令和3年第1回定例会 6月議会 知事説明要旨(令和3年6月15日)

2021年06月15日 | コンテンツ番号 58398

 今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症への対応についてであります。
 本県の感染者は4月末から急増したものの、最近では、新規感染者が確認されない日も続くなど感染拡大は抑え込まれた状況にあり、秋田市における県独自の感染警戒レベルを3に引き下げたところであります。
 しかしながら、国内外において、感染力が強い変異株の広がりが強く懸念されていることから、感染者の早期発見に向けたPCR等の検査体制を充実するとともに、医療提供体制を強化するため、病床確保計画を見直し、宿泊療養施設の拡充等を行っております。
 また、高齢者へのワクチン接種については、国からワクチン供給の具体的な見通しが示されたことなどから、国が目標とする7月末までに、各市町村が定めた接種計画を概ね達成する見込みとなっており、接種の促進に向けて最前線で尽力されている市町村や医療従事者の皆様に深く感謝を申し上げます。
 今後、一般の方への接種も控えておりますので、安定的なワクチン供給に加え、住所地によらず希望者が確実に接種を受けられる体制の整備等を国に要望するとともに、引き続き、医師会等と医療従事者の確保について調整するなど、接種を担う市町村に対し一層の支援を行ってまいります。
 さらに、県内の経済情勢については、全体として持ち直し基調にあるものの、サービス消費が落ち込むなど、一部業種では依然として感染症の影響により厳しい状況にあることから、引き続き、資金繰り対策として無保証料の融資制度を拡充するとともに、コロナ禍でのニーズの変化に対応した商品開発や販路拡大による業績の早期回復を支援するほか、若者等の先見性のあるユニークな起業を後押しするなど、県内経済の下支えと活性化を図るための取組を強化してまいります。
 次に、時代の大変革期を見据えた取組の推進について申し上げます。
 気候変動問題への対応が喫緊の課題として国際的な潮流になっているほか、今般のパンデミックを契機に、世界的規模で社会経済構造や価値観が急激に変化し、国内では、デジタル化の遅れや東京一極集中の弊害などが改めて浮き彫りになっており、政府は「骨太の方針」において、グリーン社会の実現やデジタル化の加速、賃金上昇による経済の底上げに取り組み、子どもを産み育てやすい社会を築きながら強い経済を創り上げていくとの方向性を示すことにしております。
 今後、我が国がコロナ禍の危機を乗り越えて、更に成長を遂げていくためには、革新的な社会システムと重層的な産業構造の構築が必須であり、これらの実現は人口減少社会に対する方策の根幹にも関わるものと考えており、県としましても、国内外の動向を施策に取り込みながら、最終年度を迎えた「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」の着実な推進を図るとともに、本県の優位性や可能性を生かし、大変革時代を捉えた重点的な取組を進めてまいります。
 その一つ目は、賃金水準の向上であります。
 本県の1人当たりの県民所得は東京圏などに比べ低水準にあり、都市部との賃金格差は、とりわけ若年層の人口流出の大きな要因になっていると推察されることから、賃金の上昇は、県民生活における真の豊かさを実現するとともに、人口減少問題克服の端緒になるものと考えております。
 このため、時代のうねりにより変革を余儀なくされている業種に対しては、M&Aによる経営規模の拡大や異なる分野への転換を支援するとともに、脱炭素やデジタル化等の成長分野への企業誘致と県内企業の参入を促進するなど、女性や若者をはじめ、研究・開発職等を志す人材にとっても仕事のやりがいを実感でき、賃金水準の高い雇用の場を創出するほか、ICTの活用により建設業や農林水産業等の生産性を高め、県民所得の一層の向上を目指してまいります。
 二つ目は、脱炭素社会の実現であります。
 化石燃料依存の見直しが加速化し、環境技術の開発競争が国際的に激化する中、国では、地球温暖化対策推進法を改正し、2050年までの温室効果ガスの排出実質ゼロを盛り込んだところであり、再生可能エネルギーの導入拡大や、イノベーションの推進と新産業の育成による産業構造の転換が、社会経済の発展に不可欠なものとなっております。
 豊かな水や森林に加え、地理的優位性のある風力や地熱など、多様な再生可能エネルギー源を有する本県としては、脱炭素社会の実現に大きく貢献しながら、経済を活性化させていくことが重要であり、本県沖で事業化が進む洋上風力発電について、景観や環境との調和を図りつつ着実に推進するとともに、メンテナンスや部品供給のみならず、県内事業者の参入や企業誘致などあらゆる可能性を模索し、産業の振興と安定的な雇用の創出につなげてまいります。
 また、生産やサービス過程における環境負荷の低減を企業間の取引に結び付ける動きが加速しており、再生可能エネルギーの地産地消による産業活性化の方策について検討を進めるほか、低コスト技術の開発等により再造林を進め、CO2の吸収源となる森林の若返りと健全化を図るとともに、米国市場への製材品の販路拡大に取り組むなど、森林資源の循環利用を促進してまいります。
