若手職員インタビュー・実務紹介(獣医師(農林水産部))
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実務紹介
獣医師職の配属先について
獣医師の仕事は、大きく家畜衛生分野と公衆衛生分野に分けられます。本県では、家畜衛生分野については「農林水産部」、公衆衛生・動物愛護分野については「生活環境部」が担当しており、それぞれの中で配属先が決まります。
農林水産部に所属する場合、畜産振興課(本庁)のほか、畜産試験場や県内3か所にある家畜保健衛生所などの出先機関で勤務することになります。
なお、獣医師職員の希望を聞きながら、農林水産部と生活環境部の間で人事交流をしています。
獣医師職(農林水産部所属)の主な業務
農林水産部所属の獣医師は、獣医師としての専門知識と技術を活かし、畜産振興のための行政や家畜衛生、試験研究に携わり、本県の畜産業の発展や安全・安心な畜産物の生産を支えています。
配属先により様々な業務に従事しますが、主な業務は次のとおりです。
- 本庁:畜産振興課
- 家畜衛生に関する企画・立案
- 県庁に勤務し、県内家畜衛生や畜産振興に係る企画・予算編成等の業務を担当します。
- 家畜衛生に関する企画・立案
- 出先機関:家畜保健衛生所
- 家畜衛生・畜産振興
- 家畜伝染病等の検査や飼養衛生管理技術の調査指導、畜産物の安全性向上に関する仕事を担当します。また、家畜伝染病発生(鳥インフルエンザや豚熱(CSF)等)に備えた事前対策や発生時における防疫業務も行います。
- 病性鑑定
- 診断が難しい症例や重要な家畜伝染病について、病理・ウイルス・細菌・生化学の高度精密検査を実施したり、原因究明のための調査・研究を行っています。
- 家畜衛生・畜産振興
- 出先機関:畜産試験場
- 試験研究
- 家畜(牛・比内地鶏など)の飼養・衛生管理、育種改良、環境保全、自給飼料生産などに関する試験研究を行っています。
- 試験研究
業務紹介~本庁:畜産振興課~
県内の家畜衛生、畜産振興に関する行政窓口であり、県内全域のコントロール・タワー
重大な動物感染症の危機管理
高病原性鳥インフルエンザや豚熱(CSF)などの感染症が発生した場合に備え国(農林水産省)や県内家畜保健衛生所・地域振興局などと連携し、危機管理体制を強化します。
また、家畜衛生に係る企画・立案を行い、関係機関の担当者へ説明します。
県職員獣医師の確保対策
各獣医大学が開催する就職説明会に参加し、就職活動中の学生に秋田県職員獣医師に関する説明を行います。
家畜衛生に関する事業企画・説明
県内家畜保健衛生所が開催する会議等へ出席し、県の畜産情勢や事業などについて説明を行います。
業務紹介~出先機関:家畜保健衛生所~
農場段階における「食の安全」と県産畜産物に対する「消費者の信頼」の確保
繁殖管理・牛受精卵移植指導
優良な繁殖雌牛や肥育素牛を増産するため、県内の和牛農家等において繁殖管理や受精卵移植(高能力雌牛からの受精卵の採取や保存、受卵牛への移植等)に関する技術指導を行います。
畜産環境保全指導
畜産に起因する排水や悪臭による周辺環境への影響を軽減し、環境と調和した畜産経営を促進するため、家畜排泄物法に基づき、定期的に県内の農家を巡回し、家畜糞尿の適正処理について指導します。
家畜伝染病予防法に基づく検査
家畜が罹患する感染症の中で伝播力が強く特に被害が大きいもの、またはヒトの健康の脅威となるものが「家畜伝染病予防法」で定められています。それらの発生を予防し、まん延を防ぐため、定期的に県内の農場を巡回し、採材・検査を実施します。
放牧場における衛生検査
ピロプラズマ病は、夏場、放牧される牛に多発する病気で、重度の貧血や黄疸、血尿、発熱(ダニ熱)など、牛の健康に害を及ぼします。
農家が安心して放牧できるように、放牧場で定期的な血液検査を行います。赤血球内に寄生する原虫を確認することでピロプラズマ病を診断し、臨床症状が重篤な場合は治療を指導します。
