令和8年第1回定例会 2月議会 知事説明要旨(令和8年2月13日)
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今議会におきましては、当初予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明を申し上げる前に、昨年12月17日にご逝去された秋田市出身の内館牧子さんに対しまして、謹んで哀悼の意を表したいと存じます。
NHK連続テレビ小説「ひらり」の脚本をはじめ、数々の話題作を生み出した内館さんは、女性として初めて大相撲の横綱審議委員を務めるなど、多方面にわたり活躍されたほか、地元紙のコラムの執筆や「ふるさと秋田文学賞」の選考などを通じて、本県の魅力の発信と文化の振興に力を尽くしてくださいました。
ここに、内館さんのこれまでのご活躍に深く敬意を表し、感謝申し上げますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。
次に、大雪への対応について申し上げます。
この冬は、県北部において積雪が観測史上最大を記録するなど、内陸部を中心に大雪となっており、雪下ろし作業中の死傷事故や鉄道・路線バスの運休等が相次ぐなど、県民生活に大きな影響が生じております。
亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。
県では、先月30日に「道路雪害対策本部」を、今月3日には「災害対策本部」を設置し、除排雪体制の強化や県民への注意喚起等に取り組んできたほか、住家の倒壊等が生じるおそれのある北秋田市など七市町村について、災害救助法を適用したところであります。
今後も、気象状況を注視しつつ、市町村や関係機関と連携しながら、雪崩危険箇所のパトロールを強化するなど、必要な対策を機動的に講じてまいりますので、県民の皆様におかれましても、いま一度、事故防止に細心の注意を払っていただきますようお願いいたします。
次に、所信の一端を申し述べます。
昨年4月の知事就任から間もなく10か月を迎えようとしております。この間、風車ブレードの落下事故や大規模な大雨災害、ツキノワグマの大量出没など、県民の生命・財産を脅かす深刻な事態に全力で対処しつつ、物価高騰対策や最低賃金の引上げに伴う支援など、県民生活や事業活動の安定に向けた緊急的な措置を講じてまいりました。
他方で、県民満足度の向上をミッションに据え、職員と率直かつ建設的な政策議論を重ねながら、成果追求型への意識改革を図ったほか、精度の高い施策の展開に向けた下地づくりとして、マーケティング手法の導入を強力に推進するための専門組織を設置するなど、県政の刷新に精力的に取り組んできたところであります。
今年は、私が思い描く「成果にこだわる県政」が本格始動する年であり、県民が実感できる変化が求められる重要な1年になるものと考えております。引き続き、職員と一丸となって果敢にチャレンジしてまいりますので、お力添えを賜りますようお願い申し上げます。
新しい秋田を切り拓いていくためには、「固定観念」や「思い込み」、「決めつけ」といった、未来の可能性を狭める「意識の壁」を超えながら、秋田の変革に向けて情熱を持って取り組むとともに、時代の潮流や社会経済情勢の変化を冷静に見極めていく必要があります。
世界を見渡すと、他国の主権を脅かす覇権主義的な動きが強まる中、石油やレアアースなど、現代産業を支える資源の争奪が激しさを増しております。輸出規制を通じた資源保有国による「資源の武器化」も進んでおり、世界は、自由で互恵的な国際秩序から、保護主義的・自国第一主義的な時代に転換しつつあります。
国内に目を転じれば、株価が高水準で推移しているものの、原材料価格の上昇や円安等に伴う物価高騰が続き、実質賃金が伸び悩んでいるため、国民の生活実感の改善には至っていないのが現状であります。
こうした中、高市内閣は、「強い経済」を構築するための成長戦略の柱として、エネルギー、食料等の安全保障の確保に向けた「危機管理投資」を盛り込んだ来年度予算案を閣議決定しました。
今月8日に行われた衆議院議員総選挙では、与党が定数の3分の2を上回る議席を獲得し、引き続き政権を担う見通しとなっております。新内閣には、来年度予算案の速やかな審議の開始はもとより、地方行政に影響を及ぼすことのないよう、関連法案の今年度内の成立に向けて、万全を尽くすことを求めるものであります。
