今議会におきましては、当初予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明を申し上げます前に、昨年12月25日にご逝去された元衆議院議員の村岡兼造氏に対しまして、謹んで哀悼の意を表したいと存じます。
 村岡氏は、昭和42年より2期5年余りの県議会議員としての活動を経て、昭和47年の衆議院議員選挙で初当選され、以来、国政において28年の長きにわたり、衆議院議員として幅広く活躍され、内閣官房長官や運輸大臣などの要職を歴任されました。
 この間、日本海沿岸東北自動車道の建設や芋川の大規模河川改修など本県のインフラ整備に大きく貢献され、郷土秋田への深い愛情をもって、県勢の発展に力を尽くしてくださいました。
 ここに、村岡氏のこれまでのご功績に対し、改めて敬意を表しますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。
 次に、所信の一端を申し述べます。
 最近の世界経済については、年明けに米中間の貿易協議に関する第一段階の合意が結ばれ、制裁関税の一部が緩和されるなど、両国の対立は危機的状況を脱しつつあるものの、依然として多くの課題が積み残されている状況にあります。また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う消費の冷え込みや製造業のサプライチェーンへの影響が拡大しつつあるほか、難航が予想される英国のEU離脱後の通商交渉や、中東地域を巡る不安定な情勢など、企業収益や国民生活に重大な影響を及ぼす様々な事態が懸念されております。
 国では、昨年12月に、経済の下振れリスク等への対応として「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」を閣議決定し、我が国の持続的な経済成長に結びつく取組を進めることにしたところであり、本県においても、引き続き、商工団体等と連携しながら情報の収集に努めるとともに、国の事業も活用しながら、必要な対策を機動的に講じていかなければならないものと考えております。
 こうした中、県内では、航空機や自動車など輸送機産業の集積が進んでいるほか、大規模な洋上風力発電の事業化が具体的に動き出しており、また、農業分野でも、園芸メガ団地や大規模畜産団地の整備等により、農業産出額が全国トップクラスの伸び率となるなど、産業振興の面では、新たな成果が着実に現れてきております。
 県政最大の課題である人口減少問題についても、良好な教育環境の整備や全国トップレベルの子育て支援に加え、幅広い移住対策を進めることによって、出生数では目標に届かない状況が続いておりますが、社会減については平成24年以来7年ぶりに4,000人を下回ったところであります。
 さらに、県民の暮らしや経済活動、安全・安心を支えるインフラ整備についても、先般、令和8年度までに日本海沿岸東北自動車道が全線開通する見通しが示されるなどミッシングリンクの解消が進んでいるほか、道路や港湾、鉄道、河川の機能強化に向けた取組が県内一円で幅広く進められております。
 こうした様々な分野で実を結びつつある成果を確かなものとしていくためには、今後も人口減少や高齢化が進むことを前提としつつも、所得が好循環する経済構造への転換を図りながら、県民がそれぞれの能力を発揮して生き生きと活躍し、安全・安心に暮らせる地域社会が形成されるよう、秋田の元気創造に向けた「投資」を幅広く進めていく必要があります。
 私は、年頭の今年の一文字として「躍」の字を選びましたが、来年度は今任期の総仕上げの年であります。 この1年を、県勢の新たな躍進を実現し、県民の皆様と様々な場面で心が躍るような年とすることができるよう、施策・事業の選択と集中を改めて徹底した上で、時代の変化を現実として受け止め、既成の価値観にとらわれることなく、全力で県政運営に取り組んでまいります。
 次に、令和2年度の主要施策について申し上げます。
 実施期間の折り返しとなる「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」については、更なる加速化を図るため、秋田の未来への種まきとして、「稼ぐ力」への投資やその原動力となる「人」への投資、県民のあらゆる活動の基盤である「健康・安全・安心」への投資という3つの視点に基づき、新たに策定する「第2期あきた未来総合戦略」と一体となって推進することにしております。
