このたび提案いたしました議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、去る4日、退任されました菅前総理におかれましては、コロナ禍における困難な状況の中で、国政の行く末を深く憂慮され、辞任を決断されたものと推察いたしており、無派閥ゆえに党内事情に配慮した政権運営を余儀なくされたことに加え、国民に政策の意図が十分に伝わらなかったことは残念であったと思っております。
 しかしながら、脱炭素化に向けたグリーンイノベーション基金の造成や省庁横断的に政策を推進するデジタル庁の設置、最低賃金の過去最高となる上げ幅の実現、さらには社会保障に対する若者の負担軽減を図るための高齢者の医療費2割負担など、我が国の未来を見据え、変革の端緒を切り拓くとともに、生活に身近な分野では、携帯電話料金の引き下げや公立小学校における35人学級の導入、不妊治療への保険適用に道筋を付けたほか、「自由で開かれたインド太平洋」構想に向けた各国との信頼関係の構築など、国際的にも日本の存在感を示し、約1年という短い在任期間にあっても、多くの実績を残されました。
 新型コロナウイルス感染症対策については、ワクチン接種において地方自治体との意思疎通に若干配慮が不足した面があったものの、結果的には現時点で先進国の中でも高い接種率になるなど、国民の命と暮らしを守り抜くとの決意のもと、最後まで重責を果たされました。
 また、常日頃よりふるさと秋田のことを気に留められ、お心配りをいただくとともに、多岐にわたる要望の実現にご尽力くださるなど、これまでのご厚意に深く感謝しており、今後とも本県の発展にお力添えを賜りますようお願いいたします。
 次に、県関係者の副大臣就任についてであります。
 このたびの組閣において、冨樫博之氏が復興副大臣に就任されましたことを、心よりお祝い申し上げます。
 冨樫副大臣におかれましては、豊富な経験を生かし、東日本大震災からの速やかな復興と被災地の自立に向けた支援に取り組み、東北の発展を牽引されることをご期待申し上げるとともに、引き続き県政の推進にご協力くださいますようお願いいたします。
 次に、国政を巡る状況について、申し上げます。
 岸田新総理は、臨時国会における所信表明演説において、国民からの信頼と共感が得られる政治を掲げ、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトに、「新しい資本主義」の実現に向けて取り組んでいくことを表明されました。
 経済の再生や感染症への対策など我が国が直面する諸課題への迅速な対応はもとより、厳しさを増す国際情勢も見据えながら、食料やエネルギー、国土保全、防衛等の国家としてのベーシックな問題への対策の具現化を目指し、リーダーシップを発揮されるとともに、デジタルインフラの整備や農林水産業の振興など地方が希望と活力を持てる取組を推進されることを期待しております。
 また、今月末に行われる総選挙においては、更なる感染拡大に備えた医療体制の強化策や実効性のある経済対策などが大きな争点になるものと考えており、地方の声を国政に反映させるため、全国知事会では、主要な各政党に対し、こうした対策をはじめ、地方税財源の充実・強化や地方創生の実現、少子化対策などを選挙公約に盛り込んでいただくよう提言を行ったところであります。
 次に新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
 政府は、ワクチン接種の進展や中和抗体薬の開発などにより、重症者数や死亡者数が低く抑えられ、高齢者の感染の割合も低下していることから、先月末、およそ半年にわたり継続していた緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の全てを解除するとともに、今後は、次の感染の波に備えながら、段階的に制限を緩和し、感染対策と日常生活を両立させることを基本に政策を展開していくことを決定しております。
 本県においても、先般の新型コロナウイルス感染症対策本部会議において、県独自の感染警戒レベルを3に引き下げたところであり、ここに至るまでの県民の多大なるご協力と医療現場を支えていただいた医療従事者のご尽力に対し、厚く御礼を申し上げます。
 県としましては、今後の急激な感染拡大に備え、必要となる病床の確保に加えて、今週、県南においても宿泊療養施設の運用を開始するなど、患者の受入体制を強化するとともに、この夏の第5波の経験を踏まえた新たな「保健・医療提供体制確保計画」を策定し、コロナ医療と一般医療の両立を図りつつ、陽性確認前から回復まで切れ目なくコロナ患者に対応可能な体制を整備してまいります。
 また、ワクチン接種については、希望者全員の2回目の接種終了と3回目の接種開始に向けて、市町村をしっかりとサポートしていくほか、感染拡大により大きな影響を受けている事業者等を速やかに支援するため、県内飲食店等に対する支援金の支給や飲食店認証制度の周知などの取組を強化してまいります。
 今後、行動制限の緩和等により、県外との往来が大幅に増加することが見込まれるほか、新たな変異株の流入やインフルエンザとの同時流行も懸念されることから、県民の皆様には、ワクチン接種後においても、マスクの着用や手洗い、換気など感染防止対策の徹底を引き続きお願いいたします。
 次に、秋田米新品種「サキホコレ」のプレデビューについて申し上げます。
 「サキホコレ」の生育は、天候に恵まれたことに加え、生産者のきめ細かな管理と関係者の的確な指導により順調に推移し、これまでのところ、全量が一等米で品質の高い米が生産されており、幸先の良いスタートを切ることができました。
 今後は、来月6日に東京と秋田で開催予定のキックオフイベントを皮切りに、全国一斉に先行販売を開始するとともに、県内外においてキャンペーンを実施し、来年の本格デビューに向けて、認知度向上とブランドイメージの確立に努めてまいります。
 次に、認定をお願いいたします令和2年度秋田県歳入歳出決算について申し上げます。
 一般会計歳入総額は6,960億1,204万円、歳出総額は6,784億1,243万円となり、事業繰越財源を差し引いた実質収支は、132億3,647万円の黒字となりました。
 令和2年度は、新型コロナウイルス感染症への対応として、感染拡大の防止と医療提供体制の整備、雇用の維持と経済活動の早期回復に向けた取組など、医療と経済の両面で対策に取り組んだほか、折り返しを迎える第3期ふるさと秋田元気創造プランの更なる加速化のための施策を重点的に推進し、特に、秋田の将来にとって希望の種となる「未来への投資」を、県内経済の自律的な成長力である「稼ぐ力」への投資、高質な田舎を実現するための原動力である「人」への投資、県民のあらゆる活動の基盤である「健康・安全・安心」への投資の三つの視点から推進したところであります。
 よろしくご審議の上、認定いただきますようお願い申し上げます。