政府が描く各分野の安全保障に焦点を当てた成長戦略のシナリオは、多様な再生可能エネルギー源や広大な農地などに恵まれた「資源大国」である本県の存在感を飛躍的に高め、秋田の再興に向けて、県民と共に新たな一歩を踏み出す絶好の機会を与えるものと期待しております。
次期総合計画では、こうした考えも折り込みながら、「寛容・挑戦・安心」の基本理念のもと、強い覚悟を持って掲げた野心的な数値目標の達成に向けて、全力で取り組んでいくこととしており、改めて、その基本的な方向性について、3つの視点から述べさせていただきます。
1つ目の視点は、「地域が潤う豊かさの創出」であります。
県民の豊かで安定した暮らしを確保するためには、本県の有する有形無形の資源の価値を余すところなく引き出しながら、地域の経済的な利益につなげる「マネタイズ」を進めることが重要であります。
昨年の訪日外国人旅行者数が過去最高を更新する中、インバウンドをはじめとする宿泊客数が伸び悩む本県の観光分野は、本県経済の活性化を図る上で、むしろ最大の伸び代を有しているものと捉えております。
このため、国内外の観光動向について、人流データ等を活用した精緻な分析を進めながら、本県の自然や文化を、旅行者の心が動く魅力的なコンテンツに磨き上げ、ターゲットに確実に届く情報発信を行うなど、総合的なマーケティング戦略を展開してまいります。
とりわけ、インバウンドについては、多言語対応を強化するとともに、台湾チャーター便を含む東北各県への海外直行便を最大限に活用しながら、効果的に誘客を促進することで、大幅な増加を目指してまいります。
また、発酵食品や伝統的工芸品など、地域資源のポテンシャルを生かした魅力あふれる県産品の開発と、国内外への売り込みを支援することで、県内全域への経済波及効果の拡大につなげてまいります。
本県の基幹産業である農林水産業については、世界的な気候変動等に伴い、食料安全保障の重要性が増していることに加え、今般の米の需給ひっ迫により、食料の安定供給に向けた気運が高まっております。
我が国屈指の食料供給基地である本県としましては、こうした時流を逃すことなく、農業産出額の増大につなげていくため、プレミアム領域をターゲットとする「サキホコレ」に加え、輸出用を含めた秋田米全体の需要創出・拡大に取り組んでまいります。
併せて、大規模生産拠点を核とした園芸・畜産の生産体制を強化するとともに、海外市場のニーズを的確に捉えた現地プロモーションを展開することで、多品目にわたり農畜産物の輸出額の拡大を図ってまいります。
また、造林者と伐採者の連携による効率的な再造林に加え、県産材の販路拡大や森林クレジットの認証取得等を促進するとともに、海洋環境の変化に対応するための漁法の転換や蓄養殖ビジネスの拡大等を支援するなど、林業・漁業の高付加価値化に向けた取組を推進してまいります。
本県経済を支える県内企業の振興については、事業規模の大小にかかわらず、自律的な成長を実現するための経営革新に向け、事業者のマインドチェンジが不可欠であると認識しております。
県内企業による継続的な賃上げを促進し、地域経済の好循環につなげるため、デジタル技術の導入やM&Aによる経営規模の拡大など、生産性の向上に向けた取組を支援するとともに、サプライチェーン全体における適切な価格転嫁の定着を後押ししてまいります。
また、洋上風力発電の導入拡大を図るため、「男鹿市・潟上市・秋田市沖」など5海域における事業化への支援を行うとともに、関連産業への県内企業の参入を促進してまいります。
さらに、再エネ工業団地を核として、GX産業の集積と再生可能エネルギーの地産地消を図るほか、県内企業による脱炭素ビジネスの展開を支援してまいります。
2つ目の視点は、「個性が輝く活躍の場の創出」であります。
持続可能な地域社会を創り上げる県民の活力を生み出すためには、多様な考え方を尊重し、果敢な挑戦を応援する気運を醸成しながら、誰もがそれぞれのステージで活躍できる環境を整えていく必要があります。
このため、「無意識の思い込み」と「ジェンダーギャップ」の解消や、多文化共生への理解の促進を図りながら、多様性と寛容性に満ちた地域コミュニティづくりを進めてまいります。
また、夢の実現に向けて斬新な発想でチャレンジする若者の取組や、スタートアップの創出を強力にサポートするとともに、県民の多様な文化芸術活動やスポーツへの参画を支援してまいります。
