今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、高病原性鳥インフルエンザへの対応についてであります。
 先月19日、大仙市の養鶏場において高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されましたが、発生後、直ちに、鶏の処分、農場の消毒作業等の防疫措置を実施し、今月12日をもって一連の対応を完了いたしました。
 大仙市やJA秋田おばこをはじめ、関係機関の皆様には、多大なご協力をいただき感謝申し上げます。
 このたびの鳥インフルエンザの発生を受け、県内の養鶏業者では、引き続き予防対策を強化しているところでありますが、豚熱についても、先月、岩手県で野生イノシシの陽性が確認されるなど、本県でのリスクも高まっていることから、防護柵の補修や経口ワクチン入りのエサの散布等による衛生管理の徹底を指導してまいります。
 次に、ウクライナ情勢について申し上げます。
 国際社会からの強い非難や経済制裁にもかかわらず、ウクライナでは、ロシアによる大規模な軍事攻撃が繰り返され、子どもや民間人を含む多くの死傷者が出ているほか、建物やインフラ設備が破壊されるなど、甚大な被害が生じております。
 また、660万人以上の方が国外への避難を余儀なくされ、本県においても、今月9日、2名の避難民を受け入れており、県としましては、安心して滞在いただけるよう、ウクライナ語に対応した相談機能の拡充を図るなど、避難民に寄り添った支援を受入れ市町村と連携して行ってまいりたいと考えております。
 ロシアによる侵略は、いかなる理由があろうとも、断じて容認できないものであり、一日も早い終結を願っております。
 一方、緊迫化した国際情勢により、原油・小麦等の価格高騰や、希少金属やプラスチック材をはじめとする原材料の供給不足など、国民生活と経済活動に大きな影響が生じ、コロナ禍で疲弊している我が国の経済において、不確実性は更に高まっているところであります。
 こうした状況への対応として、先般、国から、原油高対策に加え、エネルギー・原材料・食料等の安定供給対策や、中小企業支援、生活困窮者等支援を柱とする、コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」が示されたところであり、県としましても、生活や事業活動での原油高等の影響を低減させるため、補正予算の追加提案を予定しております。
 また、影響の長期化も懸念されることから、県内企業における経営基盤の強化や省エネに対応した生産設備の導入促進、農産物や木材の供給力向上と販路拡大などにより、社会経済の変化に対応した事業構造への転換を図ってまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
 大型連休後の急増が懸念された県内の新規感染者数は、若干落ち着き、一定の水準で推移しておりますが、その大多数は無症状又は軽症であり、必要な方への医療提供が確保されている状況となっております。
 こうした中、先月26日には、県独自の感染警戒レベルを、医療提供体制のひっ迫状況をより重視した国のレベルに準じたものに改め、現時点では強い対策を講じる状況にはないものの、感染拡大を警戒する必要がある「レベル2」としたところであります。
 県民の皆様には、引き続き、基本的な感染防止策を徹底していただくようお願いいたします。
 次に、県内の社会経済活動の正常化に向けた取組について申し上げます。
 全国的に行動制限が解除される中、今月14日には「ぱしふぃっく びいなす」が秋田港に寄港し、約2年半ぶりにクルーズ船の受入れを再開しており、イベントに関しても、明日から秋田市において「東北絆まつり2022秋田」が開催されるほか、今後は、「花輪祭の屋台行事」や大曲の花火「第94回全国花火競技大会」が予定されるなど、広域的な人の流れが活発化してきております。
 また、「あきた芸術劇場ミルハス」においては、来月5日のプレオープン以降、練習室や研修室の開放をスタートさせ、県民に文化活動の場を提供していくとともに、9月のグランドオープンからは、著名なアーティストの公演や3,000人規模のコンベンションの開催が多数予定されており、交流人口の拡大につながるものと考えております。
 県としましては、これまで実施してきた「あきた春割キャンペーン」を来月末まで延長するとともに、7月からはJR東日本や青森県・岩手県と共に大型観光キャンペーンを展開し、更なる誘客促進を図るほか、プレミアム飲食券を販売し、飲食店での消費喚起や、関連事業者における需要拡大に取り組むなど、感染防止対策と社会経済活動との両立を図ってまいります。
 次に、「新秋田元気創造プラン」の推進について申し上げます。
 はじめに、「賃金水準の向上」についてであります。
 令和元年度の1人当たりの県民所得の増加率が、前年度比で2パーセント以上と現時点で公表されている道県の中では高い伸びを示しており、この傾向を定着させ、更なる賃金水準の向上を図るためには、一定の企業規模の確保と経営基盤の強化が不可欠であることから、引き続き、M&Aによる経営規模の拡大や、新エネルギー関連をはじめとする成長分野への参入促進を図るなど、県内企業の労働生産性や企業価値の向上を支援するほか、賃金向上に取り組む事業者に対する補助金や入札・融資制度における優遇措置を導入したところであります。
 また、今春の高校卒業者の県内就職率が75.4パーセントと過去最高となったほか、リモートワーク移住や起業といった、これまでと異なる働き方の移住者が増加するなど、県内就業率の向上につながる動きが見え始めていることから、ニーズに応じたきめ細かい支援により、こうした流れを一層確かなものにするとともに、若者の定着・回帰や女性活躍を推進するため、県内企業のインターンシップを紹介するセミナーや女性の相互研鑽の場となるラウンドテーブルの開催等の取組を強化してまいります。
