今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、国政を巡る情勢についてであります。
 コロナ禍から社会経済活動の正常化への動きが進む中、国内経済は緩やかな回復を続けておりますが、ウクライナ情勢の長期化や急激な円安が続き、エネルギー、食料品等の価格が上昇していることに加え、国際機関による来年の世界経済の見通しが相次いで下方修正されるなど、欧米の金融引締めの動きや中国のゼロコロナ政策等の下振れリスクによる世界的な景気後退の懸念が高まっていることから、国では、物価高克服や経済再生を実現するため、財政支出規模が39兆円程度となる総合経済対策を先月28日に閣議決定したところであります。
 今後、早期に関連予算を成立させ、物価高騰に伴う負担増加に対する当面の支援を充実させる一方で、際限のない財政出動には自ずと限界があることから、人への投資や成長分野への投資拡大など、我が国経済を強靱化し持続可能なものとする、実効性のある構造的な対策や賃金向上に資する施策に強力に取り組んでいただきたいと考えております。
 県としましても、国の対策を踏まえ、当面は原油・原材料等の価格高騰の影響を受けている世帯や事業者の負担軽減策に取り組むとともに、本県の可能性や優位性を生かした産業の振興など、社会経済情勢の変化に柔軟に対応しながら、「ふるさと秋田」の元気創造に全力で取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
 全国的に再び感染者の増加が見られる中、過去2年間において感染が拡大する傾向にあった冬場を迎え、季節性インフルエンザとの同時流行の懸念から、国の新型コロナウイルス感染症対策本部において、オミクロン株に対応し、外来医療等の状況に着目した新たなレベル分類の見直しと、保健医療への負荷の高まりに応じて都道府県が実施する対策の枠組みが決定されたことを踏まえ、本県でも、これに合わせて感染警戒レベルの考え方を見直すほか、重症者などに必要な医療が適切に提供されるよう体制の確保に努めてまいります。
 また、9月から接種が行われているオミクロン株対応2価ワクチンの今月21日公表時点の接種率は、全国平均を上回っているものの20.7パーセントと低調であり、県民の皆様には、感染防止対策と社会経済活動の両立を図りながら暮らしと健康を守るため、速やかにワクチンを接種していただくとともに、感染の拡大に備え、検査キット、常備薬の事前準備や、食料、日用品の備蓄のほか、医療機関に可能な限り負担をかけないよう重症化リスクに応じた適切な受診と、医療機関に検査や陰性等の証明を求めないことなどをお願いいたします。
 次に、「風流踊(ふりゅうおどり)」のユネスコ無形文化遺産登録について申し上げます。
 本県の代表的な盆踊である「西馬音内の盆踊」と「毛馬内の盆踊」を含む41の民俗芸能で構成される「風流踊」については、政府がユネスコ無形文化遺産への登録を提案していたところ、今月1日、ユネスコの評価機関において登録が適当である旨の勧告がなされました。
 これを受けて、本日からモロッコで開催される政府間委員会において登録が正式決定される見通しとなっており、登録を機に、地元市町や保存会等の関係団体と連携し、行事の継承・発展を図りながら、観光誘客等の地域活性化に向けた取組を進めてまいります。
 次に、「世界洋上風力サミット」について申し上げます。
 今月9日から2日間にわたり、洋上風力発電に関する課題解決や産業交流をテーマとした国際的なイベントである「世界洋上風力サミット」が秋田市で開催され、オンライン参加を含めた国内外の約800名の関係者に対し、展示・商談ブースの設置やパネルディスカッション、レセプションの開催等を通じて、意見交換や交流の場を提供するとともに、郷土料理や伝統芸能など本県の魅力をPRいたしました。
 会場では、VRを利用したメンテナンスや風車の音の体験、大学生による風車を活用した地域活性化策の発表など、洋上風力発電に関する理解促進に資するイベントも併せて開催し、多くの県民の皆様にご参加いただきました。
 今回の国際サミットは、洋上風力発電の事業化に向けた取組が高く評価された結果、本県での開催に至ったものであり、来場者から秋田が国内先進地として雇用創出や地域との共生のモデルとなることを期待する声が聞かれるなど、今後の導入拡大に向けて大きな弾みになるものと考えております。
 本県海域では、秋田港と能代港の港湾区域内において、国内初となる本格的な洋上風力発電所の商業運転の開始に向けた最終調整が進められているほか、一般海域においても、全国最多の4海域が再エネ海域利用法に基づく促進区域に指定され、このうち発電事業者が未定である「八峰町、能代市沖」、「男鹿市、潟上市、秋田市沖」の2海域について、年内にも公募が開始される見通しとなるなど、導入が着実に進んできております。
 県では、発電事業者や風車基幹部組立メーカー、大手海運会社等と連携し、県内企業の参入拡大や人材育成に取り組んでいるところであり、サプライチェーンの構築や若者の定着のほか、発電事業者による漁業支援や洋上風車の観光資源化、固定資産税収の増加など、県内への波及効果も期待できることから、今後も、サミットで得られた知見等を生かしながら、関連産業の振興と経済効果の最大化を図ってまいります。
 次に、農作物の作柄と販売状況について申し上げます。
 今年は、6月の低温や日照不足、8月の大雨など、稲作にとって厳しい生育条件となったことから、先月25日現在の作況指数は、県全体で95の「やや不良」となっており、飼料用米等への作付け転換と相まって、主食用米の収穫量は、38万トンと前年を約4万トン下回る見込みとなっております。
 このような中、本格販売から1カ月となる「サキホコレ」については、好調な売れ行きで米穀専門店や量販店からの評価も非常に高く、秋田米全体の販売拡大に向けた起爆剤になるものと期待されているところであります。