これらの取組を通じて、誰もが自己実現に向けて意欲的に行動できる地域社会を構築し、県内外の若者や女性に「選ばれる秋田」を実現してまいります。
県外からの移住の促進については、マーケティング手法との親和性が高い分野として、ニーズの分析や政策ツールの最適化にいち早く取り組んできたところであり、若い世代を中心に、移住希望者や移住潜在層など、それぞれのターゲットの心に響く支援メニューを提供するほか、教職員や警察官のAターンを促進するなど、多方面からの取組を展開してまいります。
また、出会いの機会の創出や婚活へのサポート、妊婦や子育て世帯の経済的負担の軽減など、結婚・出産を希望する県民の多様なニーズに応じた支援を行うことで、婚姻件数と出生数の改善につなげてまいります。
人づくりの核となる教育については、学力の向上はもとより、秋田で育つ全てのこどもが、ありのままの自分を肯定し、将来に希望を抱きながら、伸び伸びと健やかに成長できるよう、「こどものウェルビーイングの向上」を図っていくことが極めて重要であると考えております。
こうした認識のもと、こどもの自己決定権を最大限に尊重し、社会とつながる多様な機会を提供するための新たな取組を進めることで、自ら考え、行動する主体性と、これからの時代をたくましく生き抜く力を育んでまいります。
また、AI等の進化により、社会全体が大きく変わりつつある中、将来の秋田を支える産業イノベーション人材の育成や、デジタル教育の強化に取り組みながら、時代の変化に即した高校教育の改革を進めてまいります。
3つ目の視点は、「守り支える安らぎの創出」であります。
県民がそれぞれの地域で自分らしい毎日を送るためには、一人ひとりの多様な価値観に応じた活動を支えながら、誰もが安らげる生活環境を実現することが不可欠であります。
昨年、大量出没したツキノワグマによる被害の防止については、県民の安全・安心や経済活動の安定の確保はもとより、本県への誘客や移住を促進する上でも、一刻の猶予もない喫緊の課題であります。
このため、デジタル技術の活用も含め、クマが出没しにくい環境づくりを進めるとともに、捕獲等に従事する人材の確保・育成を図りながら、生息数の調査や管理捕獲等を通じて、適切な個体数管理を行ってまいります。
こうした取組を進めることで、人とクマのすみ分けを徹底し、人の生活圏における「人身被害ゼロ」を実現してまいります。
県民の健康と生命を守る重要な生活基盤である医療施設や介護事業所は、物価高騰などに伴う経営状況の悪化や慢性的な人手不足など、多くの困難な課題に直面しております。
全ての県民が、どこに住んでいても安心して質の高いサービスを受けられる医療・介護提供体制を構築するため、新たな地域医療構想の策定に当たっては、介護との連携を含め、幅広い観点から関係者との丁寧な議論を重ね、あるべき将来像を描いてまいります。
また、職員の処遇改善や働きやすい職場環境づくりに向けた取組を支援することで、医療・介護従事者の賃金水準の向上を図り、人材の確保・定着につなげてまいります。
さらに、障害のある人や経済的・社会的な困難を抱える人が、日常生活のあらゆる場面で、誰一人取り残されることのないよう、相談・支援体制の更なる充実を図ってまいります。
防災・減災については、激甚化・頻発化する自然災害への対応力を強化するため、人手不足が深刻な建設産業の担い手の確保を図りながら、ハード・ソフトの両面から対策を強化してまいります。
また、突発的に発生する自然災害の影響を最小限に抑えるためには、公助の推進はもとより、県民一人ひとりが、もはや災害は特別なものではないとの認識のもと、自助・共助の意識を高める必要があることから、防災に関する基本理念や、行政と県民の役割などを定める防災基本条例の制定に向けた検討を進めてまいります。
これまで申し述べた3つの視点に立ち、次期総合計画に掲げる施策を分野横断的に展開する中で、その成果を収れんさせながら克服を目指すべき大きな課題が「人口減少問題」であります。
県民一人ひとりが、それぞれの地域の将来に明るい希望の光を見いだすためには、若年層を中心に、転出超過の改善を図ることで、次代を担う年少人口の減少ペースを緩和させる必要があると考えております。
このため、施策のターゲットを明確化し、最適な手法を選択しながら、全庁を挙げて実効性のある取組を推進することで、令和10年度までに人口の社会減少数を1,990人まで縮減してまいります。
