令和6年第2回定例会 9月議会 知事説明要旨(令和6年9月9日)
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今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、先月7日、職員が収賄の疑いで逮捕されたことについて、改めて、深くお詫び申し上げます。
公平性が求められる公共事業の事務執行において、県民の皆様に疑念や不信感を抱かせたことは、誠に遺憾であり、事実関係を確認の上、厳正に対処するとともに、こうした不正行為が二度と起こることのないよう、県職員としての倫理保持に向けた取組を徹底し、県政に対する信頼回復に全力を尽くしてまいります。
次に、諸般の報告を申し上げます。
はじめに、「2024年パリオリンピック・パラリンピック競技大会」についてであります。
昨日閉幕したパリ大会での本県関係選手が戦う勇姿は、県民に多くの感動と勇気を与えてくれたところであり、各選手と関係者の皆様に対して、心からお祝いと感謝を申し上げます。
バドミントン女子ダブルスにおいては、八郎潟町出身の志田千陽選手が初出場ながら、ペアを組む松山選手とのスピード感のあるコンビネーションが冴え、県出身者としては12年ぶりとなる銅メダルを獲得しました。このため、その功績をたたえ、県民栄誉章を贈り、広く顕彰することにいたしました。
また、北都銀行所属の永原・松本ペアは、2大会連続での準々決勝進出はならなかったものの、最後まで諦めないプレーを大舞台で披露してくれました。
先日、ペア解消と永原選手の現役引退が発表され、驚きと共に寂しさを禁じ得ませんが、お二人には、長年にわたる本県バドミントン競技の振興に対する貢献に、心より感謝申し上げたいと存じます。
マラソン競技では、大仙市出身の鈴木優花選手が、高低差や石畳のあるタフなコースに果敢に挑戦し、日本人選手トップで堂々の6位入賞を満面の笑顔で勝ち取ったほか、秋田市出身の熊谷豊選手は、前回大会に続く入賞はなりませんでしたが、視覚障害のハンデを乗り越え、力強い走りを見せてくれました。
さらに、秋田市出身の石川璃音選手は、バックアップメンバーという難しさの中、五輪サッカー競技に県勢初となる出場を果たし、体を張った守備でベスト8入りに大きく貢献しました。
世界のひのき舞台における、県関係選手6名の素晴らしい活躍に対して、改めて拍手を送るとともに、オリンピアン、パラリンピアンとしての誇りを胸に、今後一層の飛躍を心から期待しております。
次に、大雨による被害状況等について申し上げます。
7月24日から26日にかけて、東北地方に停滞した梅雨前線の影響により、北秋田市や由利本荘市、湯沢市において、72時間降水量が観測史上最大を更新するなど、県内各地で記録的な大雨に見舞われ、土砂崩れなどにより、2名の方が亡くなられました。
また、由利本荘市の子吉川や石沢川など10河川が氾濫し、浸水等による建物被害が330棟を超えたほか、農林水産関係の被害額が過去最大になるなど、公共土木施設を含めた被害総額は約374億円に上っております。
亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
県では、24日夕方に災害連絡室を立ち上げた後、随時、状況の分析を行いながら、災害警戒部、災害対策本部に順次改組し、被害情報の把握や、堤防が決壊した河川、損壊した道路等の応急復旧に全庁を挙げて対応してきたほか、床上浸水等の被災世帯に対しては、市町村と連携し、災害見舞金の速やかな支給に努めてまいりました。
また、30日には、私自ら由利本荘市内の災害現場を確認したほか、先月6日には、被災地域の市町村長と共に関係省庁を訪問し、激甚災害の早期指定や公共土木施設・農林業災害等の復旧支援、災害復旧に係る財政支援等について緊急要望を行うとともに、首相官邸において岸田総理に対して直接、被害状況の説明を行い、県内各地の実情を報告したところ、今月6日に、激甚災害の指定が閣議決定されました。
