今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、秋田市出身の木村興治さんの文化功労者顕彰についてであります。
 木村さんは、世界卓球選手権で金メダルを4大会連続で獲得するなど、我が国を代表する卓球選手として活躍されるとともに、国際卓球連盟副会長等の要職を歴任し、スポーツ振興に貢献された功績が高く評価されております。
 このたびの木村さんの顕彰を県民と共にお祝い申し上げますとともに、今後とも健康に留意され、益々ご活躍されることを願っております。
 次に、パリオリンピック競技大会への本県関係選手の出場について申し上げます。
 マラソン競技の女子代表に、大仙市出身の鈴木優花さんが、県勢として第1号の内定となりました。
 鈴木さんには、心よりお祝い申し上げますとともに、今後も鍛錬を重ね、オリンピックでは、その実力を遺憾なく発揮されることを期待しております。
 現在、様々な競技種目において、オリンピック・パラリンピックへの出場権をかけた厳しい戦いが行われているところであり、鈴木さんに続き、一人でも多くの本県関係選手が、夢の舞台に立ち、活躍することを願っております。
 次に、国政を巡る情勢について申し上げます。
 国内経済は、このところ一部に足踏みも見られるものの、緩やかな回復を続けており、雇用・所得環境の改善傾向や、コスト上昇を販売価格へ転嫁する動きが見られるなど、長年の課題となっていたデフレ経済からの脱却の兆しが見え始めております。
 他方で、国際的な原材料価格の上昇や円安等により賃金上昇を上回る物価高が続き、国民の生活実感の改善までには至っておらず、消費が力強さを欠いていることに加え、国内投資についても、投資意欲は見られるものの、先行きの不透明感などから投資実績は伸び悩み、特定の業種に偏っている状況にあることから、国では、デフレからの完全脱却に向け、燃料・エネルギー価格の負担軽減や、中小企業等における持続的な賃上げの実現につながる取組への支援など、事業規模が37.4兆円程度となる総合経済対策を今月2日に閣議決定しており、現在、補正予算の国会審議が進められているところであります。
 今後、早期に関連予算を成立させ、国民生活や事業活動における物価高による負担の軽減を図るとともに、国内投資の拡大の促進を通じた全体の生産性向上や供給力強化など、物価高を克服する強靱な経済構造の構築及び、国際競争力の強化に向け、実効性のある対策に強力に取り組んでいただきたいと考えております。
 県としましても、物価高により影響を受けている県民や事業者を引き続き支援するため、国の補正予算成立の動向を踏まえ、速やかに補正予算の追加提案を行ってまいります。
 次に、ツキノワグマによる被害防止について申し上げます。
 今年は北海道・東北地方を中心に全国でクマによる人身被害が多発し、先月19日には、岩手県八幡平市の山中において、キノコ採りをしていた鹿角市の女性が襲われ死亡するという大変痛ましい事故も発生しており、亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に対しまして心からお見舞い申し上げます。
 県内では、市街地中心部や住宅地においてもクマの出没が相次いだほか、農作物等への被害も拡大しており、県民の安全・安心な生活への脅威となっていることから、今月、本県独自の要望のほか、北海道東北地方知事会を通じて、国に対して、クマの指定管理鳥獣への追加指定による財政的・技術的な支援の拡大、銃器の使用に関する関係法令や運用基準の見直しに加え、有害捕獲制度等に関する国民への理解促進について、強く要望したところであります。
 伊藤環境大臣から、追加指定について具体的な検討を進めることに加え、クマ類の保護管理と人身被害防止のため、状況に応じて駆除することは必要であり、法に基づく捕獲であることの周知に取り組むとの考えが示されるとともに、岸田総理大臣が住民の不安解消のため、政府を挙げて対策を推進することを表明するなど、国による支援強化に向け、一定の手応えを感じているところでありますが、まずは、県において有害駆除捕獲や狩猟に対する緊急的な支援を行うなど、引き続き、市町村や関係機関と十分に連携しながら、県民の生命・財産を守ることを最優先として、被害防止対策の拡充・強化を図ってまいります。
 次に、流域治水対策について申し上げます。