また、人口を量的に捉えた対策と合わせて、人口減少下にあっても地域社会の機能を維持・向上させるための取組を進めることで、質の高い県民生活を実現してまいります。
さらに、次期総合計画に掲げる政策の統括機能と、人口の自然減・社会減対策に関する司令塔機能の強化に向け、「企画振興部」と「あきた未来創造部」を、それぞれ「政策企画部」と「人口戦略部」に改組するほか、人材の確保・育成や財政の健全化など、政策の推進を下支えする基盤づくりを進めるため、新たに行財政運営方針を策定し、将来にわたって持続可能な行政サービスの提供体制を構築してまいります。
次に、諸般の報告を申し上げます。
はじめに、ミラノ・コルティナオリンピック競技大会への本県出身選手の出場についてであります。
今月6日から開催されているオリンピックのスキー競技に、横手市出身の向川桜子選手がスキークロスの女子代表として出場されます。
向川選手は、大怪我という試練を乗り越え、2大会連続の出場となりますが、世界のひのき舞台で持てる力を存分に発揮し、大いに活躍されることを期待しております。
次に、重要無形民俗文化財の指定について申し上げます。
先月23日、国の文化財審議会は、鳥海山の山岳信仰を背景に、由利本荘市とにかほ市の8地区で受け継がれてきた「鳥海山北麓獅子舞番楽」について、重要無形民俗文化財に指定するよう答申しました。
来月予定されている文部科学大臣の指定により、本県の重要無形民俗文化財は18件となり、全国最多を更新する見込みとなっております。
先月には、仙北市角館の武家屋敷群を構成する「岩橋家住宅」が重要文化財に指定されたところであり、今後も、関係団体と連携し、今日まで守り伝えられてきた文化財の継承を図りながら、観光誘客など地域の活性化につなげてまいります。
次に、来年度の当初予算案について説明申し上げます。
令和8年度においては、歳入面では、国の地方財政対策等により、一般財源について一定の確保が図られたものの、歳出面では、社会保障関係経費や人件費のほか、金利の上昇により公債費が増加するなど、収支不足は拡大しており、依然として厳しい財政状況が続くものと考えております。
このような中、本県が抱える諸課題を克服し、県民の夢を育み、県民の希望をかなえる秋田を実現していくためには、創意工夫をこらしながら、一つひとつの施策や事業について解像度と精度を高めることはもとより、効果の最大化に向けて施策を重点化していく必要があるものと考えております。
新年度予算案は、こうした考えのもと、重点施策推進方針に掲げた「人口減少の抑制に向けた取組」、「秋田のポテンシャルを発揮する戦略的な取組」、「現下の課題を踏まえた県民の安心な暮らしを支える取組」について重点的に予算を配分し、確かな成果を目指して強力に取り組んでいくこととしております。
まず、「人口減少の抑制に向けた取組」については、自然減の抑制に向けて、結婚を希望する方の状況に応じた情報発信や独身者が気軽に参加できる大規模イベントの開催など、ニーズに対応した実効性の高い結婚支援を行うとともに、家族やパートナーと家事や育児を分担する「とも家事」を推進し、社会全体で子育てを支える気運を醸成してまいります。
また、社会減の抑制に向けて、ターゲットを明確にした本県への移住の加速と県内定着・回帰を進めるとともに、Aターン者等の採用を進める誘致企業等への補助率加算制度を創設するほか、県内企業の賃金水準向上に向けた挑戦を支援するなど、関連施策を強力に推進してまいります。
特に、転入の増加については、部局横断的に「秋田移住ブーストプロジェクト」を展開し、若者や子育て世帯等を主なターゲットとした移住促進に戦略的に取り組んでまいります。
具体的には、本県への移住の流れを加速させるため、秋田の食や暮らしに触れることができる首都圏でのイベント開催や、デジタル商品券の交付に加え、移住世帯への住宅リフォーム助成、奨学金返還助成制度などを効果的に組み合わせることにより、短期集中的な取組で移住の決断を後押ししてまいります。
次に、「秋田のポテンシャルを発揮する戦略的な取組」については、インバウンドの拡大に向けて、台湾や香港などのアジア市場において、インフルエンサー等を通じたSNSでの情報発信を強化するとともに、ターゲット国の主要メディアを通じて秋田の魅力を発信するなどの戦略的なデジタルプロモーションを展開してまいります。
また、訪日客の多くを占める個人旅行客の取り込みに向け、外国人向け観光情報サイトをリニューアルし、本県の情報を見つけやすく予約しやすい環境を構築してまいります。
