1 PCBとは

 PCBとは、ポリ塩化ビフェニル化合物の総称であり、その分子に保有する塩素の数やその位置の違いにより理論的に209種類の異性体が存在し、なかでも、コプラナーPCBと呼ばれるものは毒性が極めて強くダイオキシン類として総称されるものの一つとされています。
 PCBは、水に極めて溶けにくく沸点が高いなどの物理的な性質を有する主に油状の物質です。また、熱で分解しにくい、不燃性、電気絶縁性が高いなど、化学的に安定な性質を有することから、電気機器の絶縁油、熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途で利用されていましたが、脂肪に溶けやすいという性質から、慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積し、様々な症状を引き起こすことが報告されています。

2 歴史

 PCBが初めて合成されたのは、ドイツで、1881年(明治14年)のことです。 その後、日本では、鐘淵化学工業で昭和29年に製造が開始されています。昭和43年にカネミ油症事件を機にPCBの毒性が大きな社会問題となり、この事件をきっかけにPCBの規制が始まりました。
 1973年(昭和48年)に「化学物質の審査及び製造の規制に関する法律(化審法)」が制定され、PCBの製造、輸入、使用が原則禁止となっています。また、使用しないPCB入りのトランスなどは、各事業者の管理のもと適切に保管することが義務付けられています。
 PCBの処理については、これまで処理体制の整備が進まなかったことから、長期にわたり事業者による保管が行われています。
 なお、平成3年の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の改正で、PCB廃棄物は「特別管理産業廃棄物」として、厳格な管理が義務付けられています。

3 早期の無害化処理と適正管理の必要性

 すでに製造されたPCBの処理に向けて、民間主導によるPCB処理施設設置の動きが幾度かありましたが、施設の設置に関し住民の理解が得られなかったことなどから、ほぼ30年の長期にわたりほとんど処理が行われず、結果として保管が続きました。保管の長期化により、紛失や漏洩による環境汚染の進行が懸念されています。
 したがって、PCB廃棄物を処理するための体制を速やかに整備し、確実かつ適正な処理を推進する必要があります。

4 PCB廃棄物とは

 廃棄物処理法では、PCBを含む産業廃棄物は特別管理産業廃棄物として次のように分類しています。

(1)廃ポリ塩化ビフェニル等

 廃ポリ塩化ビフェニル及びポリ塩化ビフェニルを含む廃油

(2)ポリ塩化ビフェニル汚染物

 ポリ塩化ビフェニルが染みこんだ汚泥、ポリ塩化ビフェニルが塗布若しくは染み込んだ紙くず、ポリ塩化ビフェニルが染み込んだ木くず、繊維くず、ポリ塩化ビフェニルが付着若しくは封入された廃プラスチック類や金属くず、ポリ塩化ビフェニルが付着した陶磁器くず、ポリ塩化ビフェニルが付着したがれき類

(3)ポリ塩化ビフェニル処理物

 廃ポリ塩化ビフェニル等又はポリ塩化ビフェニル汚染物を処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る)

5 PCB使用電気機器の判別について

一般社団法人日本電機工業会へリンクしています。