このたび提案いたしました議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、国政を巡る情勢についてであります。
 石破総理の退陣表明に伴い、今月4日に実施された自民党総裁選挙において、前経済安全保障担当大臣の高市早苗氏が総裁に選出されました。
 衆参両院において、自民党の議席数が過半数を割り込む中、国政の方向性は、今後召集される臨時国会での首班指名後に明らかになっていくものと考えております。
 県としましては、物価高をはじめとする現下の重要課題への対応が停滞することのないよう、政党間の連携強化による国政運営の安定化を求めるとともに、次期政権が、東京一極集中の是正や地方税財源の充実など、道半ばにある地方創生の実現に向けた実効性のある政策を強力に推進するよう、様々な機会を捉え、積極的に提言してまいります。
 次に、ツキノワグマによる被害防止について申し上げます。
 今年の秋は、クマの餌となるブナの実の大凶作が予測されており、先月下旬以降、集落や市街地での人身被害が急増していることなどから、「ツキノワグマ出没警報」の発令期間を来月末まで延長し、被害防止に向けた対策を心掛けるよう県民への呼びかけを広く行っております。
 特に、農作業や散歩など、日常生活の中での被害の発生が相次いでいることから、県では、緩衝帯の整備や放任果樹の伐採など、クマの出没を抑制するための対策に加え、市町村や猟友会、警察等と連携し、出没地域への警戒パトロールや、箱わなによる有害捕獲を行うなど、人身被害の未然防止に最大限努めているところであります。
 今後も、管理捕獲の強化に向けたゾーニングの設定や、狩猟者の育成・確保など、総合的な被害防止対策を進めてまいりますが、県民の皆様におかれましても、家屋や農地、通学路の周辺など、身近なエリアのやぶの刈り払い等を行うとともに、人の生活圏であっても、鈴やラジオなどで音を出し、人の存在を強くアピールするなど、基本的なクマ対策を徹底するようお願いいたします。
 次に、「秋田県里親支援センター」について申し上げます。
 今月1日、里親家庭に対する包括的支援の拠点となる「秋田県里親支援センターTOMONY」を秋田市に開設いたしました。
 センターでは、里親制度の普及啓発や里親希望者の開拓、児童とのマッチングのほか、新たな取組として、委託児童の自立支援等を行うこととしており、関係機関との連携強化と、一貫したサポートに努めながら、里親委託を一層推進してまいります。
 次に、本県へのトップスポーツチームの移転について申し上げます。
 先般、国内最高峰のバレーボールSVリーグに所属する女子チーム「アランマーレ山形」が、来シーズンから、活動拠点を秋田市及び潟上市に移転するとともに、令和12年秋には、現在整備を進めている新県立体育館をホームアリーナとする予定であることを発表しました。
 このたびの移転により、交流人口の拡大による地域経済の活性化や、ジュニア層の育成等を通じた本県の競技力の向上などが期待されるところであり、県としましては、同チームを含む県内のトップスポーツチームとの連携を一層深めながら、スポーツの振興と新県立体育館を核とした賑わいの創出に取り組んでまいります。
 次に、来年夏に本県で開催される「第50回全国高等学校総合文化祭(あきた総文2026)」について申し上げます。
 今年8月から来年2月にかけて、本大会を想定した全22部門のプレ大会を順次開催しており、今月11日に秋田市で開催した総合開会式とパレードでは、県内高校生による意欲的な発表や展示が行われるなど、大きな盛り上がりを見せたところであります。
 今後も、プレ大会の円滑な運営に努めながら、本大会の成功に向けて、準備体制の強化と更なる気運の醸成を図ってまいります。
 次に、認定をお願いいたします令和6年度秋田県歳入歳出決算について申し上げます。
 一般会計歳入総額は6,487億8,571万円、歳出総額は6,328億1,154万円となり、事業繰越財源を差し引いた実質収支は、99億5,566万円の黒字となりました。
 令和6年度は、「新秋田元気創造プラン」の3年目として、人口減少の抑制に向けた「未来の秋田を支える人への投資」や喫緊の課題である「気候変動等に対応した防災力の強化」に加え、「賃金水準の向上」「カーボンニュートラルへの挑戦」「デジタル化の推進」の3つの選択・集中プロジェクトを中心に、各般の施策の着実な推進に努めたところであります。
 このうち、未来の秋田を支える人への投資については、県内企業と連携した奨学金返還助成制度を創設するとともに、大卒者等の中核人材の確保・定着に向けて意欲的な取組を行う県内企業の支援等を行いました。
 また、気候変動等に対応した防災力の強化については、河川改修や河道掘削を進めるとともに、男鹿半島地域等における防災・減災対策の検討を行うなど、県民の安全・安心の確保に向けてハード・ソフトの両面から施策を推進しました。
 このほか、物価高騰の影響を受ける県民や事業者の負担軽減を図るため、灯油などの燃料費に対する助成を行ったほか、生産性の向上や省エネルギー化に向けた取組を支援するなど、広範な対策をきめ細かく講じたところであります。
 よろしくご審議の上、認定いただきますようお願い申し上げます。