1. 職場のハラスメント

 ハラスメントとは「嫌がらせ」や「いじめ」行為を指します。
   セクシュアルハラスメントやパワーハラスメント等、職場のハラスメントは働く人の尊厳を不当に傷つける、社会的に許されない行為です。
 職場のハラスメントが発生すると、被害者は精神的苦痛のため休職や退職に追い込まれたり、メンタルヘルス不調に陥ってしまうなどの悪影響があり、加害者にも、自身の信用低下や懲戒処分・訴訟等のリスクをもたらします。
   企業にとっても、良好な職場環境が維持できないことから、業績悪化や人材流失などの悪影響を及ぼします。
 さらに、事業主は使用者としての安全配慮義務(※)を怠ったことで、法令に違反するとともに、損害賠償の責任を負うことにもなりかねません。
 こうした悪影響や損失を回避するためにも、事業主はもとよりハラスメントで悩んでいる方、管理職の方、人事担当の方それぞれが、ハラスメントをなくすための取組を進めることが求められています。

 ※使用者の安全配慮義務については、労働契約法第5条労働安全衛生法第71条の2をご参照してください。 

2. 令和4年4月からパワハラ防止措置が全企業に義務化されます!

 令和2年6月1日に施行した改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)に基づく「パワーハラスメント防止措置」が、令和4年4月1日より中小企業の事業主にも義務化されました。

(1)職場における「パワーハラスメント」
    以下を全て満たすものが該当になります。
          ア 優越的な関係を背景とした言動
          イ 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
          ウ 労働者の就業環境が害されるもの
 
        ※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、該当しません。

(2)6つの類型(優越的な関係を背景として行われた場合)
    代表的な言動の類型は、以下のア~カのとおり。
     ア 身体的な攻撃(暴行、傷害)
     イ 精神的な攻撃(脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言)
     ウ 人間関係からの切り離し(隔離、仲間外し、無視)
     エ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
     オ 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
     カ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

(3)ハラスメント防止のための関係者の責務
    ア 事業主の責務
       ・職場におけるパワーハラスメント防止に対する労働者の関心と理解を深めること
       ・雇用する労働者が他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うよう研修を実施する等、必要な配慮を行うこと
       ・事業主自身がハラスメント問題に関する関心と理解を深め、労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと
    イ 労働者の責務
       ・ハラスメント問題に関する関心と理解を深め、他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと
       ・事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること
         

       ※取引先等の他の事業主が雇用する労働者や求職者も含まれます。

(4)職場におけるパワーハラスメント防止のために講ずべき措置
    ・事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発(パワハラを行ってはならない旨の方針の明確化、就業規則等の文書への規定 等) 
    ・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備(相談窓口の設置、労働者への周知 等)
    ・職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応(事実関係の迅速かつ正確な確認、被害者に対する配慮措置、行為者に対する適正な措置、再発防止 等)
    ・そのほか併せて講ずべき措置(プライバシー保護のための必要な措置、相談や協力等を理由に不利益な取扱いをされない旨の定めと周知・啓発)


(5)事業主が自らの雇用する労働者以外の者からの言動に関し行うことが望ましい取組

 ア 職場におけるパワハラを行ってはならない旨の方針の明確化等を行う際に、他の事業主が雇用する労働者、就職活動中の学生等の求職者、労働者以外の者(個人事業主などのフリーランス、インターンシップを行う者、教育実習生等)に対しても同様の方針を併せて示すこと。 

 イ 雇用管理上の措置全体も参考にしつつ、適切な相談対応等に努めること。

(6)事業主が他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

  ア 相談先(上司、職場内の担当者等)をあらかじめ定め、これを労働者に周知すること。
  イ アの相談を受けた者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。併せて、労働者が当該相談をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

3. 職場におけるセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント

 職場におけるセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントについては、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法により、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。
  育児・介護休業法においても、育児や介護に関する支援制度を利用することで嫌がらせをしたり、その相談をしたこと等を理由とする不利益扱いが禁止されました。

4.  カスタマーハラスメント

 顧客による不当・悪質なクレーム(いわゆるカスタマーハラスメント)は、従業員に対して過度に精神的ストレスを感じさせるとともに、通常の業務に支障が出るケースも見られるなど、企業にとって多大な損失をもたらすことが想定されます。

 

顧客等からの著しい迷惑行為(いわゆるカスタマーハラスメント)について(厚生労働省)

5.  関連先HP    

 

 相談窓口については、下記関連リンクのページを御参照ください。  

  ・「あかるい職場応援団」 ハラスメント裁判事例、他社の取組などハラスメント対策の総合情報サイト(厚生労働省)
  ・職場におけるハラスメントの防止のために(厚生労働省)