬・乗用馬の厩舎及び堆肥舎は対象外。
(注2)家畜排せつ物の処理又は保管を目的とするものが対象。
(注3)令和5年4月1日から対象に追加。
(注4)「付随する」とは、畜舎等と①同一敷地内、②隣接する敷地内、③近接する敷地内に建築され、畜舎等と一体的に利用することをいいます。
(注5)搾乳施設の洗浄に用いる貯水施設、畜舎で使用する井戸水の浄化設備を備える施設等が対象になります。
(注6)同一敷地内に、建築基準法と畜舎特例法の建築物を混在して建築することはできません。この場合、敷地の分割が必要となります。
 
〇対象となる建築行為
・畜舎等の「新築」、「増築」、「改築」及び「その構造に変更を及ぼす行為」
 

〇畜舎等の構造

・畜舎建築利用計画の作成時に、次のいずれかの構造を選択する必要があります。
A構造畜舎等
 中規模の地震動(震度5強程度)で、構造部材に損傷が生じない程度の構造(建築基準法と同等)で、簡易な利用基準を設けるもの。
B構造畜舎等
 中規模の地震動で、構造部材に損傷が生ずる可能性があるが、倒壊しない程度の構造(短期許容応力度の安全係数が緩和)で、標準的な利用基準を設けるもの。
 

〇利用基準・技術基準の遵守

・畜舎特例法により畜舎等を建築する場合、次の「利用基準」及び「技術基準」を遵守する必要があります。
 
「利用基準」:畜舎等の利用方法に関する基準
・A構造畜舎の利用基準:次の①~④
・B構造畜舎の利用基準:次の①~⑦
 ①夜10時から翌朝4時までの間、畜舎等内で睡眠しないこと。
 ②避難経路を2つ以上確保すること。また、避難路に支障となる物を置かないこと。
 ③5年に1度、利用状況を県知事に報告すること。
 ④認定畜舎等に、畜舎特例法で建築した旨の表示を行うこと。
 ⑤床面積に応じ、最大滞在人数・滞在時間を制限すること。
 ⑥避難訓練を実施し、その記録を1年間以上保管すること。
 ⑦畜舎等への立入者に対し、避難経路等の説明を行うこと。
 
 なお、改正後(注1)に倉庫及び車庫の申請を行う場合、周囲の建物と6m以上の距離を確保し、追加の利用基準を遵守(注2)すれば、建築基準法の防火基準より緩和された基準で建築できます(注3)。
(注1)改正日:令和5年4月1日
(注2)消火器の設置や施設内での火気使用の禁止、避難経路の十分な採光の確保等。
(注3)倉庫:床面積3,000平方メートル以下、車庫:500平方メートル以下に限ります。
 

「技術基準」:畜舎等の敷地・構造・建築設備に関する基準
・継続的に畜産経営を行う上で、利用基準と相まって、安全上等について支障がない基準
・都市計画区域等の畜舎等にあっては、建蔽率等について支障がない基準
 

〇特例畜舎等

・床面積3,000平方メートル以下の畜舎等を「特例畜舎等」といいます(注)。特例畜舎等は、技術基準に適合する必要がありますが、建築基準法の建築確認に相当する技術基準の事前審査は不要です。
・特例畜舎等以外(床面積が3,000平方メートル超)の畜舎建築利用計画を提出する場合、民間の審査機関による技術基準の事前審査を受け、基準を満たしている旨の証明書等を添付する必要があります。
 
(注)床面積は、複数の畜舎等の延べ床面積ではなく、1棟ごとの床面積が基準となります。
   ただし、渡り廊下等で複数の畜舎等を接続した場合、一体とみなします。
  

〇利用計画の認定等に関する各種手続き

1)申請書等提出前の留意点
・畜舎特例法の利用を具体的に検討する段階で、下記「3)提出先」へ、申請前に事前相談してください。
 
2)申請書等の様式等について
・申請書の様式:農林水産省ホームページを確認してください。
 ※「2.畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律」 - 「3.省令」 - 「様式」
 ※同ページ「様式」下にある「様式記載のポイント」も参考にしてください。
 
3)申請書等の相談・提出先
・建築等を計画している所在地を管轄する、県地域振興局(農林部 農業振興普及課)
 ①鹿角地域振興局  TEL 0186-23-3683(鹿角市、小坂町)
 ②北秋田地域振興局 TEL 0186-62-1835(大館市、北秋田市、上小阿仁村)
 ③山本地域振興局  TEL 0185-52-1241(能代市、藤里町、三種町、八峰町)
 ④秋田地域振興局  TEL 018-860-3413(秋田市、男鹿市、潟上市、五城目町、八郎潟町、井川町、大潟村)
 ⑤由利地域振興局  TEL 0184-22-8354(由利本荘市、にかほ市)
 ⑥仙北地域振興局  TEL 0187-63-6110(大仙市、仙北市、美郷町)
 ⑦平鹿地域振興局  TEL 0182-32-1805(横手市)
 ⑧雄勝地域振興局  TEL 0183-73-5180(湯沢市、羽後町、東成瀬村) 
 
4)その他
・各種手続きは、申請者から委任状により委任を受けることで、被委任者による申請も可能です。
・各種の認定手数料は不要です。
・畜舎特例法で建築する畜舎等についても、都市計画法第4条第2項に基づく区域内に建設し、建築基準法で定める道路に2メートル以上接していない場合、畜舎特例法施行規則第48条第2項に基づく接道認定に関する手続きが必要となります。
 

〇認定状況について