このたび提案いたしました議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、国政を巡る状況についてであります。
 先月、岸田総理は内閣改造を行い、国際社会におけるパワーバランスの不安定化やAI技術の進展、脱炭素経済の潮流等、激変する社会経済環境を力に変え、経済、社会、外交・安全保障を政策の3本柱として、我が国の発展に全力で取り組んでいくことを表明されました。
 現在、最優先に取り組むべき課題として物価高騰への対応など、新たな経済対策の検討が行われているところでありますが、足下の経済情勢は、長引く物価高騰が国民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしている一方で、原材料の価格転嫁や賃上げの動きが見られるようになっており、長期間にわたり国内経済の足かせとなっていたデフレからの脱却への正念場となっていることから、適正な価格転嫁やリスキリング支援等を通じた構造的な賃上げと投資の拡大等の「成長と分配の好循環による新しい資本主義」の実現に向けた取組のほか、公的国民負担の軽減など、その効果が地方にもしっかりと行き渡る実効性のある対策を展開することを期待しております。
 県では、取り巻く環境の変化を踏まえつつ、産業のデジタル化や輸送機、洋上風力発電をはじめとする成長分野への参入促進による産業振興のほか、農業の複合化の促進や再造林の拡大による農林水産業振興等、本県の可能性や優位性を生かした取組を進めているところであり、堅調な個人消費や高水準の設備投資により景気の回復傾向が続くなど、各分野において取組の成果が着実に現れ始めてきており、引き続き、国の経済対策を踏まえながら、新秋田元気創造プランに基づく施策・事業を効果的に実施し、県民誰もが豊かさを実感できる秋田の実現を図ってまいります。
 次に、大雨災害への対応等について申し上げます。
 県内では、先月後半以降も、降雨による土砂崩れや道路冠水があり、先月19日には、短時間での記録的な大雨により、県道秋田北インター線の外旭川アンパスを一時的に全面通行止めにしたほか、秋田市において住家等の浸水被害が発生しており、今夏の大雨被害から再起に向けて取り組んでいる中で再び被災された方もおられ、被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
 7月の大雨に関する公共土木施設の災害査定は、12月上旬には終了する予定であり、引き続き、国や市町村と連携を図りながら、被災施設の早期復旧に向け、全力で取り組んでまいります。
 また、被害が甚大であった秋田市の太平川について、国及び同市と連携し、具体的な対策案について意見交換を実施しているところであり、五城目町の内川川や富津内川は、改修事業に向けて地元説明会を開催したほか、他の被害河川についても、地元と調整の上、適切に対応することにしており、引き続き流域治水の取組を推進してまいります。
 次に、ツキノワグマによる被害防止について申し上げます。
 先月以降、人身被害が急増しておりますが、今年は、ブナの実の凶作による餌不足等のため、「いつでも、どこでも、誰でも」クマと遭遇するリスクが高くなっていることから、県民の皆様には、日常生活や行楽の際に、鈴やラジオで音を出しながら、可能な限り複数人で行動していただくほか、集落においては、やぶを刈り払って見通しを確保することに加え、餌となるものを屋外に置かないなど、自己防衛意識を高め、十分に注意していただくようお願いいたします。
 県としましても、新聞広告やテレビ・ラジオCMを活用するなどして県民に対して強く注意喚起するとともに、クマの出没情報の発信のほか、警察、学校職員等による通学路のパトロール強化、猟友会等による駆除や被害発生地域の警戒など、関係機関と連携して対策に取り組んでいるところであり、引き続き、被害の未然防止に最大限努めてまいります。
 また、人身被害の増加に加え、農作物等への被害も広がっていることを踏まえ、市町村では例年以上に捕獲を実施しており、捕獲従事者の負担が大きくなっていることから、県独自の緊急的な支援を検討しているところであります。
 次に、農作物の生育状況等について申し上げます。
 今年は、4月の降霜による日本なしの減収のほか、7月の大雨とその後の高温により、水稲をはじめ、エダマメ、ネギ等の品質低下や出荷量の減少が見られるなど、厳しい状況となっております。
 近年、こうした自然災害が増加傾向にあることから、被害の要因分析を十分に行い、気象条件に応じたきめ細かな技術指導に努めてまいります。
 また、デビュー2年目となる「サキホコレ」につきましては、先般、私も高校生や生産者の皆様と共に刈り取り作業を行い、収穫の喜びを分かち合うとともに、今年の販売開始を今月21日と公表したところであり、今後は、県内外においてテレビCMをはじめとした販売促進キャンペーンなどを展開し、更なる認知度向上に取り組んでまいります。
 次に、台湾における食と観光のPRについて申し上げます。
 来月17日から19日に台北市において、秋田牛やサキホコレ、リンゴをはじめとする県産農畜産物、日本酒などのプロモーションを実施するとともに、スーパー等で試食販売を行うほか、冬季観光コンテンツの紹介や現地旅行会社との連携による旅行商品の販売など、様々な切り口で本県の魅力をPRする「秋田県食と観光フェア」を開催することにしており、12月からのチャーター便の運航を契機として、更なる誘客促進や県産品の輸出拡大を図ってまいります。
 次に、「あきた暮らし・交流拠点センター」について申し上げます。
 若年層を中心とした地方回帰志向の高まりによる移住者の増加のほか、リモートワークや起業といった働き方の広がりに伴い、相談者のニーズが多様化していることを踏まえ、利便性の向上と相談対応の強化を図るため、今月1日、ワンストップ機能を持つ首都圏相談窓口を東京・京橋エリアにオープンしたところであり、今後、移住やAターン就職の希望者、県内就職を考える大学生等に寄り添ったきめ細かな対応により、移住や県内回帰の更なる拡大を図ってまいります。
 また、立地の優位性やイベントスペース等の施設の特性を生かし、市町村、企業等との連携のもと、本県と首都圏を結ぶ様々なイベントを開催するほか、観光、産業をはじめ幅広い分野における本県の魅力を発信し、秋田に関心がある方々との交流拠点としても活用することにより、関係人口や移住希望者の拡大につなげ、秋田への新たな人の流れをつくってまいります。
 次に、秋田版図柄入りナンバープレートについて申し上げます。
 県民アンケートを経て作成した秋田犬の図柄案が正式に採用され、今月23日から交付が開始される予定となっており、今後、県民への普及に向けたPRや公用車への取付けを進め、本県のイメージ向上につなげてまいります。
 次に、認定をお願いいたします令和4年度秋田県歳入歳出決算について申し上げます。
 一般会計歳入総額は6,746億七7,147万円、歳出総額は6,564億6,918万円となり、事業繰越財源を差し引いた実質収支は、144億215万円の黒字となりました。
 令和4年度は、「新秋田元気創造プラン」の初年度として、6つの重点戦略に基づく施策・事業を中心に取り組み、特に「賃金水準の向上」など3つの選択・集中プロジェクトや「若年女性の定着・回帰の促進」について重点的に推進するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応として、感染防止や医療提供体制の整備等に努め、さらに、急激な物価高騰への対応として、生活者や事業者への支援に取り組んだところであります。
 よろしくご審議の上、認定いただきますようお願い申し上げます。