十和田湖水質・生態系改善行動指針
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行動指針策定の趣旨
十和田湖は、青森・秋田県境に位置し、十和田八幡平国立公園を代表する重要な自然資源であり、国の特別名勝及び天然記念物に指定されている国内有数の景勝地となっています。
十和田湖の魅力の一つは、その湖水の清らかさであり、昭和初期には透明度が約20mあったとされていますが、昭和61年度以降、水質は最も厳しい環境基準である湖沼AA類型(COD値1.0mg/L以下)を達成できない状況が続いています。
この原因を究明するため、青森県が平成7年度から環境庁国立環境研究所(当時)と共同で実施した「十和田湖水質汚濁機構解明調査」の結果によると、昭和60年頃から、ヒメマス、ワカサギ、さらには、これらの餌であるプランクトン等が構成する生態系に変化が生じ、この現象が水質に影響を及ぼしている可能性が認められました。
また、平成10年度からは、水質改善及びヒメマス資源量回復のための具体策を提言することを目的とした「十和田湖水質・生態系調査」を環境庁国立環境研究所(当時)、水産庁さけ・ます資源管理センター(当時)、青森県、秋田県が共同で実施し、平成12年度にこの調査による「十和田湖の水質・生態系管理に向けた提言」が提出されました。
本指針は、この提言をもとに、青森県及び秋田県が、水質改善及びヒメマスの資源量回復のための具体的な方策を示すために平成13年8月に策定したものです。
行動指針の改定
以降、指針に基づき、青森県及び秋田県の行政・試験研究機関・事業者・周辺住民が、水質の改善とヒメマスの資源量回復に向けた取り組みを進めてきましたが、指針策定後10数年が経過したことから、これまでの調査研究で得られた新たな知見等も踏まえ、指針の内容を見直すことととしました。
これを受け、平成25年9月に「十和田湖水質保全検討会」を設置し、有識者による検討を重ね、平成27年3月に「十和田湖水質・生態系改善行動指針」を改定しました。
検討会においては、国内で多くの湖沼の水環境が悪化しているなか、十和田湖は、指針などに基づき比較的良好に管理されており、ここ20年で顕著な水質悪化が見られないことについて、高く評価されました。
今後も十和田湖のきれいな水と豊かな恵みを次の世代に引き継ぐため、新たな指針に沿った取り組みを関係者が一体となって進めていくこととしています。
行動指針の基本事項 (行動指針より抜粋)
1 指針の性格
この指針は、行政、試験研究機関、事業者(漁業、観光、発電等)及び十和田湖の周辺住民が実践する、十和田湖の水質改善とヒメマスの資源量回復に向けた取り組みに関する具体的方法書である。
今後、この行動指針をもとに、関係者が一体となって積極的に取り組んでいくものとする。
2 指針の目的
(1)十和田湖の水質を改善する。
項目
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改善目標値
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COD(75%値)
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1mg/L以下 |
透明度(年間平均値)
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12m以上 |
※CODについては「中央(湖心)」及び「子の口前面」の全層75%値、透明度については「中央(湖心)」の値で評価する。
(2)ヒメマスの資源量を回復する。
(3)水質改善及びヒメマス資源量回復後、将来にわたって良好な水質と生態系を維持していく。
(4)住民等の環境保全意識の啓発を図り、環境保全活動を行いやすい雰囲気を醸成する。