今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、天皇皇后両陛下の行幸啓について申し上げます。
 「天皇陛下御即位記念 第39回全国豊かな海づくり大会・あきた大会」に際し、今月7日から2日間のご日程により、天皇皇后両陛下が本県を行幸啓されました。
 両陛下のご来県は、平成29年7月に皇太子同妃両殿下として「第53回献血運動推進全国大会」にご臨席いただいて以来2年振りであり、ご即位されて間もなくの本県へのお出ましとなりましたことは、この上なく光栄なことと受けとめており、誠に喜びに堪えないところであります。
 この間、大会の式典行事にご臨席を賜りましたほか、7月にグランドオープンした動物愛護センターをご視察され、命を大切にする心を育む教室をご覧いただきました。
 台風15号の影響により、ご日程の一部が変更となりましたが、ご滞在中には、多くの県民が、ご訪問先や沿道において心からの歓迎を申し上げました。両陛下におかれましては、子どもたちや関係の方々に温かいお言葉をおかけくださり、お出迎えをした県民に対しても笑顔でお応えになられるなど、大変親しく接していただき、両陛下の優しいお人柄に多くの県民が深く感銘を受けたものと思います。
 改めて、このたびの行幸啓について、厚く御礼を申し上げますとともに、天皇皇后両陛下のますますのご健勝と皇室の弥栄を心からご祈念申し上げます。
 本県では初めてとなる全国豊かな海づくり大会・あきた大会は、「海づくり つながる未来 豊かな地域」をテーマに、県内外から1,300人余りの皆様をお迎えし、盛大に開催されました。
 県立武道館で行われた式典行事では、天皇陛下から「おことば」を賜り、若手漁業者などが秋田の海を未来につないでいく決意を力強く表明したほか、子どもたちが暖流と寒流とが交わる秋田の豊かな海を歌と踊りで表現いたしました。
 また、秋田港飯島地区においては、秋田スギの柾目を生かした放流台を用いて、マダイとトラフグの稚魚の放流を行ったほか、県内各地において、魚介のふれあい体験等、多くの関連行事が開催されるなど、水産資源の保護・管理と海や川の環境保全の大切さはもとより、秋田の海が育む豊かな魚介類や漁村文化を広く発信したところであり、全国から参加された皆様には、秋田の魅力を実感していただけたものと思います。
 大会の開催に当たり、地元秋田市や漁業協同組合をはじめ、市町村、関係団体、多くの県民の皆様より、ご協力をいただきましたことに、深く感謝を申し上げます。
 今後は、あきた大会を契機として、栽培漁業施設をリニューアルした水産振興センターを拠点に、「つくり育てる漁業」を更に発展させるとともに、漁業後継者の確保・育成や水産物の高付加価値化などに取り組み、本県水産業の振興と地域の活性化につなげてまいります。
 次に、世界バドミントン選手権大会での本県選手の活躍について申し上げます。
 先月、スイスのバーゼルで開催された、「世界バドミントン選手権大会2019」の女子ダブルスにおいて、昨年、県民栄誉章を受章されました北都銀行バドミントン部の永原和可那さんと松本麻佑さんのペアが、日本勢として初となる2連覇を達成しました。
 今大会、第1シードとして出場した永原・松本ペアは、持ち前の高さを生かした強烈なスマッシュと緩急を巧みに組み合わせた攻撃で順調に勝ち上がり、昨年の大会と同じ顔合わせとなった決勝戦でも接戦の末、見事に勝利を収め、県民に大きな感動や勇気を与えました。
 この永原・松本ペアの偉業は、「スポーツ立県あきた」を掲げる本県にとって大変喜ばしいことであり、両選手はもとより、北都銀行バドミントン部をはじめとするチーム関係者のたゆまぬご努力に心から敬意を表するとともに、2020年東京オリンピックに向けて、今後一層のご活躍を期待しております。
 次に、イージス・アショアについて申し上げます。
 5月に防衛省から適地調査の結果等についての説明がありましたが、説明資料にデータの誤りがあったことから、6月に来県した岩屋防衛大臣に対して、私から、誤りの原因を究明し、再度説明資料全体を精査した上で、改めて説明を行うよう強く要請したところであります。
 それを受け、先月28日に、防衛省の職員が本県を訪れ、他の国有地等についての調査を外部に委託して実施し、新屋演習場と比較検討した上で総合的な評価を行うとの説明がありました。
 しかしながら、説明の中で青森県と山形県の国有地については予備的な位置付けになるとの考えが示されたことから、副知事から、改めてゼロベースに立って公平な観点から再検討を行うことや、秋田への配備が効果的とする根拠となっている防護範囲等について、防衛機密の問題もあるが可能な限り説明すること、再調査の途中段階においても様々な情報を的確に報告することを申し入れたところであります。
 加えて、今般問題となった周辺の遮蔽物との遮蔽角を10度以内とする根拠や、周辺地域の具体的な安全対策等の重要な点について、これまで何ら説明がされていない状況にあります。
 県としましては、イージス・アショアの新屋演習場への配備計画に関しては、振出しに戻ったものと認識しており、今後、これらの事項に関する防衛省の対応について、慎重に見極めなければならないものと考えております。
 次に、国内外の経済情勢について申し上げます。