 三つ目は、デジタル化の推進であります。
 先月、デジタル社会形成の基本理念などを定めた関連法が国会で成立し、取組が本格的に始動したところであり、県としましても、産業や生活、教育・医療などの分野において、専門的な知見を生かしながらデジタル化を促進していくことが重要であります。
 このため、電子申請の拡大などデジタル技術を活用した行政手続のオンライン化により県民の利便性を向上させるとともに、IoTやAI等の普及・導入とICT人材の育成を促進し、企業の生産性や付加価値を高めるほか、高齢者へのスマートフォンの操作研修などにより、誰もがデジタル化の恩恵を享受できる環境づくりを進めてまいります。
 また、医師不足に加え、高齢・過疎化が進む本県において、オンライン診療を活用した実証を行うとともに、次世代型地域医療モデルの構築に向けた体制づくりを進めるほか、医工連携による関連産業の育成と振興を図りつつ、医療分野におけるデジタル化を強力に推進してまいります。
 さらには、農業や観光などの分野においても、多様なプレーヤーを巻き込みながら、IoTやAIを利用し、蓄積されたデータの組み合わせと異分野の融合による、利用者視点に立ったビジネスモデルの創出を積極的に進め、DXの実現による地域課題の解決と産業の活性化を目指してまいります。
 次に、東京2020オリンピックについてであります。
 聖火リレーは、今月8日と9日の2日間にわたり、県内14市町村を180名のランナーでつなぐルートで行われ、市町村をはじめとする多くの関係者や、沿道等で観覧された県民の皆様のご協力により、無事に青森県へ聖火を引き継いだことに、改めて感謝を申し上げます。
 本県関係選手として出場が内定している、カヌースラロームの佐藤彩乃さん、カヌースプリントの小野祐佳さんには、心よりお祝い申し上げますとともに、大いに活躍されることを期待しております。
 次に、農業の振興について申し上げます。
 この秋には、いよいよ秋田米新品種「サキホコレ」の先行販売が始まることから、7月には米袋デザインの発表会を、11月からはプレデビューキャンペーンを県内外で開催する予定であり、来年の本格デビューに向けて切れ目なく話題を提供し、消費者の関心や期待感を高めてまいります。
 また、令和元年の農業産出額については、前年からの増加額や伸び率が全国トップとなったほか、特に「しいたけ」については、昨年度も京浜地域の中央卸売市場への出荷量、販売額、販売単価の3部門で日本一となり、「販売三冠王」を2年連続で獲得するなど、着実に園芸産地づくりの成果が現れてきております。
 引き続き、気象条件に応じた適切な技術指導を徹底するとともに、消費者等のニーズやマーケットの動きを的確に捉えながら、県産農畜産物の更なる生産拡大と販売促進に努めてまいります。
 次に、北海道・北東北の縄文遺跡群について申し上げます。
 先月26日、ユネスコの諮問機関であるイコモスから、世界文化遺産への登録が適当であるとの勧告が示されたところであり、来月開催予定のユネスコ世界遺産委員会での正式決定を目指し、引き続き、関係各道県や地元自治体と連携を図りながら全力で取り組んでまいります。
 次に、提出議案の主なものについて説明申し上げます。
 はじめに補正予算案についてでありますが、今回の補正予算案は、新型コロナウイルス感染症への対応のほか、今年度の当初予算は知事選を控え骨格予算として編成したことから、その肉付けとして、3期プランの最終年度における取組や、大変革の時代を見据え、新たに政策的対応が必要な事業等について計上しております。
 以下、補正予算案の主なものについて説明申し上げます。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症への対応についてであります。
 感染拡大防止策と医療提供体制の整備については、ワクチン接種の促進を図るため、個別接種を行う医療機関に対し支援を行うほか、学校における感染予防対策を徹底するため、全国大会などに出場する選手等に対し、PCR検査を実施してまいります。
 雇用の維持と事業の継続、県内経済の下支えについては、売上げが減少している中小企業等に対する資金繰り支援を行うため、経営安定資金に、ウィズ・アフターコロナ枠及び事業再生枠として100億円規模の融資枠を設定するほか、新型コロナウイルス感染症対策枠の融資限度額の引き上げ等を行ってまいります。
 また、感染症の拡大により大きな影響を受けている商店街・飲食店街等が行う消費喚起の取組を支援するほか、コロナ禍で利用者が大きく減少しているフェリー秋田航路の維持を図るため、フェリー事業者に対し、岸壁使用料等の負担軽減を図ってまいります。
 経済活動の回復・地方創生に向けた新たな取組については、県内の中小企業において、企業規模の拡大等による生産性と賃金水準の向上を図るため、M&Aに必要な経費に対し助成するほか、ウィズ・アフターコロナ時代の新たな旅行スタイルに対応するため、県の公式観光サイトを活用したデジタルプロモーションによる分析調査の実施や、秋田ならではの体験型コンテンツの商品化を支援してまいります。
