このたび提案いたしました議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、国政を巡る状況についてであります。
 岸田総理は、今月3日に召集された臨時国会の所信表明演説において、「物価高・円安への対応」及び「構造的な賃上げ」、「成長のための投資と改革」を重点分野と位置づけ、「新しい資本主義」の加速による経済の再生に取り組むことを表明されました。
 物価高などによる家計や企業の負担の軽減を図るための迅速な対応はもとより、成長分野での活躍に向けた学び直しに対する支援等による企業間・産業間での労働移動の円滑化、成長の原動力となるグリーン・トランスフォーメーションの推進など、我が国が直面する難局を乗り越え、未来につながる取組を力強く展開されることを期待しております。
 一方、経済安全保障の観点からも成長が期待される洋上風力発電については、先月30日に発電機器や部品の県内調達を目指す風車基幹部組立メーカーとの連携協定を締結したところであり、さらには、男鹿市、潟上市、秋田市沖の県内四海域目となる「促進区域」への指定や、大手海運会社による人材育成を行う総合訓練センターの開設計画の公表など、産業基盤の形成に向けた動きが活発化してきております。
 県としましては、こうした動きをより確かなものとし、新エネルギー供給基地や洋上風力発電関連産業の集積拠点の形成を目指すほか、食料供給力の強化に向けた農業の複合化に取り組むなど、本県の可能性、優位性を生かした産業構造の構築を図り、我が国の発展に貢献してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応状況について申し上げます。
 先月26日から発生届の対象が感染者全数から65歳以上の方、入院を要する方等の4類型に限定されたことから、届出対象とならない感染者のフォローアップに万全を期すため、24時間受付の総合案内窓口を新たに設置し、休日や夜間でも状況に応じて、看護師や医師が療養支援する体制を整備したほか、重症化リスクが低い軽症の方が受診せずに自宅で速やかに療養できるよう、検査キット配付・陽性者登録センターでの登録の対象を自ら購入した検査キットで陽性となった方にも拡大するなど、感染者が不安を抱くことなく、必要な方に医療を適切に提供する体制を確保しているところであります。
 今後は冬場に向け、感染再拡大や季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されていることから、県民の皆様には、これまでと同様の基本的な感染防止対策の徹底に加え、自宅療養を想定した準備や、総合案内窓口等の活用による適切な受診などへのご協力をお願いいたします。
 次に、観光需要の喚起策について申し上げます。
 感染防止対策と社会経済活動の両立が進められる中、県では、「秋田を旅しようキャンペーン」などを通じて東北各県等からの誘客に取り組んでまいりましたが、今月11日から、国の全国旅行支援が開始されたことに伴い、同キャンペーンの対象を全国に拡大したところであり、宿泊施設の食の磨き上げによる魅力の向上や、冬季の旅行商品造成・販売への支援などを実施し、本県への更なる誘客促進を図ってまいります。
 次に、「サキホコレ」の本格デビューについて申し上げます。
 先般、イメージキャラクターの壇蜜さんと共にサキホコレの刈り取り作業を行い、生産者の皆様と収穫の喜びを分かち合ったところであり、また、生産された米については品質が高く、現在実施している先行予約キャンペーンにおいて、既に多くの方から申込みをいただくなど、消費者の期待も高まってきていると感じております。
 今後は、今月29日開催の種苗交換会と併せて実施するデビューイベントを皮切りに、全国販売をスタートすることになっており、県内外においてテレビCMをはじめ販売促進キャンペーンなどを展開し、米どころ秋田のフラッグシップとして認知度の向上に取り組んでまいります。
 次に、「あきた芸術劇場ミルハス」について申し上げます。
 先月23日のグランドオープンにおいては、新日本フィルハーモニー交響楽団による特別公演に約2,000人の観客が訪れたほか、近隣施設でイベントも開催され、周辺地域一帯は多くの人出でにぎわいました。
 また、演劇などの舞台芸術に対応する中ホールでは、今月8日に本県出身の演出家である佐佐木隆氏が中心になり結成された劇団文化座の記念公演が行われ、設備機能が生かされた臨場感のある舞台となり、観客と出演関係者の双方から好評を博したところであります。
 開館当初より県内外から注目を集め、連日多くの方が訪れており、今後とも、秋田市や指定管理者と連携を図りながら、多彩で魅力ある公演の誘致を進めるとともに、集客力のある様々なイベントを開催するなど、にぎわいの創出につなげてまいります。
 次に、「第39回伝統的工芸品月間国民会議全国大会」について申し上げます。
 全国各地の伝統的工芸品や職人が集う国内最大の大会が、来月17日から20日にかけて、県内では初めて開催されます。
 ミルハスでの記念式典を皮切りに、秋田市にぎわい交流館や文化創造館等において、幅広い世代の方々に伝統的工芸品に親しんでいただけるよう、展示・販売をはじめ、製作の実演や体験など、様々な催しを行うことにしており、本大会を契機に、本県の誇るべき財産である伝統的工芸品を持続可能なものづくり産業として、次の世代にしっかりと引き継いでいけるよう、産地や市町村等とも連携しながら取組を進めてまいります。
 次に、大雨による災害の復旧状況について申し上げます。
 8月の大雨による災害について、被災した農地・農業用施設や公共土木施設のうち、緊急性の高い箇所の復旧工事を順次進めてきたところでありますが、今月5日に激甚災害に指定されたほか、来週から公共土木施設の災害査定が開始される予定となっており、今後も、国や市町村と十分に連携を図りながら、被災施設の早期復旧や県土の強靱化に向け、全力で取り組んでまいります。
 また、鉄道については、今月7日から奥羽本線の鷹ノ巣・大館間の運行が再開されたところであり、引き続き、花輪線、五能線の早期の運行再開をJR東日本に対して働きかけるとともに、秋田内陸線の年内の全線開通を目指して支援を行ってまいります。
 次に、認定をお願いいたします令和3年度秋田県歳入歳出決算について申し上げます。
 一般会計歳入総額は6,968億7,441万円、歳出総額は6,725億5,583万円となり、事業繰越財源を差し引いた実質収支は、163億6,473万円の黒字となりました。
 令和3年度は、新型コロナウイルス感染症への対応として、感染予防対策や医療提供体制の整備のほか、影響を受けている事業者への支援等に加え、コロナ後の経済回復・地方創生に向けた取組の充実を図るとともに、最終年度を迎えた第3期ふるさと秋田元気創造プランを推進するための事業や、大変革の時代を見据え、賃金水準の向上・人材確保対策やDXの推進、カーボンニュートラルへの挑戦など、新たな視点から取り組む事業について推進したところであります。
 よろしくご審議の上、認定いただきますようお願い申し上げます。