 米中間の貿易摩擦については、6月末の両国の首脳会談を受け、貿易協議が再開されたところでありますが、米国が中国から輸入する薄型テレビなどを対象とした追加関税措置を今月1日に発動し、12月には更に対象品目を拡大することを発表する一方で、中国も米国から輸入する原油や農産品等に対する追加関税措置を発動するなど、両国の対立に収束の見通しが立たない状況となっております。
 二大経済大国の貿易摩擦の長期化は、国内経済にも影響を及ぼし始めており、特に電機、機械などの製造業で、輸出の停滞による業績の低迷が見られ、また、本県においても、主力の電子部品・デバイス分野などで生産額の減少傾向が明らかとなるなど、景気の先行きに不透明感が増してきており、県内経済に与える影響について、県としても注視していく必要があるものと考えております。
 また、来月から、消費税率が10パーセントに引き上げられることに伴い、増税後の消費の落ち込みを緩和するため、政府においては、プレミアム付き商品券の発行やキャッシュレス決済によるポイント還元など消費喚起に向けた経済対策を講じることにしておりますが、本県でもこれまで、事業者等に対して、軽減税率制度のほか、こうした新たな仕組みに対応する支援制度等の周知を行ってきたところであり、今後は、商工団体等と連携しながら、県内経済に与える影響等について情報収集に努め、制度融資の貸付利率の引き下げや経営安定資金の融資要件の緩和など必要な措置を機動的に講じてまいります。
 なお、本日、内閣改造が予定されておりますが、新内閣にも、こうした様々な課題や地方創生に全力で取り組まれるよう期待しております。
 次に、企業誘致の推進について申し上げます。
 企業誘致については、全国トップクラスの支援制度や産業技術センターが有する技術シーズ等を市町村と共に積極的にPRしているほか、私自らも、トップセールスを積み重ね、本県の優位性をアピールし、企業との信頼関係の構築に努めてきたところであり、今年度は、大手自動車メーカーの一次サプライヤーやICT関連企業の新規進出のほか、コールセンターの新たな拠点開設の決定を含めた誘致件数が、既に昨年の年間件数に迫る7件となっております。
 新たな企業の立地等は、雇用の場の創出に加え、県内企業とのサプライチェーンの構築や関連企業の更なる集積など、県内経済への波及効果が期待できることから、引き続き、市町村とも連携しながら、ICT、輸送機、医療機器関連などの成長分野や研究開発型の企業を中心に誘致活動に取り組むとともに、誘致済企業等の投資も促進してまいります。
 次に、高速道路ネットワークの整備について申し上げます。
 先月4日、秋田自動車道「横手・大曲」間に、ETC専用のインターチェンジとして県内で2か所目となる「横手北スマートインターチェンジ」が開通したほか、昨日公表された「高速道路における安全・安心基本計画」において、暫定2車線区間である「北上ジャンクション・大曲インターチェンジ間」が4車線化の優先整備区間に選定されたところであります。
 高速道路ネットワークの整備促進は、物流の安全性・定時性の向上や交流人口の拡大に寄与するほか、企業誘致の環境整備の面でも効果が大きく、県内の産業経済活動の基盤となるものであり、早期の全線開通と暫定2車線区間の4車線化に向け、引き続き、あらゆる機会をとらえて国などに対して要望してまいります。
 次に、洋上風力発電の導入促進について申し上げます。
 再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に関しては、本県からは4区域を国に要望してまいりましたが、このたび、「能代市・三種町・男鹿市沖」及び「由利本荘市沖北側・南側」が有望な区域として選定されたほか、残る「八峰町・能代市沖」及び「潟上市沖」についても、今後の候補となりました。要望した全区域が促進区域の候補となったことは、これまでの本県の取組が評価されたものと考えております。
 今後は、選定された区域において、国や県のほか、関係自治体や漁業協同組合など利害関係者で構成される法定協議会が開催されることから、県としては、速やかに促進区域に指定されるよう、円滑な協議の実施に協力してまいります。
 次に、北海道・北東北の縄文遺跡群について申し上げます。
 7月30日に開催された国の文化審議会世界文化遺産部会において、鹿角市の大湯環状列石と北秋田市の伊勢堂岱遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」が今年度の世界文化遺産推薦候補に選定されました。
 昨年度は、文化遺産推薦候補に選ばれながら、最終的には自然遺産の候補がユネスコに推薦され、大変残念な思いをいたしましたが、今年度の国内推薦の獲得に向け関係者一同、歩みを止めることなく、前向きに準備を進めてまいりました。今回の再選定は、これまでの取組が評価され、さらには、国会議員連盟、各道県議員連盟の皆様のご協力による要望活動などが実を結んだものであり、国内推薦の獲得と世界遺産登録の早期実現に向け、引き続き、4道県及び関係市町が一体となって、取り組んでまいります。
 次に、全国学力・学習状況調査の結果について申し上げます。
 今年4月に実施された調査の結果が7月末に公表され、本県は、初めて実施された英語を含め全国トップレベルの結果が得られるとともに、基本的な生活習慣や学習習慣、学習に対する意欲についても、大変良好な状況が見られました。 
 調査開始から12年が経過し、その間、総合的に良好な状況を維持していることについては、国内はもとより、国外の教育関係者からも高い関心が寄せられ、本県を訪れる視察者数の増加につながっております。