さらに、農畜産物などの輸出拡大に向けて、米の低コスト生産技術の確立や、輸出時の残留農薬規制への対応として青果物の栽培技術実証に取り組むほか、秋田牛を新たに取り扱う飲食店でフェアを開催するなど、生産から販売までの総合的な支援をオール秋田で行うことにより、輸出額40億円の達成を目指してまいります。
次に、「現下の課題を踏まえた県民の安心な暮らしを支える取組」については、大雨などの気象災害から県民の生命・財産を守るため、引き続き、ハード・ソフト一体となった流域治水対策等を推進しながら、更なる防災・減災力の強化に取り組んでまいります。
また、ツキノワグマによる被害防止対策については、管理強化ゾーンにおける捕獲強化やAI・ドローン等を活用した新技術の実証を進めるとともに、放任果樹の処理に関する市町村職員研修を実施するほか、緩衝帯の整備や河川における、やぶの刈り払い等を進め、人の生活圏へのクマの出没抑制を図ってまいります。
さらに、出没時の体制強化として、ガバメントハンターの配置や緊急銃猟にかかる市町村の体制整備を図るとともに、クマの侵入防止に効果的な電気柵設置を推進するほか、捕獲したクマの個体分析等の調査研究を進めてまいります。
併せて、「クマダス」のアプリ化により、位置情報と連動した出没情報の配信を行うとともに、フォーラムの開催等を通じてクマの習性や生態等に関する知識の普及・啓発を図りながら、県民の不安解消と被害防止につなげてまいります。
次に、各政策について申し上げます。
はじめに、「未来づくり」については、若者の県内定着・回帰の拡大に向け、大学生などが県内で就職活動を行う際の経済的な支援を行うとともに、第二新卒者や若年求職者と企業とのマッチング機会を拡充するほか、秋田暮らしの魅力等に関する情報発信を充実させてまいります。
また、地域において安心して出産ができる環境づくりを推進するため、妊婦に対する遠方の分娩取扱施設までの交通費支援について、移動時間の要件を緩和するとともに、同行者も含めて宿泊費を助成してまいります。
さらに、障害児保育の充実と保育従事者の処遇改善を図るため、保育所等が障害児保育のために追加で配置する保育士の人件費を支援してまいります。
「観光・交流」については、旅の動機付けから予約までの「旅前(たびまえ)」における戦略的な情報発信に加え、アウトドアアクティビティ等の観光コンテンツの磨き上げや受入態勢の充実などを図り、「旅中(たびなか)」における満足度の向上に取り組んでまいります。
また、日本酒をはじめとした県産品の輸出拡大を図るため、ターゲット国の需要を踏まえながら、現地展示会への出展やバイヤー招へい等を通じて販路拡大を図ってまいります。
さらに、新県立体育館の整備を着実に進めるとともに、賑わいを周辺へ波及させるため、地域の事業者と共に人流データの分析等を進めてまいります。
「農林水産」については、市町村が行う地域計画のブラッシュアップを伴走支援するほか、専門家の派遣等により、円滑な経営継承や農業法人の経営力強化等を促進してまいります。
また、農畜産物の生産・販売面では、米の乾田直播栽培など超省力・低コスト技術の確立に向けた取組を進めるとともに、サキホコレの首都圏以西での販売促進活動を強化するほか、園芸・畜産経営の規模拡大等に必要となる機械・設備等の導入を支援してまいります。
さらに、林業においては、森林資源の循環利用とネット・ゼロの実現に向けて、造林地の集積や再造林の拡大に取り組むとともに、あきた材パートナーの活用や非住宅建築物でのモデル的な展示などにより、県産材の販路拡大を進めてまいります。
「産業」については、収益力向上に向けて、複数の事業者等が連携して取り組む地域の特色を生かした多様な活動や、製造業・非製造業を問わず、売上高50億円以上を目指す企業の取組などを支援してまいります。
また、地域に根付いた地元の名店の味や名工の技などを次世代に引き継いでいくため、業種や地域を超えた多様な主体が参画するネットワークを形成し、事業の存続等に向けて行うチャレンジを支援してまいります。
さらに、県内のスタートアップが行う実証や、成長拡大に向けた国内外とのネットワーク構築等を支援するほか、地域のDXを支えるデジタル人材を集中的に育成するため、中高生から大学生まで一貫した体験・学習プログラムを実施してまいります。
「健康・医療・福祉」については、新たな地域医療構想の策定に着手するとともに、秋田大学医学部附属病院にHCU(高度治療室)を整備することにより、重症患者の受入体制を強化してまいります。
