【始めに】
〇 「東北自然歩道」は、コースとコースの間を公共の交通機関で結ぶことができるように、コースの起点と終点にはバス停を配置していますが、歩道を整備した当時と現在を比べると、バス路線の廃止や運行本数の減少が進み、東北自然歩道を利用するにあたり、公共の交通機関を活用するのが現実的ではなくなっています。
 このため、紹介するコースは、マイカーやタクシーを活用することを想定しています。
〇 秋田県内には49のコースがあり、総延長距離は514.1㎞となりますが、歩道の荒廃が進んでいることなどから、設定された起点から終点までを完歩するのが難しくなっています。
 このため、コースの一部区間をおすすめ区間として紹介します。
〇 東北自然歩道は、その名のとおり「歩道」ですが、コースの標高差、路面状況及び沿線一帯の開発状況などから、「歩くこと(ウォーキング)」に限らず、「走ること(ランニング)」や「登ること(登山)」といった、様々な使い方が考えられます。
 利用者の体力や装備、利用時の天候などを考慮して、無理のないコースを選択してください。 

 

 〇三崎公園は、次のような楽しみ方があります。

【レジャー編】
 秋田と山形県境にまたがる三崎公園は、遊歩道やキャンプ場などが整備されており、見晴台から望む夕日は、日本の夕日百選の地に選ばれています。
 日本海に突き出た特殊な環境は、タブの木の北限とされているほか、夏に訪れると、断崖絶壁に咲き誇る「ハマカンゾウ」や「キツネノカミソリ」の群落を見ることができます。
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(正直なところ、ニッコウキスゲとの違いが分かりません・・・)
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(花言葉は「妖艶」。危険な香りがします・・・)

【歴史散策編】
 三崎山街道は、昔は酒田より秋田に通る唯一無二の街道で大難所でした。ここは、松尾芭蕉が奥の細道で歩いた道でもあり、古道は公園内に残されています。
 山形県から秋田県に縦断する古道は歩いて20分程であり、ウォーキングコースとして使うこともできます。
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(ここから、芭蕉は象潟へ向かった。)
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(タブの木をくぐる古道。)

【伝説編】
 三崎峠付近には、かつて関所が築かれていたと言われており、その関所を「有耶無耶(うやむや)の関」と言います。
 関所は、三崎公園にあったとする説や、旧象潟町の「関」集落にあったとする説もあり、結論はウヤムヤになっています・・・
 この「有耶無耶の関」の名の由来がとてもおもしろく、その昔、この地域には「手長足長」と呼ばれた化け物がいて、旅人を捕えて食べていたそうです。三崎山には三本足のカラスがいて、手長足長がいる時は「有や!」、いない時は「無や!」と鳴いたとのことですが、現代風に言えば、マンガ「進撃の巨人」のようなお話です。
 三崎公園内には、手長足長にゆかりのある「大師堂」があり、また、手長足長の足跡と伝わる石もあるそうです。
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(写真は大師堂。手長足長の足跡は見つけることができませんでした。) 

 

〇コースの使い方  ウォーキング
〇おすすめ区間   蚶満寺~駒留島~下堂ノ森~弁天島~奈良島~
          玄海島~男島~こおり島~そり舟島~笹山~
          下堂ノ森~蚶満寺
〇距離       2.3㎞
〇所要時間     40分
〇コース設備    公衆トイレ(蚶満寺)
          駐車場(蚶満寺)
〇コメント
 大雨警報が発令されるなか蚶満寺に到着すると、傘を差し、長靴に履き替え、散歩の準備をした。
 なぜ、このような悪天候に散歩をするのかというと、奥の細道の気分を味わいたかったからである。
 松尾芭蕉は象潟を訪れた際、「象潟や 雨に西施が ねぶの花」と詠んでいる。
 芭蕉は雨の中を歩いたはずである。
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 蚶満寺境内には、遊歩道「島めぐりコース」のスタート地点が設けられており、九十九島を巡ることができる。
 蚶満寺周辺はかつて、たくさんの島々が浮かぶ潟で、松島に並ぶ景勝地だったが、1804年の大地震で象潟は隆起し、一夜にして陸地となったらしい。
 現在ではよくある水田地帯で、「九十九島」の名称もピンとこなかったが、田植えを終えて水が張られた田圃の一帯には、松が生い茂る小さな島々が浮かび上がるように見え、当時の風景を重ねることができた。
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 それにしても雨風が強く、ずぶ濡れになってしまった。わらじ姿の芭蕉はさぞかし大変であったろうと想う。
 奥の細道の散歩は、天気の良い日にすることをおすすめします。