 はじめに、「稼ぐ力」への投資であります。
 県外からの資金の流れを強化していくため、全国トップレベルの支援制度や産業技術センターが有する先端的な技術シーズなど、本県の優位性を積極的にPRし、引き続き市町村とも連携しながら企業誘致に取り組んでまいります。
 また、オリンピックを契機としたインバウンド誘客の拡大を図るとともに、令和3年の東北デスティネーションキャンペーンに向けたプロモーションを展開するほか、台湾からの定期便の就航に向けて、今後、私自らが先頭に立って、現地の航空会社や旅行会社等への働きかけを行ってまいります。
 さらに、本県ならではの食の魅力を生かした「あきた発酵ツーリズム」による更なる誘客を促進するため、全県域に取組を拡充するほか、「あきたクルーズ振興協議会」を核とした大型クルーズ船の誘致活動を展開するとともに、受入態勢の充実や港湾施設の整備促進を図ってまいります。
 生産性の向上については、製造業やサービス業等の事業の拡大に結びつく投資や改善を促すとともに、IoTやAIなど先進技術を取り入れるモデル企業を支援するほか、農業分野においても、労働力不足に対応するため、基盤整備の推進と併せてICTやロボット技術等を駆使したスマート農業の実証・普及に取り組んでまいります。
 稼ぐ力の中心となる国内外への事業展開に向けては、成長分野である航空機・自動車産業において、本県企業の固有の技術を起点とした新世代モーターの研究開発などを進めるプロジェクトが、この1月に「地方大学・地域産業創生交付金」の対象事業に選定されたところであり、今後、航空機等の電動化システムに関するトップレベルの人材を招聘し、県内大学が新たに開設する共同研究センターを拠点に、本県への関連産業の創出・集積を図ることにしております。
 また、本県の強みや特性を生かした先進的なヘルスケアビジネス事業の創出に向けた取組等を進め、医療福祉関連産業の更なる集積を推進してまいります。
   新エネルギー関連産業においては、今月3日に、秋田港及び能代港における港湾内洋上風力発電プロジェクトの事業化が決定し、国内初となる商業ベースでの大型洋上風力発電の実現に近づいたところであり、引き続き、建設工事やメンテナンスなど関連産業への県内企業の参入を促進するとともに、洋上風力発電の地域経済へのメリットなどについて普及啓発に取り組んでまいります。
 あわせて、コネクターハブ企業への成長が期待できる企業に対し、支援機関と連携した伴走型のサポートをすることにより、地域経済を牽引する中核企業の創出を促進してまいります。
 農業分野では、複合型生産構造への転換を加速するため、園芸や畜産等の大規模生産拠点を全県域に展開するとともに、「えだまめ」や「ねぎ」、「しいたけ」など日本一を目指す品目の生産拡大を図るほか、マーケットインの視点を重視した県産農畜産物のブランド化や国内外への販路拡大を推進してまいります。
 秋田米のフラッグシップとなる新品種「秋系821」については、名称を全国公募により決定し、秋にはお披露目することにしており、高級米市場の中でブランド米としての地位を確立できるよう、農業団体と一体となって、生産・販売の準備を進めてまいります。
 林業・木材産業については、住宅以外での県産材の需要拡大を図るため、首都圏の自治体等とのネットワーク構築に向けた取組や、中高層建築に必要な耐火部材の開発を行うほか、水産業については、全国豊かな海づくり大会の盛り上がりを漁業振興と漁村の活性化につなげるため、「つくり育てる漁業」を一層推進してまいります。
 交通ネットワークの充実等によるインフラの強化に向けては、防災機能の向上や高速化につながる秋田新幹線トンネル整備構想の実現を図るため、引き続き沿線自治体等と連携しながら、国やJR東日本に対する働きかけを強化するほか、LCCを含む国内航空路線の拡充と利便性の向上に取り組んでまいります。
 また、高速道路の事業中区間の早期完成と秋田自動車道「北上ジャンクション・大曲インターチェンジ間」の4車線化の早期事業化を国に対し強く働きかけるとともに、県が整備する鷹巣西道路について、来年度の開通に向けて、着実に事業を推進してまいります。