 また、若者や女性の県内就職を促進するため、学生が県内企業の若手社員とオンラインで気軽に相談できる機会を設けるとともに、女性が活躍する県内企業の情報発信により、秋田で働くことの良さを広くPRしてまいります。
 さらに、人に優しいデジタル社会を目指し、高齢者を対象としたスマートフォンの操作体験会を開催するほか、県内企業の生産性や付加価値の向上に向けて、IoT・AI等の先進技術の普及・導入を促進してまいります。
 次に、「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」の推進についてであります。
 「秋田の未来につながるふるさと定着回帰戦略」については、結婚・出産・子育てに対する前向きな意識の醸成に取り組むほか、若年女性の県内定着を図るため、働きやすい職場づくりに向けた企業経営者の理解促進に取り組んでまいります。
 「社会の変革へ果敢に挑む産業振興戦略」については、DXによる産業改革の加速化による競争力強化と地域活性化を図るため、ICTを活用した地域課題等の解決を目指す先進的なプロジェクトの創出に取り組んでまいります。
 また、本県の基幹産業を担う若手人材の確保に取り組むほか、バブル経済崩壊後の就職氷河期世代について、就業安定化に向けた支援策を講じてまいります。
 さらに、風力発電事業について、県内企業への経済効果を創出するため、サプライチェーンの形成や新エネルギーの地産地消に向けた取組を加速化してまいります。
 「新時代を勝ち抜く攻めの農林水産戦略」については、今冬の大雪により被災した果樹産地の復旧・復興の取組を後押しするため、平鹿・雄勝地域における復興体制を整備するとともに、産地規模の維持や雪に強く生産性の高い産地への転換を進めてまいります。
 また、県産農産物の輸出拡大に向け、海外ニーズに対応した商品づくりを行うため、りんごやももなどの県産果実について、台湾及びタイにおいて、消費者からの評価を収集するテストマーケティングを行うほか、県産材について、木材需要の大きい米国において、木材の流通実態や秋田スギ製品の評価等に関する市場調査を行ってまいります。
 さらに、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献するため、本県に豊富に存在する森林資源について、CO2の吸収・貯蔵効果等の評価や、未利用資源の活用に向けた現地実証を行ってまいります。
 「秋田の魅力が際立つ 人・もの交流拡大戦略」については、感染症収束後のインバウンド需要の回復を見据え、重点市場に対する継続的な情報発信を行うほか、県内伝統行事の魅力の再発見につなげるため、県内外の若者などを対象とした体験型プログラムを作成し、交流人口の拡大・創出を図ってまいります。
 「誰もが元気で活躍できる健康長寿・地域共生社会戦略」については、健康寿命日本一の実現に向けて、高齢により運動機能や認知機能などが低下するフレイルや、歯と口腔の機能が低下するオーラルフレイルの予防対策を進めるとともに、医療のデジタル化を推進するための協議会の設置やオンライン診療に係る実証を行うなど、過疎地の高齢者がデジタル化の利便性を実感できる取組を進めてまいります。
 また、児童虐待への対応力を強化するため、児童相談所を補完する児童家庭支援センターの設置に向けた検討を進めるほか、家庭の中で家族の介護や看護等を行うケアラーの実態把握を行ってまいります。
 「ふるさとの未来を拓く人づくり戦略」については、今年4月、県立大学大潟キャンパスに設置した「アグリイノベーション教育研究センター」において、先進的なデジタル技術を活用した次世代型農業生産システムの開発・実証を行うとともに、大規模フィールドを活用した実践的で最先端のスマート農業教育による先導的人材の育成を図ってまいります。
 良好な学びの場づくりに向けては、新たに金足農業高等学校、湯沢高等学校及び栗田支援学校の改築に向けて、基本設計等に着手いたします。
 これら重点戦略に加え、県民の暮らしを支える基本政策等として、本県のDXや、持続可能な地域社会の実現に向けたSDGsによる取組を官民挙げて進めるほか、あらゆる差別のない多様性に満ちた社会づくりを推進するための基本条例の制定を目指し、検討を行ってまいります。
 公共事業については、今回約141億円を計上しており、令和2年度の国の第3次補正予算を含めた実質事業費を、前年度に比し17億円、1パーセント増としております。
 一般会計補正額は、221億6,197万円であり、補正後の総額は、6,053億4,714万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県監査委員の選任について」及び「秋田県収用委員会の委員の任命について」は、一部委員の任期満了に伴う後任の選任等について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
 「秋田県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例案」は、自転車の安全で適正な利用の促進について、基本理念を定め、県、県民等の責務を明らかにするとともに、関連施策についての基本的な事項を定めようとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。