令和元年第2回定例会 6月議会 知事説明要旨(令和元年6月4日)

2019年06月04日 | コンテンツ番号 42732

 今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、先月23日にご逝去された元衆議院議員の野呂田芳成氏に対しまして、謹んで哀悼の意を表したいと存じます。 
 野呂田氏におかれましては、昭和52年の参議院選挙で初当選以来、32年の長きにわたり、衆参両院の国会議員として幅広くご活躍され、農林水産大臣や防衛庁長官など、要職を歴任されました。
 この間、大館能代空港や日本海沿岸東北自動車道の建設に大きく貢献されたほか、昭和58年5月に発生した日本海中部地震による甚大なインフラ被害の早期復旧にご尽力されるなど、高い人徳と卓越した識見を備え、郷土秋田への深い愛情をもって県勢の発展に力を尽くしてくださいました。
 ここに、野呂田氏のこれまでのご功績に対し、改めて敬意を表しますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。
 次に、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、国内外の情勢について申し上げます。
 まず、世界経済の状況についてでありますが、米・中2大経済大国の間で、貿易摩擦が激化しております。 GDP世界第1位の米国と第2位の中国との間で、開かれた貿易の障壁となる新たな関税を互いに設定し合う構図となっており、こうした状況が長期化するようであれば、今や国を越えてサプライチェーンが張り巡らされている世界経済にとって、深刻な影響を及ぼすことになります。
 この対立は、グローバル化の進展が経済的に大きな損失の要因になっているとして、自国にとって有利な経済システムへの変更を主張する米国と、その恩恵を受けて急速な経済発展を実現し、アジア・太平洋地域をはじめとして世界の政治・経済において戦略的な地位の確立を望む中国との、いわば国の威信をかけた争いとも言われており、加えて、次世代移動体通信技術、いわゆる5Gの主導権を巡っても両国の間で軋轢が深まるなど、平成の時代に世界の貿易の基本的な考え方として定着してきたグローバリゼーションが、足下から揺さぶられる事態になっております。
 一方で、国内経済の状況に目を向けると、先月、内閣府が発表した3月の景気動向指数では、景気の基調判断が6年2か月ぶりに「悪化」に転じ、5月の月例経済報告による政府の景気認識においても、輸出や生産の弱さが続いているとしており、今後、中国企業と取引のある本県企業が米中の貿易摩擦によって受ける影響や、昨年から交渉が進められている日米の貿易交渉結果によって生じる農林水産業等への影響などについて、状況によっては緊急的な対策を講じることも視野に入れつつ、その動向を注視していかなければならないものと考えております。
 こうした中で、国では、「未来投資戦略」や「骨太の方針」など、成長戦略や経済・財政の基本政策の指針を今月中に閣議決定する予定となっており、「未来投資戦略」では、AIやIoTといった先進技術の生産現場等への導入による労働生産性の向上や持続的な経済成長の実現などについて、また、「骨太の方針」では、これらの技術を取り入れた地方公共団体の次世代行政サービスの実現など、いわゆるデジタル政府の推進について検討が行われているところであります。
 我が国では、少子高齢化が加速し、人口が減少する局面を迎え、国内市場の縮小や労働力不足など様々な課題に直面しており、国においては、これらの経済成長の阻害要因を克服し、持続可能な経済・社会を実現するためにも、第4次産業革命によってもたらされる新技術の活用を重点的に進める指針を示し、必要な財源を確保した上で、関連する施策を着実に実行していただきたいと考えております。
 全国に先駆けて人口減少問題に直面している本県においては、生産、販売、消費といった経済活動はもとより、県民の様々な暮らしの中に、大胆に先進技術を取り込みながら課題解決につなげていくことがとりわけ重要であり、「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」においても、第4次産業革命によるイノベーションの活用を横断的な視点として織り込んでおります。今後示される国の新たな指針の内容も踏まえながら、引き続き、プランの目指す「時代の変化を捉え力強く未来を切り拓く秋田」を実現するため、必要な施策に取り組んでまいります。
 また、デジタル政府の推進については、今年3月に今年度から令和4年度までを計画期間とする「秋田ICT基本計画2019」を策定し、県民の立場に立った利便性の高い行政サービスを提供するため、県庁内の行政事務におけるデジタル化やペーパーレス化を進めるとともに、AIやソフトウェア型ロボット等を活用して業務の効率化を図ることにしており、今後、国の動きと歩調を合わせながら、着実に取組を進めてまいります。
 次に、「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」について申し上げます。
 先月20日、政府のまち・ひと・しごと創生会議において、新たな総合戦略に向けた基本方針の骨子案が示されました。