〇コースの使い方  ウォーキング
〇おすすめ区間   白瀬南極探検隊記念館~竹嶋潟~観音潟~浄蓮寺
〇距離       5㎞ ※おすすめ区間を往復した場合
〇所要時間     1時間40分 ※おすすめ区間を往復した場合
〇コース設備    公衆トイレ(記念館・竹嶋潟・観音潟)
          駐車場(記念館・竹嶋潟・観音潟)
          休憩所(記念館・竹嶋潟・観音潟)
〇コメント
 南極探検隊記念館から白瀬矗(のぶ)の墓までをつなぐコース。コース途中には南極公園、勢至公園があり、様々な目的で子供も大人も楽しめる。
〇見所スポット
【白瀬南極探検隊記念館】
 明治末期、日本初の南極探検隊を率いたのは、にかほ市出身の白瀬矗(のぶ)。南極観測船「しらせ」は、白瀬隊長の名に由来している。

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【勢至公園(竹嶋潟・観音潟)】
 秋田の花だよりは、勢至公園の桜からはじまるといわれ県内で最も早く咲く桜の名所。園内には竹嶋潟と観音潟の大きな潟があり、散策地として親しまれている。
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【浄蓮寺】
 白瀬矗(のぶ)の生家でもあり、白瀬の墓がある。境内には日章旗を掲げた銅像とペンギン像が建立されている。小高い丘にある白瀬の墓からは、雄大な日本海と鳥海山が望まれる。
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〇秀麗無比なる鳥海山を眺めるなら、冬師(とうし)湿原から眺めるのがおすすめです。
 冬師湿原は県の自然環境保全地域に指定されており、鳥海山を背景に、ハンノキやヤチダモなどからなる湿地林と湿原植物が一面に広がっています。
 また、点在する溜池に映し出された鳥海山の姿は、見事な風景をつくり出しています。

 ここ冬師湿原からの飛び切りの風景を皆さんにお見せしたく、9月某日の午前5時30分に湿原にてカメラを構えました。
 狙うは、湿原に朝靄が立ちこめ、朝焼けに輝く鳥海山の幻想的な風景です。
 が、しかし、、、朝靄が立ち込めません。朝焼けに輝きません。
 早朝に冷え込み、雲一つない、最高の気象条件が必要なようです・・・
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(早起きが報われませんでした。)

〇コースの使い方  ウォーキング
〇コメント
 東北自然歩道を巡り歩いていると、時として「こんな素晴らしいところがあったんだ!」「なぜ、ここは知られていないんだ?」と驚くことがあります。
 ‘山と海辺ふれあいのみち’の「熊野神社」は、まさにそのような隠れた穴場であり、2月から4月にかけては2つの見所を同時に楽しむことができるので、防寒対策と長靴を持参して訪れるのがおすすめです。

【見所ポイント①】
 四国八十八ヶ所の霊場を巡るお遍路は有名ですが、短時間の間に、しかも1ヶ所で済ませたいという怠惰な考えは昔の人も持っていたようです。
 斎藤与助さんの先祖も、そんな怠惰、いや、毎日のように神や仏に祈願したいという思いがあったらしく、天保5年(1835年)に熊野神社本堂の裏手に四国に見立てたヤブツバキの森を造成するとともに石像を建立し、巡礼の道を作ったそうです。
 熊野神社における八十八ヶ所巡りは約20分で終了しますが、この「巡礼の道」作りは相当な労力と年月を要していること間違いないです。
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(熊野神社とひっそりとたたずむ八十八ヶ所の石像)

【見所ポイント②】
 熊野神社裏手に自生するヤブツバキの群生は、由利本荘市の天然記念物に指定されています。
 その群生規模は県内随一であり、ヤブツバキの本数は約1,000本と言われ、神社境内地を一面に覆っています。
 熊野神社のヤブツバキは、2月頃から一重の紅色の花が咲き始め、見頃は4月頃となっています。
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(積もった雪の‘白’と咲き始めたヤブツバキの‘赤’のコントラストが絶品!!)

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