また、企業版ふるさと納税等を活用し、医療DX等による医療機関の勤務環境の改善を図るほか、SNSを活用した検診の受診勧奨により行動変容を促すなど、県民の健康と医療を守る取組を進めてまいります。
さらに、外国人介護人材の確保に向けて事業者が行う日本語学習支援や生活環境の充実などの取組を後押ししてまいります。
「教育・人づくり」については、中学校部活動の地域展開に向けた市町村への支援や高校への運動部活動指導員の配置等により、教職員の負担軽減と競技力の強化を図ってまいります。
また、公立小学校等の給食費について保護者負担の軽減を図るとともに、地場産物の活用促進による食育の強化等に取り組んでまいります。
さらに、本県が有する文化的資源を効果的に活用するため、パリで活躍した藤田嗣治の作品をはじめ、秋田の食や伝統的工芸品等の魅力について戦略的に発信することにより、フランスとの文化交流を促進してまいります。
「防災・減災・県土強靱化」についてハード面では、河川改修のほか、道路橋の耐震補強に加え、インフラの老朽化対策などを重点的に進めていくとともに、秋田港アクセス道路の整備等を着実に推進してまいります。
ソフト面では、新たに、国の制度を補完する県独自の被災者生活再建支援制度を設けるとともに、快適な避難環境の確保に向けて、市町村によるトイレやキッチン等の資機材の整備を促進してまいります。
最後に、「環境・くらし」については、カーボンクレジットの活用など、県内事業者の脱炭素経営等に向けた挑戦を地域ぐるみで後押しすることで、環境への取組が経済的な価値を生み出す好循環を創出してまいります。
また、森吉山の国定公園への指定に向けて、関係機関等との調整や公園計画の策定を進めてまいります。
このほか、手口の巧妙化が進む特殊詐欺等による被害を防止するため、高齢者への戸別訪問による情報提供を行うほか、SNS等を活用した啓発活動の強化により、各世代に届く効果的な広報を行ってまいります。
次期総合計画に基づく施策・事業の概要は以上のとおりでありますが、これらの実施に当たっては、引き続き、マーケティング手法の活用を図るとともに、県内の地域資源等の魅力を効果的に発信し、秋田県全体の認知度を高めるため、統一的なブランドイメージを確立し、事業効果の最大化を図ってまいります。
一般会計予算案の総額は、6,041億4,500万円であり、前年度6月補正による肉付け後の予算と比較しますと、55億4,003万円の増となります。
次に、令和7年度2月補正予算案について申し上げます。
このたびの補正予算案は、国の補正予算に対応する事業や物価高騰対策等について計上しております。
国の補正予算に対応する事業については、農業の構造転換や国土強靱化に向けて公共事業費を増額しているほか、カントリーエレベーター等の共同利用施設について、国と協調して補助率を引き上げることにより、再編集約・合理化を促進してまいります。
物価高騰への対応については、宿泊割引クーポンの発行等により、観光の閑散期における需要の喚起につなげるほか、水稲種子の価格高騰の影響を受ける農業者を支援してまいります。
また、地域公共交通の維持に向けて、省エネルギー化に資する軌道整備等に取り組む第三セクター鉄道事業者等を支援するとともに、県立学校や県有体育施設等のエネルギーコスト削減に資する改修等を進めてまいります。
このほか、今冬の大雪に伴い道路除雪費等を増額するほか、決算見込み等に伴う補正を行うとともに、前年度決算剰余金の2分の1相当額を財政調整基金に積み立てることとしております。
一般会計補正額は249億7,337万円の増額であり、これにより令和7年度予算の補正後の総額は6,547億816万円となります。
次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
「秋田県公務員倫理条例案」は、職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、職務の執行の公正さに対する県民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、公務に対する県民の信頼を確保しようとするものであります。
以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。