今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明を申し上げます前に、三笠宮崇仁親王妃百合子殿下が薨去されたことに対しまして、衷心より哀悼の意を表したいと存じます。
 妃殿下は、本県開催となった昭和51年の「全国レクリエーション大会」や昭和54年の「冬季国体スケート競技会」などにおいでになられました。
 県民の皆様と共に、謹んで御霊の安らかなることをお祈りいたします。
 次に、本県国会議員の副大臣就任について申し上げます。
 このたびの組閣において、冨樫博之衆議院議員が総務副大臣に就任されましたことを、心よりお祝い申し上げます。
 冨樫副大臣におかれましては、地方創生の推進、地方の税財政基盤の充実・強化等に向け、これまでの豊富な経験を生かし、ご活躍されますことを期待申し上げますとともに、ふるさと秋田の発展のため、今後ともお力添えを賜りますようお願いいたします。
 次に、国政を巡る情勢について申し上げます。
 先月行われた総選挙の結果を受け、衆議院においては少数与党の状況となり、今後の国政は極めて不安定な状態が続くと予見されることから、これまで以上に多様な声に耳を傾けながら、とりわけ、政治の信頼回復に向けては、国民が納得する改革等を実行していく必要があると考えております。
 こうした中、今月11日に発足した第2次石破内閣にあっては、物価高や全国各地で繰り返される自然災害への対応のほか、歯止めのかからない人口減少問題、各方面で深刻さを増す人材不足など、課題が山積していることから、与野党共に建設的な議論を重ね合意形成を図り、国民の生活を最優先に考えた、実効性とスピード感のある施策の実施に尽力することが不可欠と考えております。
 まずは、先日、閣議決定された経済対策の裏付けとなる補正予算を早期に成立させ、賃金上昇が物価水準を安定的に上回る経済の実現など各対策を速やかに実践に移していくほか、来年度予算における切れ目のない取組も含め、「日本経済・地方経済の成長力」を強化することを期待しております。
 県としましても、物価高により影響を受けている県民や事業者を引き続き支援するため、国の補正予算の審議状況を注視しながら、低所得世帯に対する灯油購入費への助成や中小企業の生産性向上と経営基盤強化に向けた省エネルギー化の取組への支援等について今後検討を進めるなど、国の動きと歩調を合わせ、必要な施策を展開してまいります。
 また、石破総理は、「地方こそ成長の主役」という考えのもと、「新しい地方経済・生活環境創生本部」を立ち上げ、地方創生の再起動を大きく打ち出していることから、今後とりまとめる基本的な考え方においては、地方が供給する人材や食料、エネルギーによって大都市が支えられており、地方なくしては都市生活が成り立たないという現実を踏まえ、我が国がどのような国づくりを進めていくのか、国としての確固たるビジョンを示されることを期待しております。
 もちろん、それぞれの地方が弛まぬ努力を続けることは当然ですが、単に地方間の競争を促すのみでなく、真の意味で地方の価値を高める施策を強力に推し進めていただきたいと考えております。
 県としましては、先日、財務大臣や県関係国会議員に対して、税財政基盤の充実・強化や農業の持続的発展等につながる農林水産業の振興のほか、県土の強靱化や防災力の強化に必要となる関係予算の確保など、本県の実情を踏まえた関連政策の早期実現を強く要望したところであり、引き続き、国の予算編成等の動きを注視し、来年度予算の編成作業を進めていくとともに、今後の社会経済動向を踏まえ、各般の分野にわたり国や市町村等と協調しながら、本県が抱える諸課題に対して機動的な取組を講じてまいります。
 次に、国際情勢の変化について申し上げます。
 アメリカ合衆国の次期大統領として、ドナルド・トランプ氏が再び選出され、日米の新しいリーダーが時をほぼ同じくして誕生する転換期を迎えたところであります。
 現時点においては、トランプ政権の誕生による国内の産業経済等への影響を正確に予測しうる状況にはありませんが、前回の任期同様に、保護主義的な通商政策をとることが予想され、我が国における輸出企業の生産活動に加え、輸入品価格の上昇などの日常生活、さらには、貿易摩擦に起因する社会的・経済的影響が懸念されております。
 生産拠点の海外シフトや輸入原材料の調達など、本県経済にもインパクトを与えかねない要素があることから、次期大統領の施策や発言を冷静かつ注意深く観察し、必要に応じて適切に対処してまいります。
 次に、流域治水対策について申し上げます。
 7月の大雨により河川が氾濫した子吉川圏域については、明日開催予定の流域治水協議会をはじめ、国や由利本荘市、にかほ市との議論のもと、浸水被害の更なる軽減に向けて、流域全体で取り組むハード・ソフト一体となった対策メニューを検討しているところであり、引き続き、関係機関と連携しながら「水災害対策プロジェクト」の年内の取りまとめを行うなど、県土の強靱化に向けた取組を集中的に実施してまいります。
 また、昨年7月に甚大な被害が発生した旧雄物川流域における太平川や旭川、新城川などの六河川については、今月8日、より実効性のある治水対策を実行することを目的に、特定都市河川の指定を行ったところであります。