 さらに、大曲鷹巣道路の大覚野峠区間の整備に向け、来年度の国による直轄調査の実施について、先月、関係市町村と共に、国に要望してきたところであり、今後も国に対する働きかけを強化してまいります。
 2つ目の視点は、「人」への投資であります。
 若者の県内定着・回帰と移住の促進については、中学生・高校生が早い段階から県内企業と接する機会や大学生等の県内企業とのマッチングの支援を充実させるとともに、移住者が次の移住者を呼び込む流れを創出していくほか、多様な形で地域と関わる県外在住者との絆づくりとして、関係人口の創出・拡大に向けた取組を展開してまいります。
 結婚や出産、子育てのサポートについては、「あきた結婚支援センター」の紹介機能の強化に加え、民間企業と連携した出会いの場の創出などをオール秋田で強力に推進するとともに、引き続き、保育料や医療費助成など、子育て世帯に対する経済的支援を行うほか、妊娠期から子育て期までの切れ目のない母子保健等の支援体制を強化するとともに、特定不妊治療費の助成対象を事実婚の夫婦まで拡大してまいります。
 県内産業を支える人材の確保・育成では、働きやすい職場環境の整備を進め、外国人材の受入れ・定着に取り組む企業等への支援や女性の新規就業を後押ししていくほか、若年者の早期離職の防止や県内定着に向けた取組を強化してまいります。
 介護・医療分野においては、介護サービス事業所認証評価制度の普及などにより介護人材の新規就労と職場定着を促進するほか、秋田大学に加えて岩手医科大学、東北医科薬科大学とも連携して、医学生への修学資金の貸与を行うなど、医師確保の取組を拡大してまいります。
 また、「農業労働力サポートセンター」を核とした労働力の確保に向けた取組や、「建設産業担い手確保育成センター」のワンストップ機能を生かした若者や女性の定着、キャリアアップ等につながる取組も進めていくことにしております。
 次代を担う若者の活躍推進としては、自らのアイデアや行動により未来を切り拓くチャレンジを支援し、地域の元気創出につながる取組を促進するほか、若者同士のネットワーク形成を支援するプラットフォームを構築するなど、秋田の未来を支える若者が様々な場面で活躍できる環境を整えてまいります。
 また、女性の個性や能力等を生かした商品開発など女性が活躍できる職場づくりを進める企業を支援するとともに、高齢者が年齢にかかわりなく働き続けることができるよう、関係機関と連携した働きかけを進めるほか、障害者の社会参加を促進するため、障害者スポーツや芸術・文化等の活動機会の拡大に取り組んでまいります。
 3つ目の視点は、「健康・安全・安心」への投資であります。
 健康寿命日本一の達成に向けては、地域において健康づくりに取り組む人材の育成を推進するとともに、「秋田県版健康経営優良法人認定制度」により健康経営を普及していくほか、受動喫煙防止条例の周知・啓発や、喫煙場所の規制にかかる相談・指導など、受動喫煙のない環境づくりを促進してまいります。
 医療ニーズへの対応として、秋田大学医学部附属病院と大館市立総合病院が取り組む高度な医療機器等の整備への支援により、3次救急医療体制の強化を図ってまいります。
 防災・減災対策では、近年、頻発・激甚化している自然災害に備えるため、再度の災害の防止に向けて被災箇所の迅速な復旧に努めるとともに、急激な水位上昇が起こりやすい中小河川の改修・河道掘削や浸水想定区域図の作成を進めるなど、ハード・ソフト一体となった対策を推進してまいります。
 老朽化が進むインフラ施設については、計画的な維持管理と更新を行いつつ、国が3か年で進める「防災・減災、国土強靱化のための緊急対策」に対応して、引き続き、道路の法面保護や橋梁の耐震化等を実施してまいります。
 環境の保全については、ツキノワグマによる被害防止のための集落環境診断などへの支援やイノシシの県内定着の阻止に向けた水際対策を強化するとともに、今年8月に完成する狩猟技術訓練施設を活用し、市町村や関係機関との連携を強化しながら、狩猟者の確保・育成に努めてまいります。
 生き生きと暮らせる地域社会づくりについては、人口減少下においても持続可能な地域コミュニティの形成に向けた住民主体の取組を支援するとともに、市町村と連携して、暮らしに必要なサービス機能を地域の支え合いにより維持・確保する取組を拡大してまいります。
