今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、大雨による災害への対応状況について申し上げます。
 7月の記録的な大雨は多数の住家や公共土木施設、事業活動など、様々な面で大きな被害をもたらしており、県では、災害見舞金の速やかな給付に加え、被災した中小企業者の相談や資金繰り支援のほか、被災世帯の一時的な住居用としての県営住宅の無償提供、被害が大きかった秋田市、五城目町への応援職員の派遣など、最大限の対応に努めてきたところであります。 
 今後も、被災農家が営農継続できるよう、品質低下や出荷量減少が懸念される農作物の生育状況に応じた適切な技術指導に加え、資材購入や農機具修繕への助成、資金の融資を行うほか、被害を受けた医療・社会福祉施設や中小・小規模事業者の施設復旧への助成を行うなど、引き続き、市町村、関係機関と連携しながら、早期の生活再建や事業再開を全力で支援してまいります。
 被災した農林水産施設や公共土木施設については、順次応急措置を講じてきておりますが、先月30日に激甚災害に指定されたほか、一部市町村では公共土木施設の災害査定が開始されており、今後も、国等と十分に連携しながら、被災施設の早期復旧を図ってまいります。
 また、河川の改修整備については、県民の生命・財産を守ることが県政の基本的な役割であることから、財政運営上、他の事業に一定の制約は生じるものの、国の激甚災害対策特別緊急事業などを活用しながら、現状復旧にとどまらない、流域全体における抜本的な治水対策を早急に進めていく必要があると考えております。
 このたびの災害に当たり、天皇皇后両陛下からは、県民に心を寄せていただき、今月8日に、お見舞い金を賜ったところであり、また、復旧に向け、県内外の個人、企業、自治体からボランティア活動や職員派遣のほか、多額の義援金、寄附金、見舞金等、多くのご支援とご協力をいただきました。改めて、感謝申し上げます。
 次に、国内外の情勢について申し上げます。
 世界経済は、我が国を含む主要国の4月から6月までのGDPがいずれもプラスと底堅く推移しているものの、中国経済の低迷や先進主要国のインフレ率の高止まり等の下振れリスクによる成長の減速が懸念されております。
 また、国内では、外需にけん引され、同期の実質GDPの2次速報値が3期連続のプラスで年率換算で4.8パーセント増と高い成長となり、金額ベースではコロナ禍前を超え、過去最高となっておりますが、実質賃金が減少していることなどから個人消費がマイナスとなっており、依然として不安の残る内容となっております。
 一方、県内経済においては、堅調な個人消費や製造業を中心とする設備投資の増加等により改善傾向が続いているほか、最低賃金が現行制度導入以降で最大の上げ幅であった昨年を大きく上回る44円引き上げられ、897円となるなど、賃上げの動きが広がってきております。
 このように国内外の経済動向が不透明な中にあっても、持続的な県内経済の成長に向け、更なる投資を呼び込むほか、企業の経営基盤の強化や人材投資、魅力ある職場づくりへの支援等の産業雇用施策を効果的に推進するとともに、少子化対策と、それにつながる若者の県内定着回帰の拡大に積極的に取り組み、秋田の元気創造につなげてまいります。
 次に、環境面では、世界的な猛暑に加え、国内においても各地で気候変動の影響による異常気象が頻発しており、県内では7月の大雨に続き8月には記録的な高温、少雨に見舞われたところであります。
 こうした中、国連では「地球沸騰化時代の到来」と警鐘を鳴らし、世界各国による対応の強化を求めたところであり、我が国としても温暖化対策を喫緊の課題としてより深刻に受け止め、取組を加速させていく必要があります。
 県内においても、暮らしや産業の脱炭素化、森林・木材による二酸化炭素吸収・貯蔵機能の強化の視点から様々な温暖化対策を推進しているところでありますが、今般、二酸化炭素の回収・貯留を行う、いわゆるCCSの事業化に向け、本県沖を貯留エリアに含む民間事業者の取組が国の先進的CCS事業7事業のうちの1つとして採択されました。
 今後も県内でのCCSの本格的な展開を支援するとともに、引き続き、洋上風力をはじめとする再生可能エネルギーの導入拡大や電力の地産地消、森林資源の循環利用など、本県の優位性を生かした取組を進め、地域の活性化を図りながら、我が国のカーボンニュートラルの実現に向けて貢献してまいります。 
 次に、「洋上風力発電を契機とした秋田の未来づくり会議」について申し上げます。
 県内の洋上風力発電事業者の中心となっている大手総合商社2社の知見やノウハウを生かして、人口減少問題や地域の活性化等、発電事業以外の分野における本県の課題解決に取り組むとともに、事業者による地域貢献や新たなビジネスの創出を図るため、先月1日、両者と連携プラットフォームを立ち上げたところであります。