 この指定によって、激甚化・頻発化する水災害を踏まえた土地利用規制や、開発に伴う雨水の流出抑制など、総合的な浸水被害対策の推進が可能となることから、国や秋田市等との連携のもと、旧雄物川流域における具体の方策について議論を重ねながら、流域治水対策を一層深化させてまいります。
 次に、新県立体育館整備・運営事業について申し上げます。
 本事業については、参加意向を示していた4つの事業グループが、いずれも見積額と予定価格の乖離が大きいとして入札を辞退いたしました。
 事業者等に対する聞き取りの結果、首都圏などにおいて同時並行的に進む多くの巨額な再開発事業や、民間のハイグレードのオフィスビル・マンション等の建設需要が急増し、大規模建設物を手がける総合建設業者が相当規模の受注ストックを抱えていることを背景に、資材価格や労務費が短期間で高騰している状況が判明しており、人材や富を含めて、東京をはじめとする大都市への集中が過度に進んだことが、影響していると捉えております。
 新たな体育館の整備は、現施設の老朽化に伴うものであり、できるだけ早期の建て替えが必要であるほか、各種の価格上昇が今後も継続すると見込まれるなど様々な状況に鑑み、実勢を踏まえて事業費を増額し、当初の予定どおり令和10年秋の開館を目指してまいります。
 また、機能については、県民のスポーツをみる・する・ささえる環境の充実を図るとともに、秋田ノーザンハピネッツのBリーグプレミアへの参入、全国規模のイベントや大会の誘致による経済波及効果等も見据え、基本計画に示した機能を維持することにしております。
 次に、冬季の観光誘客について申し上げます。
 この12月から来年2月までの3か月間にわたり、JR東日本や県内の観光団体等と共に、「秋田県冬の大型観光キャンペーン」を実施いたします。
 期間中は、星空鑑賞や秋田犬との散歩など、地域ならではの体験型コンテンツを数多く提供するほか、各種広告媒体を活用したPR等を通じて冬の秋田の魅力を強力に発信し、本県への来訪を促してまいります。
 また、間もなく就航から1年を迎える台湾チャーター便については、引き続き、雪を楽しみにする台湾からの観光客が多数利用することが見込まれるため、キャンペーンの展開と併せて、閑散期となる冬季の需要を確保することで、年間を通じた誘客の促進を図り、本県観光産業の持続的な成長を後押ししてまいります。
 次に、タイへのトップセールスについて申し上げます。
 今月13日から16日にかけて、市町村や観光・経済団体等の関係者と共にタイを訪問し、本県観光の魅力をアピールするために開催したセミナーや交流会において、現地の旅行事業者のトップに対し、秋田への旅行商品の造成を強く要請してきたところであります。
 また、秋田牛のプロモーションにおいては、レストランシェフを対象とした肉のカット技術講習会を開催したほか、秋田・タイ王国友好協会関係者への試食提供を行ってまいりました。
 今般の訪問を契機に、現地の流通関係者や取扱店との更なる連携を図りながら、秋田牛の一層の知名度アップと販路の拡大に努めるとともに、現地の旅行事業者への継続的な情報提供等を通じて、冬季を中心とした誘客を促進してまいります。
 次に、農畜産物の販売について申し上げます。
 デビュー3年目となる「サキホコレ」については、先月5日から新米の販売を開始し、県内外においてテレビCMの放映や、量販店での試食販売等のプロモーションを展開しております。
 また、デビュー10周年を迎えた「秋田牛」については、来月からスタートする「秋田県冬の大型観光キャンペーン」に合わせて、県内の飲食店や宿泊施設でのメニューの提供や、購入者を対象としたプレゼント企画等を計画しているところであり、引き続き、本県農畜産物の一層の販売促進を積極的に進めてまいります。
 次に、提出議案についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、「新秋田元気創造プラン」に基づく事業のほか、人事委員会の勧告等を受けた給与費の増額等について計上しております。
 「新秋田元気創造プラン」に基づく事業については、介護従事者の負担軽減や業務の効率化を図るため、介護ロボット等の導入経費に対し助成するほか、地域の医療需要を踏まえた医療提供体制を構築するため、病床数の適正化に取り組む医療機関に対する支援を実施してまいります。
 また、新県立体育館の整備・運営に係る事業者選定手続きを再度行うため、債務負担行為の総事業費を増額しております。
 公共事業については、発注の前倒しにより年間工事量の平準化と整備効果の早期発現を図るため、債務負担行為を設定しております。
 一般会計補正額は、41億6,924万円であり、補正後の総額は、6,076億5,633万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県公安委員会の委員の任命について」は、任期満了に伴う一部委員の任命について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
 「一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案」は、人事委員会の勧告に鑑み、職員の給料、期末手当及び勤勉手当等の改定を行おうとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。