 また、地域公共交通の充実強化を図るため、地域の実情に応じた交通ネットワークの維持・確保に重点的に取り組むとともに、MaaSなどICTの活用による新たな移動サービスの導入に向けた調査・研究を進めるほか、スマート社会の実現に向け、行政組織はもとより、地域社会における幅広いデジタル化を進め、住民の利便性の向上を図ってまいります。
 あきた芸術劇場については、施設整備を着実に進めるほか、この施設が県民に親しまれるものになるよう、PR活動や愛称募集を行うなど、令和4年3月中の開館を目指し準備を進めてまいります。
  次に、第2期あきた未来総合戦略について申し上げます。
 この総合戦略は、県政の運営指針である「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」を人口減少問題の克服という観点から捉えて取組の充実・強化を図るものであり、Society5・0の実現を見据え、本県独自の強みを生かした先進技術の導入やスマート農業の普及等により、これからの雇用を支える本県産業の基盤強化を図るとともに、結婚・出産・子育ての希望をかなえる取組や関係人口の創出など新たな時代に即した施策・事業について、それぞれの数値目標を掲げながら力強く進めていくことにしております。
 今後、今議会でのご議論などを踏まえて成案とし、令和2年度から5年間で総合戦略に掲げる施策・事業を着実に推進することにより、「未来への投資、未来への足がかり」を確かなものとし、世代をつなぎ、豊かな秋田を県民一丸となって創生してまいります。
 次に、県政を巡る最近の状況について申し上げます。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症への対応についてであります。
 中国湖北省を中心に蔓延している新型コロナウイルス感染症については、国内においても先月16日に患者の発生が確認されており、政府では対策本部の設置や指定感染症への指定など、感染防止に向けた対応を強化しております。
 本県においても、今月7日に危機管理対策本部を設置し、これまでの県民への予防対策の呼びかけや一般相談対応に加え、帰国者や接触者に対する相談窓口と専門外来を開設するなど、感染防止に総力を挙げて取り組んでおります。
 今後とも、正確な情報を迅速に発信するとともに、関係機関との緊密な連携を図りながら対応してまいりますので、県民の皆様には冷静な行動をとっていただくとともに、手洗いやアルコール消毒などの基本的な感染症対策にご協力いただきますようお願いいたします。
 次に、イージス・アショアについて申し上げます。
 イージス・アショアの新屋演習場への配備計画に関する地元住民の声を直接防衛大臣に伝え、今後の検討に反映してもらうことが重要であるとの考えのもと、先月31日、秋田市長と共に防衛省を訪問し、河野大臣に対して、配備候補地に係る検討等についての申入れを行いました。
 申入れにおいては、新屋演習場を含む全ての候補地について全くのゼロベースで調査・検討を行うことや、住宅地からの距離等を重要な基準に位置づけること、住民の安全対策等についても具体的に検討することなどを要請した上で、住宅地に近い新屋演習場への配備について、これまでの防衛省の説明内容では、県として理解するという状況には至らないことを強く伝えたところであります。
 河野大臣からは、今後の検討等に際して、20か所の国有地についてゼロベースで検討したいことや、住宅地からの距離は重要な考慮要素であること、地元の理解を得ながら決めたいと思っており、今後ともしっかりと意見交換をしながら進めていきたいことなどの考えが示されました。
 イージス・アショアについては、どこに配備されるとしても、住民の安全が可能な限り担保されることが重要であることから、再調査や検討結果の説明の際には、その内容を詳細に分析・検討し、今回申し入れた事項が反映されているかなどを慎重に見極めてまいりたいと考えております。
 次に、東京2020オリンピック・パラリンピックについて申し上げます。