 この骨子案では、現行戦略の枠組みを維持しつつ、新たに、将来的な地方移住につながる「関係人口」の創出や、最先端技術を生活基盤に導入するSociety5・0の実現によって人口減少が進む地方の担い手確保を目指すことなどが示されており、創生会議での審議を経て、来年度からの5か年を対象期間とする政府の「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」が、年内には閣議決定される見込みとなっております。
 もとより、地方創生の実現には、息の長い取組が必要であることから、本県においても人口減少問題の克服に向けた取組を引き続き強力に推進するとともに、今回、骨子案で示されたIoTやAI等の先進技術の活用促進をはじめ、若者や女性、高齢者、外国人など誰もが活躍できる地域社会づくり等の新たな視点も取り込みながら、本県の次期総合戦略の策定を進めてまいります。
 次に、イージス・アショアについて申し上げます。
 先月27日に、原田防衛副大臣が本県を訪れ、イージス・アショアの配備候補地である秋田市の陸上自衛隊新屋演習場を対象として行った適地調査の結果等についての説明がありました。
 その主な内容でありますが、調査を行った結果、レーダーが発する電磁波は住民の健康や生活に影響を与えないこと、イージス・アショアをできるだけ住宅地から離して配置するため緩衝地帯を設けること、また、それに伴い県有地を取得し、県道を西側に付け替えたいこと、テロ等に対する住民の安全・安心対策を十分に講ずること、他の国有地を検討したところ配備候補地となり得る場所はなかったこと、今後、県議会や住民へ説明を行うこと等であり、防衛省の意向としては新屋演習場にイージス・アショアを配備したいという考えが示されました。
 今回の説明は、データに基づく具体的で一定程度踏み込んだ内容でありましたが、県としては、防衛省から示された調査結果や安全対策等について、今後、秋田市と連携しながら内容を詳細に分析・検討し、更なる疑問点や必要と思われる事項等について国に対し申し入れを行うなど、慎重に対処してまいりたいと考えております。
 次に、受動喫煙防止対策の推進について申し上げます。
 健康で安心して暮らせる長寿社会を構築することは県民が幸せを実感できる基盤であり、県経済の成長と地域の活力の維持にもつながるものであります。こうした認識のもと、健康寿命日本一の実現を目指し「秋田県健康づくり県民運動推進協議会」を中心として官民挙げて運動を展開してきたところでありますが、本県の疾病構造に目を向けると、がんや脳血管疾患、心疾患などの生活習慣に起因する疾病による本県の死亡率は依然として高く、このことは、食生活や運動習慣の現状に加え、喫煙率の高さや受動喫煙の機会の多さが、少なからず影響しているものと考えております。
 たばこ対策は、本県の健康水準の向上を図る上で最も重要な課題の一つであり、県民の共通理解のもとに進めていく必要があることから、このたび、国の受動喫煙防止対策から更に踏み込み、県独自の内容を盛り込んだ「秋田県受動喫煙防止条例案」を今議会に提案したところであり、これにより「受動喫煙ゼロ、そして禁煙」の実現に向け、すべての県民、とりわけ次代を担う子どもたちの健康を社会全体で守っていく環境づくりを推進してまいります。
 次に、自殺予防緊急対策について申し上げます。
 県内の自殺者数は、警察庁の発表によると、昨年は前年よりも39人減の206人になるなど、近年減少傾向が続いておりましたが、今年に入り、1月から4月までの自殺者数は77人と前年同期を24人上回り、特に70歳以上の高齢者の自殺が大幅に増加している状況にあります。
 このため、先般、自殺予防緊急対策会議を開催し、市町村や民間団体、大学等に追加的な事業の実施や今年度事業の前倒しを要請したところであり、県としても、きめ細かな支援を行うため、地域団体等と連携しながら高齢者一人ひとりを戸別訪問するなど、民・学・官の連携のもと、県を挙げて緊急対策に取り組んでまいります。
 次に、動物愛護センターについて申し上げます。
 秋田市雄和に整備を進めてきた動物愛護センターは、4月1日の開所に続き、今月1日から一般開放を始めたところであります。
 今後、同センターを拠点として、県民や関係団体、ボランティアとの協働による動物愛護意識の啓発や犬猫の適正飼養、譲渡、殺処分ゼロなどの取組を推進していくことにしており、県民に親しまれ、利用しやすい施設となるよう、その運営に努めてまいります。
 さらに、多くの皆様に動物愛護への関心を持っていただくため、秋田犬を活用して県内外へ秋田の魅力の発信を行うなど、人と動物が調和しつつ共生する社会づくりに向けた取組を一層強化し、「動物にやさしい秋田」の実現を目指してまいります。
 次に、地熱や風力資源等を生かした再生可能エネルギーの導入促進について申し上げます。
 先月20日、山葵沢地熱発電所が、9万世帯分の電力に相当する約4万6,000キロワットの出力で運転を開始しました。出力1万キロワット以上の大規模地熱発電施設としては、国内では23年振りのものであり、これにより、本県の地熱発電導入量が国内第2位となったところであります。
 湯沢市では2か所目の地熱発電所であり、同市は地熱資源が豊富に見込まれることから、現在、複数の事業者が地熱開発の計画を進めており、実現すれば日本有数の地熱発電の集積地が形成されるものと期待しております。
 また、洋上風力発電の導入については、平成26年度から、県が公募を行った秋田港及び能代港における港湾内洋上風力発電事業が進んでいるほか、港湾区域外においても、独自に候補海域を設定し、複数の事業者が、環境影響評価法に基づく調査を進めております。