公共交通機関は、一部を除いて平常どおり運行されておりますが、現在でも通行規制が続く国道や県道があるほか、農業については、農地への土砂の流入や、水路・ため池等の損壊により、今後の営農への深刻な影響が懸念されるところであります。
県としましては、国や市町村と十分連携を図りながら、公共土木施設や農地・農業用施設等の早期復旧に万全を期すとともに、今後、収穫期を迎える農作物に関する技術指導を行い、被災農家に寄り添った支援に取り組むなど、被災された方々の日常の生活と事業活動が1日でも早く再建できるよう、全力でサポートしてまいります。
次に、国内・県内の情勢について申し上げます。
国内では政治・経済共に大きな変動があり、国政においては、先月14日、岸田総理が、政治不信に対する責任を果たすべく、次の自民党総裁選挙への不出馬を表明し、非常に重い決断を自ら下したものと受け止めております。
岸田総理におかれましては、コロナ禍での就任という難局の中、国民の生活や国内経済の維持・発展を目指し、大規模な経済対策を講じるなど、国内外の激動の時期に重責を担われたことに改めて敬意を表するとともに、次のリーダーには、人口減少対策の基本となる、地方の産業経済の活性化に、不退転の覚悟をもって臨んでいただけるよう強く期待しております。
また、国内経済にあっては、7月に史上最高値を更新した日経平均株価は、日本銀行による追加の利上げ見通しや、米国経済の後退懸念等により、先月上旬に過去最大の下げ幅を記録し、その後も乱高下を繰り返すなど、非常に不安定な相場となったほか、今年6月分の実質賃金が、過去最長のマイナス期間を脱却し、27か月ぶりにプラスに転じるなど、大きな動きが見られたところです。
県内経済においては、日銀秋田支店が公表した金融経済概況では、個人消費における節約志向の高まりなどを背景に、県内景気は回復の動きが一服しているとし、2か月連続で景気判断を据え置いたところですが、洋上風力発電やインバウンド等の需要を見込み、各地でホテル等の建設が計画されるなど、県外からの新たな人の流入につながる明るい兆しが現れてきております。
また、最低賃金については、現行制度導入以降、最大の上げ幅となった昨年をさらに上回る54円の引上げが決定されたところですが、首都圏等との賃金格差は依然として大きく、企業の人材確保のみならず、若者の県外流出にも大きく影響を及ぼす要因の一つであるほか、都道府県間の競争という、制度の本質とはかけ離れた実態も見受けられることから、国に対して、制度の抜本的な見直しを、引き続き働きかけてまいります。
次に、「新秋田元気創造プラン」について申し上げます。
新プランは、令和4年度のスタートから2年余りが経過したところであり、人口減少問題の克服を最重要課題に掲げ、6つの重点戦略や3つの基本政策に加え、行政資源を効果的かつ効率的に投入すべき3つの「選択・集中プロジェクト」から構成される枠組みのもと、時代の推移を的確にとらえ、将来をしっかりと見据えた施策・事業を展開してきたことにより、様々な場面において取組が形を成しつつあります。
このうち、本県の賃金水準については、金額ベースでは低位にあるものの、伸び率は全国上位に位置するとともに、県内企業における賃上げの実施割合は、前年を上回る状況が見られるなど、賃金と物価の好循環の実現に向けた動きが現れてきており、今後は、賃上げの動きを持続的なものとするため、関係団体と立ち上げた「価格転嫁の円滑化に向けた連絡協議会」において、適正な価格転嫁の実現につながる新たな取組について検討を行ってまいります。
また、新エネルギー関連産業をはじめとする成長産業の誘致や、関連する環境づくりが、着実に進捗していることから、こうした取組をより一層強力に進めていくとともに、賃金水準の向上にもつながる県内企業の稼ぐ力を強化するため、「モノへの投資」に加え、リスキリングや企業における中核人材の育成などの「ヒトへの投資」に向けた取組も積極的に支援し、企業の生産性と労働力の質の向上を図ることなどにより、引き続き、若者の受け皿となる産業経済基盤の整備に努めてまいります。