 今後とも、各学校においては、子どもたちに寄り添ったきめ細かな教育を進めていくとともに、家庭や地域と一体となって、本県の未来を担う人づくりに取り組んでまいります。
 次に、台湾及びタイへの訪問について申し上げます。
 先月21日から24日にかけて、県内10の市長、町長などのほか、商工団体等の関係者と共に台湾を、また、25日から28日にかけては、東北各県等の知事などと共にタイを訪問してまいりました。
  台湾では、遠東航空を訪問し、定期チャーター便の安定運航を要請したところ、11月以降、当初計画どおり週2往復運航する方針であるとの説明があったほか、他の航空2社からもチャーター便運航について検討するとの意向が示されました。
 また、旅行エージェントなどを招いて開催した「観光交流懇談会」において、本県の持つ魅力的な観光資源を強くアピールし、季節毎の秋田の魅力を盛り込んだ旅行商品づくりを働きかけたほか、高雄市政府への訪問では、国際交流協力に関する覚書の更新を行うとともに、観光や文化、教育などの幅広い分野にわたる相互交流の拡大などについて意見交換を行ってまいりました。
 タイでは、東北観光推進機構主催のトップセールスに参加し、行政関係者や観光団体関係者などに対して、本県の観光地や食の魅力をPRしてまいりました。来月末には、仙台とバンコクを結ぶ定期便の運航が再開されることから、東北各県と連携しながらタイからの更なる観光誘客に取り組んでまいります。
 また、今回の訪問では、秋田牛の販売促進に向けたプロモーションも実施し、高級スーパーなどで、私自ら、秋田牛の売り込みを行うとともに、特に、タイでは、秋田牛のファンを公言するタイ王国パラリンピック委員会会長を「秋田牛アンバサダー」に委嘱したところであり、今般の訪問を契機に、現地の流通関係者や取扱店との連携を強化し、一層の知名度向上と販路拡大に努めてまいります。
 次に、東北デスティネーションキャンペーンについて申し上げます。
 東日本大震災から10年となる令和3年の4月から9月までの6か月間にわたり、本県を含む東北6県のデスティネーションキャンペーンが実施されることになり、去る7月に、6県の知事やJR東日本の支社長等で構成する推進協議会が設立されました。
 国内最大規模の本キャンペーンを半年にわたって展開する初めての取組となることから、東北各県の力を結集して国内外から多くの観光誘客を図るとともに、将来にわたり、観光の力で東北全体を活性化していくきっかけにしたいと考えており、本県としましても、観光客の受入態勢の充実強化を図るとともに、豊かな自然や文化、食や温泉など秋田ならではの魅力を国内外に発信し、多くの観光客に訪れていただけるよう取り組んでまいります。
 次に、令和4年の「第77回国民体育大会冬季大会スキー競技会」について申し上げます。
 冬季国体スキー競技会につきましては、第76回大会が令和3年2月に鹿角市花輪スキー場で開催されることが決定しており、現在その準備を進めているところでありますが、先月30日、公益財団法人日本スポーツ協会から、花輪スキー場を念頭に、第76回に続き第77回大会の本県での開催について要請がありました。
 このたびの要請については、花輪スキー場がスキー競技4種目を1か所で実施できることに加え、これまで蓄積された地元の運営ノウハウや開催実績などが高く評価されたものと受けとめております。
 本県での国体の開催は、地元選手の競技力向上はもとより、交流人口の拡大に伴う地域経済の活性化にもつながることから、鹿角市や県体育協会、県スキー連盟と協議を進めながら、2年連続の開催に向けて合意形成を図ってまいりたいと考えております。
 次に、提出議案の主なものについて説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、秋田の魅力が際立つ 人・もの交流拡大戦略に係る事業など、「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」に基づく事業のほか、公共事業等について計上しております。
 人・もの交流拡大戦略に係る事業については、東京オリンピック・パラリンピックの機会をとらえ、本県へのインバウンド誘客の一層の拡大を図るため、ビッグデータを活用した効果的な情報発信等に東北各県と連携して取り組むほか、オリンピック・パラリンピックの観戦チケット付き秋田泊旅行商品の造成を海外の旅行会社に働きかけてまいります。                                     
 また、地域における医療提供体制の充実を図るため、救急医療や周産期医療、へき地医療等に要する設備の整備を支援してまいります。
 一般会計補正額は、7億1,385万円であり、補正後の総額は、5,850億2,884万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県土地利用審査会の委員の任命について」は、委員の任期満了に伴う後任の任命について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
 「会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例案」は、来年4月の会計年度任用職員制度の施行に向けて、給与等の関係規定を整備しようとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。