家畜伝染病の発生に備えた事前対策
高病原性鳥インフルエンザや豚熱(CSF)は、一度発生すると経済的損失が大きく、影響が広範に及ぶことから、特に注意の必要な悪性伝染病です。家畜保健衛生所では、万一の発生に備えた事前対策として、防疫体制の整備や防疫演習を行っています。
家畜伝染病が発生したときの防疫措置
万が一、鳥インフルエンザ等の家畜伝染病が発生したときは、家畜保健衛生所が中心となり、地域振興局や市町村、JA等の関係機関と協力して発生農場の防疫措置を実施します。
防疫措置終了後は、農場の経営再開に向けて、農場のウイルス検査や飼養衛生管理基準のチェックを行います。
病性鑑定
病性鑑定を行う「病性鑑定班」は県内3カ所の家畜保健衛生所のうち中央家畜保健衛生所のみにあります。家畜伝染病や届出伝染病を中心に、家畜に病気を引き起こす病原体を、最新の技術・設備を用いて、より専門的な見地から検索します。迅速で正確な病性鑑定が、防疫対応上、最も重要な「早期発見」と「迅速な初動対応」につながります。
業務紹介~出先機関:畜産試験場~
本県畜産業の発展と畜産農家の所得向上に寄与する試験研究のメインセンター
試験研究
畜産試験場では、県政の運営指針である「新秋田元気創造プラン」や本県農林水産業に関する詳細計画「ふるさと秋田農林水産ビジョン」 などの行政施策と連携を図りながら、農家や消費者等の要望に技術面から応えるべく、「畜産試験場中長期計画」を策定し、獣医師も様々な試験研究と研究成果の普及に取り組んでいます。
ゲノム情報を利用した高能力牛選抜手法の確立
全ゲノムの情報をとらえ、有用な経済形質(増体、産肉性など)を数値化し、従来より効率的な手法で種雄牛や繁殖牛を造成する技術を確立します。牛肉のおいしさ等の新たな形質を指標とした改良の可能性を研究します。
牛の人工授精用凍結精液と受精卵の生産・供給
畜産試験場が造成した高能力種雄牛から凍結精液を生産し、人工授精用精液として農家へ供給するとともに遺伝資源として保存します。また、高能力ドナー(供卵牛)から受精卵を採取・凍結し、農家に供給します。
比内鶏とロードアイランドレッド種の原種の維持・管理
県の特産品である比内地鶏の安定生産のため、父系である比内鶏(ひないどり・天然記念物)の原種や、母系であるロードアイランドレッド種の維持・管理を行っています。また、生産される比内地鶏の肉質向上に向けて、ロードアイランドレッド種については、ゲノム手法による改良に取り組んでいます。
飼養家畜の治療・衛生管理
畜産試験場には種雄牛、乳牛、肉牛、比内鶏など多数の家畜が飼養されており、状況に応じた治療や疾病発生予防のための衛生管理を行います。
将来の職業を考えている皆さんへのメッセージ
- 獣医職(農林水産部所属)の“魅力”と“やりがい”について
- 近年、高病原性鳥インフルエンザや豚熱(CSF)などの重大な伝染病が発生しており、その発生を予防し、まん延を防止する上で獣医師が果たす役割は、ますます大きくなっています。
- 獣医師としての技術や知識を存分に発揮でき、「食」の根幹である安全・安心な畜産物生産のためという使命感をもって取り組むことができる仕事です。
- 秋田県は特産の比内地鶏、能力の高い種雄牛・供卵牛などを多数所有しているため、県産ブランド畜産物の生産拡大に携わる機会がたくさんあり、地域の活性化に貢献することができます。
- 獣医師としてのスキル・アップを図るための、研修・実践の場も数多く準備されています。
- 畜産・家畜衛生行政や疾病予防・検査、試験研究に携わり、農家の方とコミュニケーションを取ることで、秋田県の畜産振興の一助を担っていると実感できます。
- 畜産農家の方から掛けてもらう「ありがとう!」「頼りにしてるよ!」といった声が大きな励みとなります。
- 秋田県の家畜保健衛生所では、大学生や高校生向けの体験研修も実施しておりますので、将来を考える一助として是非ご参加ください!
魅力満載の秋田県獣医師職!
秋田県の畜産業発展のため、一緒に働きませんか?
