このたびの臨時議会は、今月14日からの大雨による被害対策の補正予算案についてご審議をいただくものでありますが、提出議案の説明に先立ち、被害状況等について申し上げます。
 東北地方に停滞した梅雨前線の影響により、秋田市仁別等の6地点において72時間降水量が観測史上最大となるなど、県内各地で記録的な大雨に見舞われ、秋田市の太平川等16河川の氾濫に加え、同市の市街地でこれまでに類を見ない規模の内水氾濫とみられる浸水が発生したほか、水道施設の被災により広範な地域で断水するなど県民生活への甚大な影響が広がったところであります。
 五城目町においては、水没した自動車に取り残された1名の方が亡くなられ、秋田市では土砂崩れにより4名の方が負傷されました。
 いまだ全容は明らかになっていないものの、昨日までに浸水等による被害住家が3,200棟を超えたほか、公共土木施設や農林水産施設の損壊、農作物の冠水等の被害額は216億円以上となることが判明しており、被害はさらに増える見通しとなっております。
 亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
 県では、大雨に関する気象情報を受け、14日午後に災害警戒部を立ち上げ情報収集等に当たっておりましたが、被害の発生状況等を踏まえ災害対策本部に改組の上、対応を強化しており、15市町村に災害救助法を適用したほか、自衛隊に対して災害派遣要請を行うとともに、関係部局や警察本部が消防機関等と連携して迅速な被災者救助や避難誘導・援護、被害のあった道路、河川に対する応急工事等の対策を講じてまいりました。
 この間、16日早朝には私自ら秋田市内の内水氾濫の状況を広範囲に確認するとともに、19日に能代市及び八峰町において農業被害や断水の状況を確認したほか、21日に谷内閣府特命担当大臣と共に各地の現地調査を行い、激甚災害の指定及び国の財政支援に加え、今回の被害が拡大した要因とみられる内水氾濫への対策強化等について要望しており、26日には、岸田総理をはじめ関係閣僚に被害状況を説明し、早期の対応を強く求めたところであります。
 現在、被災した中小企業等に対する特別相談窓口や災害ボランティア支援センターの設置、被災市町村への応援職員の派遣などの対応を進めてきているほか、床上浸水等の被災世帯に対する災害見舞金の給付を開始しており、今後、公共土木施設や農地・農業用施設の早期復旧と被災農家への営農支援に全力で取り組むなど、市町村や関係機関と連携を一層密にしながら県民生活や事業活動の再建を支援してまいります。
 なお、間もなく夏の行楽シーズンが本格化しますが、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行を踏まえ、観光誘客の促進を強化している中で重要な役割を担う交通網の復旧については、全面通行止めとなっていた秋田岩見船岡線の川反地区の応急工事が完成し、本日午後1時から車両の通行が可能になるとともに、秋田中央道路トンネルは来月1日から一定の制限のもとに通行再開を予定しているほか、奥羽本線や五能線、北上線の一部区間で運休が続いている鉄道もお盆前の運転再開が見込まれております。
 このたびの災害では、応急対応や復旧活動についてボランティアの皆様をはじめ、自衛隊、海上保安庁、全国の自治体等から多大な協力をいただいておりますことに感謝申し上げるとともに、復旧に向け、引き続き、ご支援、ご協力いただきますようお願いいたします。
 また、県民の皆様におかれましては、気温の高い日が続いておりますので、復旧活動の際の熱中症予防にも十分にご注意くださるようお願いいたします。
 特に、今般の災害に当たりましては、昨日夕刻に、宮内庁別所侍従長より、天皇皇后両陛下から県民に対するありがたい励ましのお言葉を賜った旨の連絡をいただいたことをご報告申し上げます。
 次に、提出議案について申し上げます。
 今回の補正予算案は、大雨による被害対策として緊急を要する事業について計上しており、住宅に被害を受けた世帯に対する見舞金の給付等を実施してまいります。
 一般会計補正額は、11億5,475万円であり、補正後の総額は、6,010億2,661万円となります。
 以上、補正予算案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。