さらに、本県におけるスタートアップの創出と成長をサポートするため、支援組織である「アキスタプラットフォーム」を立ち上げたところであり、スタートアップを目指す方と支援機関等を緊密にリンクさせていくとともに、オンラインによる相談対応のほか、機運の醸成や関係者間の交流を目的とした定期的なイベントの開催などを通じて、国内外の市場での新たな事業展開を目指す若者等を強力に後押ししてまいります。
先般、県人口が90万人を下回る状況となり、悲観的な気持ちを抱かれる方もおられると思いますが、各種施策の加速化を目指す中にあって、本県は、全国有数の再生可能エネルギー源や食料供給力を有するなど可能性に満ちた地域であり、再び浮揚する時代を迎え得るものと信じております。
残りの任期にあっても、強い使命感を持って、県民の皆様と手を携えながら、元気なふるさと秋田を創り上げていくとの気概を胸に、各般の施策推進に全力で取り組み、明るい未来がひらかれるよう知事としてのバトンを手渡してまいりたいと考えております。
次に、台湾へのトップセールスについて申し上げます。
先月18日から22日にかけて、市や町、観光・経済団体、企業の関係者と共に台湾を訪問し、県内の観光や農畜産物のPRを行ってきたほか、本県へのチャーター便の来年3月までの運航継続について合意したところであります。
県では、台湾をインバウンド誘客における最重要市場と位置づけている中、定期便化に向けた大きな前進となることから、現地イベントへの出展や旅行会社と連携したツアー販売等を通じて、より多くの誘客につなげてまいります。
また、高雄市内の百貨店では、デビュー10周年を迎えた秋田牛のほか、白神ねぎ等の試食販売を実施し、来場した多くの方から「非常に美味しい」、「食感や香りが良い」、との高い評価をいただくことができました。
引き続き、秋田の食と観光を一体的にPRするとともに、県産農畜産物等の更なる輸出拡大に取り組んでまいります。
次に、全国育樹祭について申し上げます。
このたび、令和9年に予定されている「第50回全国育樹祭」の開催地が本県に決定したところであり、昭和53年の旧田沢湖町を会場とした「第2回全国育樹祭」以来、49年ぶり2回目の開催となります。
県としましては、豊かな水と緑に恵まれた美しい秋田の魅力や、森づくりの取組を広く発信するとともに、森を守り育てることの大切さを県民のみならず、多くの国民に伝えられるよう、関係団体と連携を図りながら、開催に向けた準備に万全を期してまいります。
次に、提出議案についてご説明申し上げます。
今回の補正予算案は、7月の大雨による被害対策のほか、「新秋田元気創造プラン」に基づく事業等について計上しております。
大雨による被害対策については、被災した道路や河川等の公共土木施設の復旧対策事業を速やかに実施するとともに、被害を受けた農業経営等の再建を図るため、農地や農業用施設の復旧をはじめ、種苗や生産資材の購入など被災農業者の再生産に向けた取組等に対し、支援してまいります。
また、事業継続に向けた小規模事業者の設備等の復旧に要する経費を助成するとともに、第三セクター鉄道の鉄道施設の復旧に要する経費を助成し、早期の本復旧を図ってまいります。
新プランに基づく事業については、市街地等でのツキノワグマによる事故で被害を受けた県民に対し、新たに見舞金を給付するとともに、森林所有者と林業経営体との連携による造林地の集積に対する助成を拡大し、再造林をさらに促進してまいります。
また、国際教養大学の教育研究環境の充実を図るため、研究室や事務局等を集約した新管理棟の整備に向けて基本設計等を進めてまいります。
一般会計補正額は、149億2,808万円であり、補正後の総額は、6,026億1,335万円となります。
次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
「秋田県教育委員会の委員の任命について」、「秋田県公害審査会の委員の任命について」及び「秋田県収用委員会の委員及び予備委員の任命について」は、一部委員の任期満了等に伴う後任の任命について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。