今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
 新型コロナウイルスの新規感染者数については、全国的に相当程度抑制され徐々に社会経済活動が取り戻されつつあるものの、東京都など首都圏においてクラスター感染が発生するなど、未だに警戒が必要な状況が続いております。
 県内では、4月の感染例を最後に新たな感染者は確認されておりませんが、帰省などで人の移動が盛んになるお盆の時期をはじめ、今後想定される流行の第2波、第3波に備え、医療提供体制の整備とともに、検査体制の更なる強化を図っていくことにしております。
 また、学校の臨時休業に伴う学習の遅れについては、県内全ての小・中・高等学校、特別支援学校において夏季休業期間の短縮等により対応するとともに、進学や就職を控えた県立高校の3年生が学習に集中できるよう普通教室にエアコンを設置するなど、学習環境の整備に努めてまいります。
 県民の皆様におかれましては、感染者が継続して発生している東京都など5都道県との往来について、引き続き感染防止に注意を払っていただくとともに、手洗いやマスクの着用など基本的な感染予防に加え、日常生活の様々な場面での「三密」の回避や社会的距離の確保など、当面の感染防止対策等を踏まえたいわゆる「新しい生活様式」の実践にご協力いただきますようお願いいたします。
 次に、国内外の経済情勢について申し上げます。
 世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により急速に悪化しており、経済活動の再開が各国で段階的に進められているものの、先行きは極めて厳しい状況が続くものと見込まれております。
 我が国においても、外出の自粛による国内消費の落ち込みや入国制限に伴うインバウンド需要の消失などにより、観光・宿泊や飲食サービス、運輸などの産業を中心に深刻な影響を受けており、内閣府の月例経済報告でも景気は急速な悪化が続いているとの認識が示されているほか、4月から6月期の実質GDPについても、リーマン・ショック時より更に厳しいマイナス成長となることが想定されております。
 本県の経済情勢をみると、旅館・ホテル業、飲食業をはじめとしたサービス業を中心に景況が著しく悪化しているほか、サプライチェーンの寸断や世界的な需要減による製造業の落ち込みも見られるなど、感染症の拡大が様々な業種に深刻な影響を及ぼしており、4月の有効求人倍率は全国平均を上回ったものの前月より0.03ポイント低下するなど、雇用についても影響が顕著になってきております。
 このため県においては、県内経済の早期回復に向け、急激な売上げの減少に直面している中小企業等に対し、実質無利子・無保証料の制度融資による資金繰り支援を引き続き実施するほか、国の支援施策を円滑・迅速に活用できるよう、商工団体等と連携してサポートしてまいります。
 また、感染拡大防止はもとより、働き方改革や人手不足の解消につなげるため、県内の幅広い業種においてテレワークの導入を促進するとともに、現場で不足しているフェイスシールドや医療用ガウンなどの医療物資について、県内での生産を促すほか、物資を必要とする医療機関等とのマッチングを図るなど、地域内で調達できる体制を構築してまいります。
 一方、感染拡大に伴う外出の自粛や施設の臨時休業のほか、例年多くの観光客で賑わう各地の夏祭りや各種イベントも中止を余儀なくされるなど、県内の観光関連産業にとっては極めて厳しい状況となっていることから、県内の宿泊施設で利用できるプレミアム宿泊券を発行することとし、今月3日から第1弾の購入申込みを受け付けているところであり、これまで8万人以上の皆様から、41万枚を超える応募をいただいております。
 また、一昨日から購入申込みの受付けを開始したプレミアム飲食券についても多数の応募をいただいており、観光・宿泊や飲食を中心とした消費喚起による経済対策について、多くの県民が高い関心を持ち、ご協力いただいていることに感謝申し上げます。
 こうした中、追加の経済対策等を盛り込んだ国の第2次補正予算案が審議されておりますが、県としても新たな国の対策を踏まえ、中小企業等の事業継続や雇用の維持に必要な支援策等について検討を進めてまいります。
 今般の感染拡大の様相は、首都圏等における過度な人口集中の負の側面を改めて浮き彫りにしたものであり、今後の感染症や大規模な自然災害への備えという国家的な危機管理の見地からも、東京一極集中の是正に向け社会構造の抜本的な改革が必要であり、地方への産業の再配置をはじめ、5G基地局等情報通信基盤の地方における早期整備など、国自らが有効な施策を積極的に推進するよう、全国知事会を通じ提案したところであります。
 また、過密がもたらすリスクとストレスが社会的に再認識される中、リモートワークなどの新しい働き方が定着することにより、地方移住や2地域居住、ワーケーションといった地方への人の流れが更に広がることが想定されることから、本県としても、これらの新たな視点を踏まえ、移住・定住の促進や関係人口の創出・拡大などの取組を一層強化してまいります。
 次に、大館能代空港の利便性向上について申し上げます。
 昨年度、地元の利用促進協議会や航空会社と共に、同空港の羽田線の3便化実現に向けて、国の羽田発着枠政策コンテストに応募した結果、先月14日、同空港の提案が選定されました。