 また、園芸作物については、大雨などにより品目によっては出荷量が少ないものの、全国的に品薄状態が続き、価格が高めとなっていることから、「ねぎ」や「アスパラガス」、「キク類」、「リンドウ」等の販売金額は前年同期を上回っているほか、「しいたけ」の出荷も4年連続となる「販売三冠王」の獲得に向けて順調に推移しております。
 こうした状況を踏まえ、稲作農家の資金繰りや低コスト化に向けた取組を引き続きサポートするとともに、米の需給バランスの確保と価格の安定に努めつつ、「サキホコレ」をフラッグシップとして秋田米の販売力強化を図っていくほか、複合化とその基盤となるほ場整備を推進し、強い農業づくりに取り組んでまいります。
 次に、鉄道路線の運転再開の見通しについて申し上げます。
 秋田内陸線の鷹巣・阿仁合間については、来月中旬の運転再開が見込まれているほか、JR線については、五能線岩館・深浦間が来月上旬、花輪線鹿角花輪・大館間では来年の4月から5月頃に再開するとの見通しが示されるなど、県内の各路線の復旧にようやく目途がついたところであり、早期の全線開通に向けて迅速に対応いただいている鉄道各社に対し感謝申し上げます。
 県としましても、引き続き、工事の円滑な進捗が図られるよう、しっかりとサポートしていくとともに、きめ細かな代行バスの運行などについても働きかけてまいります。
 次に、図柄入りナンバープレートについて申し上げます。
 このたび、県民によるアンケート等を基に、秋田犬をテーマとした図柄案を最終決定し、国への正式な申請を終えたところであります。
 今後は国の有識者会議での審査・認定を経て、来年10月から「秋田犬ナンバープレート」の交付が開始される見込みでありますので、広く県民や事業者への周知を図りながら普及に取り組み、多くの方に取り付けていただくことにより本県のPRにつなげてまいります。
 次に、フランスへの訪問について申し上げます。
 先月15日から21日にかけて、県内の3市長や企業の関係者などと共に、「北前船寄港地フォーラムinパリ」に出席したほか、県産品の販路拡大を図るため、世界各国から業界関係者が参加しているヨーロッパでも最大級の食の見本市「シアルパリ」において県産食品や日本酒のPRを行ったところ、具体的な商談につながるなど、十分な手応えを感じております。
 また、観光誘客に向け、訪日旅行セミナー等に参加し、現地の旅行会社やメディア関係者に対し、本県の食と観光の魅力を伝えるとともに、竿燈やなまはげなどを披露することにより、秋田の魅力を強くアピールしたところであります。
 このたびの訪問では、フランスにおける藤田嗣治画伯と安藤忠雄氏の人気、知名度を改めて確認できたことから、伝統芸能や歴史文化などの観光資源と共に、「秋田の行事」等の藤田作品とこれらを展示する安藤氏設計の県立美術館を活用し、フランスをはじめとするヨーロッパからの誘客につなげてまいります。
 次に、「オリックス・バファローズ」の日本シリーズ制覇について申し上げます。
 北秋田市出身の中嶋聡監督率いるプロ野球の「オリックス・バファローズ」が、26年ぶりに日本一に輝きました。
 大館市出身の高山郁夫コーチと共に強力な投手陣を築き上げるなど、中嶋監督の選手育成の手腕や的確な采配がリーグ連覇とシリーズ制覇に結び付いたものと考えております。
 また、対戦相手の「東京ヤクルトスワローズ」においても秋田市出身の石川雅規、石山泰稚両投手が好投しており、日本シリーズという最高峰の舞台で本県関係者がそれぞれの持ち味を生かして活躍され、県民に夢と感動を与えたことを大変うれしく思っております。
 中嶋監督と高山コーチには、心よりお祝いを申し上げるとともに、両チームの一層のご活躍を期待しております。
 次に、提出議案の主なものについて説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、原油価格・物価高騰や新型コロナウイルス感染症への対応のほか、「新秋田元気創造プラン」に基づく事業、公共事業の発注を前倒しするための債務負担行為等について計上しております。
 原油価格・物価高騰への対応については、緊急的な措置として、社会福祉施設や医療施設等の負担軽減を図るため光熱費に対し助成するほか、省エネルギー化や生産性向上に資する施設整備、機械の導入などを行う事業者等に対し助成してまいります。
 感染症への対応については、第8波に備え、診療・検査医療機関でのPCR検査費用や医療費の自己負担分への支援のほか、介護施設等において感染症が発生した場合にサービスが継続できるよう引き続き支援するとともに、季節性インフルエンザとの同時流行に備え、年末年始や発熱患者等の急増時における日曜・祝日の外来体制の確保などを図ってまいります。
 新プランに基づく事業については、新県立体育館の施設規模や機能を検討するための基本計画検討委員会を開催するほか、基本計画策定及びPFI導入可能性調査に要する経費について債務負担行為を設定しております。
 一般会計補正額は、72億4,341万円であり、補正後の総額は、6,577億6,748万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県人事委員会の委員の選任について」、「秋田県教育委員会の委員の任命について」及び「秋田県公安委員会の委員の任命について」は、委員の任期満了に伴う一部委員の選任等について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
 「一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案」は、人事委員会の勧告に鑑み、職員の給料月額、期末手当及び勤勉手当の額の改定を行おうとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。