 約半世紀ぶりに我が国で開催される夏のオリンピックに向け、来月からいよいよ国内各地を巡る聖火リレーがスタートするなど、盛り上がりを見せつつあり、県民の間でも開幕を待ち望む思いが日増しに高まっていることを感じます。
 前回の東京オリンピックでは、日本選手団の主将を務め、金メダルを獲得した能代市出身の小野喬さんをはじめ、多くの本県出身選手が活躍されたところであり、今大会においても、本県関係選手が世界中のトップアスリートと頂点を目指して競い、夢の舞台で躍動することを大いに期待しております。
 次に、北海道・北東北の縄文遺跡群について申し上げます。
 昨年12月、本県の大湯環状列石と伊勢堂岱遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産候補への推薦が閣議で了解され、先般、政府からユネスコに推薦書が提出されました。
 これまでご支援いただきました議員連盟の皆様や関係者の方々に心から感謝を申し上げますとともに、次のステージに進むことができましたことを大変喜ばしく思っております。                   
 今年の夏頃には、ユネスコの諮問機関であるイコモス(国際記念物遺跡会議)の現地審査が予定されており、世界遺産登録に向けた正念場の年となることから、四道県及び関係市町の連携のもと、受入れ準備を整え、登録実現に向け、更なる機運の醸成を図ってまいります。
  次に、令和2年度当初予算案について説明申し上げます。
 新年度予算案においては、地方消費税の税率引上げや、11道県の知事と連携して要望してきた地方法人課税の偏在是正により生じる財源の地方への重点的な配分について、要望の趣旨に沿った地方財政対策が示されたことなどから、一般財源歳入は前年度を上回る見通しであるものの、幼児教育の無償化や高等教育における修学支援新制度の導入、会計年度任用職員制度への移行等による歳出増もあり、引き続き厳しい財政状況が続くものと見込まれます。
 そうした中にあっても、機動的な財政運営に必要な財政2基金の残高確保や県債残高の抑制に配慮しつつ、第3期プランに掲げる6つの戦略に基づく施策・事業の推進を加速し、これまでの取組をしっかりと成果に結びつけてまいります。
 以下、当初予算案の主なものについて申し上げます。
 「秋田の未来につながるふるさと定着回帰戦略」については、人口の社会減の抑制に向け、県内企業の魅力発信や地元就職に対する意識の涵養につながる取組を強力に展開し、若者の県内定着を促進するとともに、移住やAターンの拡大を図るため、きめ細かな情報提供や相談体制の充実、県内企業とのマッチング機会の提供、移住後のサポートなど、切れ目なく移住希望者等を支援してまいります。
 また、自然減の抑制に向けては、今年度、新たなマッチングシステムを導入した「あきた結婚支援センター」の利用促進のほか、特定不妊治療に対する助成対象の拡充、子育てに係る経済的負担の軽減などにより、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる取組を進めてまいります。
 さらに、関係人口の創出・拡大に向けては、市町村や地域の中間支援団体等と連携し、オール秋田で受入体制の構築を進めるとともに、県外在住者と連携した具体的な実践活動を推進してまいります。
 「社会の変革へ果敢に挑む産業振興戦略」については、中京地区などで本県の立地環境に関心が寄せられている状況を捉え、誘致活動を強化するとともに、県内企業との間でサプライチェーンの形成が期待される設備投資への支援を拡充するなど、地域経済への波及効果の高い産業集積を促進してまいります。
 また、航空機システム電動化の研究開発を通じて関連産業の集積を目指すプロジェクトの推進に力を注ぐとともに、航空機等に使用される複合材の革新的な低コスト成形技術の研究開発や、高性能モーターコイルの製造拠点化への支援など、これまでの取組と合わせて輸送機産業への参入拡大を促進してまいります。
 さらに、小規模企業者の経営力強化を図るため、協業化や経営統合など企業連携に対する意識の醸成を図るとともに、具体的な連携の取組に対する支援を拡充してまいります。
 「新時代を勝ち抜く攻めの農林水産戦略」については、秋田米新品種の市場デビューに向け、ブランド戦略に基づく生産、流通・販売対策を推進するとともに、需要が堅調な業務用米の生産を拡大するため、多収性品種による省力・低コスト生産等の取組を支援してまいります。