 この増便については、これまで地元市町村や利用促進協議会と共に継続的に要望してきたところであり、今回のコンテストで選定されたことは、その成果として喜ばしく思っております。
 現在、新型コロナウイルスの影響により減便が続いている状況にありますが、収束後を見据え、今後とも、地域と連携した一層の利用促進と安定的な運航の確保に向けた支援に取り組みながら、3便化によるメリットを最大限活用し、圏域全体の産業・観光の振興につなげてまいります。
 次に、交通ネットワークの整備について申し上げます。
  これまで県では、県民生活や本県経済を支える高速道路ネットワークの整備に向け、事業中区間の早期完成と秋田自動車道「大曲インターチェンジ以南」の4車線化について、官民一体となって要望活動を行ってきたところであり、このたび、昨年に引き続き「湯田インターチェンジ・横手インターチェンジ間」の約8キロメートル区間が事業化されることになりました。
 これにより、重要な物流ルートとしての安全性や定時性が向上し、自動車関連企業をはじめとした県内の経済活動に大きく貢献するものと考えており、今後とも、あらゆる機会を捉えて、秋田自動車道の全線4車線化を国などに対し強く要望してまいります。
 また、県内陸部の南北をつなぐ大曲鷹巣道路の大覚野峠地区の整備については、関係市町村と共に国による直轄調査の実施を要望してきたところであり、このたび国が権限代行実施を検討するための調査事業を進めることになりました。
 大覚野峠地区の道路整備は、広域連携の強化や産業振興、観光振興に大きく貢献するものであり、今後も国による早期事業化に向けて働きかけを強化してまいります。
 次に、秋田米のフラッグシップとなる新品種について申し上げます。
 4月7日から先月17日まで、ウェブサイトなどを通じた品種や産地のPRと併せて、名称を全国公募したところ、目標の5万件を大きく上回る25万件を超える応募があり、海外も含め県外からの応募が7割を占めるなど、名称公募を通じて全国的に新品種の関心を高めるという所期の目的は達成できたものと考えております。
 今後、名称を選定し、11月にはお披露目することにしており、今後ともメディアやSNSなどを通じ期待感を高める情報発信や、食味の良さを最大限に発揮するための生産体制の確立など、ブランド米としての地位を確立できるよう、農業団体等と一体となってデビューに向けた取組を進めてまいります。
 次に、日本一を目指した園芸産地づくりについて申し上げます。
 これまで、複合型生産構造への転換に向け、園芸等の大規模生産拠点の全県展開や、日本一を目指す品目の生産拡大を推進してきた結果、令和元年度の京浜中央市場への「えだまめ」と「しいたけ」の年間出荷量が初めて全国トップとなったほか、「しいたけ」は、販売額と販売単価も前年度に続きトップとなり、3部門で日本一となる「販売三冠王」を獲得するなど、成果が着実に現れてきております。
 引き続き、気象条件に応じたきめ細かな技術指導を徹底するとともに、消費者ニーズやマーケットの動きを的確に捉えながら、県産農産物の更なる生産拡大と販売促進に努めてまいります。
 次に、提出議案の主なものについて説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、新時代を勝ち抜く攻めの農林水産戦略など、「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」に基づく事業のほか、公共事業等について計上しております。
 農林水産戦略に係る事業については、CSF、いわゆる豚熱などの県内での発生を防止するため、養豚場における野生イノシシ等の侵入防止用防護柵の設置を支援するほか、原木の安定的な供給体制を構築するため、高性能林業機械の導入や木材加工流通施設の整備等に対し助成してまいります。
 このほか、自然志向や野外活動への関心が高まる中、地域の賑わい創出と活性化に向けて、県や地元自治体、民間事業者等が連携して、真木真昼県立自然公園におけるアウトドア・アクティビティの魅力を広く県内外に発信してまいります。
 公共事業については、国の内示による国庫補助事業等を計上しており、インフラの老朽化対策をはじめ、社会基盤の整備を積極的に進めてまいります。
 また、今年度末で指定管理の協定期間が満了する公の施設について、令和3年度以降の管理運営に係る債務負担行為を設定しております。
 一般会計補正額は、49億3,689万円であり、補正後の総額は、6,306億8,955万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県公安委員会の委員の任命について」は、委員の任期満了に伴う一部委員の任命について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
 「職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案」は、一般職の国家公務員に準じ、新型コロナウイルス感染症から県民の生命及び健康を保護するために緊急に行われる措置に係る作業等に従事した職員に対し、防疫等業務手当を支給しようとするものであります。
 「秋田県立高等学校設置条例の一部を改正する条例案」は、秋田県立能代工業高等学校及び秋田県立能代西高等学校の統合により新たに秋田県立能代科学技術高等学校の設置等をしようとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上
げます。