若手職員インタビュー
農林水産部 北部家畜保健衛生所 防疫班 技師 川畑 海渡(2021年度採用)
2023年度~ | 農林水産部 北部家畜保健衛生所 防疫班 |
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2020年度~ | 農業経済課 調整・六次産業化班 |
08:15 | 出勤 |
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08:30 | 朝の会、スケジュール確認 |
09:00 | 農場へ出発 |
10:00 | めん羊への駆虫薬投与と採血・採糞 |
11:30 | 農場の方と情報交換 |
12:30 | 昼休み |
13:20 | 帰庁 |
13:30 | 血液検査・寄生虫検査 |
15:00 | 検査成績書作成 |
17:15 | 退庁 |
Q 現在どんな仕事を担当していますか?
みつばち・めん羊の伝染病予防を担当しています。みつばちでは巣板を目視し、腐蛆病などの疾病に罹患していないかを検査しています。めん羊では農場での衛生検査、死亡めん羊の剖検、細菌検査等を行っています。
Q 秋田県庁を選んだ理由は?
私は大阪出身でこれまで秋田県には縁がなかったのですが、温泉が豊富・お酒が美味しそうというイメージがあり、一度住んでみたいと思っていました。元々公務員獣医師志望だったので、秋田県獣医師修学資金の貸与を受け、入庁することになりました。
Q 仕事でやりがいを感じることは?
農場で死亡した家畜や家きんの病性鑑定で、獣医学の知識を活用して疾病を診断し、農場へ対策を指導することがあります。その結果、疾病発生を予防でき、農場から感謝の言葉をいただけた時には、この仕事の面白さとやりがいを感じます。
Q 休日や退庁後の過ごし方は?
休日はドライブに出かけることが多いです。秋田県内がほとんどですが、たまに青森や仙台へ遠出することもあります。農場出張に行った日は、退勤後に自宅近くの温泉へ行くこともあります。
県職員を目指している方へメッセージ
仕事で分からないことがあっても、職場の様々な方がサポートしてくれるので、非常に働きやすいです。また、今まで学んできた獣医学の知識を現場で活用する機会が多く、獣医師としても成長できると思います。ぜひチャレンジしてみてください。
農林水産部 中央家畜保健衛生所 病性鑑定班 技師 中村 南斗(2018年度採用)
2022年度~ | 農林水産部 中央家畜保健衛生所 病性鑑定班 |
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2020年度~ | 農林水産部 中央家畜保健衛生所 防疫班 |
2018年度~ | 農林水産部 北部家畜保健衛生所 総務・衛生指導班 |
09:00 | 培養細胞の観察 |
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09:15 | 培養細胞の継代 |
10:00 | 牛鼻腔スワブからの核酸抽出 |
11:00 | 病原遺伝子を標的にしたPCR |
12:00 | 昼食 |
13:00 | 病原ウイルスに関する文献検索 |
14:00 | 抗体検査 |
16:00 | 検査報告書の作成 |
17:15 | 退庁 |
17:30 | 買い物 |
18:00 | 帰宅 |
18:30 | ジョギング |
19:30 | 入浴 |
21:00 | ゲーム |
22:00 | 就寝 |
Q 現在どんな仕事を担当していますか?
牛・豚・鶏等を飼養する農家から家畜伝染病の検査依頼を受け、原因究明と診断を行っています。具体的には農場で採取したスワブや解剖した家畜の臓器等を用いてPCRや抗体検査、ウイルス分離試験を行っています。
Q 仕事でやりがいを感じることは?
家畜が死亡する原因が分からず、農家が困っているときに、原因となっている病原体を見つけ出し、対策を行った結果、家畜が元気になったという話を農家から聞いた際に、嬉しさとやりがいを感じます。
Q 秋田県庁を選んだ理由は?
まず、出身が秋田県であることが理由です。また、獣医師を募集している県内の事業所の中でも、秋田県庁が特に福利厚生が充実していること、獣医師の行う業務が多岐にわたることも理由です。
Q 休日や退庁後の過ごし方は?
天気の良い日は、ジョギングをしたり、ドライブに出かけて景色と名物を楽しんだりしています。外出せず部屋で映画鑑賞に没頭する日もあります。季節によっては花見やマリンスポーツ、キャンプに出かけたりします。
県職員を目指している方へメッセージ
周りには県外出身者も多く、出身地を問わずどなたでも働きやすい環境です。また、大学で学んだ知識を幅広く生かすことが可能な職場だと思うので、ぜひ進路の選択肢に加えてみてください。