 また、農地集積と産地づくりを一体で進める「あきた型ほ場整備」等により、引き続き、大規模経営体の育成と複合型生産構造への転換を推進するほか、県産農畜産物の海外への販路開拓に向けた取組を支援してまいります。
 さらに、森林環境譲与税を活用し、森林経営管理制度を円滑に推進するための市町村支援や森林の整備を担う人材の確保・育成に加え、木材利用の促進を図る取組を充実してまいります。
 「秋田の魅力が際立つ 人・もの交流拡大戦略」については、インバウンド誘客の拡大に向けて、東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせ東京都内に開設される「東北ハウス」を活用して情報発信を行うとともに、大会開催前に東京等で行われる文化イベントにおいて伝統芸能を披露するなど、本県の魅力をアピールするほか、台湾をはじめとする重点市場に対し、引き続き、SNS等を活用したプロモーションを展開してまいります。
 また、宿泊客の満足度向上につながる魅力的な宿泊施設の整備に対する支援や、ICTを活用した観光案内機能の充実など、受入態勢の強化を図ってまいります。
 「誰もが元気で活躍できる健康長寿・地域共生社会戦略」については、健康寿命日本一を目指す取組を県民運動として展開するほか、がん検診の受診率の向上のため、検診費用の負担軽減と受診勧奨を併せて行う市町村を支援するとともに、がん患者等が将来の妊娠・出産を諦めることなく治療に取り組めるよう、生殖機能を温存するための治療に対する助成や相談体制の整備を行ってまいります。
 また、児童虐待の防止対策として、保護者に対する医学的・心理学的ケアによる再発防止を図るほか、社会的養護が必要な児童の里親委託を一層推進するため、里親登録者の確保や育成を含めた、里親養育の包括的な支援体制を構築してまいります。
 「ふるさとの未来を拓く人づくり戦略」については、国による高等教育の修学支援新制度の導入に伴い、県が設置する大学と私立専門学校における授業料等の減免に要する経費を負担するほか、私立高校における授業料及び入学料についての支援を拡充いたします。
 また、良好な学びの場づくりについては、現在、比内支援学校、能代地区専門系統合校、横手高校及び大曲高校の設計や工事を進めておりますが、これらに加え、鹿角小坂地区の3つの高校を統合する新たな高校を、花輪高校の校舎を活用して整備するための基本設計等に着手いたします。
 公共事業については、新たに地方財政措置が講じられる河川の浚渫など、防災・減災、国土強靱化のための事業を強力に推進することにしており、総額で、前年度当初予算の8.2パーセント増となる1,015億円を計上しております。
 以上、令和2年度当初予算案の主なものについて説明いたしました。
 一般会計予算案の総額は、5,794億1,400万円であり、前年度当初予算と比較いたしますと、53億2,500万円の増となります。
 次に、令和元年度2月補正予算案について申し上げます。
 このたびの補正予算案は、国の総合経済対策に基づく補正予算に対応した事業のほか、農林漁業振興臨時対策基金への積み増し等について計上しております。
 国の補正予算に対応した事業については、農畜産物の生産拡大や海外への販路拡大に向けた取組に対する支援のほか、学校教育におけるICTの利活用拡大に向けた環境整備、農業生産基盤の強化や防災・減災対策の推進、インフラの長寿命化を図る公共事業等を計上しております。
 このほか、決算見込み等に伴う補正を行うとともに、前年度決算剰余金の2分の1相当額を財政調整基金に積み立てることにしております。
 一般会計補正額は62億434万円の増額であり、これにより令和元年度予算の補正後の総額は5,941億7,840万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例案」は、知事又は職員の県に対する損害を賠償する責任について、職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、その一部を免責しようとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。