 さらに、農林水産分野では、全国トップクラスの産地づくりとブランド力の強化により、京浜地区の中央卸売市場において、「しいたけ」の出荷量、販売額、販売単価の3部門で3年連続の3冠王を達成するなど、県際収支の改善に向けた成果が現れてきております。
 この秋、本格販売を迎える「サキホコレ」についても、全国トップブランドを確立するため、品質・食味の良い米の生産に向けた技術指導と、テレビCM等を活用した切れ目のないプロモーション展開による知名度向上に努めてまいります。
 加えて、生産性向上に取り組む宿泊施設やICT機器を導入する建設事業者に対する助成等を開始するなど、各分野における賃金水準の向上に資する取組を積極的に推進してまいります。
 次に、「カーボンニュートラルへの挑戦」についてであります。
 県では、先月20日、県民・事業者・行政などが一体となって地球温暖化防止に向けた取組を進め、2050年における温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すことを宣言いたしました。
 また、同じく26日には、流域下水道秋田臨海処理センターの汚泥処理工程で生じる可燃性ガス等を活用して向浜地区の公共施設へ電力を供給する、秋田市との共同事業計画が、大潟村の提案と共に、国の脱炭素先行地域に選定されました。
 これらを契機として、カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの導入拡大や森林資源の循環利用といった本県のポテンシャルを最大限に生かした取組を強化するとともに、環境に配慮した行動への県民参加を促進してまいります。
 さらに、洋上風力発電について、秋田港及び能代港の港湾内における事業の年内商用運転開始を目指し、順調に建設作業が進められており、今後も導入拡大に取り組みながら、県内企業の関連産業への参入を促進するとともに、県内外からの更なる投資を呼び込み、脱炭素社会に対応した国内最大級の産業集積拠点の形成を図ってまいります。
 このほか、「デジタル化の推進」や6つの重点戦略の施策・事業についても、効率的・効果的に展開することにしており、最重要課題である人口減少問題をはじめとする諸課題の克服に向け、県民の皆様と共に積極果敢に取り組んでまいります。
 次に、大館能代空港羽田線の増便について申し上げます。
 羽田線の3往復運航が先月28日から始まっており、県としましても、早期に需要を拡大するため、地元自治体等と協力し、様々な媒体を通じたPRや運賃助成などを前倒しで実施しております。
 今後の継続的な運航に向けては、更なる利用の拡大が必要であることから、県内はもとより、隣県の自治体、事業者と連携を強化し、観光誘客や地元利用の促進に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、「秋田ノーザンハピネッツ」のBリーグ・チャンピオンシップ出場について申し上げます。
 このたび、「秋田ノーザンハピネッツ」が、厳しいワイルドカード争いを勝ち抜き、クラブ史上初となるチャンピオンシップ進出を果たしました。
 上位チームの壁は厚く、セミファイナル進出はなりませんでしたが、今シーズンの奮闘は、多くの県民に勇気と希望を与えるとともに、「スポーツ立県あきた」を推進する本県にとって、大きな弾みになるものであります。
 チームの皆様には、来シーズンの更なる飛躍を期待しております。
 次に、提出議案の主なものについて説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、新型コロナウイルス感染症への対応のほか、「新秋田元気創造プラン」に基づく事業、公共事業等について計上しております。
 感染症への対応については、県内の新規感染者数がいまだ一定の水準で推移しており、今後の対策に万全を期すため、保健所の体制を強化するとともに、自宅療養者への支援に要する経費を増額するほか、感染拡大防止のため、高齢者施設や学校、保育所等に抗原検査キットを配付し、速やかに検査を実施できる体制を整備してまいります。
 新プランに基づく事業については、社会福祉法人が行う障害福祉サービス事業所の施設整備に対し助成するほか、行政事務の効率化や県民サービスの向上を図るため、業務のデジタル化を推進してまいります。
 また、本県に避難してきたウクライナ人の受入態勢を整備するとともに、当面安定した生活ができるよう生活費等の支援を行ってまいります。
 公共事業については、洋上風力発電施設建設に係る基地港湾である能代港・秋田港を補完する機能を持つ港として、船川港を活用するための調査等を実施するほか、国の内示による国庫補助事業等を計上しております。
 このほか、今年度末で指定管理の協定期間が満了する公の施設について、令和5年度以降の管理運営に係る債務負担行為を設定しております。
 一般会計補正額は、115億8,376万円であり、補正後の総額は、6,256億3,746万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県監査委員の選任について」は、一部委員の任期満了に伴う後任の選任について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
 「秋田県県税条例の一部を改正する条例案」は、地方税法の一部改正に伴い、上場株式等に係る配当所得等の課税方式の見直し及び個人県民税に係る住宅ローン減税の延長等を行おうとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上
げます。