 今後、この会議を通じて、市町村や関係団体の積極的な参画をいただきながら、中長期的な視点で、幅広い分野の取組を推進し、秋田の未来づくりにつなげてまいります。
 次に、台湾へのトップセールスについて申し上げます。
 先月22日に訪台し、12月からの秋田空港と台湾・桃園国際空港を結ぶチャーター便の運航について、タイガーエア台湾及びスタートラベルと相互協力に関する覚書を締結するとともに、共同記者発表を行い、本県を強くPRしてきたところであります。
 県では、台湾をインバウンド誘客における最重点市場と位置づけており、令和元年12月以来、約4年ぶりとなる国際便の運航を契機として、更なる誘客の拡大を図ってまいります。 
 また、現地で開催された秋田牛の試食会において飲食店関係者から高い評価が得られたほか、それに先立ち来県した台湾のバイヤーからは、ネギやリンゴ、日本酒等へ強い関心が示されたことから、このたびの台湾便運航を本県の食の認知度向上につながる好機として、秋田牛をはじめとする県産農畜産物等の更なる輸出拡大に取り組んでまいります。
 次に、「あきた芸術劇場ミルハス」について申し上げます。
 グランドオープンから1周年を迎え、この間の大ホール及び中ホールの稼働率は80パーセントを超えるなど、多くの公演が開催され、県民が質の高い多様な文化に触れる機会が広がるとともに、周辺地域のイベントとの相乗効果により地域のにぎわい創出につながっているほか、芸術系大学等との交流を通じて文化芸術活動が活性化しており、引き続き集客力の高い公演の誘致などに取り組み、ミルハスを核とした文化芸術の発信とにぎわいづくりを図ってまいります。
 次に、新県立体育館の整備について申し上げます。
 このたび、検討委員会における議論を踏まえ、八橋運動公園内の丘周辺に6,000人以上を収容するメインアリーナとサブアリーナからなる施設を整備する基本計画案をとりまとめたところであり、プロバスケットボールの新たなトップリーグとなる「Bリーグプレミア」のホームアリーナや、県民が参加する各種の全県大会の会場として活用するなど、「みる」「する」「ささえる」の3つの機能を備えたスポーツの拠点として、PFI手法により民間のノウハウも活用しながら、令和10年の開館を目標に整備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、自殺予防対策について申し上げます。
 令和4年に急増した自殺死亡者数は、昨年に比べ減少傾向にあるものの、更なる対策として、明日、12日に、すべての市町村においてキャンペーンを行うなど、今後も気を緩めることなく、自殺防止に向けた取組を進めてまいります。
 次に、提出議案の主なものについて説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、7月の大雨による被害対策に係る事業のほか、物価高騰や新型コロナウイルス感染症への対応、「新秋田元気創造プラン」に基づく事業等について計上しております。
 大雨による被害対策については、被災した道路や河川等の公共土木施設の復旧対策事業を速やかに実施するとともに、農地や農業用施設の復旧をはじめ、種苗や生産資材の購入などの再生産に向けた取組に対し助成するほか、農業経営の再建に向けた資金繰りを支援してまいります。
 また、住宅リフォーム助成の災害復旧支援枠を拡充し、被害を受けた住宅の復旧を支援するほか、医療・社会福祉施設や中小・小規模事業者の被害が甚大なことから、事業継続に向けた施設等の復旧に要する経費を助成してまいります。
 新型コロナウイルス感染症への対応については、今後の感染拡大に伴う医療機関への負担増に備え、総合案内窓口及び医療相談窓口の設置を継続するものであります。
 新プランに基づく事業については、新県立体育館の整備・運営を行う民間事業者の選定に向け、PFIによる実施方針の策定や建設地の測量等を実施するほか、森林所有者と林業経営体との連携による造林地の集積に対する助成を拡大し、再造林をさらに促進してまいります。
 一般会計補正額は、196億5,683万円であり、補正後の総額は、6,206億8,345万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「市町村への権限移譲の推進に関する条例の一部を改正する条例案」は、市町村への権限移譲対象事務に、旅館業法の規定による旅館業の譲渡及び譲受けの承認の事務を加えようとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。