 現在、国では、昨年成立した再エネ海域利用法に基づき、洋上風力をはじめとする海洋再生可能エネルギーの発電設備整備促進区域の指定に向けて、都道府県や事業者からの情報収集等を進めており、本県からも、関係漁業協同組合の意見等を踏まえ、「能代市・三種町・男鹿市若美沖」など4区域を有望な区域とする情報提供を行っております。
 今後、国に対し、本県における洋上風力発電導入の先行的な取組に配慮した促進区域の早期指定や、地域と共生する再生可能エネルギーの導入に向けた取組を進めるよう、強く働きかけてまいります。
 次に、高速道路ネットワークの整備について申し上げます。
 これまで県では、県民生活や本県経済を支える高速道路ネットワークの整備に向け、事業中区間の早期完成と秋田自動車道「北上ジャンクション・大曲インターチェンジ間」の4車線化について、関係市町村や経済団体と連携を図りながら要望活動を行ってきたところであり、このたび、「湯田インターチェンジ・横手インターチェンジ間」の約八キロメートル区間が事業化されることになりました。
 これにより、重要な物流ルートとしての安全性や定時性が向上し、自動車関連企業をはじめとした県内の経済活動に大きく貢献するものと考えており、先月21日には、「全国高速道路建設協議会」総会の場において、私自ら、秋田自動車道の全線四車線化の必要性を強く訴えたところであり、引き続き、あらゆる機会をとらえて、国などに対し要望してまいります。
 次に、防災・減災、国土強靱化について申し上げます。
 平成29年7月、8月の記録的な大雨により、甚大な浸水被害に見舞われた雄物川では、国の河川激甚災害対策特別緊急事業により、重点的に堤防の整備が進められているほか、大仙市の淀川など県が管理する4河川においても、大規模な改良復旧工事を行っており、4月には、私も現場に足を運び進捗状況を確認してまいりました。
 国では、近年の激甚化する災害に対応するため、昨年度実施した重要インフラの緊急点検の結果を踏まえ、令和2年度までの「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を推進しており、本県においても橋梁や農業用施設の耐震化、道路の法面対策や中小河川の冠水対策等に集中的に取り組んでいるところであります。
 自然災害が激甚化・頻発化し、高度成長期以降に整備したインフラの老朽化が急速に進む中、防災・減災対策を加速させ、国土強靱化を図ることは喫緊の課題となっていることから、先月31日、国に対し、緊急対策の継続について要望してまいりました。
 県としては、引き続き、県民からの要望や不安の声に的確に対応しながら、県民の安全・安心な暮らしが確保できるよう、効果的な防災・減災対策、県土の強靱化に取り組んでまいります。
 次に、提出議案の主なものについて説明申し上げます。  
 今回の補正予算案は、秋田の未来につながるふるさと定着回帰戦略や社会の変革へ果敢に挑む産業振興戦略に係る事業など、「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」に基づく事業等について計上しております。
 ふるさと定着回帰戦略に係る事業については、国による幼児教育無償化の実施に合わせ、無償化の対象外となっている副食費を市町村と共同で助成し、子育て世帯の一層の負担軽減を図るほか、人口減少が進行する中にあって、市町村同士の連携を更に進める必要があることから、公共施設の相互利用や事務の共同化など具体的なテーマを設定し、連携促進に向けた調査研究を行ってまいります。
 産業振興戦略に係る事業については、県内企業が有する高密度成形コイル技術を起点に、県内大学と産業界が連携して行う、航空機や自動車等の幅広い分野に応用可能な電動化技術の確立に向けた研究開発を支援し、関連産業の集積と専門人材の育成による地域の中核的産業の創出を目指すほか、小規模事業者の生産性向上を図るため、ICTの導入に対し助成してまいります。
 このほか、県内における自殺者数が前年同期に比べ増加していることを踏まえ、民生委員等による戸別訪問など高齢者の自殺予防対策を強化するほか、たばこによる健康被害を防止するため、県独自の条例の制定に合わせ、一層の普及啓発を図るとともに、飲食店における禁煙化の取組を支援してまいります。
 また、県南部においてイノシシの目撃情報が急増していることから、センサーカメラの設置による効率的な捕獲体制の構築を進めるなど、イノシシによる被害の拡大防止に取り組んでまいります。
 公共事業については、国の内示による国庫補助事業等を計上しており、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策をはじめ、社会基盤の整備を積極的に進めてまいります。
 一般会計補正額は、102億2,599万円であり、補正後の総額は、5,843億1,499万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県受動喫煙防止条例案」は、望まない受動喫煙の生じない生活環境の実現に向け、県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、受動喫煙を防止するための措置を講じようとするものであります。
 「秋田県森林環境譲与税基金条例案」は、今年度からスタートした新たな森林経営管理制度において、市町村がその役割を適切に果たせるよう支援するとともに、林業の担い手確保の取組を推進するため、基金を設置しようとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。