このたびの臨時会は、新型コロナウイルス感染症への対応に係る補正予算案等についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、令和2年7月豪雨についてであります。
 九州地方を中心に各地を襲った記録的な大雨により、河川の氾濫や土砂災害が発生し、熊本県をはじめ各県で多くの死傷者、行方不明者が出るなど、広範な地域に甚大な被害がもたらされました。
 秋田県民を代表し、犠牲となられた方々に対しまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
 今後、被災地が速やかに復旧し、被災者の方々が一日も早く元の生活に戻られますよう、心からお祈り申し上げます。
 今回の豪雨災害では、高齢者施設において大きな被害が発生したことから、本県としても、要配慮者利用施設における避難方法等の確認や感染症に対応した避難所運営について、市町村と連携を図りながら、今後の災害に備え万全を期してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
 今月に入り、東京都を中心に新規感染者数が急増する事態となっており、いわゆる「夜の街」における若い世代の感染とともに各年代への広がりを見せているほか、全国的にも感染例が増加傾向にあります。
 こうした状況を踏まえ、県民に対し、今月9日から、首都圏との往来についてはより慎重に判断していただくとともに、訪問する場合は、夜の繁華街の接待を伴う飲食店の利用や3密となる場での会食を避けるなど、感染回避に向け注意喚起を行っております。
 さらに、これから夏休みやお盆の時期を迎えるに当たり、東京都やその周辺のほか、感染が拡大している地域への観光などを極力避けていただくよう、昨日、私から改めて県民の皆様にお願いしたところであります。
 引き続き、県民1人ひとりが、ご自身のみならず、ご家族や周りの方を守るため、基本的な感染防止対策の実践を含め、適切な行動をとっていただくようご協力をお願いいたします。
 国では、今月17日に、当面の経済財政運営の指針となる「骨太の方針」と「まち・ひと・しごと創生基本方針」を閣議決定し、効果的なワクチン等が開発・普及するまでのいわゆる「ウィズコロナ」として、新型コロナウイルスの感染拡大への対応を最優先にしながら、経済活動の段階的引き上げを図っていくとともに、ポストコロナ時代の新しい未来を見据え、デジタル化への集中投資や東京一極集中の是正などを目指すという方向性を打ち出しました。
 この一極集中から脱却するためには、これまで長年にわたり形成されてきた我が国の社会経済システムを抜本的に変革していくことが必要であり、県としても、こうした時代の流れを的確に捉えながら様々な施策を講じてまいります。
 次に、本県における感染拡大の防止と経済の早期回復に向けた取組について申し上げます。
 医療提供体制の整備については、新たな患者推計を基に200床以上の病床の確保を図るとともに、重症患者の受入れに必要とされる設備等の整備に対する支援を行うほか、医療施設等におけるクラスター発生に備え医療チームの派遣体制を構築するなど、感染拡大の局面を見据え対策を強化することにしております。
 県内経済を下支えする経済対策については、これまで、休業要請に応じた事業者に対する協力金の支給や、観光・宿泊の需要創出と飲食の消費喚起に向けたプレミアム券の大規模な発行など、各種取組を進めてきておりますが、新たに、利用者が大きく減少している乗合バス等を対象に事業継続への支援を行い地域交通等の維持を図る取組を進めるほか、食品事業者が実施するオンラインでの販売促進等の取組を支援するなど、厳しい経済情勢の打開に向け引き続き機動的に対策を講じてまいります。
 また、感染拡大の影響から、首都圏企業等における在宅勤務の導入拡大や、都市居住者の地方への回帰志向の高まりなど様々な行動変容が生じている状況を踏まえ、リモートワークを活用した人材誘致という新たな視点を取り入れながら、首都圏等において秋田暮らしの魅力を強くPRし、本県への人の流れを拡大する取組を進めてまいります。
 さらに、感染リスクの低減はもとより、教育環境のデジタル化・リモート化を推進し未来を担う創造的な人材の育成に向け、県立学校において生徒1人1台端末を導入し、ICTを活用した学びの充実を図るとともに、県が設置する大学におけるオンライン教育の実施に必要な環境の整備など、学修機会の確保を図る取組を支援してまいります。
 次に、提出議案について説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、新型コロナウイルス感染症への対応として、感染拡大防止策と医療提供体制の整備、雇用の維持と事業の継続、県内経済の下支えなど、早急に取り組む必要がある事業について計上しております。
 感染拡大防止策と医療提供体制の整備については、介護・障害福祉サービス事業所等における感染拡大の防止や在宅サービス利用者への利用再開に向けた働きかけの取組を支援するほか、新型コロナウイルス感染症患者等の受入体制を整備するため、あらかじめ入院用の病床を確保する場合の医療機関に対する助成を行うとともに、重点医療機関等における継続的な医療提供体制の確保に必要な医療資機材の整備について支援してまいります。
 また、感染症対策の徹底を図りながら児童生徒の学びの保障を推進するため、小中学校に新たに学習指導員を配置するほか、校内の消毒や児童生徒の健康観察等を行うスクール・サポート・スタッフを配置することなどにより、学校の指導体制の充実を図ってまいります。
 さらに、生徒や教職員の感染リスクを低減しつつICTを活用した先進的な学校教育を推進するため、県立学校における生徒1人1台端末の整備を図るとともに、県が設置する大学等において、感染拡大の防止を図る観点から、遠隔授業に必要な設備の整備等を行ってまいります。
 雇用の維持と事業の継続、県内経済の下支えについては、利用者が大きく落ち込んでいる乗合バス事業者やレンタカー事業者、自動車運転代行業者に対し、事業継続に必要な支援を行うとともに、枝肉価格の急落により厳しい経営状況となっている肉用牛肥育農家に対し、素牛導入費用の負担軽減を図ってまいります。
 また、住宅着工の減少等に伴い木材需要が大きく落ち込んでいる状況を踏まえ、県産材の県外への販売を行う木材加工企業等に対し運搬経費の助成を行ってまいります。
 経済活動の回復・地方創生に向けた新たな取組については、感染拡大の状況も踏まえつつ国のGo To トラベル事業と連携した誘客促進を図るため、適切な時期において、県内宿泊の旅行客を対象に、オンラインショップで県産品と引換可能なクーポンを配布するほか、アフターコロナのインバウンド誘客を見据え、少人数・滞在型観光や自然・癒やしをテーマとした旅行など、感染リスクを避けた新たな旅行スタイルに対応した観光コンテンツについて、広く発信してまいります。
 また、今後の景気回復を見据え、県産米の市場シェアの拡大を図るため、家庭用や非常用備蓄食品として需要が高まっているパックご飯の生産設備の導入に対し助成してまいります。
 さらに、リモートワークの普及を本県への移住・定着につなげるため、東京証券取引所の上場企業など約4千社に対し、ICTの手法も活用しながら、本県におけるリモートワークの実現可能性や支援ニーズ等に関するアンケート調査を実施するほか、新しい働き方のモデルとなるリモートワーク等の拠点施設の整備に対し助成を行うなど、人材誘致に向けた取組を強化してまいります。
 一般会計補正額は、145億6,350万円であり、補正後の総額は、6,534億3,762万円となります。
 次に、単行議案について申し上げます。
 「秋田県職業能力開発校の行う普通職業訓練の基準等を定める条例の一部を改正する条例案」は、職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令の施行により、県が設置する職業能力開発校の行う普通職業訓練に係る訓練の実施方法に関する基準について所要の規定の整備を行おうとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上
げます。