 7月の大雨による被害が甚大であった雄物川下流圏域及び馬場目川水系について、浸水被害を一層軽減するため、今月10日に流域治水協議会を開催し、太平川や内川川等の河川の氾濫防止対策や市街地の貯留機能の強化による内水氾濫対策など、国・県・市町村が実施する対策メニューを取りまとめたところであり、引き続き関係機関と連携しながら、抜本的な流域治水対策に集中的に取り組んでまいります。
 また、能代市の悪土川等について、国及び能代市と連携して具体的な対策案の検討を続けているところであり、他の河川についても地元自治体等と調整の上、河川整備の加速化や田んぼダムの導入を図るなど、引き続き取組を推進してまいります。
 次に、農作物の生育状況等について申し上げます。
 今年は、7月の大雨被害や8月の記録的な高温など、農作物にとって非常に厳しい生育条件となったことから、米の先月25日現在の作況指数は、県全体で97の「やや不良」となっており、一等米比率も大幅に低下しているほか、野菜や花き等の園芸作物についても、全体的に出荷量が減少しております。
 こうした状況を踏まえ、農業経営の継続に向けた資金繰りを支援するとともに、生育不良の要因などについて十分に分析を行い、引き続き適切な技術指導に努めてまいります。
 次に、冬季の観光誘客について申し上げます。
 観光産業の持続的成長に向けた好循環を確立していくため、閑散期となる冬季の誘客を推進し、通年での観光客数の平準化を図る取組を進めているところであり、その一環として、先月26日に、JR東日本より令和6年度冬季における重点販売地域の指定を受け、令和6年12月からの3か月間、大型観光キャンペーンを実施することになりました。
 秋田県単独での指定は平成30年秋以来、6年ぶりとなり、冬季での指定は、本県では初めてとなります。
 これに先立ち、この冬には官民が一体となってプレキャンペーンを展開するほか、来月10日からは秋田と台湾を結ぶチャーター便が週2往復で運航されることから、インバウンド誘客も含め、冬季観光の振興を力強く推進してまいります。
 次に、タイへのトップセールスについて申し上げます。
 今月8日から11日にかけて、市町村や経済団体等の関係者と共にタイを訪問し、現地の旅行事業者が参加する観光誘客セミナーにおいて、秋田への旅行商品の造成を強く要請したほか、現地メディアなどを通じ本県の魅力をアピールしてきたところであります。
 タイは、東南アジアの中では訪日客数が最も多く、雪に憧れを感じる地域であることなどから、これを機に、更なる誘客の拡大を図ってまいります。
 また、現地で実施した秋田牛のプロモーションにおいては、タイパラリンピック委員会会長も務めるタイ有数の実業家に「秋田牛アンバサダー」の委嘱状を交付し、秋田牛のPRをお願いしたほか、レストランシェフを招いた秋田牛の試食会を開催し、現地流通関係者や取扱店との連携強化を図ったところ、現地の大手牛肉輸入業者からは、今後、販売量を大幅に増加するとの意向を伺っており、今般の訪問を契機に、一層の知名度向上と、近年増加傾向にあるタイへの輸出の更なる拡大に努めてまいります。
 次に、提出議案についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、「新秋田元気創造プラン」に基づく事業のほか、公共事業の発注を前倒しするための債務負担行為等について計上しております。
 新プランに基づく事業については、ツキノワグマによる被害拡大に対応し、県民の安全・安心を確保するため、麻酔銃の配置により有害捕獲体制の強化を図るとともに、有害捕獲及び狩猟に携わる方の負担軽減に向けた緊急的な支援を実施してまいります。
 公共事業については、年間工事量の平準化と整備効果の早期発現に資する前倒し発注を推進するため、債務負担行為を設定しております。
 一般会計補正額は、3億4,858万円であり、補正後の総額は、6,210億3,203万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県人事委員会の委員の選任について」及び「秋田県教育委員会の委員の任命について」は、一部委員の任期満了に伴う後任の選任等について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
 「一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案」は、人事委員会の勧告に鑑み、職員の給料月額、期末手当及び勤勉手当等の額の改定を行おうとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。